イウプト2世せい

イウプト2世せい（Iuput II、在位ざいい：紀元前きげんぜん754 ‐ 715年ねん頃ごろ）は古代こだいエジプト第だい三さん中ちゅう間あいだ期きのファラオ。しばしば第だい23王朝おうちょう最後さいごのファラオに数かぞえられる。即位そくい名めいはウセルマアトラー。

概要がいよう

下しもエジプト東部とうぶのレオントポリスの周辺しゅうへん地域ちいきを統治とうちしたと見みられている。当時とうじのエジプトにはイウプト2世せいの他ほかにもブバスティスのオソルコン4世せい(第だい22王朝おうちょう)やサイスのテフナクト1世せい(第だい24王朝おうちょう)など、多数たすうの中小ちゅうしょう規模きぼの王国おうこくが割拠かっきょしており、混沌こんとんとした時代じだいだった。

ヌビアの王おうで上うえエジプト地域ちいきを掌握しょうあくするピアンキが下しもエジプトに侵攻しんこうした際さい、諸国しょこくはテフナクトを盟主めいしゅに連合れんごうを形成けいせいし、イウプト2世せいもその傘下さんかに加くわわってヌビアに抵抗ていこうした。 いくつかの戦闘せんとうの後のちに連合れんごうが敗やぶれると、ピアンキは降伏ごうぶくした諸侯しょこうが継続けいぞくして自みずからの領地りょうちを治おさめる事ことを許可きょかし、イウプト2世せいも所領しょりょうを安堵あんどされた。ピアンキの全土ぜんど平定へいていを称たたえる『勝利しょうりの石碑せきひ』には降伏ごうぶくさせた諸王しょおうの一人ひとりとしてイウプト2世せいの名前なまえが記しるされている。

多おおくの研究けんきゅう者しゃはこの勝利しょうりの石碑せきひを元もとにイウプト2世せいを第だい23王朝おうちょうの王おうとみなし、彼かれが本拠ほんきょを置おいたレオントポリスがその都とであったと主張しゅちょうしている。しかし、この石碑せきひは王おうがデルタ地域ちいきの一部いちぶを領有りょうゆうしていた事ことを端的たんてきに示しめしているに過すぎず、必かならずしもその本拠地ほんきょちがレオントポリスにあったとは限かぎらないとする説せつも存在そんざいする。 またイウプト2世せいと第だい23王朝おうちょうの他ほかの王おうたちとの関係かんけいを示しめす他ほかの史料しりょうも発見はっけんされていないため、同おなじ王朝おうちょうに含ふくめること自体じたいを疑問ぎもん視しする研究けんきゅう者しゃもいる。

　史料しりょう　

治世ちせい21年ねん目めの日付ひづけを記しるした石碑せきひがメンデスから出土しゅつどしており、他ほかにもウセルマアトラー・セテプエンアメンの像ぞうの土台どだいや、テル＝エル・ヤフディエ出土しゅつどの銘板めいばん、および青銅せいどう製せいのドアヒンジ等とうがある。

ブルックリン美術館びじゅつかん所蔵しょぞうの銘板めいばんは、王おうの姿すがたを第だい3中ちゅう間あいだ期きの美術びじゅつ様式ようしきとは大おおきく異ことなるスタイルで描えがいており、足あしが短みじかく筋肉質きんにくしつなその姿すがたはむしろ古こ王国おうこく時代じだいの様式ようしきに近似きんじしている。

この銘板めいばんの発見はっけんにより、従来じゅうらい第だい25王朝おうちょう時代じだいのヌビアから広ひろまったと考かんがえられてきた末期まっき王朝おうちょう時代じだいの復古ふっこ的てきな文化ぶんかが、実際じっさいにはより早はやい時期じきにデルタ地域ちいきから始はじまったもので、クシュ地域ちいきの出土しゅつど品ひんは単たんに既存きそんの流行りゅうこうを採用さいようしたものだと明あきらかになった。

参考さんこう文献ぶんけん

• ピーター・クレイトン 著しる、藤沢ふじさわ邦子くにこ 訳やく、吉村よしむら作治さくじ監修かんしゅう 編へん『古代こだいエジプト ファラオ歴代れきだい誌し』創つく元もと社しゃ、1999年ねん4月がつ。ISBN 4422215124。 
• エイダン・ドドソン、ディアン・ヒルトン『全ぜん系図けいず付づけエジプト歴代れきだい王朝おうちょう史し』池田いけだ裕ひろし訳やく、東洋とうよう書林しょりん、2012年ねん5月がつ。ISBN 978-4-88721-798-0。 
• Kenneth Kitchen, The Third Intermediate Period in Egypt (1100–650 BC), 1996, Aris & Phillips Limited, Warminster, ISBN 0-85668-298-5.

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古代こだいエジプト王おう 紀元前きげんぜん754 ‐715年ねん頃ごろ

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