イントゥルーダー

イントゥルーダー
著者ちょしゃ	高嶋たかしま哲夫てつお
発行はっこう日び	1999年ねん4月がつ20日はつか（単行本たんこうぼん）; 2002年ねん3月がつ10日とおか（文庫本ぶんこぼん）; 2022年ねん1月がつ10日とおか（文庫本ぶんこぼん）
発行はっこう元もと	文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう
ジャンル	ミステリー
国くに	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご
形態けいたい	四よん六ろく判ばん上製じょうせいカバー装そう; 文庫本ぶんこぼん
ページ数すう	328（単行本たんこうぼん）; 384（文庫本ぶんこぼん）; 400（文庫本ぶんこぼん）
コード	ISBN 978-4163185101 ; ISBN 4-16-765627-2; ISBN 978-4-16-791815-6（文庫本ぶんこぼん）
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『イントゥルーダー』は、高嶋たかしま哲夫てつおによる日本にっぽんの小説しょうせつ。

25年ねんぶりに不意ふいに電話でんわをしてきた恋人こいびとから、自分じぶんに息子むすこがいて交通こうつう事故じこに遭あって重体じゅうたいであることを知しらされる。これ以降いこう、様々さまざまなことが自分じぶんの日常にちじょう生活せいかつに侵入しんにゅうしてきて、息子むすこの交通こうつう事故じこが原発げんぱつ建設けんせつに絡からまるハイテク犯罪はんざいに巻まき込こまれていく。

1999年ねん、サントリーミステリー大賞たいしょう読者どくしゃ賞しょうを受賞じゅしょうし、同年どうねん、テレビドラマ化かされた。

2002年ねん3月がつ10日とおかに文春ぶんしゅん文庫ぶんこにて文庫ぶんこ化か。2022年ねん1月がつ4日にちに、『イントゥルーダー真夜中まよなかの侵入しんにゅう者しゃ』と改題かいだいの上うえ、文庫ぶんこ化かされた。

あらすじ

11月27日にち

午前ごぜん零れい時じごろ、羽はね嶋しまの携帯けいたいに、松永まつなが奈津子なつこから「あなたの息子むすこが重体じゅうたいです」と電話でんわがかかってくる。彼女かのじょは25年ねんほど前まえ、つまり羽はね嶋しまが大学だいがく4年ねんのころに2カ月かげつほど同居どうきょしていたことがあった。

翌朝よくあさ、羽はね嶋しまは、2人組にんぐみの警察官けいさつかんから慎まき司つかさの事故じこについて説明せつめいを受うけた。説明せつめいによると、慎まき司つかさが事故じこにあったのは深夜しんやの風俗ふうぞく店てんが並ならぶ街まちで、路上ろじょうで車くるまと接触せっしょくして引ひきずられ、頭部とうぶを強打きょうだした。また、酩酊めいてい状態じょうたいで、車くるまが来きてもよけようとしなかったという。

警察官けいさつかんが帰かえった後のち、羽はね嶋しまは何なにをしたらいいのかわからなかったが、勤務きんむ先さきの東洋とうよう電子でんしと自宅じたく、慎まき司つかさが働はたらいていたユニックスに連絡れんらくを入いれた。このとき、東洋とうよう電子でんしではスーパーコンピューター「TE2000」の開発かいはつが行おこなわれていた。この新しん製品せいひんの発表はっぴょうが遅おくれたり、開発かいはつ中止ちゅうしを発表はっぴょうすることになれば、会社かいしゃが危機きき的てき状況じょうきょうになる。

羽はね嶋しまは慎まき司つかさの部屋へやに行いった。しかし、そこに残のこされていたものからは慎まき司つかさのことをうまく想像そうぞうできなかった。また、赤あかく染そまった海岸かいがんの写真しゃしんが気きになった。

5時じになったが慎まき司つかさの意識いしきはまだ戻もどらなかった。羽はね嶋しまは集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつの前まえで、慎まき司つかさがまるで彼かれの中なかに入はいりこもうとする得体えたいのしれないもののように思おもえた。

11月28日にち

羽はね嶋しまは東洋とうよう電子でんしの研究けんきゅう開発かいはつ部ぶに行いった。そこではTE2000の組くみ立たて作業さぎょうが行おこなわれている。デバッグ作業さぎょうは難航なんこうしていた。社長しゃちょう室しつで、大森おおもりと慎まき司つかさについての話はなしをした。

病院びょういんに、警視庁けいしちょうの刑事けいじ・名取なとりと藤田ふじたがいた。名取なとりは、慎まき司つかさの血液けつえきから覚醒剤かくせいざいが検出けんしゅつされた、彼かれの所持しょじ品ひんにも覚醒剤かくせいざいがあったと言いった。慎まき司つかさを覚醒剤かくせいざい中毒ちゅうどく者しゃと決きめつける刑事けいじたちに、羽はね嶋しまは反感はんかんを抱いだく。

控室ひかえしつにいた奈津子なつこは、精神せいしん的てきに追おい詰つめられているように見みえた。

羽はね嶋しまは、慎まき司つかさのことを知しるために彼かれのマンションに行いくことにした。その途中とちゅうで、事故じこ現場げんばに立たち寄よった。治安ちあんが悪わるそうなところで、慎まき司つかさの部屋へやのイメージとは関係かんけい性せいがみつからないように思おもえた。

慎まき司つかさの部屋へやで、羽はね嶋しまの論文ろんぶんが書かかれている東洋とうよう電子でんし社内しゃない報ほうを開ひらいた。その論文ろんぶんには何なん回かいも読よみ返かえした跡あとが残のこっていた。そのとき、慎まき司つかさの友人ゆうじんを名乗なのる理英子りえこが入はいってきた。彼女かのじょは慎まき司つかさの部屋へやの鍵かぎを預あずかっていた。

病院びょういんには3人にんの若者わかものが見舞みまいに来きていた。その中なかの1人ひとりが、先週せんしゅう、慎まき司つかさは電話でんわで日本海にほんかいに日ひの出でを見みに行いくと言いっていたと話はなした。また、慎まき司つかさが新宿しんじゅくに飲のみに行いくことはなかった、彼かれが酔よったところは見みたことがない、とも言いった。

羽はね嶋しまは、奈津子なつこを送おくった後のち、事故じこ現場げんばに行いった。そこにいたホームレスの老人ろうじんと話はなしをした。彼かれによると慎まき司つかさは酔よっていてまともに歩あるけない様子ようすで、2人ふたりに両りょう脇わきを支ささえられて道路どうろの真まん中なかに出でたという。

11月29日にち

病院びょういんに理英子りえこが来きていた。喫茶店きっさてんで理英子りえこと話はなしをしたが覚醒剤かくせいざいのことは話はなせなかった。その後ご、社長しゃちょう室しつで、関東かんとう電力でんりょくの社長しゃちょう・遠藤えんどうについての話はなしになった。関東かんとう電力でんりょく本社ほんしゃには東洋とうよう電子でんしのスーパーコンピューターが納入のうにゅうされている。それだけでなく、この電力でんりょく会社かいしゃは東洋とうよう電子でんしのパソコンをグループ全体ぜんたいで購入こうにゅうする予定よていがあるらしい。また、関東かんとう電力でんりょくは新あたらしい原発げんぱつ5基きの建設けんせつを予定よていしている。

名取なとり刑事けいじから電話でんわがかかってきたので新宿しんじゅく署しょに行いった。彼かれによると慎まき司つかさを轢ひいた車くるまが発見はっけんされたが、持もち主ぬしを特定とくていする証拠しょうこはなかったという。犯人はんにんは犯罪はんざいに慣なれた者ものではないかと推測すいそくしている。藤田ふじたは、慎まき司つかさが覚醒剤かくせいざいの売人ばいにんだと疑うたがっていた。羽はね嶋しまは、警察けいさつは憶測おくそくで市民しみんを犯人はんにん扱あつかいするのかと怒おこった。名取なとりがなだめて、藤田ふじたの過去かこについて話はなした。

羽はね嶋しまは、慎まき司つかさの部屋へやでフロッピー内ないのファイルを開ひらこうとしたが、パスワードはわからなかった。壁かべに貼はられている赤あかい海岸かいがんの写真しゃしんが目めに留とどまった。慎まき司つかさの友人ゆうじんの「日本海にほんかいに行いって日ひの出でを見みる」という言葉ことばを思おもい出だしたが、日本海にほんかいで日ひの出では見みれないことに気きづく。そこにあった地図ちず帳ちょうで調しらべると、新潟にいがた県けんの日ひの出で町まちという地名ちめいを見みつけた。

羽はね嶋しまは、長谷川はせがわから軽自動車けいじどうしゃを借かりて日ひの出で町まちに行いった。着ついたのは夜よるだった。

11月30日にち

羽はね嶋しまは、『日ひの出で町まち観光かんこう案内あんない』を見みた。そこには関東かんとう電力でんりょくの日ひの出で町まち原子力げんしりょく発電はつでん所しょの完成かんせい予定よてい図ずが載のっている。彼かれは、数すう年ねん前まえのこの町まちでは、原発げんぱつ誘致ゆうちに対たいして住民じゅうみんの大だい多数たすうが反対はんたい派はだったが、電力でんりょく会社かいしゃの説得せっとくによって住民じゅうみん投票とうひょうの時ときに賛成さんせい派はが勝かったという出来事できごとを思おもい出だした。

駅えきの近ちかくを歩あるくと、市しの建物たてものはどれも真新まあたらしい雰囲気ふんいきだった。海岸かいがん線せんにそって車くるまで走はしっていると、建設けんせつ中ちゅうの原発げんぱつが見みえた。公園こうえんに車くるまを止とめて海岸かいがん線せんを見みたが、慎まき司つかさの写真しゃしんとは似にていなかった。

町まちの食堂しょくどうに行いった。店主てんしゅは、原発げんぱつ関係かんけいの人ひとが増ふえたと言いった。また、大おおきな声こえでは言いえないが、不審ふしん者しゃも増ふえたこと、補助ほじょ金きんが出でて駅えきや役場やくばや図書館としょかんが建たったこと、道路どうろが舗装ほそうされたことなどを話はなした。そのうえ、原発げんぱつ事故じこによる放射能ほうしゃのう漏もれを心配しんぱいしている様子ようすだった。

そのとき店みせに来きたのは環境かんきょう保護ほご活動かつどうをしている結城ゆうきだった。彼かれは、電力でんりょく会社かいしゃが住民じゅうみんの反対はんたい意見いけんを補償ほしょう金きんや補助ほじょ金きんで抑おさえ込こもうとしている、あの原発げんぱつは利権りけんの塊かたまりだと話はなした。

理英子りえこの電話でんわを聞きいた羽はね嶋しまは東京とうきょうに帰かえることにした。海岸かいがん線せんを走はしっていた時とき、ダンプがセンターラインを越こえて車くるまに衝突しょうとつしそうになる。羽はね嶋しまはとっさにアクセルを踏ふんだが、軽傷けいしょうを負おった。車くるまは車体しゃたい後部こうぶが変形へんけいしたが、まだ走はしれる状態じょうたいだった。病院びょういんと修理しゅうり工場こうじょうに行いってから東京とうきょうに戻もどる途中とちゅう、北陸ほくりく自動車じどうしゃ道どうの手前てまえで日本海にほんかいに沈しずんでいく夕日ゆうひを見みた。その風景ふうけいは慎まき司つかさの写真しゃしんによく似にていた。

帰宅きたくできたのは午前ごぜん3時じだった。今日きょうの事故じこのことを思おもい出だした羽はね嶋しまは神経しんけいが過敏かびんになっていく気きがした。羽はね嶋しまは、刑事けいじたちの言葉ことばや死体したいが漂着ひょうちゃくしたニュース、建設けんせつ中ちゅうの原発げんぱつ、正面しょうめん衝突しょうとつしそうになったダンプのことを思おもい出だしてなかなか眠ねむれなかった。

12月1日にち

雅まさ恵めぐみと会社かいしゃの近ちかくのホテルのロビーで会あう約束やくそくをした。慎まき司つかさについての話はなしをしたあと、彼女かのじょはパスワードを教おしえてくれた。

羽はね嶋しまは慎まき司つかさの部屋へやでさっきのパスワードを入力にゅうりょくした。ファイルに入はいっていたのは仕事しごとの資料しりょうだった。また、何なにも書かかれていないメモ帳ちょうを持もち帰かえった。

東洋とうよう電子でんしの第だい二に研究けんきゅう開発かいはつ室しつに行いき、メモ用紙めもようしに残のこされた筆跡ひっせきを分析ぶんせきすることを依頼いらいした。一方いっぽうで、TE2000にはまだバグが3か所しょ残のこっていた。しかし計算けいさん結果けっかには問題もんだいがなかった。

羽はね嶋しまは、大森おおもりと関東かんとう電力でんりょくビルに行いった。遠藤えんどうは、今後こんごも東洋とうよう電子でんしのスーパーコンピューターを導入どうにゅうしていく予定よていであり、原発げんぱつ建設けんせつの計画けいかくも進すすめていく予定よていだと話はなした。

羽はね嶋しまはユニックスに行いった。青山あおやまに会あい、慎まき司つかさの血液けつえきから覚醒剤かくせいざいが検出けんしゅつされたことを話はなし、何なにかの事件じけんに巻まき込こまれたであろう慎まき司つかさのことを知しるために、彼かれがやっていた仕事しごとについて尋たずねた。この行動こうどうが情報じょうほう産業さんぎょうに関かかわる者ものとして倫理りんりに反はんしていることはわかっていた。青山あおやまは、過去かこに社内しゃないで覚醒剤かくせいざい事件じけんがあったことは話はなしたが、それ以上いじょうのことは聞きけなかった。羽はね嶋しまが帰かえろうとしたとき、青山あおやまは「ASME、Code、セクションⅢ」とは原発げんぱつの構造こうぞう設計せっけい基準きじゅんであることを話はなした。

東洋とうよう電子でんしに戻もどると理英子りえこがいた。うそをついて入館にゅうかんしたらしい。羽はね嶋しまが先日せんじつの交通こうつう事故じこについて説明せつめいすると、彼女かのじょは、慎まき司つかさについて調しらべるのはもうやめたほうがいいと震ふるえながら言いった。彼女かのじょは、慎まき司つかさから預あずかった封筒ふうとうを見みせた。それは関東かんとう電装でんそうの経理けいり報告ほうこく書しょと300万まん円えんで、報告ほうこく書しょは二に重じゅう帳簿ちょうぼだった。慎まき司つかさはこのファイルで300万まん円えんを手てに入いれたらしかった。羽はね嶋しまは戸惑とまどい、動悸どうきが激はげしくなった。そのとき、奈津子なつこから、慎まき司つかさが危篤きとくという電話でんわがかかってくる。

慎まき司つかさが亡なくなった。奈津子なつこは絞しぼり出だすような声こえで羽はね嶋しまに慎まき司つかさの仇かたきをうってと言いい、それから声こえをあげて泣ないていた。羽はね嶋しまの心しんの中なかには、生前せいぜんに会あうことがなかった慎まき司つかさの姿すがたが鮮明せんめいに刻きざみ込こまれていた。

12月2日にち

慎まき司つかさの葬儀そうぎがおこなわれた。参列さんれつ者しゃの中なかには明美あけみと裕子ゆうこ、大森おおもりもいた。寺てらを出でた後のち、青山あおやまがいた。慎まき司つかさの人柄ひとがらについての話はなしのあと、彼かれは遺品いひんの鳥とりの写真しゃしん集しゅうを渡わたした。

名取なとりがお時間じかんをいただけないかと話はなしかけてくる。行いき先さきは重度じゅうどの薬物やくぶつ中毒ちゅうどくやアルコール中毒ちゅうどく患者かんじゃ専せん門もんの病棟びょうとうだった。そこにいたのは、吐はき気けをもよおすほど悲惨ひさんな様子ようすの患者かんじゃたちだった。休憩きゅうけい所しょで名取なとりは、日本海にほんかいから密輸みつゆされた覚醒剤かくせいざいがインターネットで取引とりひきされているのを捜査そうさするため、羽はね嶋しまに協力きょうりょくするよう頼たのんだが、断ことわった。警察けいさつと別わかれたあと、羽はね嶋しまの脳裏のうりに焼やき付ついていたのはさっきの患者かんじゃたちと白しろく変色へんしょくした慎まき司つかさの顔かおだった。

自分じぶんの居場所いばしょを失うしなってしまったと感かんじた羽はね嶋しまは、慎まき司つかさの部屋へやに行いくことにした。タクシーのなかで写真しゃしん集しゅうを開ひらくと、コンピューターのデータシートが挟はさまっていた。それは慎まき司つかさが手てがけた仕事しごとのリストで、その中なかにはドーム球場きゅうじょうの耐震たいしん計算けいさんや、関東かんとう電力でんりょくの原発げんぱつの原子げんし炉ろ内ないの流体りゅうたいシミュレーションが含ふくまれていた。慎まき司つかさの部屋へやに行いくと理英子りえこも来きていた。羽はね嶋しまは経理けいり報告ほうこく書しょを破やぶり捨すてた。二人ふたりでウィスキーを飲のみながら会話かいわをしたあと、いっしょに事故じこ現場げんばに行いった。

理英子りえこは先日せんじつのホームレスの老人ろうじんを探さがし、慎まき司つかさについて聞きいた。なかなか話はなそうとしない彼かれをみた理英子りえこは、カップ酒しゅをいっしょに飲のみながら話はなしをした。すると老人ろうじんは事故じこについて話はなし始はじめた。それは、慎まき司つかさが、鳥とりの翼つばさのように両手りょうてを広ひろげて道路どうろの真まん中なかに歩あるいて行いったこと、自殺じさつのようなためらいがないように見みえたことだった。また、慎まき司つかさの両りょう脇わきにいた2人ふたりはいつの間まにかいなくなっていたこと。

羽はね嶋しまと理英子りえこは喫茶店きっさてんに行いった。理英子りえこは酔よった様子ようすだった。理英子りえこの父親ちちおやがアルコール中毒ちゅうどくだったことについての会話かいわのあと、羽はね嶋しまは、慎まき司つかさが覚醒剤かくせいざいを誰だれかに打うたれて車道しゃどうに突つき出だされた、轢ひいた車くるまを運転うんてんしたのも覚醒剤かくせいざいを打うった者ものの仲間なかまだろうと推測すいそくを話はなした。第だい二に研究けんきゅう開発かいはつ室しつから電話でんわがかかってくる。その内容ないようは、昨日きのうのメモから読よみ取とれたのは電話でんわ番号ばんごうと名前なまえだったこと。それを見みた理英子りえこは新潟にいがたの番号ばんごうだと言いった。この番号ばんごうは先日せんじつ羽はね嶋しまが泊とまったホテルと市外しがい局番きょくばんが同おなじだった。つまり慎まき司つかさも日ひの出で町まちに行いっていたとわかった。

慎まき司つかさの部屋へやのファックスには、民宿みんしゅく「日ひの出で荘そう」の宿泊しゅくはく予約よやくの確認かくにんが入はいっていた。

12月3日にち

羽はね嶋しまは慎まき司つかさのマンションの台所だいどころで寝ね落おちしていたことに気きづいた。

新宿しんじゅく署しょに行いき、これまで分わかったことについて話はなしをしたが、ホームレスに酒さけを飲のませてき出きだしたという理由りゆうで信用しんようしてもらえなかった。

羽はね嶋しまは再ふたたび日ひの出で町まちに向むかった。その前まえに、メモに書かかれていた電話でんわ番号ばんごうに電話でんわすると、それは新潟工科大学にいがたこうかだいがくの磯村いそむら研究けんきゅう室しつのものだった。確認かくにんすると、その研究けんきゅう室しつは日本海にほんかいの気象きしょうや海流かいりゅう、地質ちしつ学がくの研究けんきゅうを行おこなっていると分わかった。

日ひの出で荘そうに行いった。主人しゅじんに慎まき司つかさについて聞きくと、彼かれは近ちかくの山やまと海うみの写真しゃしんを撮とっていた、26日にちの午前ごぜん中ちゅうに急用きゅうようで人ひとに会あう予定よていがあると言いっていたと話はなした。窓まどから風景ふうけいを見みると、そこは慎まき司つかさの写真しゃしんに写うつっていたのと同おなじ岬みさきだった。

新潟工科大学にいがたこうかだいがくの磯村いそむら研究けんきゅう室しつに行いった。磯村いそむら教授きょうじゅに慎まき司つかさの事故じこのことを説明せつめいすると、慎まき司つかさが海岸かいがんの詳細しょうさいな地形ちけい図ずを見みせてほしいと頼たのんでいたことを話はなした。堀田ほった助教授じょきょうじゅによると、彼かれは、地殻ちかく構造こうぞう、海流かいりゅう、気象きしょうなどのデータの提供ていきょうを受うけた。それだけでなく、日本海にほんかいの海流かいりゅうを計算けいさんするプログラムを作成さくせいしたが、その目的もくてきは話はなさなかったという。

また、「ASME、Code、セクションⅢ」について聞きいてみると、この研究けんきゅう室しつでは、原発げんぱつ建設けんせつをする会社かいしゃに地盤じばんデータを貸かし出だしている。この研究けんきゅう室しつには原発げんぱつそのものの詳細しょうさいなデータがないので耐震たいしん計算けいさんはできない、と聞きかされた。また、この研究けんきゅう室しつは去年きょねん、この地域ちいきを横切よこぎる日ひの出で断層だんそうの研究けんきゅう結果けっかを発表はっぴょうしたことを知しった。

町まちの食堂しょくどうで結城ゆうきに会あった。羽はね嶋しまは、慎まき司つかさが日ひの出で原発げんぱつについてなにか重大じゅうだいな情報じょうほうを見みつけたという推測すいそくを話はなした。日ひの出で荘そうに向むかって歩あるいていた時とき、羽はね嶋しまは数すう人にんの男おとこに暴力ぼうりょくを振ふるわれた。

12月4日にち

東京とうきょうに戻もどると、慎まき司つかさの部屋へやが荒あらされていた。フロッピーディスクとパソコンも破壊はかいされていた。壊こわされたYS-11の模型もけいとパソコンを見みた羽はね嶋しまの心しんに悔くやしさがこみあげた。

会社かいしゃの自室じしつに行いった。長谷川はせがわによるとまだバグが１か所しょ残のこっている。羽はね嶋しまのパソコンには、慎まき司つかさからのメールが届とどいていた。添付てんぷファイルは竜崎たつざき湾わんの地盤じばんについてなどの複雑ふくざつなプログラムで、意味いみは分わからなかったが慎まき司つかさの情熱じょうねつは伝つたわってきた。このメールが送信そうしんされた日ひ、慎まき司つかさはすでに亡なくなっている。

会社かいしゃを出でたが、車くるまを運転うんてんする気力きりょくがなかった。止とまった車くるま（理英子りえこも乗のっている）に乗のったところ、行先ゆくさきは薄暗うすぐらい倉庫そうこだった。そこにいたのは日ひの出で町まちで羽はね嶋しまを襲おそった男おとこたちだった。そこでデータシートとフロッピーが燃もやされた。羽はね嶋しまは、理英子りえこを解放かいほうするかわりにパソコン内ないのデータを削除さくじょすることを要求ようきゅうされ、指示しじに従したがった。それで全すべてが終おわってしまったように思おもえた。

品川しながわで解放かいほうされた羽はね嶋しまは慎まき司つかさの部屋へやに行いった。そこには理英子りえこがいた。羽はね嶋しまは、理英子りえこが本当ほんとうは慎まき司つかさの恋人こいびとではなく、関東かんとう電力でんりょくに雇やとわれただけだと言いった。理英子りえこは、関東かんとう電力でんりょくと関係かんけいがあり、羽はね嶋しまの行動こうどうを報告ほうこくするかわりに300万まん円えんを受うけ取とったことなどについて話はなした。また、彼女かのじょは自分じぶんの過去かこについても話はなした。

羽はね嶋しまは、ウイスキーを飲のんだあと、夢ゆめの中なかで慎まき司つかさと会話かいわした。外そとに出でると雪ゆきが降ふっていた。自販機じはんきで買かったウイスキーを飲のみながら夜道よみちを歩あるき続つづけた。彼かれは死しんだ慎まき司つかさのことを考かんがえ続つづけていた。どこかのスナックでウィスキー数すう杯はいを飲のんだ後のち、街まちに出でた。そこでぶつかった相手あいてと喧嘩けんかになった。道みちに倒たおれた羽はね嶋しまは何なん回かいも蹴けられ、気絶きぜつする。

12月5日にち

羽はね嶋しまが目めを覚さますと、そこは理英子りえこのアパートだった。彼女かのじょは羽はね嶋しまのあとをつけていて、彼かれが喧嘩けんかで血ちだらけになるところを見みていた。それからアパートにつれてきて彼かれを看病かんびょうしていたようだ。羽はね嶋しまは手足てあしの関節かんせつの痛いたみと頭痛ずつう、全身ぜんしんのだるさを感かんじた。彼かれは体力たいりょくの限界げんかいを感かんじ、しばらく眠ねむった。

起おきると午前ごぜん10時じ20分ふんだった。トイレに行いこうとしたが、体からだ中ちゅうが震ふるえていて彼女かのじょの支ささえがないと歩あるけなかった。理英子りえこが作つくった雑炊ぞうすいを食たべながら、慎まき司つかさについて話はなしをした。理英子りえこは、慎まき司つかさのためになにかできることはないかと聞きいた。

研究けんきゅう開発かいはつ部ぶに頼たのんで会社かいしゃの機材きざいを慎まき司つかさのマンション前まえに運はこんでもらい、理英子りえこに受うけ取とらせることにした。羽はね嶋しまは痛いたみに耐たえながら慎まき司つかさの部屋へやに行いった。

理英子りえこを待まつ間あいだに、慎まき司つかさのパソコンとハードディスクを分解ぶんかいした。 30分ふんほど損傷そんしょうを調しらべていると、激はげしい頭痛ずつう、全身ぜんしんのだるさと熱ねつを感かんじて横よこになった。羽はね嶋しまは、壊こわれたコンピューターや慎まき司つかさのメール、原発げんぱつ、彼かれを誘拐ゆうかいした男おとこたち、理英子りえこについて考かんがえていた。

理英子りえこに起おこされたが、意識いしきはぼんやりしている。羽はね嶋しまは、機材きざいを運はこぼうとしたが、彼女かのじょに止とめられたので2時じ間あいだだけ寝ねた。起おきるとさっきよりも体からだが楽らくになっていた。キッチンには、高性能こうせいのうなパソコンやプリンタ、フロッピー読よみ取とり機きなどの大量たいりょうの機材きざいが運はこび込こまれていた。

羽はね嶋しまは、特殊とくしゅなフロッピー読よみ取とり機きで壊こわれた磁気じきディスクをパソコンに読よみ込こんだ。それには3時間じかんかかった。 1時間じかん以上いじょうかけて目視もくしで読よむと、3分ぶんの2以上いじょうのデータが破損はそんしていたが、慎まき司つかさが亡なくなった後のちに届とどいたメールはプログラムによって自動じどう送信そうしんされたものだとわかった。また、彼かれが原発げんぱつ関係かんけいの仕事しごとをしているときに何なにか重大じゅうだいなことに気きづいたのだと推測すいそくできた。そのことは関東かんとう電力でんりょくにハッキングして知しったのだろう。印刷いんさつされたデータシートを見みたが、それ以上いじょうのことはわからなかった。羽はね嶋しまは思考しこう停止ていししそうになった。しかし、理英子りえこの羽はね嶋しまさんにもできるはずという言葉ことばを聞きいた羽はね嶋しまは、関東かんとう電力でんりょくのスーパーコンピューターにハッキングすることを決心けっしんした。

12月6日にち

7時じになってわかったのは、日ひの出で町まち原発げんぱつに耐震たいしん設計せっけい上じょうの欠陥けっかんがあること。日ひの出で町まちには活かつ断層だんそうがあるが、それは従来じゅうらい考かんがえられていたものの数すう倍ばいの規模きぼらしい。関東かんとう電力でんりょくは活かつ断層だんそうのことを知しっていたが、設計せっけい変更へんこうを避さけるために計算けいさん式しきを改かいざんしていること。これらのことがもし公表こうひょうされたら、工事こうじは中止ちゅうしになるだろう。この原発げんぱつは地方ちほうの有力ゆうりょく議員ぎいん、国会こっかい議員ぎいん、通産つうさん大臣だいじんが関係かんけいしている。特とくに通産つうさん大臣だいじんは大おおきなダメージを受うけることが予想よそうされる。このような重大じゅうだいな情報じょうほうを知しったために信しんじ司しは殺ころされたのだろう。このことを隠かくそうとしたのは、設計せっけいを変更へんこうすれば一いち千せん億おく近ちかい建設けんせつ費ひがかかるからだろう。また、この原発げんぱつだけでなく、稼働かどう中ちゅうの他ほかの原発げんぱつでも中止ちゅうし活動かつどうが起おこることが予想よそうされる。稼働かどう中止ちゅうしによって数すう千せん億おくの損失そんしつも出でるだろう。いつ起おきるかわからないマグニチュード7以上いじょうの地震じしん対策たいさくよりも、経済けいざい効率こうりつのほうを優先ゆうせんさせたのだろう。地震じしんは起おこらないだろうと言いいかけた羽はね嶋しまは、地震じしんによってメルトダウンが起おきる状況じょうきょうを想像そうぞうして恐怖きょうふを覚おぼえた。

環境かんきょう保護ほご団体だんたいの入はいっている雑居ざっきょビルに行いき、結城ゆうきにデータシートとフロッピーを渡わたした。しかし結城ゆうきはそれらを破壊はかいした。結城ゆうきは羽はね嶋しまに銃じゅうを向むけ、世論せろん操作そうさのために環境かんきょう保護ほご活動かつどうをしていることと、ヤクザが慎まき司つかさに覚醒剤かくせいざいを打うってから殺ころしたことを明あかした。それを聞きいた羽はね嶋しまは、「結城ゆうきを雇やとっている者ものが、原発げんぱつについて調しらべている慎まき司つかさのことに気きづいたので、慎まき司つかさに近ちかづいた」「慎まき司つかさが結城ゆうきの正体しょうたいに気きづいたせいで殺ころされた」という推測すいそくを話はなす。結城ゆうきが慎まき司つかさのことをあざ笑わらったので、羽はね嶋しまは今いままで感かんじたことのないような怒いかりを感かんじた。結城ゆうきは羽はね嶋しまを撃うとうとしたが、理英子りえこのスタンガンで結城ゆうきは倒たおれた。理英子りえこは、証拠しょうこ品ひんの拳銃けんじゅうを持もって交番こうばんに行いくことにした。羽はね嶋しまは結城ゆうきが持もっていたビニールの包つつみを渡わたし、名取なとりと顧問こもん弁護士べんごしの中村なかむらに助たすけを求もとめるように勧すすめた。それが彼女かのじょとの別わかれだった。

羽はね嶋しまは東洋とうよう電子でんしに戻もどった。研究けんきゅう開発かいはつ部ぶではTE2000のデバッグ作業さぎょうが行おこなわれている。バグは「DAD」という文字もじを表示ひょうじしてから消きえた。社長しゃちょう室しつで、慎まき司つかさのパソコンに残のこされた複数ふくすうのメールの送信そうしん先さきは大森おおもりだ、と大森おおもりに問といただす。大森おおもりが話はなしたのは、偶然ぐうぜん羽はね嶋しまのファイルにアクセスしてしまい、ハッカーからのメッセージに気きづいた。それから彼かれとメールのやりとりが始はじまった。彼かれは名乗なのらなかったが、電話でんわ番号ばんごうを興信所こうしんじょに調しらべさせたところ、羽はね嶋しまの息子むすこだと分わかったこと。続つづけて、ある日ひ、慎まき司つかさが関東かんとう電力でんりょくの耐震たいしん偽装ぎそうに気きづいたことについて相談そうだんしてきたと話はなす。大森おおもりは、そのデータを利用りようして関東かんとう電力でんりょくを脅迫きょうはくした可能かのう性せいがあった。その行為こういは会社かいしゃを守まもるためだった。また、彼かれは、羽はね嶋しまに対たいする嫉妬しっと心しんがあった。それは羽はね嶋しまにエンジニアとしての才能さいのうと家族かぞく、周囲しゅういからの信頼しんらいがあるからだという。その時とき、開発かいはつ部ぶからの電話でんわでTE2000の完成かんせいが伝つたえられた。

羽はね嶋しまは、関東かんとう電力でんりょくビルに向むかった。アポなしで進藤しんどうに面会めんかいした彼かれは、原発げんぱつのデータ改かいざんと慎まき司つかさの死しについて聞きいた。関東かんとう電力でんりょくの研究けんきゅう員いんが不審ふしん死ししたことを話はなすと、進藤しんどうは無言むごんだが動揺どうようしているように見みえた。羽はね嶋しまが、そこにあったパソコンから関東かんとう電力でんりょくの「原発げんぱつについての極秘ごくひ報告ほうこく書しょ」を開ひらいて見みせると、進藤しんどうは動揺どうようした。羽はね嶋しまは、慎まき司つかさを思おもい浮うかべながらそのファイルをインターネットにアップロードした。

街まちを歩あるいていた羽はね嶋しまは、何者なにものかに脇腹わきばらを刺さされてうずくまる。先日せんじつ自分じぶんたちを誘拐ゆうかいした中なかにいた男おとこが人混ひとごみに紛まぎれていくのが見みえた。羽はね嶋しまは今いまにも倒たおれそうな体からだで明美あけみと電話でんわし、駅えきを目指めざした。

登場とうじょう人物じんぶつ

羽はね嶋しま浩司こうじ: 「東洋とうよう電子でんし工業こうぎょう」副ふく社長しゃちょう兼けん研究けんきゅう開発かいはつ部ぶ部長ぶちょう。
松永まつなが慎まき司つかさ: 「ユニックス」ソフト開発かいはつ部ぶ副ふく主任しゅにん。羽はね嶋しま浩司こうじと松永まつなが奈津子なつこの息子むすこ。1973年ねん12月1日にち生うまれ。
松永まつなが奈津子なつこ: 羽はね嶋しま浩司こうじがかつて一緒いっしょに暮くらした女おんな。
羽はね嶋しま裕子ゆうこ: 羽はね嶋しま浩司こうじの妻つま。障害しょうがい者しゃのボランティアをしている。
羽はね嶋しま明美あけみ: 羽はね嶋しま浩司こうじと羽はね嶋しま裕子ゆうこの娘むすめ。高校こうこう3年生ねんせい。
大森おおもり良雄よしお: 「東洋とうよう電子でんし工業こうぎょう」社長しゃちょう。羽はね嶋しま浩司こうじと一緒いっしょに起業きぎょうして、成功せいこうした経営けいえい者しゃ。妻つまや子こどもなどの家族かぞくはいない。
長谷川はせがわ: 「東洋とうよう電子でんし工業こうぎょう」研究けんきゅう開発かいはつ部ぶエンジニア。羽はね嶋しま浩司こうじの部下ぶか。
相田あいだ: 「東洋とうよう電子でんし工業こうぎょう」第だい二に研究けんきゅう室しつ主任しゅにん研究けんきゅう員いん。
中村なかむら: 「東洋とうよう電子でんし工業こうぎょう」顧問こもん弁護士べんごし。
名取なとり裕幸ひろゆき: 警察官けいさつかん。
藤田ふじた: 警察官けいさつかん。
青山あおやま俊夫としお: 「ユニックス」ソフト開発かいはつ部ぶ副ふく主任しゅにん。松永まつなが慎まこと司しの上司じょうし。
宮園みやその理英子りえこ: 松永まつなが慎まこと司しのガールフレンド。松永まつなが慎まき司つかさとは仕事しごとで知しりあった。
富山とやま: 都立とりつ高校こうこう数学すうがく教師きょうし。松永まつなが慎まこと司しの大学だいがく時代じだいからの友達ともだち。
木村きむら: 商社しょうしゃ員いん。松永まつなが慎まこと司しの大学だいがく時代じだいからの友達ともだち。
小池こいけ雅恵まさえ: 建設けんせつ会社かいしゃコンピューターオペレーター。松永まつなが慎まこと司しの大学だいがく時代じだいからの友達ともだち。
中西なかにし: 「ユニックス」代表だいひょう。
磯村いそむら: 新潟工科大学にいがたこうかだいがく教授きょうじゅ。
堀田ほった: 新潟工科大学にいがたこうかだいがく助教授じょきょうじゅ。
笹山ささやま: 日ひの出で町まちの民宿みんしゅくの女おんな主人しゅじん。
結城ゆうき: 日ひの出で原子力げんしりょく発電はつでん所しょ建設けんせつ反対はんたいの運動うんどう家か。
山辺やまべ俊介しゅんすけ: 関東かんとう電力でんりょく原子力げんしりょく事業じぎょう部ぶ主任しゅにん研究けんきゅう員いん。
進藤しんどう英治えいじ: 関東かんとう電力でんりょく会長かいちょう。
辻堂つじどう真一郎しんいちろう: 通産つうさん大臣だいじん。

既刊きかん一覧いちらん

単行本たんこうぼん
- 1999年ねん発行はっこう、ISBN 978-4163185101
文庫本ぶんこぼん〈文春ぶんしゅん文庫ぶんこ〉
- 2002年ねん発行はっこう、 ISBN 4-16-765627-2
- 「イントゥルーダー真夜中まよなかの侵入しんにゅう者しゃ」2022年ねん1月がつ4日にち発行はっこう、ISBN 978-4-16-791815-6