三菱みつびし・コルト800

コルト800 (COLT 800)は、三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょうの前身ぜんしんである三菱重工業みつびしじゅうこうぎょうが製造せいぞう・販売はんばいしていた乗用車じょうようしゃ。

本稿ほんこうでは、改良かいりょう型がたであるコルト1000F、コルト1100F、コルト11Fについても記述きじゅつする。

三菱みつびしコルト1100F

概要がいよう

通産省つうさんしょうの国民こくみん車しゃ構想こうそうにより登場とうじょうした三菱みつびし500、その後ごのコルト600よりも上級じょうきゅうにあたるモデルである。1960年代ねんだい中期ちゅうき、ダイハツ・コンパーノやマツダ・ファミリアを中心ちゅうしんとした800ccクラスの大衆たいしゅう車しゃ市場いちばに参入さんにゅうするために、フロントエンジン・リアドライブ方式ほうしきの本格ほんかく的てきな小型こがた大衆たいしゅう車しゃとして開発かいはつされた。

「800」は、かつてオート三さん輪りんトラック「みずしま」の開発かいはつ・生産せいさん拠点きょてんであり、既すでに軽自動車けいじどうしゃの初代しょだいミニカを生産せいさんしていた岡山おかやま県けんの水島自動車製作所みずしまじどうしゃせいさくしょで開発かいはつされたモデルである。2ストロークエンジンを当初とうしょ搭載とうさいしていたのも、先行せんこうしたミニカでの経験けいけんに基もとづくものであった。

ジープの国産こくさん化かやシルバーピジョン・スクーターの生産せいさんなどから小型車こがたしゃ生産せいさんに携たずさわるようになり、三菱みつびし500やコルト600も手てがけていた名古屋なごや市し・大江おおえの名古屋なごや自動車じどうしゃ製作所せいさくしょおよび京都きょうと市しの京都きょうと製作所せいさくしょを中心ちゅうしんとした開発かいはつグループの手てになる4ストロークエンジン車くるまのコルト1000とは、800は同おなじ旧きゅう・新しん三菱重工みつびしじゅうこう系けいながら完全かんぜんに別べつ系統けいとうのモデルであった。

先行せんこうするコルト600や1000との技術ぎじゅつ的てき連続れんぞく性せい・関連かんれん性せいがなく、とりわけコルト1000と近似きんじした車くるま格かくで社内しゃない競合きょうごうすら起おこしかねない状況じょうきょうであったにもかかわらず、水島みずしまと名古屋なごやとで物的ぶってき・人的じんてき資源しげんを拡散かくさんさせての別べつモデル開発かいはつという二に重じゅう投資とうしが許ゆるされてしまったことは、工場こうじょう毎ごとの独立どくりつ性せいが過度かどに強つよかった当時とうじの三菱重工業みつびしじゅうこうぎょう（とその小型車こがたしゃ部門ぶもんの前身ぜんしんである新しん三菱重工業みつびしじゅうこうぎょう）の硬直こうちょく化かした体制たいせいが露呈ろていした事件じけんであった。この反省はんせいのもと、三菱重工業みつびしじゅうこうぎょうでは自動車じどうしゃ部門ぶもんの独立どくりつ（1970年ねんの三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょうの発足ほっそく）に先立さきだち、車両しゃりょう開発かいはつ体制たいせいの整理せいりを敢行かんこうした。

解説かいせつ

保守ほしゅ的てきなノッチバックスタイルの2ドア、および4ドアセダンであるコルト1000とは対照たいしょう的てきに、当時とうじ、国際こくさい的てきに流行りゅうこうした独特どくとくのファストバックスタイルを備そなえていたことが800系けい最大さいだいの特徴とくちょうで、当初とうしょテールゲートを持もたなかったが、1966年ねんにピックアップトラックが、1967年ねん末まつにハッチバック（3ドア）が、1968年ねん初はじめには4ドアがそれぞれ追加ついか設定せっていされた。

エンジンは当初とうしょ、3G8型がた2ストローク水冷すいれい直列ちょくれつ3気筒きとう843cc、最高さいこう出力しゅつりょく45PS/4,500rpm、最大さいだいトルク8.4kgm/3,000rpmの1種類しゅるいで、駆動くどう方式ほうしきも三菱みつびし500・コルト600でのRRでなく、ミニカでも採用さいようされていた一般いっぱん的てきなFRに変更へんこうされた。サスペンションも前輪ぜんりんはダブルウィシュボーンと横よこ置おきリーフスプリングで、後こう輪わはリジッドアクスルとリーフスプリングとなった。エンジンを除のぞけば、極きわめて平凡へいぼん堅実けんじつな構成こうせいである。

コルト800は、同どう時期じきのスズキ・フロンテ800とともに日本にっぽんの小型こがた乗用車じょうようしゃの中なかでは数少かずすくない3気筒きとう2ストロークエンジンを搭載とうさいした個性こせい派はで、120°等間隔とうかんかく点火てんかによるスムースな回転かいてん特性とくせいを長所ちょうしょとしたが、多数たすう派はである直列ちょくれつ4気筒きとう4ストロークエンジンの実用じつよう上じょうの優位ゆうい性せいに勝かち目めは無なく、800-1000ccクラスの競合きょうごう車しゃ輩出はいしゅつもあった。更さらに2ストロークエンジンは排気はいきの煙けむりが沢山たくさん出でる為ため、当時とうじ大気たいき汚染おせんが社会しゃかい問題もんだい化かしていた事こともあり、敬遠けいえんされて販売はんばいは伸のび悩なやんだ。

1966年ねん9月、コルト800のボディに上級じょうきゅうモデルであるコルト1000のKE43型がた4サイクル直列ちょくれつ4気筒きとうOHV997ccを移植いしょくした1000Fを追加ついか、てこ入いれ策さくとした。最高さいこう出力しゅつりょく55PS/6,000rpm最大さいだいトルク7.5kgM/3,800rpmで最高さいこう速度そくどは135km/h。

1968年ねん10月には、1100Fスーパースポーツ登場とうじょう、直後ちょくごに800の生産せいさんが打うち切きられ、1000F／1100Fの2本立ほんだてとなり、1969年ねん5月には1000が消滅しょうめつし、1100Fのみとなり、名称めいしょうも11Fに変更へんこうされた。内うち外装がいそうの変更へんこうを最後さいごに、1971年ねん10月がつを以って販売はんばい終了しゅうりょうとなった。なお、同車どうしゃの実質じっしつ的てきな後継こうけい車しゃは1973年ねん2月がつに発売はつばいを開始かいししたランサーとなる。

歴史れきし

コルト1000F

• 1965年ねん11月-水島みずしま製作所せいさくしょ初はつの小型こがた乗用車じょうようしゃとして発売はつばい。トヨタ・パブリカが700ccだったので対抗たいこうして排気はいき量りょうが800ccになった。当時とうじとしては、めずらしいファストバック型がたの2ドアセダンだった。
• 1966年ねん9月：1000ccの1000Fを発売はつばい。同時どうじに2ドアピックアップ（トラック）のコルトトラックを追加ついか。
• 1967年ねん8月がつ：1000Fにハッチバックを加くわえた3ドアを発売はつばい。
• 1968年ねん8月がつ：マイナーチェンジが行おこなわれ、4ドアと1100ccの1100Fを追加ついか。
• 1968年ねん10月：スポーティバージョン1100Fスーパースポーツを追加ついか。
• 1969年ねん5月：マイナーチェンジで1100Fを11Fの名称めいしょうに変更へんこう。
• 1969年ねん10月：11Fスーパースポーツのみ11-SSに変更へんこう。
• 1971年ねん10月：販売はんばい終了しゅうりょう。生産せいさん台数だいすうは17万まん6326台だい

レース

• コルト1000Fは三菱みつびしの国際こくさいラリー車しゃ第だい1号ごうとしてサザンクロスラリーにも参戦さんせんした。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『国産こくさん車しゃ100年ねんの軌跡きせき』－モーターファン別冊べっさつ－三栄書房さんえいしょぼう
• 『セピアカラーで綴つづる1960年代ねんだいのクルマたち』-モもータたーマガジン社まがじんしゃ
• 『国産こくさん名車めいしゃコレクションNo.42』－アシェット・コレクションズ・ジャパン

関連かんれん項目こうもく

• 三菱重工業みつびしじゅうこうぎょう
• 三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょう
• コルト
• 三菱みつびし・コルト600
• 三菱みつびし・コルト1000
• 三菱みつびし・ランサー

外部がいぶリンク

• コルト800 - 三菱自動車みつびしじどうしゃのグローバルウェブサイト内うちのページ
• コルト1000F - 同上どうじょう
• コルト1100F - 同上どうじょう