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カワサキ・GPZ900R

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
GPZ900R Ninja A1 初期しょきがた
GPZ900R Ninja A16 Final Edition

カワサキ・GPZ900R(ジーピーゼットきゅうひゃくアール)は、1984ねん市販しはんされた川崎重工業かわさきじゅうこうぎょうスポーツツアラーオートバイである。

映画えいがトップガン』(1986ねん公開こうかい)、つぎさくトップガン マーヴェリック』(2022ねん公開こうかい)において、トム・クルーズえんじる主人公しゅじんこう「ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル」の愛車あいしゃとして世界せかいてき有名ゆうめいになった一種いっしゅ

海外かいがい市場いちばけの仕様しようにはNinja(ニンジャ)ペットネームけられた。これは、1980ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくNBC制作せいさく放送ほうそうされたテレビドラマである将軍しょうぐん SHŌGUN」のヒットにあやかり日本にっぽんしき名前なまえをとの現地げんちから要請ようせいけて、アメリカけにNinja名付なづけされたという。

概要がいよう

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GPZ900Rの登場とうじょう以前いぜん1983ねん当時とうじのカワサキのスポーツバイクさい上位じょうい機種きしゅであったGPz1100(ZX1100A)は、Z-1以来いらい伝統でんとう空冷くうれい4気筒きとうエンジン採用さいようしていたが、これ以上いじょう性能せいのう向上こうじょうのぞめず、重量じゅうりょうおおきすぎるため運動うんどうせいそこなっていた。

小型こがたこう出力しゅつりょくなエンジンとコンパクトな車体しゃたいわせることによって、GPz1100以上いじょう動力どうりょく性能せいのうとミドルクラスマシンに匹敵ひってきする俊敏しゅんびんさをあわったロードスポーツ実現じつげんすべく、GPZ900Rが開発かいはつされた。エンジンはまったあたらしく設計せっけいされた水冷すいれいだい1世代せだいで、908cc排気はいきりょうで115PS発揮はっきし、1984ねん当時とうじとしては一流いちりゅう性能せいのうだった。また、それをささえる車体しゃたいはラバーマウントをたずにリジッド締結ていけつとしたハイテンションスチール(こう張力ちょうりょくこう)せいで、ダウンチューブを廃止はいししたわりにエンジンそのものをストレスメンバーとして使用しようするダイヤモンドフレーム採用さいようし、てい重心じゅうしん貢献こうけんしていた。また、空気くうき抵抗ていこうおさえるフルフェアリングと16インチフロントホイール採用さいよう当時とうじ目新めあたらしいてんだったとえる。

結果けっかとしてGPZ900Rのさい高速度こうそくどは250km/hをマークし、GPz1100よりも馬力ばりきでは若干じゃっかんおとりながらも、最高さいこう速度そくど加速かそく・コーナリングなどすべてのめんでGPz1100を上回うわまわ性能せいのう軽快けいかいなスポーツしゃ誕生たんじょうした。

なお、姉妹しまいしゃ同一どういつ車体しゃたい構成こうせいでボア・ストロークをダウンしたエンジンを搭載とうさいするGPZ750R(748cc/77PS・G1-G3)があり、北米ほくべいのぞ各国かっこく輸出ゆしゅつされた。日本にっぽん国内こくないでは750 ccちょうだい排気はいきりょうしゃ販売はんばい1991ねんまで自主じしゅ規制きせいされていた関係かんけいじょう国内こくない市場いちばけとしては750ccモデルのみの販売はんばいとなった。しかしオリジナルをもとめるユーザーの需要じゅようおおく、多数たすうのGPZ900Rがぎゃく輸入ゆにゅうかたちをとって日本にっぽん国内こくない登録とうろくされた。

生産せいさん終了しゅうりょうされた2000年代ねんだい以降いこうきゅうくるまファンから一定いってい支持しじあつめている。

車両しゃりょう解説かいせつ

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カワサキの本格ほんかくてき水冷すいれいエンジンとしてだい1世代せだいたるこのエンジンは、はばめるためウエットライナー(シリンダーライナー直接ちょくせつ冷却れいきゃくすいれる)という他社たしゃではあまりられない構造こうぞうつ。はばめ、吸気きゅうきをよりストレートにして効率こうりつたかめるため、カムチェーンは左端ひだりはしにレイアウトする「サイドカムチェーン」方式ほうしきをオートバイようよこ直列ちょくれつ4気筒きとうエンジンで最初さいしょ採用さいようした(カムチェーンをひだりせるとサイドスタンドでてたさいにシリンダヘッドカバーに雨水あまみずまるため、のち開発かいはつされたエンジンではみぎはし駆動くどうするのが一般いっぱんてきとなった)。

トランスミッションは、Zけいおなじくクランクウェブが1減速げんそくプライマリーギヤねるほか、クランクシャフトはジャーナルの1箇所かしょをキャップでおさえる構造こうぞうとし、エンジンはば抑制よくせいつとめている。フレームにラバーをかいさずに直接ちょくせつマウントするリジッドマウントを採用さいようするため、ぼう対策たいさくからこれも4気筒きとうエンジンでは当時とうじまだめずらしかった2振動しんどうバランサー(1じくしき)を装備そうびしている。シリンダーヘッドは1カム2バルブ駆動くどうロッカーアームしきDOHC

なお、カワサキは1983ねんをもってレース活動かつどう一時いちじ休止きゅうししたために実戦じっせん投入とうにゅうにはいたらなかったが、姉妹しまい車種しゃしゅのGPZ750RをベースとしたTT-F1ようレーシングマシンも平行へいこうして開発かいはつされており、キットパーツとして日本にっぽん国内外こくないがい供給きょうきゅうされた。

主要しゅようしょもと

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エンジン:水冷すいれい4ストロークDOHC4バルブ並列へいれつ4気筒きとう(908cc)
最高さいこう出力しゅつりょく:115PS/9,500rpm
最大さいだいトルク:8.7kgf·m/8,500rpm
乾燥かんそう重量じゅうりょう:228kg
タイヤサイズ:F120/80V16 R130/80V18

スペックは1984ねんしき(A1)のもの。当時とうじ各国かっこく仕様しようによって最高さいこう出力しゅつりょく変更へんこうされており、仕向しむけさきによって110PS/69PSの仕様しよう存在そんざいした。

モデル一覧いちらん

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1984ねんまったあたらしい機種きしゅとして市場いちば投入とうにゅうされ、もとWGPチャンピオンでカワサキ・ワークスライダーであったコーク・バリントンデモンストレーション高性能こうせいのう注目ちゅうもくあつめる。

  • 乾燥かんそう重量じゅうりょう228 kg
  • 車体しゃたいロゴは「GPz900R」と表記ひょうき(正確せいかくには「Z900R」の部分ぶぶんのロゴがちいさい)
  • カラーリングは(BLU)ルミナスポラリスブルー×ギャラクシーシルバー、ファイヤークラッカーレッド×メタリックグレーストーン
  • フレームNo.ZX900A-000001〜 ,JKAZX2A1=EA000001〜
トップガン マーヴェリック使用しよう車両しゃりょう

1985ねん発売はつばい

  • カラーリング変更へんこう ルミナスポラリスブルー×ギャラクシーシルバー、ファイヤークラッカーレッド×エボニー、ライムグリーン×ポーラホワイト(みなみアフリカ仕様しようのみ)、ファイヤークラッカーレッド×ギャラクシーシルバー
  • 映画えいがトップガン』(1986ねん公開こうかい)において主人公しゅじんこうのピート・“マーヴェリック”・ミッチェルの愛車あいしゃとして登場とうじょうした。
  • 北米ほくべい仕様しようはハンドルがたかく、ステップも前方ぜんぽうにセットされているのが特徴とくちょう
  • フレームNo.ZX900A-015501〜 , JKAZX2A1=FA015001〜

1986ねん発売はつばい

  • 北米ほくべい仕様しよう最高さいこう出力しゅつりょくを110PSにとしトルク特性とくせい向上こうじょう、そのヨーロッパ・みなみアフリカ・オーストラリアはフルパワーのままで115PS、西にしドイツ・フランスとう馬力ばりき規制きせいのあるくには100PS
  • 北米ほくべい仕様しよう「Ninja」最終さいしゅうがた
  • 潤滑じゅんかつけい強化きょうかするためシリンダーヘッドまわりのオイルラインを拡大かくだい
  • 車体しゃたいロゴを「GPZ900R」と表記ひょうき
  • フロントフォークのアウターチューブとブレーキキャリパーがシルバーに変更へんこう(A1およびA2はブラック)
  • カラーリング変更へんこう(EBY)エボニー×ファイヤークラッカーレッド、ファイヤークラッカーレッド×パールアルペンホワイト
  • フレームNo.ZX900A-031001〜035100 , JKAZX2A1=GA031001〜

1987ねん発売はつばい

  • カラーリング変更へんこう ファイヤークラッカーレッド×ギャラクシーシルバー
  • フレームNo.ZX900A-035101〜

1988ねん発売はつばい

  • ディスクローターGPz1000RX共通きょうつう(放熱ほうねつあな 50あな → 80あな)
  • カムチェーンテンショナーの構造こうぞうをノッチしき改良かいりょう
  • カラーリング変更へんこう エボニー×パールコスミックグレー(あかライン)
  • ホイールの塗装とそうしょくをレッドに変更へんこう(A1からA4まではブラックとヘアラインシルバーとのツートーン)。
  • 欧州おうしゅう仕様しようのみ製造せいぞう
  • フレームNo.ZX900A-038501〜

1989ねん発売はつばい

  • 冬季とうきにおけるガソリンのきり性能せいのう向上こうじょうさせるべく、ラジエーターえきキャブレター循環じゅんかんさせるキャブヒーターが装備そうびされる。
  • カラーリング変更へんこう エボニー×パールコスミックグレー(きむライン)
  • ホイールのカラーを単色たんしょくのゴールドメタリックに変更へんこう(A5までは塗装とそうしょくとヘアラインシルバーとのツートーン)。
  • 欧州おうしゅう仕様しようのみの製造せいぞう
  • フロントホイール16インチ時代じだい最終さいしゅうモデル
  • フレームNo.ZX900A-042001〜 , JKAZX2A1=KA042001〜

1990ねん発売はつばい

  • フルパワーしゃのエンジン出力しゅつりょくが108PSにとされる
  • 乾燥かんそう重量じゅうりょうが234 kgに増加ぞうか
  • メーターパネルデザイン変更へんこうによりアンメーター廃止はいし
  • バックミラーのデザイン変更へんこう
  • シートスポンジの材質ざいしつ変更へんこう
  • ステップラバーのデザイン変更へんこう
  • ディマスイッチ変更へんこう(デザインおよびウインカープッシュキャンセル)
  • ホイールデザインおよびサイズ変更へんこう(F:2.50-16 → 3.00-17、R:3.00-18 → 3.50-18)
  • タイヤサイズのへん(F:120/80-16 → 120/70-17、R:130/80-18 → 150/70-18)
  • ブレーキキャリパーの変更へんこう(F:かたし1ポット → 対向たいこう4ポット、R:かたし1ポット → かたし2ポット)
  • ブレーキローターの変更へんこう(F: ⌀280 → ⌀300、R: ⌀270 → ⌀250)
  • フロントフォークの変更へんこう(⌀38 → ⌀41)、AVDS(フロントフォークしず防止ぼうし機能きのう)廃止はいし
  • サイレンサーちょう変更へんこう(30 mmながくなる)
  • カラーリング変更へんこう(エボニー×パールコスミックグレー、エボニー×ファイヤークラッカーレッド)
  • フレームNo.ZX900A-048001〜 , JKAZX2A1=LA048001〜

1991ねん発売はつばい

  • 日本にっぽんでの750ccちょうのオートバイの自主じしゅ規制きせい撤廃てっぱいされ日本にっぽん仕様しよう発売はつばい日本にっぽん仕様しよう最高さいこう出力しゅつりょく86PS/9,000rpm・最大さいだいトルク7.3kgf·m/6,500rpm 速度そくどリミッターが180km/hで作動さどう、さらにロングマフラーの採用さいよう、ヘッドライト常時じょうじ点灯てんとう輸出ゆしゅつ仕様しようはA7と同一どういつ
  • キャブレターボディがシルバーに変更へんこう(A7まではブラック)
  • カラーリングはA7と同一どういつ
  • フレームNo.ZX900A-056001〜 , JKAZX2A1=MA056001〜
  • フレームNo.ZX900A-058183〜ZX900A-059848(日本にっぽん国内こくない仕様しよう)

1992ねん発売はつばい

  • アッパーカウルにはKawasakiのロゴにわり、Ninjaのロゴ
  • カラーリング変更へんこう日本にっぽん仕様しようのみ
  • ルミナスポラリスブルー×ギャラクシーシルバー、ファイヤークラッカーレッド×メタリックグレーストーン
  • 輸出ゆしゅつ仕様しようはA8のまま生産せいさん
  • フレームNo.ZX900A-063001〜ZX900A-063892(日本にっぽん国内こくない仕様しよう)

1993ねん発売はつばい

  • 日本にっぽん仕様しようのホイールのカラーを単色たんしょくのガンメタルグレーに変更へんこう(A6からA9まではゴールドメタリック)。
  • 輸出ゆしゅつ仕様しようはA8のまま生産せいさんされ欧州おうしゅう仕様しよう生産せいさん最終さいしゅうねん
  • フレームNo.ZX900A-068001〜078000
  • フレームNo.ZX900A-068921〜070887(日本にっぽん国内こくない仕様しよう)

1998ねん発売はつばい

  • カラーリング変更へんこう ライムグリーン×パールアルペンホワイト、ファイヤークラッカーレッド×メタリックグレーストーン
  • 日本にっぽん国内こくない日本にっぽん国外こくがいともに共通きょうつうのカラーリング
  • 日本にっぽん国内こくない仕様しようのタイヤの速度そくどレンジを日本にっぽん国外こくがい仕様しようおなじV規格きかく変更へんこう
  • グリップのデザインをZRX1100共通きょうつう
  • ヘッドライト常時じょうじ点灯てんとう(日本にっぽん国内こくない/日本にっぽん国外こくがい仕様しようとも)
  • フレームNo.ZX900A-078001〜ZX900A-080555(日本にっぽん国内こくない仕様しよう/マレーシア仕様しよう)

1999ねん発売はつばい

  • フロントブレーキキャリパーを6ポットに変更へんこう
  • リヤサスペンションガス封入ふうにゅうしきショック搭載とうさい
  • リンク変更へんこう
  • タイヤラジアルに変更へんこう
  • フロントフォークインナーチューブガード追加ついか
  • 日本にっぽん国内こくない仕様しよう最終さいしゅうがた(排出はいしゅつガスや騒音そうおん規制きせい問題もんだい生産せいさん終了しゅうりょうになる/生産せいさん2002ねんまで)
  • フレームNo.ZX900A-085001〜ZX900A-087079(日本にっぽん国内こくない仕様しよう/マレーシア仕様しよう)

2000ねん発売はつばい

  • カラーリング変更へんこう ファイヤークラッカーレッド×メタリックグレーストーン、パールクロームイエロー×ブラックパール(イエローの日本にっぽんそう輸入ゆにゅう販売はんばい台数だいすう328だい[よう出典しゅってん])
  • マレーシア仕様しようのみ生産せいさん
  • フレームNo.ZX900A-090001〜ZX900A-090474

2001ねん発売はつばい

  • カラーリング変更へんこう エボニー×パールコスミックグレー、ライムグリーン×ポーラホワイト
  • エボニー×パールコスミックグレーのみホイールに単色たんしょくのゴールドメタリックを採用さいよう(A6 - A8と共通きょうつう)
  • ライムグリーン×ポーラホワイトは従来じゅうらいどおりガンメタリックグレーを継続けいぞく
  • マレーシア仕様しようのみ生産せいさん
  • フレームNo.ZX900A-092001〜ZX900A-092690

2002ねん発売はつばい

  • 排出はいしゅつガス規制きせいをクリアするため、空気くうき導入どうにゅう装置そうち「KCA(カワサキ・クリーン・エア)」採用さいよう
  • マレーシア仕様しようのみ生産せいさん
  • フレームNo.ZX900A-095001〜

2003ねん発売はつばい

  • 最終さいしゅうモデルには「Final Edition」のエンブレムあり(正規せいき代理だいりてん販売はんばい商品しょうひんのみ)
  • 並行輸入へいこうゆにゅう販売はんばい商品しょうひんにはこのエンブレムはない。
  • カラーリング変更へんこう ルミナスポラリスブルー×ギャラクシーシルバー、ファイヤークラッカーレッド×メタリックグレーストーン
  • 初期しょきがたのA1のカラーラインナップ「あかきむライン・はい」「あおあかライン・ぎん」とほぼ共通きょうつうしているが、ラインのデザインがふとい、ホイールカラーのちがい(A1のブラックとヘアラインシルバーにたいし、A16は「あか」のガン*メタルブルーと「あお」のゴールドメタリック)など、まったくおなじではない
  • マレーシア仕様しようのみ生産せいさん
  • フレームNo.ZX900A-097001〜ZX900A-097162(?)

各種かくしゅ対策たいさく・リコール

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  • ロッカーアーム材質ざいしつ変更へんこう(A13あたりから)
  • クランクケースボルトサイズ変更へんこう(A7から)
  • カムチェーンテンショナー ラチェットしき変更へんこう(A7から)
  • スターター ワンウェイクラッチ強化きょうか(A10から)

外部がいぶリンク

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