ウルル

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

座標ざひょう: 南緯なんい2520ふん41.3びょう 東経とうけい1312ふん6.6びょう / 南緯なんい25.344806 東経とうけい131.035167 / -25.344806; 131.035167

ウルルの全景ぜんけい
ウルル(エアーズロック)の位置
ウルル(エアーズロック)の位置
ウルル
(エアーズ
ロック)
ウルル(エアーズロック)の位置いち
ウルル(エアーズロック)の位置・ノーザンテリトリーの地図
ウルル(エアーズロック)の位置・ノーザンテリトリーの地図
ウルル
(エアーズ
ロック)
ウルル(エアーズロック)の位置いち・ノーザンテリトリーの地図ちず
空中くうちゅう写真しゃしん
ウルルの斜面しゃめん

ウルル(Uluru)は、オーストラリア大陸たいりくにある世界せかいで2番目ばんめおおきい一枚岩いちまいいわである。

ウルルはアボリジナルによるピチャンチャチャラ)で、イギリスの探検たんけんによって名付なづけられたエアーズロックえい: Ayers Rock)もひろられた名称めいしょうである。「エアーズロック」という名称めいしょう1873ねんオーストラリア探検たんけんウィリアム・ゴス探検たんけんぎょう途中とちゅう発見はっけんし、当時とうじみなみオーストラリア植民しょくみん首相しゅしょうヘンリー・エアーズ英語えいごばんにちなんでづけたものである[1]

1987ねんユネスコ世界せかい遺産いさんふくあい遺産いさん)に登録とうろくされた。しばしば書籍しょせきやWebサイト、テレビなどにおいて「エアーズロックは世界せかい最大さいだい一枚岩いちまいいわである」と紹介しょうかいされるケースがある[2]が、おなじくオーストラリアの西にしオーストラリアしゅう存在そんざいするマウント・オーガスタスほんいわやく2.5ばいおおきさがあり[3]、“世界せかい最大さいだい一枚岩いちまいいわ”はこのマウント・オーガスタスである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

オーストラリアのほぼ中央ちゅうおう位置いちし、ノーザンテリトリー、ウルル-カタ・ジュダ国立こくりつ公園こうえんない存在そんざいする。西にしオーストラリアしゅうにあるマウント・オーガスタスいで、世界せかい番目ばんめおおきな単一たんいつ岩石がんせきである。『世界せかい中心ちゅうしん』という意味合いみあいで「大地だいちのヘソ」もしくは「地球ちきゅうのヘソ」とばれることもある。ウルルを形成けいせいする砂岩さがん鉄分てつぶんおおふくんでおり、外観がいかん鉄分てつぶん酸化さんかした赤色あかいろていしている。太陽たいようたりかたいろわってえ、朝陽あさひ夕陽ゆうひにより赤色あかいろがよりあざやかになる。ウルルは岩盤がんばん長期ちょうきてき削剥さくはくされかたちづくられたもので、だか335m(標高ひょうこう868m)、周囲しゅういは9.4kmである。表面ひょうめんには地層ちそうあらわれ、地表ちひょうからほぼ垂直すいちょく無数むすうたてじまを形成けいせいしている。

オーストラリア先住民せんじゅうみんがウルル周辺しゅうへんいたのは、いまから1まんねん以上いじょうまえといわれる。先住民せんじゅうみんのこしたとされる、精霊せいれいみずじょう位置いちえがかれた壁画へきががあり、もっとふるいものは1せんねん程度ていどまえのものと推定すいていされる[4][5][1][6]先住民せんじゅうみん聖地せいちであり、ふるくから先住民せんじゅうみんピチャンチャチャラで「ウルル」とばれるが、ウルルは固有名詞こゆうめいしでありとく意味いみはない。ウルルは1980年代ねんだいから正式せいしき名称めいしょうとして使つかわれはじめた。表面ひょうめんいろ風食ふうしょくによる巨大きょだいなくぼみやあななどはノッチともばれ、精霊せいれい宿やどっているとされる[5][1][6]

1976ねんにアボリジニ土地とち権利けんり北部ほくぶじゅんしゅうほう制定せいていされたさいにウルルは対象たいしょうから除外じょがいされていたため、1970年代ねんだい後半こうはんからピチャンチャチャラ評議ひょうぎかいおよびセントラルランド評議ひょうぎかいほう改正かいせい要求ようきゅうするロビー活動かつどう展開てんかいした[7]。その結果けっか、1983ねん11月にホーク政権せいけんほう改正かいせいとウルルの所有しょゆうけん伝統でんとうてき所有しょゆうしゃ返却へんきゃくすることを宣言せんげんした[7]。そして1985ねん10がつ26にち、ウルルの所有しょゆうけんはオーストラリア政府せいふから本来ほんらい所有しょゆうしゃであるこの地域ちいき先住民せんじゅうみん(アナング、Anangu)に返却へんきゃくされ、同時どうじに2084ねんまで一帯いったい土地とち環境かんきょうエネルギえねるぎしょうにリースされることとなった[1][5][6][7]。ウルル周辺しゅうへんにも先住民せんじゅうみん聖地せいちがいくつかあり、許可きょかった場合ばあい罰金ばっきんせられる[1][5][6]

形成けいせい過程かてい[編集へんしゅう]

カタ・ジュタとウルルの概要がいよう

6おくねんまえ現在げんざいウルルがある地域ちいきは8000mきゅう山脈さんみゃくがあったとかんがえられている[8]。その山脈さんみゃくながれていたかわは、やまからふもとへすな大量たいりょうはこし、扇状地せんじょうち形成けいせいした。5おくねんまえ、8000mきゅう山脈さんみゃく侵食しんしょく消滅しょうめつしたとられている[8]山脈さんみゃく形成けいせいしていた土砂どしゃ侵食しんしょくによってながされ、扇状地せんじょうちおおってすな砂岩さがんへと変化へんかさせた[8]。4おくねんまえ地殻ちかく変動へんどうこり、砂岩さがん地層ちそうおおきく褶曲しゅうきょくしてこうはす構造こうぞうとなった[8]長期ちょうきにわたるあめふうなどにより周囲しゅうい土砂どしゃ侵食しんしょくけたが、かた砂岩さがんそう侵食しんしょく度合どあいがすくなく地表ちひょう突出とっしゅつしてあらわれ、7000まんねんまえにはほぼ現在げんざい姿すがたとなった。なお、地表ちひょう全体ぜんたいの5%にたる[8]

観光かんこう[編集へんしゅう]

夕陽ゆうひ朝陽あさひびて刻々こくこくいわいろ変化へんかしていく様子ようす鑑賞かんしょうしたり、かつてはウルルにのぼったりといった観光かんこうおこなわれ、入場にゅうじょうりょうは25ごうドルであった。

ウルルの山頂さんちょうまでは片道かたみち1あいだ前後ぜんこうけた。前半ぜんはんの3ぶんの1の行程こうてい最大さいだいはす46で、登山とざんにはくいってくさりられていた。過去かこには転落てんらく死亡しぼう事故じこ発生はっせいしており、気象きしょう条件じょうけんなどによっては入山にゅうざん規制きせいされた[9]。また、先住民せんじゅうみん(アナングぞく)の宗教しゅうきょうてきあるいは文化ぶんかてき行事ぎょうじ開催かいさい登山とざん禁止きんしとなり、宗教しゅうきょうてき理由りゆうから写真しゃしん撮影さつえい禁止きんしされている場所ばしょ存在そんざいした。

  • 気温きおん:その最高さいこう気温きおんが36以上いじょうがると予想よそうされる場合ばあいあさの8閉鎖へいさ
  • ふう:2500フィート(25ノット)以上いじょうかぜくと予報よほうされた場合ばあい
  • てい気圧きあつ:ウルルから50キロ以内いない北西ほくせいまたは南西なんせいつよてい気圧きあつ観測かんそくされた場合ばあい
  • あめ今後こんご3時間じかん以内いないに20%以上いじょうかくりつ降雨こうう予報よほうされた場合ばあい
  • かみなり今後こんご3時間じかん以内いないに5%以上いじょうかくりつ雷雲らいうん発生はっせい予報よほうされた場合ばあい
  • 曇天どんてん:ウルルの山頂さんちょうよりひくくもている場合ばあい
  • 日没にちぼつの1あいだはん以上いじょうまえおよび1あいだはん

先住民せんじゅうみんあいだでは一部いちぶ祭司さいし以外いがい登山とざんみとめられていなかった。オーストラリア政府せいふ旅行りょこう会社かいしゃによってウルルの観光かんこう開発かいはつおこなわれ、オーストラリア政府せいふはリースりょうウルル=カタ・ジュタ国立こくりつ公園こうえん入場にゅうじょうりょう一部いちぶ支払しはらっていた。一方いっぽう、ウルルを聖地せいちとする先住民せんじゅうみん人々ひとびとからは観光かんこうきゃくによるウルル登山とざんこころよおもわれていなかった。こうした背景はいけいから登山とざん推奨すいしょうしない旅行りょこう会社かいしゃもあり、土産物みやげものてんで「わたしはウルル登山とざんしません」とプリントされたTてぃーシャツやステッカーなども販売はんばいされた。2009ねん7がつにはオーストラリア政府せいふが2011ねん10がつにも入山にゅうざん禁止きんし措置そち計画けいかく検討けんとうしていることがあきらかになった[10][11]。しかし、リースりょうなどの観光かんこう収入しゅうにゅう先住民せんじゅうみん貴重きちょう収入しゅうにゅうげんとなっているため、観光かんこうきゃくによる登山とざん仕方しかたなく容認ようにんせざるをなかった。2010ねん1がつ8にち観光かんこう業界ぎょうかい配慮はいりょし、当面とうめん登山とざんみとめることを発表はっぴょうした[12]

こうした経緯けいいて、2019ねん10がつ25にちよるを以って観光かんこうきゃくけの登山とざん恒久こうきゅうてき禁止きんしされた[13][14][15]。その結果けっか閉鎖へいさ直前ちょくぜんまですうひゃくにん観光かんこうきゃくがウルルにのぼった[15][16][17]

かつてはアリススプリングス経由けいゆでの観光かんこう主体しゅたいであったが、現在げんざいエアーズロック空港くうこう経由けいゆでの訪問ほうもん多数たすうめる。近隣きんりんにはエアーズロックリゾートがあり、セイルス・イン・ザ・デザートとうラグジュアリーホテルも存在そんざいする。

その[編集へんしゅう]

日本にっぽん2001ねん刊行かんこうされた片山かたやま恭一きょういち小説しょうせつ世界せかい中心ちゅうしんで、あいをさけぶ』の舞台ぶたいひとつになっている。

脚注きゃくちゅう出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 青春せいしゅん出版しゅっぱんしゃ世界せかい一番いちばんおもしろい地図ちずちょう』、JTB旅行りょこうサイト(デッドリンク)など
  2. ^ 管野かんのひろしへん雑学ざつがくおもしろ事典じてん』 p.205 にちひがし書院しょいん 1991ねん
  3. ^ Layton, Robert (August 2001). Uluru: An Aboriginal History of Ayers Rock (2001 revised ed.). Canberra: Aboriginal Studies Press. ISBN 0-85575-202-5.
  4. ^ a b c d Welcome to Uluru-Kata Tjuta National Park Department of the Environment
  5. ^ a b c d Amazing facts Parks Australia
  6. ^ a b c FACT SHEET Uluṟu-Kata Tjuṯa National Park”. オーストラリア政府せいふ. 2018ねん4がつ30にち閲覧えつらん
  7. ^ a b c d e Kata Tjuta - the forgotten sibling Pawn of the Pumice Castle
  8. ^ エアーズロック旅行りょこう(ツアー)特集とくしゅう”. 日本にっぽん旅行りょこう. 2020ねん6がつ11にち閲覧えつらん
  9. ^ “エアーズロック入山にゅうざん禁止きんし論争ろんそう. 共同通信きょうどうつうしん. (2009ねん7がつ10日とおか). オリジナルの2012ねん7がつ19にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://archive.is/T1ag 
  10. ^ “エアーズロック登山とざん禁止きんしへ”. 読売新聞よみうりしんぶん. (2009ねん7がつ21にち). オリジナルの2009ねん11月1にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://archive.fo/mTJso 
  11. ^ 観光かんこうぎょう配慮はいりょして…豪州ごうしゅう「エアーズロック」登山とざん継続けいぞく. スポニチ. (2010ねん1がつ8にち). オリジナルの2010ねん1がつ12にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://archive.fo/E4vkc 
  12. ^ “エアーズ・ロック、登山とざん禁止きんしへ 2019ねんから”. ハフポスト. (2017ねん11月1にち). https://www.huffingtonpost.jp/entry/uluru_jp_5c6323c5e4b0ca937453ae8c 
  13. ^ ごう「ウルル」、恒久こうきゅうてき登山とざん禁止きんし 直前ちょくぜんまで大勢おおぜいきゃく. Yahoo!ニュース. オリジナルの2019ねん10がつ25にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191025161729/news.yahoo.co.jp/pickup/6340639 
  14. ^ a b Hitch, Georgia; Hose, Nick (2017ねん11月1にち). “Uluru climbs banned from October 2019 after unanimous board decision to 'close the playground'”. ABC News. http://www.abc.net.au/news/2017-11-01/uluru-climbs-banned-after-unanimous-board-decision/9103512 2017ねん11月1にち閲覧えつらん 
  15. ^ Terzon, Emilia (2019ねん6がつ25にち). “Uluru visitor rush ahead of climbing ban prompts fears for local tourism”. ABC News. https://www.abc.net.au/news/2019-06-25/uluru-climb-closure-prompts-local-tourism-fears/11242554 2019ねん10がつ21にち閲覧えつらん 
  16. ^ Welcome to Country. (2018ねん10がつ17にち). https://www.welcometocountry.org/numbers-of-tourists-climbing-uluru-skyrockets/+2019ねん10がつ21にち閲覧えつらん 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]