クロラール

クロラール
IUPAC名めい トリクロロエタナール
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう	75-87-6
KEGG	C14866
SMILES ClC(Cl)(Cl)C=O
特性とくせい
化学かがく式しき	C2HCl3O
モル質量しつりょう	147.387 g/mol
示しめせ性せい式しき	CCl3CHO
密度みつど	1.512 g/cm3 at 20 °C
融点ゆうてん	−57.5 °C
沸点ふってん	97.8 °C
水みずへの溶解ようかい度ど	抱だき水すいクロラールを形成けいせい
エタノールへの溶解ようかい度ど	混和こんわ性せい
ジエチルエーテルへの溶解ようかい度ど	混和こんわ性せい
クロロホルムへの溶解ようかい度ど	混和こんわ性せい
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・常つね圧あつ (100 kPa) におけるものである。

クロラール (Chloral) は、有機ゆうき化合かごう物ぶつで、有機ゆうきハロゲン化物ばけもの、アルデヒドの一種いっしゅ。IUPAC命名めいめい法ほうではトリクロロエタナール (trichloroethanal) と表あらわされる。トリクロロアセトアルデヒドとも呼よばれる。沸点ふってん 97.5 ℃ の無色むしょくの刺激しげき臭しゅうのある油状ゆじょう液体えきたいで、水みず、エタノールに易えき溶。 電気でんき陰性いんせい度どの高たかい塩素えんそ原子げんしが 3つ、クロラールのカルボニル基もとのαあるふぁ位くらいに位置いちし、カルボニル炭素たんそへの求もとめ核かく的てき付加ふか反応はんのうが有利ゆうりとなっている。

クロラールを水みずに溶解ようかいすると速すみやかに付加ふか反応はんのうが起おこり、抱だき水すいクロラール (CCl₃CH(OH)₂) に変かわる。エタノールに溶解ようかいするとヘミアセタールであるトリクロロエチルアルコラートを生しょうじる。そのため、通常つうじょう、鎖くさり状じょう化合かごう物ぶつではアルデヒドに比くらべ不利ふりな構造こうぞうであるアセタールやヘミアセタールがクロラールでは安定あんていに存在そんざいする。このような性質せいしつを持もつためクロラールの単体たんたいを得えることは比較的ひかくてき困難こんなんである。 アルカリと反応はんのうしてクロロホルムとギ酸ぎさんに分解ぶんかいする。また、硫酸りゅうさんを触媒しょくばいとして重合じゅうごうし 3量りょう体たいの白色はくしょく固体こたいを生成せいせいする。

クロラールには、抱だき水すいクロラールと同様どうように沈静ちんせい、催眠さいみん、抗こう痙攣けいれん作用さようがあるが、その目的もくてきで使用しようされることは無ない。服用ふくようすると水分すいぶん、胃酸いさんなどにより容易よういに分解ぶんかいするためである。またクロラール自体じたいの刺激しげき性せいも強つよいためである。