カール・ハンケ

ブレスラウの国民こくみん突撃とつげき隊たいの宣誓せんせい式しきで演説えんぜつするカール・ハンケ(1945年ねん2月がつ)

カール・アウグスト・ハンケ（Karl August Hanke, 1903年ねん8月がつ24日にち - 1945年ねん6月8日にち）は、ドイツの政治せいじ家か。ナチ党とう高官こうかん、親衛隊しんえいたい隊員たいいん。宣伝せんでん省しょう次席じせき次官じかん（Staatssekretär II）の後のち、1939年ねんから1941年ねんまで軍ぐんで勤つとめ、1941年ねんから1945年ねんまでニーダーシュレージエン大だい管区かんく指導しどう者しゃを務つとめた。

生涯しょうがい

シュレージエンのラウバンで粉屋こなやの息子むすことして生うまれた。その後ご、専門せんもん学校がっこうの講師こうしとなった。

1926年ねんにナチスへ入党にゅうとうしたが、熱心ねっしんな政治せいじ活動かつどうが問題もんだいとなり1931年ねんには専門せんもん学校がっこうからは解雇かいこされている。これを契機けいきに党とう活動かつどうに専念せんねんすることとなり、1932年ねんには国会こっかい議員ぎいんに当選とうせんするとともにプロイセン州しゅうの州しゅう議会ぎかいの議員ぎいんも兼務けんむ。4月にはベルリンの大だい管区かんく指導しどう者しゃを務つとめるヨーゼフ・ゲッベルスの個人こじん的てきな側近そっきんとなった。その後ごもゲッベルスと行動こうどうをともにし、1938年ねんには国民こくみん啓蒙けいもう・宣伝せんでん省しょうの次席じせき次官じかん（Staatssekretär II）となった（宣伝せんでん省しょうの次官じかんは首席しゅせき、次席じせき、三さん席せきの三さん人にん体制たいせいであった）。この間あいだ1934年ねんに親衛隊しんえいたいへの入隊にゅうたいを果はたしている。

1939年ねん、ハンケは上司じょうしであるゲッベルスの夫人ふじんマクダ・ゲッベルスと恋愛れんあい関係かんけいにおちいった。当時とうじゲッベルスはリダ・バーロヴァと不倫ふりん関係かんけいを続つづけており、マクダはゲッベルスと離婚りこんしてハンケと結婚けっこんすることを考かんがえていた。しかしヒトラーが仲裁ちゅうさいに入はいり、ゲッベルスがリダと別わかれるかわりに、ハンケは宣伝せんでん省しょう次官じかんの地位ちいから追おわれた。これから後ご、ゲッベルスとハンケの関係かんけいは「仇敵きゅうてき」の関係かんけいになったという。その後ご、ハンケは義勇ぎゆう兵へいとして国防こくぼう軍ぐんに参加さんかした。国防こくぼう軍ぐん時代じだいには中尉ちゅういとしてポーランド侵攻しんこうや北きたアフリカ戦線せんせんで戦たたかっている。しかし1941年ねんには除隊じょたいしている。

1941年ねんにはニーダーシュレージエンの大だい管区かんく指導しどう者しゃとなり、ブレスラウに移うつった。翌年よくねんには親衛隊しんえいたい中将ちゅうじょうに昇進しょうしんしている。4年間ねんかんの在任ざいにん中ちゅうにブレスラウでは少すくなくとも1,000人にんの人々ひとびとが処刑しょけいされ、ハンケは「ブレスラウの首吊くびつり人じん」と呼よばれた。1945年ねんになるとソ連それん軍ぐんがブレスラウに迫せまり、市内しないでも激はげしい戦闘せんとうが繰くり広ひろげられた（ブレスラウ包囲ほうい戦せん）。ハンケはヒトラーから市しの戦闘せんとう指導しどう者しゃに指名しめいされ、戦闘せんとうの指揮しきを執とった。この抵抗ていこうが評価ひょうかされ、4月がつ12日にちにはナチス・ドイツにおける最高さいこう位いの勲章くんしょうであるドイツ勲章くんしょうを授与じゅよされた。元もと上司じょうしであり、上述じょうじゅつの恋愛れんあい問題もんだいにからんで険悪けんあくな関係かんけいとなっていたゲッベルスも、日記にっきの中なかでハンケの任地にんち防衛ぼうえいの努力どりょくを高たかく評価ひょうかし、最大限さいだいげんの賞賛しょうさんをおくっている。

さらに4月がつ28日にちに反逆はんぎゃく容疑ようぎで解任かいにんされたハインリヒ・ヒムラーに代かわって、ヒトラーから親衛隊しんえいたい全国ぜんこく指導しどう者しゃに任命にんめいされた。4月30日にち付づけのヒトラーの遺書いしょでもハンケは親衛隊しんえいたい全国ぜんこく指導しどう者しゃ兼けんドイツ警察けいさつ長官ちょうかんに指名しめいされている。しかしドイツ国内こくないの混乱こんらんによって命令めいれい伝達でんたつは遅おくれ、ハンケがその命令めいれいを受うけ取とったのは5月5日にちになってのことであり、その時ときにはすでにヒトラーは自殺じさつし、親衛隊しんえいたいも実質じっしつ的てきに消滅しょうめつしていた。

5月6日にち、ブレスラウは降伏ごうぶくした。しかしハンケはブレスラウ陥落かんらく直前ちょくぜんにFi 156で脱出だっしゅつし、そこで第だい18SS義勇ぎゆう装甲そうこう擲弾兵へい師団しだんに紛まぎれ込こんだ。その後ご米べい軍ぐん占領せんりょう地域ちいきであるエルベ川がわ西岸せいがんを目指めざすが、ノイドルフ（現在げんざいのノヴァ・ヴェス）にてチェコのパルチザンに包囲ほういされて投降とうこう。捕虜ほりょ収容しゅうよう所しょに収容しゅうようされる途上とじょうで脱走だっそうを図はかり、背後はいごから射殺しゃさつされたと言いわれている。

シュペーアとの関係かんけい

1930年ねん、ハンケはアルベルト・シュペーアと友人ゆうじんとなり、1932年ねんにベルリンの党とう本部ほんぶの設計せっけいを任まかせるなど、シュペーアがナチス党とうに関係かんけいするきっかけを作つくった。両りょう名なはその後ごも親したしい友人ゆうじん関係かんけいを保たもった。ハンケは「記述きじゅつすることを許ゆるされなかった何なにかを見みて」、1944年ねんにシュペーアに対たいし、いかなる理由りゆうがあってもアウシュヴィッツを訪おとずれるなと強つよく助言じょげんしたという

参考さんこう文献ぶんけん

• アルベルト・シュペーア 著ちょ、品田しなだ豊治とよじ 訳わけ『第だい三さん帝国ていこくの神殿しんでんにて : ナチス軍需ぐんじゅ相しょうの証言しょうげん』[[ 中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ]]、2001年ねん。ISBN 4122038693。 
• アルベルト・シュペーア 著ちょ、品田しなだ豊治とよじ 訳やく『第だい三さん帝国ていこくの神殿しんでんにて : ナチス軍需ぐんじゅ相しょうの証言しょうげん』中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ、2001年ねん。ISBN 4122038812。 
• フォルカー・ウルリヒ著ちょ 著ちょ、松永まつなが美穂みほ 訳わけ『ナチ・ドイツ最後さいごの8日間にちかん 1945.5.1-1945.5.8』すばる舎しゃ、2022年ねん。ISBN 978-4799110621。