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サテュリコン

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サテュリコン

サテュリコン』(Satyricon)は、ペトロニウスによってかれたと推定すいていされる、ネロ堕落だらくした古代こだいローマえがいた小説しょうせつ。その内容ないよう退廃たいはいせい登場とうじょう人物じんぶつ悪徳あくとくぶりからピカレスク小説しょうせつにも分類ぶんるいされるが、風刺ふうしてき内容ないようもふんだんにふくまれている。現存げんそんするのは、14、15、16かんの、3かん抄録しょうろく[1]であり、現在げんざいには完全かんぜんかたちではのこっていない。そのなかでも比較的ひかくてき分量ぶんりょうのこっている「トルマルキオの饗宴きょうえん」の場面ばめん有名ゆうめい

内容ないよう

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好色こうしょくあそきな男性だんせいさん人組にんぐみ途中とちゅうでメンバーはわる)の道中どうちゅうかたちをとっている。かたわか修辞しゅうじ学生がくせい・エンコルピウスである。舞台ぶたいイタリアギリシアであるとされるが、地名ちめい特定とくていされない、もしくは写本しゃほんけているなどの事情じじょう地名ちめいしょう箇所かしょおおい。みだらな男女だんじょ登場とうじょうしてはからい、美少年びしょうねん奴隷どれいをめぐる少年しょうねんあい描写びょうしゃもなされている。その文学ぶんがくせいだけでなく、当時とうじのローマの風俗ふうぞくるための資料しりょうせい評価ひょうかされている。

登場とうじょう人物じんぶつ

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エンコルピウス(Encolpius)
教師きょうしアガメムノンの経営けいえいする修辞しゅうじ学校がっこうわか男子だんし学生がくせい。『サテュリコン』の道中どうちゅうかれ視点してんから描写びょうしゃされている。
ギトン(Giton)
奴隷どれい身分みぶん少年しょうねん。エンコルピウスの寵愛ちょうあいする美少年びしょうねんであり、さん人組にんぐみ一員いちいんとしてたび同行どうこうする。
アスキュルトス(Ascyltos)
現存げんそんする写本しゃほん最初さいしょ主人公しゅじんこうとなっているさん人組にんぐみ一員いちいん好色こうしょくおとこである。
トリマルキオ英語えいごばん(Trimalchio)
金持かねもちの解放かいほう奴隷どれいであり、有名ゆうめいな「トリマルキオの饗宴きょうえん」の主人しゅじんやくをつとめる。派手はできの成金なりきんである。

トリマルキオの饗宴きょうえん

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『サテュリコン』でもっとも有名ゆうめいなシーンが、「トリマルキオの饗宴きょうえん」とばれる豪奢ごうしゃ頽廃たいはいてき宴会えんかい場面ばめんである。写本しゃほん大幅おおはば欠損けっそんしている『サテュリコン』のなかでも、宴会えんかいはじまりからわりまで一貫いっかんしたシーンとしてテクストがのこされている貴重きちょう場面ばめんである。ローマの宮廷きゅうてい権力けんりょくしゃらの私邸していおこなわれていた饗宴きょうえん文化ぶんか考証こうしょうする資料しりょうともなっている。

主人公しゅじんこういちぎょうはその道中どうちゅう、トリマルキオなる人物じんぶつひらいた饗宴きょうえんにもてなされることになる。饗宴きょうえん主人しゅじんであるトリマルキオは、解放かいほう奴隷どれいという設定せっていである。ネロ時代じだいのローマでは、奴隷どれい身分みぶんだったもの解放かいほうされきょまんとみ台頭たいとうするというれいおおられた。トリマルキオという人物じんぶつ設定せっていもこうした新興しんこう富豪ふごう描写びょうしゃしたものである。かれ洗練せんれんされた人物じんぶつとしてではなく、派手はでよそおいで登場とうじょうすればそのあく趣味しゅみ賓客ひんきゃくにくすくすとわらわれ、教養きょうようじんよそおって古典こてん知識ちしき披露ひろうすれば間違まちがいを露呈ろていしてばかりであるなど、むしろ滑稽こっけいさをもったキャラクターとしてえがかれる。

当時とうじ高級こうきゅうとされていた食材しょくざいをふんだんに使つかった料理りょうり描写びょうしゃくわえ、趣向しゅこうらしたうつわについても作中さくちゅうくわしい説明せつめいつきでかたられる。また、料理りょうり歓談かんだんだけでなく余興よきょう趣向しゅこうらした内容ないようとなっている。曲芸きょくげいによるパフォーマンスやけん闘士とうし競技きょうぎ披露ひろうされ、「うご天井てんじょうから土産物みやげものってくる」といった大掛おおがかりな装置そうち描写びょうしゃまである。

日本語にほんごやく

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  • 『サテュリコン 古代こだいローマの諷刺ふうし小説しょうせつ國原くにはら吉之助よしのすけわけ岩波いわなみ文庫ぶんこ 1991 
  • 『トリマルキオーの饗宴きょうえん岩崎いわさき良三りょうぞうわけ青木あおき書店しょてん 1941
  • 『ローマの饗宴きょうえん野上のかみ一夫かずおやくむらさき書房しょぼう 1952 - 以下いかへん訳本やくほん
  • せい狂乱きょうらんのローマむすめ根岸ねぎし達夫たつおやく浪速なにわ書房しょぼう 1970

文学ぶんがく作品さくひん

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19世紀せいきから20世紀せいき初頭しょとうポーランド作家さっかヘンリク・シェンキェヴィチ歴史れきし小説しょうせつ
ペトロニウスは、主人公しゅじんこうマルクス・ウィニキウス(創作そうさく人物じんぶつ)のおじで登場とうじょう

映画えいが

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • プリーナ・リコッティ古代こだいローマの饗宴きょうえん』- だい7しょういき判官ほうがんペトロニウスまたはトリマルキオの饗宴きょうえん
武谷たけやなおみわけ平凡社へいぼんしゃ、1991ねん講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ、2011ねんISBN 406-2920514
篠田しのだいち川村かわむら二郎じろうわけ筑摩書房ちくましょぼう筑摩ちくま叢書そうしょ]、1967-69ねん改訂かいていばん ちくま学芸がくげい文庫ぶんこ、1994ねん

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 岩波いわなみ文庫ぶんこ p391。訳者やくしゃ解説かいせつ
  2. ^ 旧訳きゅうやくばん河野こうの与一よいちわけ戦前せんぜん木村毅きむらきわけひろまれ、戦後せんご版元はんもと変更へんこう再刊さいかん

外部がいぶリンク

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