(Translated by https://www.hiragana.jp/)
カラクサナズナ - Wikipedia コンテンツにスキップ

カラクサナズナ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
カラクサナズナ
カラクサナズナ
分類ぶんるい
界さかい : 植物しょくぶつ界かい Plantae
門もん : 被子植物ひししょくぶつ門もん Magnoliophyta
綱つな : 双そう子葉しよう植物しょくぶつ綱つな Magnoliopsida
目め : フウチョウソウ目め Capparales
科か : アブラナ科か Brassicaceae
属ぞく : カラクサナズナ属ぞく Coronopus
種たね : カラクサナズナ C. didymus
学名がくめい
Coronopus didymus (L.) Smith
シノニム

Senebiera pinnatifida DC. Lepidium didymus L.

和名わみょう
カラクサナズナ
英名えいめい
White Snakeroot、Tall Boneset

カラクサナズナ（唐草からくさ薺なずな、学名がくめい：Coronopus didymus）はヨーロッパ原産げんさん（南米なんべい原産げんさんとする説せつもある[1]）のアブラナ科かカラクサナズナ属ぞくの越年えつねん草そうである。マメグンバイナズナ属ぞく（Lepidium）に分類ぶんるいする意見いけんもある[1]。現在げんざいでは世界せかいの温帯おんたい地方ちほうに広ひろく帰化きかしている。カラクサガラシ、インチンナズナなどの別名べつめいもある[2]。

特徴とくちょうと生態せいたい

[編集へんしゅう]

全体ぜんたいに小型こがたの草くさで、あまり背せは高たかくならず5-10cm程度ていどである。茎くきは根元ねもとから四方しほうに多数たすう分岐ぶんきし地面じめんを這はう。葉はは長ながさ1cm程度ていどの単葉たんようで深ふかい切きれ込こみがあり、時ときに羽はね状じょうになる。全体ぜんたい的てきに唐草からくさ模様もようのような細こまかい葉はを付つける。花はなは総状そうじょう花序かじょで根ね生せいするものと葉腋ようえきにつくものが有ある。個々ここの花はなはごく小ちいさく目立めだたない。大おおきさ1mm程度ていど。花弁はなびらは0.5mm程度ていどで屡しばしば消失しょうしつしていることも有ある。果実かじつは円まるみを帯おび、二ふたつに裂さける。[1][2][3] カラクサナズナは自じ花はな受粉じゅふんで結実けつじつできるが、アリによる受粉じゅふんも報告ほうこくされている[4]。一いち株かぶの植物しょくぶつから約やく1600粒つぶ、大おおきいものでは18000粒つぶ以上いじょうの種子しゅしを生産せいさんし、泥どろに混まざって動物どうぶつの蹄やヒトやアリや鳥とりなどの足あしや体からだに付着ふちゃくして分散ぶんさんされる[5][6]。

本ほん種しゅの大おおきな特徴とくちょうとしては、青臭あおくさいような独特どくとくの強つよい悪臭あくしゅうがあり、葉はの形かたちとこの匂においだけで確実かくじつに同定どうていできる。[2][3]

日本にっぽんでの記録きろく

[編集へんしゅう]

元来がんらい日本にっぽんには野生やせいしていなかったが、1899年ねんにはすでに牧野まきの富太郎とみたろうによって小笠原諸島おがさわらしょとうに産さんすると記録きろくされ[3]、1912年ねんには松村まつむら任つとむ三さんにより、東京とうきょうも産地さんちとして追加ついかされている[3]。

利用りよう

[編集へんしゅう]

ブラジル南東なんとう地方ちほうでは、屡しばしばこの植物しょくぶつを痛いたみや炎症えんしょうが共通きょうつうする幾いくつかの症状しょうじょうに対たいする治療ちりょう用ようとして、煎せんじ薬ぐすり等とうに利用りようしている[7]。インドのカリナタカ周辺しゅうへんではアレルギーや創傷そうしょうの治療ちりょうに使つかわれてきた[8]。ハワイでは気管支炎きかんしえんや風邪引かぜひきの時ときの暖あたたまる薬くすりとして使つかう[9]。また、葉はを食用しょくようとして利用りようすることもある[10]。

農業のうぎょうへの影響えいきょう

[編集へんしゅう]

ブラジル、イタリア、ハワイ、アメリカ、オーストラリアやニュージーランド等ひとし多おおくの国くにで、カラクサナズナはタマネギ、エンドウマメ、ジャガイモ、ニンジン等とう栽培さいばい地ちにおける主要しゅような雑草ざっそうとみなされている[11]。

乳製品にゅうせいひんへの影響えいきょう

[編集へんしゅう]

前述ぜんじゅつの強つよい異臭いしゅうの為ため、牧草ぼくそう地ちや飼料しりょう作物さくもつの栽培さいばい地ちにカラクサナズナが侵入しんにゅうすると問題もんだいをもたらすことが有ある。カラクサナズナ自体じたいは小ちいさな草くさで牧草ぼくそうの成育せいいくを妨さまたげることはないが、飼料しりょうとして採集さいしゅうした牧草ぼくそうにカラクサナズナが混こんじると、それを食たべた牛うしの牛乳ぎゅうにゅうにカラクサナズナの悪臭あくしゅうが移うつるためである[12][13][2]。

ヨーロッパにおいてはこの問題もんだいは古ふるくから知しられ、多おおくの研究けんきゅうがなされてきた。この悪臭あくしゅう、及および牛乳ぎゅうにゅうに悪臭あくしゅうをもたらす原因げんいんはこの植物しょくぶつが含ふくむベンジルイソチオシアネートなどのベンジル基はじめを中心ちゅうしんとした化合かごう物ぶつである[14][5][15]。

日本にっぽんでは、九州きゅうしゅう地域ちいきでイタリアンライグラス等ひとしの冬作ふゆさく飼料しりょう作物さくもつ栽培さいばい地ちにおけるカラクサナズナ混入こんにゅうの被害ひがいが大おおきい[13][2]。カラクサナズナの成育せいいくを抑おさえる為ために農薬のうやくは有効ゆうこうだが、背せの高たかい飼料しりょう作物さくもつの畑はたけでは、背せの低ひくいカラクサナズナに成分せいぶんが届とどきにくく、作物さくもつも農薬のうやくの影響えいきょうでやや減収げんしゅうする。そこで、作物さくもつを標準ひょうじゅんの2倍ばいの密度みつどで播種はしゅすることにより、カラクサナズナの成長せいちょうを抑おさえ、収穫しゅうかく物ぶつへの混入こんにゅうを大幅おおはばに減少げんしょうできる。[13]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c 清水しみず 2003
  2. ^ a b c d e 清水しみず, 森田もりた & 廣田ひろた 2001, p. 96
  3. ^ a b c d 長田ながた 1976, p. 291
  4. ^ Chauhan 1979
  5. ^ a b Walker & Gray 1970
  6. ^ Salisbury 1961
  7. ^ Busnardo & Padoani 2010
  8. ^ Mantena & Mutalik 2005
  9. ^ Leonard, David Bruce (PDF), Medicine at your Feet: Healing Plants of the Hawaiian Kingdom. List of Hawaiian Medicinal Plants, Roast Duck Producktion, http://www.medicineatyourfeet.com/Hawaiian_medicinals.pdf 
  10. ^ PFAF 1995
  11. ^ Holm & Doll 1997, pp. 245–246
  12. ^ カラクサナズナ 農のう研けん機構きこう
  13. ^ a b c 佐藤さとう 2002
  14. ^ Park, Armitt & Stark 1969
  15. ^ Urbach 1990

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=カラクサナズナ&oldid=81956831」から取得しゅとく