カスガマイシン

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カスガマイシン
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 6980-18-3
19408-46-9 (塩酸えんさんしお)
PubChem 65174
KEGG C17968
特性とくせい
化学かがくしき C14H27N3O10
モル質量しつりょう 397.38 g mol−1
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

カスガマイシンえい Kasugamycin)は抗生こうせい物質ぶっしつ一種いっしゅで、おも農業のうぎょうよう殺菌さっきんざいとして利用りようされる。CAS番号ばんごうは6980-18-3。

概要がいよう[編集へんしゅう]

1960年代ねんだい梅沢うめざわはまおっとらが奈良ならけん春日大社かすがたいしゃ土壌どじょうサンプルちゅうから発見はっけんした放線ほうせんきんStreptomyces kasugaensis)から産出さんしゅつされる抗生こうせい物質ぶっしつで、採取さいしゅからカスガマイシンと名付なづけられた。イノシトール、アミジンカルボンさんアミノとう一種いっしゅのカスガミンから[1]リボソームmRNAと30Sサブユニットの相互そうご作用さよう阻害そがいすることにより、きんのタンパク生成せいせい抑制よくせいする[2]作用さようじょ解明かいめいされたのは2006ねん比較的ひかくてき最近さいきんであり、今後こんご医療いりょうよう抗生こうせい物質ぶっしつへの応用おうようなどが期待きたいされる。動植物どうしょくぶつたいしての安全あんぜんせい比較的ひかくてきたかく、ラットへ経口けいこう投与とうよした場合ばあい半数はんすう致死ちしりょうは2,200mg/kgである[3]

農薬のうやく[編集へんしゅう]

農薬のうやくとしては北興化学工業ほくこうかがくこうぎょう微生物びせいぶつ化学かがく研究けんきゅうかい共同きょうどう開発かいはつし、1965ねん5がつ10日とおか登録とうろくけた。カビや細菌さいきんによる農作物のうさくもつへの被害ひがいとくいねいもちびょう防除ぼうじょ有効ゆうこうとされている。商品しょうひんめいは「カスミン」などあたまに「カス」がくものがおおく、化学かがくてき安定あんていしているため薬剤やくざいとの混合こんごうざい多数たすう市販しはんされている。2002ねん日本にっぽんでのげんからだ生産せいさんりょうは44トン[1]農薬のうやく残留ざんりゅう基準きじゅんべい豆類まめるいちゃなどで0.04ppm柑橘類かんきつるい甜菜てんさいなどで0.05ppm、トマトでは0.03ppmとさだめられているが[4]食品しょくひん衛生えいせいほうでは、食品しょくひんちゅう抗生こうせい物質ぶっしつ残留ざんりゅうしてはならないとさだめられている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

参考さんこう資料しりょう[編集へんしゅう]

  • 植村うえむら振作しんさく河村かわむらひろしつじまんせん冨田とみた重行しげゆき前田まえだ静夫しずおちょ農薬のうやく毒性どくせい事典じてん 改訂かいていばん三省堂さんせいどう、2002ねんISBN 978-4385356044