(Translated by https://www.hiragana.jp/)
イージーオープンエンド - Wikipedia コンテンツにスキップ

イージーオープンエンド

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

イージーオープンエンド(easy open ends)とは、缶切かんきひとし道具どうぐもちいずにひらけかんできるようにしたかんぶたである。りゃくしてEOE[1]

なお、日本にっぽん産業さんぎょう規格きかく(JIS Z 0108:2012)では「開口かいこうよう道具どうぐ使用しようせずに、容易ようい開口かいこうできる機能きのうをもつかんふた」を「イージーオープンふた」として定義ていぎ[2]、その対応たいおう英語えいごは「easy opening end」である[2]

種類しゅるい[編集へんしゅう]

イージーオープンエンド(EOE)のかんぶた種類しゅるいには、ぶた一部いちぶのみが開口かいこうするパーシャルオープンエンド(POE)ぶた全部ぜんぶ開口かいこうするフルオープンエンド(FOE)の2種類しゅるいがある[1]

パーシャルオープンエンド[編集へんしゅう]

パーシャルオープンエンド(POE)はぶた一部いちぶのみが開口かいこうするかんぶた[1]。POEはおも内容ないようぶつ液体えきたいである場合ばあいもちいられ、かんジュースなどの飲料いんりょうけにおおもちいられる。POEにはプルタブしきとステイオンタブしきとがある。

プルタブしき(pulltab)
かんぶたにスコア(せつき)が一周いっしゅうぶんれられ、その部分ぶぶんにタブをけた構造こうぞうとなっており、タブをることで開口かいこうする[3]。リングプルタブともいう[3]。プルタブしきでは開口かいこうさいにタブはぶた一部いちぶとともに本体ほんたいからはなされる。したがって、分離ぶんりがたぶたでありデタッチャブルエンド分類ぶんるいされる[4]
ステイオンタブしき(Stay-on tab)
かんぶたにスコア(せつき)が半周はんしゅうぶんれられ、リベットでその上部じょうぶにタブをけた構造こうぞうとなっており、タブをることでスコア部分ぶぶん金属きんぞくへんまれて開口かいこうする[5]。ステイオンタブしきでは開口かいこうさいにもタブは本体ほんたいのこったままではなされない。したがって、分離ぶんりがたぶたでありノンデタッチャブルエンド分類ぶんるいされる[5]

現在げんざい飲料いんりょう容器ようきかんのほとんどすべてがステイオンタブしき中国ちゅうごくではまだプルタブしきもちいられている)であるが、開口かいこう形状けいじょうおおきさは内容ないようぶつにより多少たしょうことなり、中身なかみやすいようにはばひろくとったものなどもみられる。

タブはゆびがかかりやすいようにリングじょうになっており、リングプルあるいはプルリングなどとばれる。ただしステイオンタブしきでは、リングとべるほどにはおおきくない。プルタブしきのようにるのではなく、こすだけでむためである。しかし、ちからよわひとや、美容びようじょう問題もんだいなどでつめきずつけたくないひとけに、タブのしたんでこし、けやすくする器具きぐプルタブこし)も販売はんばいされている。専用せんようのもののほか、缶切かんきりや栓抜せんぬ十徳じっとくナイフなどのマルチツールにそなえられているものがある。マイナスドライバー先端せんたんのような形状けいじょうをしているが、用途ようとがわからないひとすくなからず存在そんざいする。

フルオープンエンド[編集へんしゅう]

フルオープンエンド(FOE)

フルオープンエンド(FOE)はかんぶためんぜんしゅうにスコア(せつき)がはいっており全体ぜんたい開口かいこうするかんぶた[6]日本にっぽん産業さんぎょう規格きかく(JIS)では「フルオープニングふた」として「かんふた天面あまつらぜんしゅうにわたってスコア(せつき)加工かこうほどこし、ふた天面あまつら全体ぜんたい開口かいこうされるタイプのイージーオープンふた」と定義ていぎされている[2]食品しょくひんとしてはプリンゼリーあるいは粉末ふんまつのものなどにもちいられる[6]テニスボールかんなど、かんぶたのすべてがれることが要求ようきゅうされるものにももちいられる。形状けいじょうとしては円形えんけいのほか楕円だえんがたかくがたかんぶたにも採用さいようされている。調理ちょうりずみ食品しょくひんかん一部いちぶには、スチールのFOEぶた採用さいようされている。

FOEかんについては、消費しょうひしゃしたしみをってもらうため、「パッかん」との愛称あいしょうんでいる企業きぎょうもある。

なお、コンビーフなどのかんにみられるように、器具きぐもちいてかん周囲しゅういきざまれたスコアをりながら開封かいふうする方式ほうしきはスパイラルしきという。

製造せいぞう方法ほうほう[編集へんしゅう]

かんぶた製造せいぞう[編集へんしゅう]

装飾そうしょくタブのついたエナジードリンクレッドブル)のかん

かんぶた部分ぶぶんかん本体ほんたいとはべつ製造せいぞうされる。

EOEかんぶた通常つうじょう、まず板金ばんきんまるくと同時どうじに、かん本体ほんたいにかぶせるためのだんなどをつける成型せいけい加工かこうがなされる(シェルプレス)。そのがねであるタブをつけるためのリベットあなけがおこなわれ、開口かいこうとなる口金くちがね部分ぶぶんるためのみぞ(スコア)がプレス加工かこうによってつけられる(コンバージョンプレス)。りラインとなるスコアは、ふかみぞであるメインスコアと、補助ほじょてき役目やくめをするややあさみぞであるサブスコアの2ほん同時どうじ加工かこうされる。

つぎがねであるタブをつけたさいおおきく突出とっしゅつしないよう、かつタブがぶた密着みっちゃくしないようにするためなどの成型せいけいが、プレスによりおこなわれる(パネル加工かこう)。

タブも板金ばんきんからかれ、じゅうすう工程こうてい強固きょうこなリングじょうのものに成型せいけいされ、これがぶたにリベットでけられる。(アセンブル)加工かこうさい製品せいひんロゴなどを同時どうじ加工かこうし、装飾そうしょくほどこしたタブもられ写真しゃしん、この場合ばあいはリングじょうではなく平板へいばんじょうなものとなる。

これらの工程こうていによってできた EOEぶた中身なかみれられたのちかん本体ほんたいけられる。

スコア[編集へんしゅう]

スコアとはイージーオープンエンド(EOE)にもちいられるかんぶたきざまれる切欠きっかけきをいう。

スコアがれはじめる(はじめる)さいようするちからをPOP全体ぜんたいけるのにようするちからをTEARという。FOE において、前者ぜんしゃは20N(ニュートン以上いじょうないとかん密封みっぷうせいそこなわれる可能かのうせいがあり、後者こうしゃは80N以下いかでないとけにくいとされる。しかし、これらの公的こうてき規格きかくなどはない。

近年きんねんでは、スコアの形状けいじょう左右さゆう非対称ひたいしょうになっているものがある。これはタブをこしててこの原理げんり口金くちがねさいに、スコアにたいして均等きんとうちから分散ぶんさんすることをふせぐためである。均等きんとうちからがかかるとけにくくなり、かつひらさいにはきゅうひらいてしまうので危険きけんである。左右さゆう非対称ひたいしょうにすると、その設定せっていにより、特定とくてい部位ぶいからスコアがれはじめ、時計とけいまわりにみぞれていくなどのことが可能かのうとなり、ゆっくりと確実かくじつけることができる。

この方式ほうしきのイージーオープンかんけるさいに、炭酸たんさん飲料いんりょうではないのに「プシッ」というおとがするものがあるが、これはアルミかん清涼飲料水せいりょういんりょうすいなどにられる現象げんしょうである。かん素材そざいうすくてやわらかいため、運搬うんぱんなどにおける変形へんけいふせ目的もくてき窒素ちっそガスが充填じゅうてんされ、内圧ないあつたかめられているためである。「プシッ」おとはそのガスがけるさいおとである。

その表示ひょうじ[編集へんしゅう]

  • ステイオンタブ方式ほうしきかん場合ばあいれないひとはプルタブとおな感覚かんかくってしまうため、タブがはずれてしまうなどのことがあり、その部分ぶぶんに「おこす」などの注意ちゅういきが刻印こくいんされたものもある。
  • ビールるいなどのアルコール飲料いんりょうでは、タブのそばに「おさけ」の点字てんじがある(従来じゅうらいはビールに「びーる」の点字てんじがあったが、発泡はっぽうしゅ普及ふきゅうにより、「びーる」と表示ひょうじできないものがえたため)。

歴史れきし[編集へんしゅう]

イージーオープンエンドの発明はつめい[編集へんしゅう]

従来じゅうらいからの缶詰かんづめにおいては缶切かんきりをもちいて開封かいふうするか、かんジュースなどでは専用せんようあな(オープナー)によって、こうそそこう)と空気くうきあなの2箇所かしょあなけて開封かいふうしていた。1959ねんアメリカエーマル=フレイズ英語えいごばん缶切かんき不用ふようのEOE方式ほうしき発明はつめいし、1963ねんにその特許とっきょアルコアしゃり、Pittsburgh Brewing Companyに採用さいようするようにはたらきかけた。発明はつめいのきっかけは、ピクニックにかんビール持参じさんしたが、オープナーをっていくのをわすれたためとつたえられる。1965ねんには日本にっぽんにも技術ぎじゅつ導入どうにゅうされた。

現在げんざいのような方式ほうしきになる以前いぜんには、ことなる方式ほうしき開発かいはつされ、もちいられていた。そのひとつがジューストップ(Juice Top)ばれるもので、かん開口かいこうべつからだ金属きんぞく部分ぶぶんけたものである。その部品ぶひんにスコアがってあり、タブをくとスコアがれて開口かいこうとなるというものであった(現在げんざいオロナミンCひらきせん方式ほうしきている)。べつたい金属きんぞくぶたとしてける方法ほうほうは、現在げんざいでも一部いちぶ調理ちょうりずみ食品しょくひん缶詰かんづめなどでもちいられている。

もうひとつジップトップ (Zip Top) という方式ほうしきがあったが、これはプルタブしき同様どうようかんぶたとなる金属きんぞくばんそのものにスコアをり、タブをリベットでけたものである。しかし、これはタブが充分じゅうぶんなリングとなっておらず、そそこうたいしてななめにけられていた。タブをはずしてできる開口かいこうは、ヒョウタンやベル(欧米おうべいでのかね)にた、なかがくびれた形状けいじょうであった。1965ねんにはかん飲料いんりょう全体ぜんたいの4ぶんの1をめるまでに採用さいようされていたが、プルタブしきわっていった。ジップトップは開封かいふうちから必要ひつようであり、タブがとれやすいなどの欠点けってんがあったからである。なお、このジップトップが Ermal Cleon Fraze が発明はつめいした世界せかいはつのイージーオープンエンド(EOE)であり、採用さいようしたのはかんビールであった。

これらは時期じきはやかったこともあり日本にっぽんにはほとんど紹介しょうかいされなかった。1965ねん日本にっぽん技術ぎじゅつ導入どうにゅうされたのはジップトップを改良かいりょうしたプルタブしきである。

パーシャルオープンエンドの進化しんか[編集へんしゅう]

先述せんじゅつのようにイージーオープンエンド(EOE)のかんぶたのうち、ぶた一部いちぶのみが開口かいこうするものをパーシャルオープンエンド(POE)と[1]、その方式ほうしきとしてはプルタブしき普及ふきゅうしていた。しかし、それは開口かいこう金属きんぞくへんとなってかん本体ほんたいからはなされるものであったため、その危険きけんせい環境かんきょう問題もんだい指摘してきされることとなった[1][3]。そのため、1980年代ねんだいにはステイオンタブしきひろまりはじめ、1990年代ねんだい初頭しょとうにはほとんどすべてがそれにわった。ただし、日本にっぽんでは現在げんざいでも中国ちゅうごくなどから輸入ゆにゅうされた、プルタブしき飲料いんりょうかんがわずかながら流通りゅうつうしているほか、飲料いんりょう以外いがい液体えきたいはいったかんエンジンオイルひとし自動車じどうしゃよう潤滑油じゅんかつゆ添加てんかざいひとし)では採用さいようれい多々たたある。

とくにアメリカでは、当時とうじすでに同様どうよう環境かんきょう問題もんだい[ちゅう 1]となっていたためにプルタブが禁止きんしされ、ステイオンタブしき主流しゅりゅうとなっていたことが、日本にっぽんにもつたわり、市民しみん意識いしきたかめるたすけとなった。また、そうしたかん飲料いんりょう輸入ゆにゅうされるようになり、めずらしくなくなってきたことも影響えいきょうした。プルタブのポイ捨ぽいす問題もんだい解消かいしょうすべく、企業きぎょうなどに問題もんだい提起ていき要望ようぼうをした市民しみん団体だんたいもあった。

ステイオンタブしきには、その普及ふきゅうのために一時期いちじきエコマークがついていたことがある。

ステイオンタブしきは、開口かいこう部分ぶぶん口金くちがねかんいたまま内部ないぶまれるため、当初とうしょ衛生えいせいてきではないなどの見方みかたもされたが、実際じっさい販売はんばいしてみると市民しみん抵抗ていこうかんなどはほとんどなかった[7]。この衛生えいせい問題もんだいについては、新規しんき規格きかくれることに消極しょうきょくてき企業きぎょうがわが、日本人にっぽんじん清潔せいけつきだからといういわゆる清潔せいけつ神話しんわをもとに(自社じしゃ製品せいひんれなくなってはこまるということで)べていた可能かのうせい指摘してきされている[8]。プルタブしきであっても飲料いんりょうくちはいまえかん外側そとがわれることはおなじであり、「衛生えいせいてきではない」とのこえ消費しょうひしゃからのものであったのかどうかは不明ふめいである。

なお、1975ねんには、プルタブのポイ捨ぽいす問題もんだい対応たいおうするため、2箇所かしょのややった口金くちがねゆびげる方式ほうしきのプッシュエンド(またはプッシュボタン)という方式ほうしき炭酸たんさん飲料いんりょうにおいて採用さいようされた。内圧ないあつによって口金くちがねけて密閉みっぺいしているめんもあるため、中身なかみ不正ふせいえることも不可能ふかのうでなく、ちから必要ひつよう操作そうさかん良好りょうこうでないなどいくつかの問題もんだいてんにより、それを採用さいようした製品せいひん市場いちば出回でまわった期間きかんはごくみじかかった。

プルタブしきもちいられたプルタブについては、それらをチェーンじょう接続せつぞく加工かこうし、のれん欧米おうべいではカーテン)などをつくることにも利用りようされたことがある。

フルオープンエンドの進化しんか[編集へんしゅう]

イージーオープンエンド(EOE)のかんぶたのうちぶた全部ぜんぶ開口かいこうするものはフルオープンエンド(FOE)とぶが[1]従来じゅうらいからの缶切かんきりでけたもの以上いじょう開口かいこうがスムーズで鋭利えいりなため、あやまってゆびなどでさわってしまうと怪我けがをするおそれもある。ゴミ分別ふんべつ回収かいしゅうなどがひろまった結果けっかかんのこった内容ないようぶつあらうことなどもおおくなり、従来じゅうらい以上いじょう問題もんだいとなってきためんでもある。これについてはいくつかの対策たいさくかんがえられたが、現在げんざいではくちさわっても安全あんぜんなものが開発かいはつされ、製品せいひんによってはそうしたかんもちいている。

「プルトップ」の概念がいねん[編集へんしゅう]

イージーオープン方式ほうしきはプルトップ(pull-top)とばれることがある[9]

プルトップは、缶切かんきひとしもちいず、かん容器ようき上面うわつらけられたがね(タブ)をってける方式ほうしき、または、その部分ぶぶん日本にっぽんにおける一般いっぱんてき呼称こしょうである。

プルトップのかたり英語えいごけんではあまりもちいない。もちいる場合ばあい食品しょくひんなどにおける全面ぜんめん開口かいこうするイージーオープンかん(フルオープンエンド、FOE)にたいしてうことがおおい。飲料いんりょう容器ようきではプルタブとしょうすることがおおいが、リングプル(ringpull)およびプルリング(pullring)のかたりもちいられる。リングプルのほうが優勢ゆうせいであり、プルリングはごくすくない。しかし、口金くちがねはずれるプルタブのことをしたりステイオンタブをふくめたタブの総称そうしょうとしてわれたりもし、使つかけが一定いっていでないてん日本にっぽん同様どうようである。ポップトップ(pop top)とぶこともある。せいかん企業きぎょうにおいても全面ぜんめん開口かいこうするタイプをフルパネルイージーオープン(FPEO)とぶなど、業界ぎょうかいでもくにによりかたことなる。

なお、こうした形式けいしきかん以前いぜんかんは、ぶた平面へいめんであるものをフラットトップ(flat top)、ビンのように円錐えんすいがたの「くび」があり、王冠おうかんにて密栓みっせんひらきせんおこなうものをコーントップ(cone top)とんでいた。プルトップのかたりはそれにたいしてつくられ、もちいられはじめたとおもわれるが、はっきりしたことは不明ふめいである。

散乱さんらん公害こうがいとプルタブチャリティー[編集へんしゅう]

プルタブかんでの散乱さんらん公害こうがいとプルタブチャリティー[編集へんしゅう]

はなされるプルタブしきのプルリング

かつて飲料いんりょうかんにはかんたいからこうとなるタブの部分ぶぶん完全かんぜんはなされるプルタブしき飲料いんりょうかん採用さいようされていた。しかし、アメリカでは動物どうぶつがプルタブを被害ひがいたため、プルタブかん禁止きんしするしゅうえ、かんたいにタブがいたままめるステイオンタブしき主流しゅりゅうとなっていった[10]

日本にっぽんでもプルタブしきかん採用さいようされていたが、プルタブは何処どこにでもポイ捨ぽいすてされ、海岸かいがん子供こどもあしったり、タンチョウヅルのから多量たりょうのプルタブが発見はっけんされたり、キツネがプルタブをんで死亡しぼうしたり、といった事例じれい問題もんだいとなった[10]。このような問題もんだいは「散乱さんらん公害こうがい」とばれた[10]

このような問題もんだいのなかで、日本にっぽんでは飲料いんりょうかんのプルタブをあつめると車椅子くるまいすえることができるというはなし全国ぜんこくてきひろまった。このはなしは、1983ねんラジオ番組ばんぐみさだまさしのセイ!ヤングないびかけられた運動うんどうによってひろられるようになったといわれる[よう出典しゅってん]番組ばんぐみでは実際じっさいにリスナーからせられたプルタブを金属きんぞく回収かいしゅう業者ぎょうしゃってもらうことによって換金かんきんし、病院びょういん車椅子くるまいすを2だい寄付きふした。

アルミのプルタブをあつめる理由りゆうとしては、

  • かん本体ほんたいからはなされ、ゴミとしてポイ捨ぽいすてされ、散乱さんらんしやすかったこと
  • アルミは、スチールにくらべて、価格かかく高価こうかであったこと
  • かん全体ぜんたいあつめる場合ばあいことなり、洗浄せんじょうなどの必要ひつようがなく、かさばらず、気軽きがるあつめられること

げられていた。

もともと、このラジオ番組ばんぐみ放送ほうそうされる以前いぜんにも、散乱さんらんしたプルタブをひろあつめることは、ボランティアグループなどによる環境かんきょう美化びか運動うんどうのひとつとしてしばしばおこなわれていた。そのうちに、収集しゅうしゅうしたプルタブをより有効ゆうこう活用かつようし、また福祉ふくしむすびつけてより市民しみん参加さんかうながすために、車椅子くるまいす寄付きふする運動うんどうくわわった。この運動うんどうったどう番組ばんぐみは、番組ばんぐみない積極せっきょくてき紹介しょうかいするとともに、同様どうようみをおこなった。

ステイオンタブかんへの改良かいりょうとタブのはなしの問題もんだい[編集へんしゅう]

ステイオンタブしきのタブをあつめた様子ようす

そのかん構造こうぞうそのものを、かんたいからタブがられるプルタブしきから、かんたいにタブがいたままのステイオンタブしき改善かいぜんすべきとの運動うんどうがおこり、1989ねん平成へいせい元年がんねんからビールや清涼せいりょう飲料いんりょうかんこうでは従来じゅうらい使用しようされていたプルタブしきにかわってステイオンタブしき本格ほんかくてき採用さいようされるようになった[10]

タブがかんからはずれないように改良かいりょうされて以降いこうも、かん固定こていされたリングタブのみをってあつめておくるようびかけている団体だんたい存在そんざいする。タブのみをあつめる理由りゆうとして、回収かいしゅうしている団体だんたいひとつである大阪おおさか理容りよう生活せいかつ衛生えいせい同業どうぎょう組合くみあい北海道ほっかいどう江別えべつ野幌のっぽろの「プルネット」は「かん輸送ゆそうしづらい」「保管ほかん場所ばしょりない」「スチールかんこんじる可能かのうせいがある」といった理由りゆうげている[11][12]

しかし、アルミかん回収かいしゅう業者ぎょうしゃ団体だんたいであるアルミかんリサイクル協会きょうかいでは、ステイオンタブのリング部分ぶぶんだけわざわざあつめるのは効率こうりつであるうえ危険きけんだとして、タブをらずに「アルミかんそのもの(かん全体ぜんたい)」をあつめるよう告知こくちしている[13][14]。また、通常つうじょうのアルミリサイクル設備せつび比較的ひかくてき大型おおがたのアルミかたまりれることを想定そうていしてつくられているためちいさなタブは異物いぶつとしてのぞかれてしまい、手作業てさぎょうによる選別せんべつやタブ専用せんよう設備せつび必要ひつようとするため通常つうじょうのリサイクルにくらべて業者ぎょうしゃがわ金銭きんせんてき負担ふたんがかかるという[15]

「スチールかんはタブの部分ぶぶんにアルミを使用しようしているためタブだけを分離ぶんりすることで不純物ふじゅんぶつらせるのではないか」とのこえもあるが、アルミとてつ比重ひじゅうことなるため、かしたのちてつだけを分離ぶんりすることは容易よういであり、分離ぶんりしたアルミをふくんだ鉄鋼てっこうスラグは、アスファルトコンクリートようほねざい路盤ろばんざいとしてさい利用りようされる。そのため、スチールかんリサイクル協会きょうかいも「『タブをはずしてあつめましょう』といったことを奨励しょうれいすることは絶対ぜったいおこなわないようにしてください」「『タブをあつめると車椅子くるまいすがもらえる』といったはなしくこともありますが、とう協会きょうかい一切いっさい関係かんけいありません」とタブだけをはな行為こうい否定ひていしている[16]

全国ぜんこくボランティア活動かつどう振興しんこうセンターは「プルタブだけでなく、アルミかんあつめたほう効率こうりつがいい。おなじような活動かつどうをする場合ばあいはまず、どこでどの程度ていど金額きんがく交換こうかんできるかを確認かくにんしてほしい」とはなしている[17]

NHKでは2016ねん10がつ27にち放送ほうそう番組ばんぐみところさん!大変たいへんですよ』でこの問題もんだい[15]、リサイクル業者ぎょうしゃやボランティア団体だんたい、さだまさしといった関係かんけいしゃへのインタビューをおこなった。運動うんどうおこなっている小学校しょうがっこう中小ちゅうしょう企業きぎょう団体だんたいは、車椅子くるまいす入手にゅうしゅするためにはかん全体ぜんたいあつめたほうはやいことはみとめたものの、「ちいさなものでもコツコツあつめることで成果せいかるので生徒せいとへの教育きょういく効果こうかがある」「運動うんどうおこなうことで企業きぎょうあいだ一体いったいかんる」と、効率こうりつとはべつのところに運動うんどう意義いぎがあるとのコメントをしている。また、番組ばんぐみないでは飲料いんりょうメーカーにタブを収集しゅうしゅうしている子供こども父兄ふけいから「タブがかんからはずれにくいのでれやすくしてほしい」と運動うんどう本来ほんらい趣旨しゅしかんがえれば本末転倒ほんまつてんとう要望ようぼうせられたと紹介しょうかいしている。

いずれにせよ、プルリングで車椅子くるまいす交換こうかんすることは一部いちぶ団体だんたい慈善じぜん事業じぎょうとしてっているため不可能ふかのうではないが、リサイクル業界ぎょうかいはプルリングのみのみを歓迎かんげいしていない従来じゅうらいから活動かつどうしている団体だんたいも、ベルマークのようにあつめて交換こうかんするのではなく、あつめたかん地金じがねして換金かんきん購入こうにゅうしている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ ゴミ問題もんだいとしてだけではなく、野生やせい動物どうぶつ放牧ほうぼくされた家畜かちくなどがむこと、さらには場所ばしょこまったプルタブをかんなかれ、そのまま飲料いんりょうむことにより、あやまってプルタブをんでしまう事故じこ問題もんだいになった。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f 日本にっぽん包装ほうそう学会がっかい包装ほうそう事典じてん朝倉書店あさくらしょてん p.106 2001ねん
  2. ^ a b c JIS Z 0108:2012
  3. ^ a b c 丸善まるぜん食品しょくひん総合そうごう辞典じてん丸善まるぜん p.958 1998ねん
  4. ^ 丸善まるぜん食品しょくひん総合そうごう辞典じてん丸善まるぜん p.827 1998ねん
  5. ^ a b 丸善まるぜん食品しょくひん総合そうごう辞典じてん丸善まるぜん p.576 1998ねん
  6. ^ a b 日本にっぽん包装ほうそう学会がっかい包装ほうそう事典じてん朝倉書店あさくらしょてん p.107 2001ねん
  7. ^ 六郷ろくごう生活せいかつ学校がっこう (1991ねん3がつ30にち). “かんのリサイクルとかん飲料いんりょうこう改善かいぜんをめざして”. ふるさとづくり'91. あしたの日本にっぽんつく協会きょうかい. 2008ねん8がつ22にち閲覧えつらん
  8. ^ 田村たむら有香ゆか (2004ねん10がつ22にち). “--タイプ1(第三者だいさんしゃ認証にんしょうによる環境かんきょうラベル)”. 企業きぎょう責任せきにん(2) - 環境かんきょう報告ほうこくしょつづき)と環境かんきょうラベル:もくじ. 京都精華大学きょうとせいかだいがく. 2008ねん8がつ22にち閲覧えつらん
  9. ^ イージーオープンかん(プルトップしきかん)のあけかた にちしんペットフード、2016ねん2がつ20日はつか閲覧えつらん
  10. ^ a b c d かんのリサイクルとかん飲料いんりょうこう改善かいぜんをめざして”. 公益こうえき財団ざいだん法人ほうじんあしたの日本にっぽんつく協会きょうかい. 2016ねん10がつ26にち閲覧えつらん
  11. ^ 大阪おおさか理容りよう生活せいかつ衛生えいせい同業どうぎょう組合くみあいプルトップ事業じぎょうのサイト
  12. ^ 野幌のっぽろ商店しょうてんがい振興しんこう組合くみあい青年せいねんリングプル再生さいせいネットワーク
  13. ^ アルミかんリサイクル協会きょうかい<Q&A>
  14. ^ アルミかんはタブもいっしょにリサイクル (アルミかんリサイクル協会きょうかい
  15. ^ a b ところさん!大変たいへんですよ「リサイクル業者ぎょうしゃ悲鳴ひめい!?“プルタブるのはやめて”」
  16. ^ スチールかんのフタにはアルミが使つかわれていますがリサイクルするときに問題もんだいはありませんか?(スチールかんリサイクル協会きょうかい
  17. ^ 朝日新聞あさひしんぶん2000ねん11月16にち朝刊ちょうかんp.31 プルタブあつくるまいす ボランティアのかいけん社協しゃきょう寄贈きぞう

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

  • Ermal C. Fraze - 発明はつめいしゃ。イージーオープンエンドを発明はつめいした。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]