ガマリエル

Gamaliel

ガマリエル（gəmā'lēəl）は、長老ちょうろうガマリエル、またはラビ・ガマリエル1世せいとも呼よばれ、1世紀せいき半なかばのユダヤ教きょうの長老ちょうろうである。その名なは、「神かみの報むくい」という意味いみを持もつ。サンヘドリンの指導しどう者しゃであり、タルムードによれば、その長なが（ナーシー）としてラバン・ガマリエルとも尊称そんしょうされる。紀元きげん63年ねん頃ころに死去しきょした。

使徒しと5章しょう34節せつから40節せつには、ペトロら使徒しとを庇かばい

｢もしその計画けいかくや行動こうどうが人間にんげんから出でたものなら、自滅じめつするでしょう。しかし、もしそれが神かみから出でたものなら、彼かれらを滅ほろぼすことはできないでしょう。もしかすると、あなたがたは神かみに敵対てきたいする者ものになってしまいます」

と弁護べんごし、使徒しとたちを釈放しゃくほうした。

概説がいせつ

『新約しんやく聖書せいしょ・使徒しと行ぎょう伝でん』では、彼かれはパリサイ派はの卓越たくえつした律りつ法ほう学者がくしゃとして登場とうじょうする。『使徒しと行ぎょう伝でん』は、彼かれが過去かこの故事こじをひいて、サンヘドリンの同僚どうりょうに、ペトロやその他たのキリスト教きりすときょうの使徒しとたちが、福音ふくいんを教きょう説せつすることで殺ころすのは得策とくさくではないと助言じょげんしたと記しるしている。ガマリエルが大おおいなる権威けんいを持もっていたので、サンヘドリンはこれに同意どういしたとされる。

ガマリエルはまた、タルススのサウル、すなわち使徒しとパウロの師しであったとされる。パウロがみずからを名乗なのって、自分じぶんはユダヤ人じんでありガマリエルの元もとで学まなんだと述のべている。しかし、これについては、解釈かいしゃくが分わかれる。ガマリエルがキリスト教徒きりすときょうとに対たいし示しめした冷静れいせいで寛容かんような態度たいどは、初期しょきのパウロの激はげしい反はんキリスト教きりすときょうの考かんがえと相容あいいれない。

キリスト教きりすときょうの聖人せいじん

ガマリエルは初期しょきキリスト教きりすときょうに対たいし寛容かんような態度たいどを示しめしたので、キリスト教徒きりすときょうとたちは、ガマリエルが実じつはキリスト教きりすときょうを信仰しんこうしているのだとも想定そうていした。この結果けっか、ガマリエル1世せいは、古代こだいローマの「聖者せいじゃ一覧いちらん」に掲載けいさいされ、キリスト教きりすときょうの聖人せいじんとも見みなされていた。

ガマリエルの名なを持もつラビ

ガマリエル1世せいの後のち、サンヘドリンの長ながともなり、ユダヤ教きょうの長老ちょうろうとなったガマリエルの名なを持もつラビが5人にん知しられている。ガマリエル2世せい、3世せい、4世せい、5世せい、そして、425年ねんに没ぼっした、最後さいごのサンヘドリンの長なが、ガマリエル6世せいである。

グノーシス神話しんわのアイオーン

ガマリエルという名なは、特段とくだんに珍めずらしい名なでもない。グノーシス主義しゅぎにおいても、『ナグ・ハマディ写本しゃほん』中ちゅうの『エジプト人じんの福音ふくいん書しょ』と呼よばれるグノーシス文書ぶんしょにおいて、ガマリエル、サブロ、ガブリエル、そしてアブラクサスの名なを持もつ偉大いだいなアイオーンが語かたられている。

脚注きゃくちゅう

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