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サイクリンF

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
CCNF
識別子しきべつし
記号きごうCCNF, FBX1, FBXO1, cyclin F, FTDALS5
外部がいぶIDOMIM: 600227 MGI: 102551 HomoloGene: 1335 GeneCards: CCNF
遺伝子いでんし位置いち (ヒト)
16番染色体 (ヒト)
染色せんしょくたい16ばん染色せんしょくたい (ヒト)[1]
16番染色体 (ヒト)
CCNF遺伝子の位置
CCNF遺伝子の位置
バンドデータ開始かいしてん2,429,394 bp[1]
終点しゅうてん2,458,854 bp[1]
遺伝子いでんし位置いち (マウス)
17番染色体 (マウス)
染色せんしょくたい17ばん染色せんしょくたい (マウス)[2]
17番染色体 (マウス)
CCNF遺伝子の位置
CCNF遺伝子の位置
バンドデータ開始かいしてん24,441,172 bp[2]
終点しゅうてん24,470,458 bp[2]
RNA発現はつげんパターン


さらなる参照さんしょう発現はつげんデータ
遺伝子いでんしオントロジー
分子ぶんし機能きのう 血漿けっしょうタンパク結合けつごう
ubiquitin-protein transferase activity
protein kinase activity
cyclin-dependent protein serine/threonine kinase regulator activity
プロテインキナーゼ結合けつごう
細胞さいぼう構成こうせい要素ようそ 細胞さいぼうかく
細胞さいぼう骨格こっかく
SCFふく合体がったい
中心ちゅうしん小体こてい
細胞さいぼうしつ
中心ちゅうしんたい
細胞さいぼうしつ基質きしつ
細胞さいぼう結合けつごう
cyclin-dependent protein kinase holoenzyme complex
生物せいぶつがくてきプロセス regulation of cell cycle
re-entry into mitotic cell cycle
protein ubiquitination
negative regulation of centrosome duplication
SCF-dependent proteasomal ubiquitin-dependent protein catabolic process
細胞さいぼう周期しゅうき
細胞さいぼう分裂ぶんれつ
胎座
protein polyubiquitination
翻訳ほんやく修飾しゅうしょく
regulation of cyclin-dependent protein serine/threonine kinase activity
からだ細胞さいぼう分裂ぶんれつ
タンパク質たんぱくしつリン酸化さんか
regulation of mitotic nuclear division
positive regulation of cell population proliferation
positive regulation of cell cycle
mitotic cell cycle phase transition
出典しゅってん:Amigo / QuickGO
オルソログ
たねヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_001761
NM_001323538

NM_007634

RefSeq
(タンパク質たんぱくしつ)

NP_001310467
NP_001752

NP_031660

場所ばしょ
(UCSC)
Chr 16: 2.43 – 2.46 MbChr 16: 24.44 – 24.47 Mb
PubMed検索けんさく[3][4]
ウィキデータ
閲覧えつらん/編集へんしゅう ヒト閲覧えつらん/編集へんしゅう マウス

サイクリンFえい: cyclin F)は、ヒトではCCNF遺伝子いでんしにコードされるタンパク質たんぱくしつである[5][6]

機能きのう

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サイクリンFはサイクリンファミリーのメンバーである。サイクリンはサイクリン依存いぞんせいキナーゼ結合けつごうして活性かっせいすることで、細胞さいぼう周期しゅうき移行いこう調節ちょうせつ重要じゅうよう役割やくわりたす。サイクリンFはFボックスタンパク質たんぱくしつファミリーにもぞくし、このファミリーはやく40アミノ酸あみのさんからなるFボックスモチーフをゆうすることで特徴とくちょうづけられる。Fボックスタンパク質たんぱくしつSCFふく合体がったいSKP1英語えいごばん-Cullin-F-box)とばれるユビキチンリガーゼふく合体がったいの4つのサブユニットの1つを構成こうせいしており、WD40ドメインゆうするFbxw、ロイシンリッチリピートゆうするFbxl、そしてこれらとはことなるタンパク質たんぱくしつ相互そうご作用さようモジュールをゆうする、もしくは識別しきべつ可能かのうなモチーフをたないFbxoの3つのクラスに分類ぶんるいされる。サイクリンFはFbxoに分類ぶんるいされ、またFボックスモチーフが最初さいしょ同定どうていされたタンパク質たんぱくしつの1つである[6]

発見はっけん特性とくせい

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CCNF遺伝子いでんしは1994ねんに、スティーブン・エレッジ研究けんきゅうしつによって出芽しゅつが酵母こうぼSaccharomyces cerevisiaeもちいた実験じっけんから最初さいしょ発見はっけんされた[7]どう時期じきに、Anna-Maria Frischaufの研究けんきゅうしつによる多発たはつせい嚢胞のうほうじん新規しんき候補こうほ遺伝子いでんし探索たんさく過程かていで、あらたなサイクリンとしてサイクリンFが同定どうていされた[8]CCNF遺伝子いでんしはヒトゲノムじょうでは16p13.3に位置いちし、17エクソンから構成こうせいされる[7]。この遺伝子いでんしにコードされるサイクリンFタンパク質たんぱくしつは786アミノ酸あみのさんから構成こうせいされ、予測よそく分子ぶんしりょうは87kである[7]。サイクリンFはFボックスタンパク質たんぱくしつファミリーの主要しゅようなメンバーであり、このファミリーのタンパク質たんぱくしつにはやく40アミノ酸あみのさんからなるFボックスとばれるモチーフが存在そんざいする[7]

配列はいれつ発現はつげんパターンのめんでは、サイクリンFはサイクリンAもっともよく類似るいじしている[7]。さらに、PEST配列はいれつ英語えいごばん存在そんざいタンパク質たんぱくしつりょう局在きょくざい細胞さいぼう周期しゅうきによる調節ちょうせつけるmRNA細胞さいぼう周期しゅうきやその進行しんこう影響えいきょうおよぼすことなど、サイクリンに共通きょうつうしたほか特徴とくちょうもみられる[7]。サイクリンFはサイクリン依存いぞんせいキナーゼを必要ひつようとせずに細胞さいぼう周期しゅうき監視かんしし、調節ちょうせつすることができるというてんで、のサイクリンとはことなる[9]。そのわりにサイクリンFはSCFふく合体がったい基質きしつ受容じゅようたいとして機能きのうし、疎水そすいてきパッチをかいしてCP110英語えいごばんRRM2英語えいごばんといった下流かりゅう標的ひょうてき直接ちょくせつ相互そうご作用さようすることがMichele Pagano研究けんきゅうしつによってしめされている[9]

発現はつげんパターン

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サイクリンFのmRNAはヒトのすべての組織そしき発現はつげんしているが、発現はつげんりょう組織そしきによってことなる[7]細胞さいぼうないではかくうちもっと豊富ほうふ存在そんざいし、そのりょう細胞さいぼう周期しゅうき段階だんかいによって変動へんどうする[7]発現はつげんパターンはサイクリンAとよく類似るいじしており、S上昇じょうしょうはじまり、G2にピークにたっする[7]

役割やくわり

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サイクリンFは、中心ちゅうしんたい複製ふくせい遺伝子いでんし転写てんしゃ、DNAの合成ごうせい安定あんていせい修復しゅうふく重要じゅうようタンパク質たんぱくしつ相互そうご作用さようする。

RRM2英語えいごばんリボヌクレオチドレダクターゼであり、リボヌクレオチドからデオキシリボヌクレオチドへの変換へんかんにな酵素こうそである。デオキシリボヌクレオシドさんリンさん(dNTPs)はDNA複製ふくせい修復しゅうふくのDNA合成ごうせい必要ひつよう不可欠ふかけつである[10]。サイクリンFはRRM2と相互そうご作用さようして細胞さいぼうないでのdNTPsのさんせい制御せいぎょし、ゲノム不安定ふあんていせい変異へんい回避かいひする[11]

中心ちゅうしんたい局在きょくざいするサイクリンFは、中心ちゅうしんたい複製ふくせい関与かんよするタンパク質たんぱくしつCP110英語えいごばん濃度のうど調節ちょうせつ必要ひつようである[12]。CP110はG2にユビキチンかいした分解ぶんかいによって調節ちょうせつされており、この調節ちょうせつ中心ちゅうしんたい複製ふくせい細胞さいぼう周期しゅうきに1だけおこなわれるよう保証ほしょうしており、ゆういと分裂ぶんれつ異常いじょう防止ぼうし寄与きよしている[12]

NuSAP英語えいごばんはサイクリンFの基質きしつであり、細胞さいぼう分裂ぶんれつ関与かんよしている[13]。NuSAPは紡錘ぼうすいたい過程かてい必要ひつよう微小びしょうかん結合けつごうタンパク質たんぱくしつであり、その機能きのう微小びしょうかんやクロマチンと相互そうご作用さようして安定あんてい架橋かきょう形成けいせいすることである[14]。NuSAPの欠損けっそんゆういと分裂ぶんれつ中期ちゅうき染色せんしょくたい整列せいれつ異常いじょうによる変異へんい増加ぞうか関連かんれんしており、また過剰かじょうなNuSAPはゆういと分裂ぶんれつ停止ていし微小びしょうかんバンドルの形成けいせいをもたらす[15]。サイクリンFはNuSAPの存在そんざいりょう制御せいぎょし、適切てきせつ細胞さいぼう分裂ぶんれつ必要ひつよう不可欠ふかけつ役割やくわりたしている。

SLBP英語えいごばん典型てんけいてきヒストンH2A.XをコードしているmRNAを制御せいぎょするタンパク質たんぱくしつであり、ヒストンの代謝たいしゃ細胞さいぼう周期しゅうき同期どうきさせている。G2にはSLBPはサイクリンFをかいして分解ぶんかいされ、遺伝いでん毒性どくせいストレスのH2A.Xの蓄積ちくせき制御せいぎょしている[16]

E2F1英語えいごばんE2F2英語えいごばんE2F3a英語えいごばんは、E2Fファミリー転写てんしゃ因子いんしなか典型てんけいてきアクチベーターである。G2には、サイクリンFはこれら3つアクチベーターすべてを分解ぶんかい標的ひょうてきとし、それによって細胞さいぼう周期しゅうき進行しんこうをもたらす主要しゅよう転写てんしゃエンジンをオフにする[17][18]

臨床りんしょうてき意義いぎ

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神経しんけい変性へんせい疾患しっかん

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CCNF遺伝子いでんし変異へんいは、前頭まえがしらがわあたまがた認知にんちしょう(FTD)、すじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょう(ALS)、また両者りょうしゃ合併がっぺいであるALS-FTDといった神経しんけい変性へんせい疾患しっかんとの関連かんれんしめされている[19][20]ぜんゲノム連鎖れんさ解析かいせきやゲノム配列はいれつ解析かいせきによって、家族かぞくせいはつせい双方そうほうのALS患者かんじゃにおいてCCNFとの関連かんれん特定とくていされている[19]CCNFのALS関連かんれん変異へんいもちいたin vitroin vivoでの研究けんきゅうおこなわれており、特定とくていCCNF変異へんいではサイクリンFのユビキチン活性かっせい増大ぞうだいこされ[21][22][23]タンパク質たんぱくしつ異常いじょうなユビキチンがもたらされていることがあきらかにされている[19][24]ゼブラフィッシュでは、CCNF変異へんいたい運動うんどう神経しんけいじくさく変性へんせいしょう運動うんどう応答おうとう低下ていかしめ[25]CCNF変異へんいがたALS患者かんじゃ由来ゆらいiPS細胞さいぼうから作製さくせいされた運動うんどう神経しんけいではユビキチンタンパク質たんぱくしつ増大ぞうだいしており、運動うんどう神経しんけいタンパク質たんぱくしつ廃棄はいきぶつ除去じょきょするための分解ぶんかい経路けいろ必要ひつよう不可欠ふかけつな、遊離ゆうりユビキチンのプールが減少げんしょうしている可能かのうせいたか[21]

サイクリンFの正常せいじょう発現はつげん細胞さいぼう周期しゅうきのG2での停止ていしゆういと分裂ぶんれつ防止ぼうし誘導ゆうどうするため、がん抑制よくせい因子いんしとしての役割やくわりっている[26]。さらに、サイクリンFはRRM2やCP110をかいし、中心ちゅうしん小体こてい複製ふくせい制御せいぎょやゲノムの変異へんい頻度ひんど低下ていかをもたらしている[9]。これまでに、ヒトのいくつかのがんでCCNF変異へんいとRRM2の発現はつげん上昇じょうしょう同定どうていされている[27]

出典しゅってん

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関連かんれん文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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