(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ウォルター・マーチ - Wikipedia コンテンツにスキップ

ウォルター・マーチ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
ウォルター・マーチ
Walter Murch
Walter Murch
ブエノスアイレスで『テトロ 過去かこを殺ころした男おとこ』を製作せいさく中ちゅうのウォルター・マーチ（2008年ねん撮影さつえい）
本名ほんみょう Walter Scott Murch
生年月日せいねんがっぴ (1943-07-12) 1943年ねん7月がつ12日にち（81歳さい）
出生しゅっしょう地ち アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく ニューヨーク州しゅうニューヨーク
職業しょくぎょう 音響おんきょう技師ぎし
編集へんしゅう技師ぎし
ジャンル 映画えいが
活動かつどう期間きかん 1969年ねん – 現在げんざい
主おもな作品さくひん
『アメリカン・グラフィティ』
『カンバセーション…盗聴とうちょう…』
『ゴッドファーザー』シリーズ
『地獄じごくの黙示録もくしろく』
『ゴースト/ニューヨークの幻まぼろし』
『イングリッシュ・ペイシェント』
受賞じゅしょう
アカデミー賞しょう
録音ろくおん賞しょう
1979年ねん『地獄じごくの黙示録もくしろく』
1996年ねん『イングリッシュ・ペイシェント』
編集へんしゅう賞しょう
1996年ねん『イングリッシュ・ペイシェント』
英国えいこくアカデミー賞しょう
音響おんきょう賞しょう
1974年ねん『カンバセーション…盗聴とうちょう…』
編集へんしゅう賞しょう
1974年ねん『カンバセーション…盗聴とうちょう…』
1996年ねん『イングリッシュ・ペイシェント』
その他たの賞しょう
テンプレートを表示ひょうじ

ウォルター・スコット・マーチ（Walter Scott Murch, 1943年ねん7月がつ12日にち - ）は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくニューヨーク生うまれの音響おんきょう技師ぎし・編集へんしゅう技師ぎしである。『カンバセーション…盗聴とうちょう…』や『地獄じごくの黙示録もくしろく』、『ゴッドファーザー PART III』など多おおくのフランシス・フォード・コッポラ監督かんとく作品さくひんに参加さんかしたほか、『ゴースト/ニューヨークの幻まぼろし』や『イングリッシュ・ペイシェント』、『コールド マウンテン』のような話題わだい作さくの編集へんしゅう・音響おんきょう作業さぎょうを担当たんとうした。

映画えいが製作せいさくに様々さまざまな技術ぎじゅつ革新かくしんを齎もたらした多才たさいな人物じんぶつとして知しられている。カナダの小説しょうせつ家かであるマイケル・オンダーチェは、マーチのことを「映画えいが製作せいさくにおける真しんのルネサンス的てき教養きょうよう人じん」と評ひょうした[1]。マーチはこれまでにアカデミー録音ろくおん賞しょうを2度ど、アカデミー編集へんしゅう賞しょうを1度ど受賞じゅしょうしている。

生おい立たち

[編集へんしゅう]

ウォルター・スコット・マーチは1943年ねん7月がつ12日にちにニューヨークで生うまれた。父親ちちおやは奇妙きみょうな味あじわいの静物せいぶつ画がで知しられたカナダ出身しゅっしんの画家がかウォルター・タンディ・マーチである。

マーチは1965年ねんにジョンズ・ホプキンス大学だいがくの一般いっぱん教養きょうよう学科がっかを卒業そつぎょう。その後ご南みなみカリフォルニア大学だいがくの映画えいが学科がっかに再さい入学にゅうがくし、そこでジョージ・ルーカスやジョン・ミリアスといった知己ちきを得えた。また、同どう時期じきにカリフォルニア大学だいがくロサンゼルス校こうに在校ざいこうしていたフランシス・フォード・コッポラとも知しり合あった[2]。この頃ころに得えた人脈じんみゃくが、後のちにマーチの映画えいが製作せいさく者しゃとしてのキャリアに大おおきな影響えいきょうを与あたえることになる。

キャリア

[編集へんしゅう]

1967年ねんに南みなみカリフォルニア大学だいがくを卒業そつぎょうしたマーチは、友人ゆうじんのマシュー・ロビンスの後釜あとがまとしてエンサイクロペディア・ブリタニカ・エデュケーションフィルム社しゃに雑用ざつよう係がかりと大道具おおどうぐとして採用さいようされ、のち編集へんしゅうを担当たんとうすることになった[3]。そこを退職たいしょくしたマーチはしばらくフリーランスとなり、コマーシャルフィルムの編集へんしゅうに携たずさわったりした。1968年ねん12月にルーカスの紹介しょうかいにより、コッポラの監督かんとく第だい5作さくである『雨あめのなかの女おんな』の映画えいが製作せいさくに音響おんきょう技師ぎしとして参加さんかすることになった[4]。この作品さくひんが、マーチの名前なまえが正式せいしきにクレジットされた最初さいしょの商業しょうぎょう映画えいがである。

その後ごマーチはコッポラやルーカスと共ともに映画えいが制作せいさくスタジオであるアメリカン・ゾエトロープの設立せつりつに関与かんよ、その中心ちゅうしんメンバーとして活躍かつやくする。1970年代ねんだいには『THX 1138』（1971年ねん）、『アメリカン・グラフィティ』（1973年ねん）、『カンバセーション…盗聴とうちょう…』（1974年ねん）、『ゴッドファーザー PART II』（1974年ねん）など、多おおくのコッポラやルーカス監督かんとく作品さくひんで音響おんきょう技師ぎしを勤つとめ上あげた。特とくに『カンバセーション…盗聴とうちょう…』では、マーチは映画えいがの音響おんきょうのみならず編集へんしゅう作業さぎょう（編集へんしゅう監督かんとくとしてクレジット）にも携たずさわることになった。この作品さくひんの完成かんせいに果はたしたマーチの役割やくわりは非常ひじょうに大おおきなものであり、映画えいが評論ひょうろん家かのピーター・コーウィーが彼かれのことを映画えいがの共同きょうどう製作せいさく者しゃと呼よぶほどであった[5]。

1979年ねんに公開こうかいされた『地獄じごくの黙示録もくしろく』でも、マーチは映画えいがの音響おんきょう技師ぎし兼けん編集へんしゅう技師ぎしとして製作せいさくに参加さんかした。この作品さくひんでマーチはマルチトラックレコーダーを駆使くしして映画えいがのサウンドトラックを録音ろくおん、映画えいが製作せいさくに多重たじゅう録音ろくおんを導入どうにゅうした先駆せんく者しゃの一人ひとりとなった。その卓越たくえつした業績ぎょうせきを評価ひょうかされ、マーチは同どう年度ねんどのアカデミー録音ろくおん賞しょうを受賞じゅしょうした。今日きょうでは一般いっぱん的てきな「サウンドデザイナー」という職名しょくめいで映画えいがにクレジットされたのは、『地獄じごくの黙示録もくしろく』におけるマーチが初はじめてである[6]（『雨あめのなかの女おんな』のサウンドミキシングの際さい、マーチが組合くみあいに所属しょぞくしていなかったため、「サウンドデザイナー」という肩書かたがきを「組合くみあいからの苦情くじょう逃のがれのためにでっちあげた」というフランシス・フォード・コッポラの証言しょうげんもある[7]）。

1985年ねんには『オズの魔法使まほうつかい』の続編ぞくへんである『オズ』で監督かんとくデビューを果はたすが、作品さくひんは商業しょうぎょう的てきに苦戦くせんし、また批評ひひょう家かたちからの評価ひょうかも芳かんばしくないものだった。後のちにマーチは自身じしんの孤独こどくを好このむ性質せいしつが、監督かんとく業ぎょうに向むいていなかったと述懐じゅっかいしている[8]。この作品さくひんで監督かんとくと脚本きゃくほんを担当たんとうしたのを最後さいごに、マーチは以前いぜんと同おなじように映画えいがの裏方うらかたに専念せんねんすることになる。公開こうかい当時とうじは成功せいこうしなかったものの、現在げんざいその特異とくいな世界せかい観かんと美術びじゅつを再さい評価ひょうかする者ものも居いる[9]。

1996年ねんに公開こうかいされた『イングリッシュ・ペイシェント』では映画えいがの音響おんきょうと編集へんしゅう作業さぎょうを担当たんとう、同どう年度ねんどのアカデミー賞しょうで編集へんしゅう賞しょうと二に度目どめの録音ろくおん賞しょうを受賞じゅしょうすることになった。この作品さくひんでマーチは、Avid Technology社しゃが開発かいはつしたノンリニア編集へんしゅうソフトを編集へんしゅう作業さぎょうで使用しようしている。現在げんざいでは映画えいがのデジタル編集へんしゅうは一般いっぱん的てきなものだが、マーチはコンピューターを用もちいた編集へんしゅう作業さぎょうでアカデミー賞しょうを受賞じゅしょうした最初さいしょの映画えいが編集へんしゅう者しゃである。

マーチはその後ごも『リプリー』（1999年ねん）、『K-19』（2002年ねん）、『コールド マウンテン』（2003年ねん）、『ジャーヘッド』（2005年ねん）、『コッポラの胡蝶こちょうの夢ゆめ』（2007年ねん）など、数すう多おおくの話題わだい作さくの製作せいさくに携たずさわっている。2007年ねんには映画えいが編集へんしゅう者しゃマーチの思想しそうに迫せまる長編ちょうへんドキュメンタリー映画えいが『Murch』が発表はっぴょうされた[10]。

2009年ねん、マーチはコッポラの監督かんとく最新さいしん作さくである『テトロ 過去かこを殺ころした男おとこ』の製作せいさくに参加さんか。映画えいがの編集へんしゅうと音響おんきょうを担当たんとうしている[11]。

代表だいひょう作さく

[編集へんしゅう]

著書ちょしょ

[編集へんしゅう]
  • 『映画えいがの瞬まばたき』 - In the Blink of an Eye（初版しょはん1995年ねん、改訂かいてい版ばん2001年ねん、日本語にほんご版ばん2008年ねん）ISBN 978-4-8459-0820-2

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ Ondaatje p. xiv
  2. ^ FilmSound.org、“Walter Murch: The sound film man”。（参照さんしょう：2009年ねん5月がつ20日はつか）
  3. ^ 『映画えいがもまた編集へんしゅうである』 p.28
  4. ^ 『映画えいがもまた編集へんしゅうである』 p.29
  5. ^ Peter Cowie (1989). Coppola. London: Andre Deutsch limited, 87. ISBN 0-571-19677-2.
  6. ^ Berlinale Talent Campus、“Walter Murch - The Synergy of Sight and Sound”。（参照さんしょう：2009年ねん5月がつ20日はつか）（リンク切きれ）
  7. ^ 『映画えいがもまた編集へんしゅうである』 p.71
  8. ^ 『映画えいがもまた編集へんしゅうである』 p.310
  9. ^ That Guy with the Glasses、“Top 11 Underrated Nostalgic Classics”。（参照さんしょう：2009年ねん5月がつ20日はつか）
  10. ^ Studio Ichioka、“Walter Murch on Editing”。（参照さんしょう：2009年ねん5月がつ20日はつか）
  11. ^ Tetro - IMDb（英語えいご）（参照さんしょう：2009年ねん5月がつ20日はつか）

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • Ondaatje, Michael (2002), The Conversations: Walter Murch and the Art of Editing Film, アルフレッド・A・クノップ（英語えいご版ばん）, ISBN 978-0375709821 
  • マイケル・オンダーチェ 著しる、吉田よしだ俊太郎しゅんたろう 訳やく『映画えいがもまた編集へんしゅうである ウォルター・マーチとの対話たいわ』みすず書房しょぼう、2011年ねん6月がつ21日にち。ISBN 978-4622076070。 

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]
1934–1940
1941–1960
1961–1980
1981–2000
2001–2020
2021–現在げんざい
1929-1950
1951-1975
1976-2000
2001-2020
2021-現在げんざい
「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=ウォルター・マーチ&oldid=101297705」から取得しゅとく