シートン動物どうぶつ記き

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曖昧さ回避 この項目こうもくでは、アーネスト・トンプソン・シートンの著作ちょさく物ぶつ群ぐんについて説明せつめいしています。その他たの用法ようほうについては「シートン動物どうぶつ記き (曖昧あいまいさ回避かいひ)」をご覧らんください。
E.T.シートン

『シートン動物どうぶつ記き』（シートンどうぶつき）とはアメリカの博物はくぶつ学者がくしゃアーネスト・トンプソン・シートンの全ぜん著作ちょさく物ぶつに対たいする日本にっぽんでの総称そうしょう。主おもに自身じしんの体験たいけんや見聞けんぶんを基もとに創作そうさくされた動物どうぶつ物語ものがたり55編へん[1]を指さす。日本にっぽんでつけられた題名だいめいであるため、正確せいかくに対応たいおうする原題げんだいや他た国語こくごでの訳わけ題だいは存在そんざいしない。

概要がいよう[編集へんしゅう]

1898年ねん、シートンは数すう年間ねんかん雑誌ざっしに発表はっぴょうした物語ものがたりの内うち8編へんを集あつめ、第だい一いち作品さくひん集しゅう『私わたしの知しる野生やせい動物どうぶつ （ Wild Animals I Have Known ）』を刊行かんこう、大だいヒットする。それによりシートンの名前なまえは全米ぜんべいで知しられるようになる。

シートンの著作ちょさくは全すべて自身じしんの体験たいけんや見聞けんぶんを基もとに作つくられており、そのほとんどはノンフィクション小説しょうせつといっても差さし支つかえのないもの、またフィクション小説しょうせつであっても事実じじつに則そくしたものを必かならず含ふくんでいる。それ以外いがいの著作ちょさくには紀行きこう文ぶん・論文ろんぶん・寓話ぐうわ・自伝じでん・講演こうえん録ろくなどがあるが、実際じっさいその多おおくに物語ものがたり的てき要素ようそを取とり入いれ書かかれており、それらの間あいだに明確めいかくな線引せんひきはできない。

日本にっぽんでの広ひろまり[編集へんしゅう]

翻訳ほんやく家か・内山うちやま賢次けんじ所有しょゆうのシートン第だい一いち作品さくひん集しゅうが平岩ひらいわ米吉よねきちの目めにとまり、内山うちやまは1935年ねん、その日本語にほんご訳やくを平岩ひらいわ主宰しゅさいの『動物どうぶつ文学ぶんがく』誌上しじょうに発表はっぴょうする。これがシートン文学ぶんがくの日本にっぽん初出しょしゅつである。それまで日本人にっぽんじんはほとんど誰だれもシートンについて知しらなかった。

内山うちやまは1937年ねん6月がつから1938年ねん12月にかけて、単行本たんこうぼん『動物どうぶつ記き』全ぜん6巻かんを白はく揚よう社しゃから刊行かんこうする。「動物どうぶつ記き」という題名だいめいは、単行本たんこうぼんの出版しゅっぱん元もとである白はく揚よう社しゃを経営けいえいする中村なかむら徳二とくじ郎ろうが（ファーブルの「昆虫こんちゅう記き」に合あわせ）付つけた[2]。内山うちやまは「動物どうぶつ物語ものがたり」だけではなく研究けんきゅう者しゃ、ボーイスカウト運動うんどう家かとしてのシートンをも日本にっぽんに広ひろめたかったため、これに反対はんたいしたが叶かなわなかった。この題名だいめいからの誤解ごかいは現在げんざいまで続つづいている。

この単行本たんこうぼんが爆発ばくはつ的てきな人気にんきとなり、1939年ねん11月から1940年ねん4月がつにかけて全ぜん4冊さつにまとめ再さい発行はっこう。1944年ねん2月がつにもう1冊さつ追加ついかし全ぜん5巻かんになる。この種たねのものとしては前例ぜんれいのないほどの部数ぶすうが発行はっこうされた。内山うちやまは1941年ねんには『シートン自叙伝じじょでん』（白はく揚よう社しゃ）と『シートン動物どうぶつ手帖てちょう』（三笠みかさ書房しょぼう）を、1942年ねんに『りす物語ものがたり』（フタバ書院しょいん成光なるみつ館かん）を追加ついかで刊行かんこう。生前せいぜんのシートンやその夫人ふじんに直接ちょくせつ資料しりょう的てき援助えんじょを受うけた内山うちやまは、戦後せんごの1951年ねん6月がつから1953年ねん12月にかけて『シートン全集ぜんしゅう』全ぜん19巻かん（18冊さつ＋別巻べっかん/評論ひょうろん社しゃ）を刊行かんこうした。

1965年ねんには阿部あべ知二ともじ訳わけで『シートン動物どうぶつ記き』全ぜん5巻かんが講談社こうだんしゃより刊行かんこうされ、講談社こうだんしゃ少年しょうねん文庫ぶんこ、講談社こうだんしゃ青あおい鳥とり文庫ぶんこに収録しゅうろくされた。

それから現在げんざいまで複数ふくすうの翻訳ほんやく者しゃ・出版しゅっぱん社しゃが刊行かんこうに関与かんよし、作品さくひんの構成こうせい・選択せんたくは各かく書籍しょせきによって全まったく異ことなっている。収録しゅうろくの日本語にほんご題名だいめいが異ことなっていることも珍めずらしくない（「狼おおかみ王おうロボ」「ロボ・カランポーの王おう」「ロボー」など）。また、1997年ねんには今泉いまいずみ吉晴よしはるが『シートン動物どうぶつ誌し』全ぜん12巻かんという題名だいめいの書籍しょせきを発行はっこうしている。これは『狩猟しゅりょう動物どうぶつの生活せいかつ （ Lives of Game Animals ）』全ぜん4巻かん（1925年ねん-1928年ねん）の日本語にほんご訳やくである。

動物どうぶつ物語ものがたり55編へん[編集へんしゅう]

以下いかには各かく作品さくひんの最初さいしょの単行たんこう本ほん収録しゅうろくを載のせており、初出しょしゅつの雑誌ざっし掲載けいさい時点じてんを書かいたものではない。 『狩猟しゅりょう動物どうぶつの生活せいかつ （ Lives of Game Animals ）』全ぜん4巻かん（1925年ねん-1928年ねん）など物語ものがたりの再さい録ろく単行たんこう本ほんは載のせていない。 また、ここに載のせているのはシートンによる動物どうぶつを中心ちゅうしんとした創作そうさく物語ものがたりであるが、『歴史れきしに残のこる動物どうぶつたち （ Great Historic Animals ）』（1937年ねん）には「実際じっさいにあった話はなしをそのまま書かいたもの」も多おおく含ふくまれている。この本ほんには17作品さくひん以外いがいに「ペットの野性やせい的てき習慣しゅうかん」「誰だれが英雄えいゆうだったか」という論文ろんぶんも併あわせて収録しゅうろくされている。

『私わたしの知しる野生やせい動物どうぶつ （ Wild Animals I Have Known ）』 （1898年ねん）より

  1. ロボ - カランポーの王おう （ Lobo, the King of Currumpaw ）
  2. 銀ぎんの星ほし - あるカラスの話はなし （ Silverspot, the Story of a Crow ）
  3. ギザ耳みみ坊ぼうや - 綿めん尾おウサギの話はなし （ Raggylug, the Story of a Cottontail Rabbit ）
  4. ビンゴ - 私わたしの犬いぬの話はなし （ Bingo, the Story of My Dog ）
  5. スプリングフィールドの狐きつね （ The Springfield Fox ）
  6. だく足あしのマスタング （ The Pacing Mustang ）
  7. ワリー - 孤こ犬けんの話はなし （ Wully, the Story of a Yaller Dog ）
  8. 赤あか襟巻えりまき - ドン渓谷けいこくのウズラの話はなし （ Redruff, the Story of the Don Valley Partridge ）

『サンドヒル牡鹿おしかの足跡あしあと （ The Trail of The Sandhill Stag ）』 （1899年ねん）より

  1. サンドヒル牡鹿おしかの足跡あしあと （ The Trail of The Sandhill Stag ）

『灰色はいいろ熊ぐまの伝記でんき （ The Biography of A Grizzly ）』 （1900年ねん）より

  1. ワーブ （ Wahb ）

『狩かられるものの生活せいかつ （ Lives of the Hunted ）』 （1901年ねん）より

  1. クラッグ - クートネー山さんのヒツジ （ Krag, the Kootenay Ram ）
  2. 街まちの吟遊詩人ぎんゆうしじん - 牡おすスズメの冒険ぼうけん物語ものがたり （ A Street Troubadour: Being the Adventures of a Cock Sparrow ）
  3. ジョニー熊ぐま - イエローストーン公園こうえんの小熊こぐま （ Johnny Bear ）
  4. 母かあさん小しょうガモと陸りくの旅路たびじ （ The Mother Teal and the Overland Route ）
  5. チンク - 子犬こいぬの成長せいちょう （ Chink : The Development of a Pup ）
  6. カンガルーネズミ （ The Kangaroo Rat ）
  7. ティトオ - 賢かしこくなったコヨーテの話はなし （ Tito: The Story of the Coyote that Learned How ）
  8. なぜコガラは年としに一いち度ど気きが狂くるうのか （ Why the Chickadee Goes Crazy ）

『タラク山さんの熊くま王おう （ Monarch the Big Bear of Tallac ）』 （1904年ねん）より

  1. モナーク （ Monarch ）

『動物どうぶつ英雄えいゆう伝でん （ Animal Heroes ）』 （1905年ねん）より

  1. 裏うら街がいの野良猫のらねこ （ The Slum Cat ）
  2. アルノウ - ある伝書でんしょバトの記録きろく （ Arnaux: The Chronicle of a Homing Pigeon ）
  3. バッドランドのビリー - 勝利しょうりを得えた狼おおかみ （ Badlands Billy: The Wolf that Won ）
  4. 少年しょうねんと大山おおやま猫ねこ （ The Boy and the Lynx ）
  5. 小ちいさな軍馬ぐんば - ある野のウサギの物語ものがたり （ Little Warhorse: The History of a Jack-rabbit ）
  6. スナップ - あるブルテリアの話はなし （ Snap: The Story of a Bull-terrier ）
  7. ウィニペグ狼おおかみ （ The Winnipeg Wolf ）
  8. 白しろトナカイの伝説でんせつ （ The White Reindeer ）

『銀ぎんギツネ物語ものがたり （ The Biography of a Silver Fox ）』 （1909年ねん）より

  1. ドミノ （ Domino ）

『野生やせい動物どうぶつの生いき方かた （ Wild Animal Ways ）』 （1916年ねん）より

  1. 暴あばれ馬うまコーリーベイ （ Coaly-Bay, the Outlaw Horse ）
  2. イノシシのあぶく坊ぼうや （ Foam-A Razor-Backed Hog ）
  3. ウェイアッチャ - キルダー川がわのアライグマ （ Way-Atcha, the Coon-Raccoon ）
  4. ビリー - 立派りっぱになった犬いぬの話はなし （ Billy, the Dog That Made Good ）
  5. 森もりの妖精ようせいコウモリの冒険ぼうけん （ Atalapha, a Winged Brownie ）
  6. ウィンディゴールの雁かり （ The Wild Geese of Wyndygoul ）
  7. 暴あばれ猿ざるジニー （ Jinny, The Taming of a Bad Monkey ）

『旗はた尾おリス物語ものがたり （ Bannertail, The Story of A Graysquirrel ）』 （1922年ねん）より

  1. 旗はた尾おリス物語ものがたり （ Bannertail, The Story of A Graysquirrel ）

『ホッキョクギツネの伝記でんき （ The Biography of An Arctic Fox ）』 （1937年ねん）より

  1. ホッキョクギツネの伝記でんき （ The Biography of An Arctic Fox ）

『歴史れきしに残のこる動物どうぶつたち / 狼おおかみを中心ちゅうしんとして （ Great Historic Animals / Mainly About Wolves ）』 （1937年ねん）より

  1. シショッカ / ウォスカと勇敢ゆうかんな子こ狼おおかみ （ Shishoka / Wosca and her valiant cub ）
  2. チリンガムの牡おす牛うし （ The Chillingham Bull ）
  3. マリーと狼おおかみ （ Little Marie and the Wolves ）
  4. ステップ上じょうの狼おおかみ （ The Wolf on the Running-board ）
  5. パドレイクと最後さいごのアイルランド狼おおかみ （ Padriatic and the Last of the Irish Wolves ）
  6. リンコーン - 夜よるの叫さけび （ Rincon, or The Call in the Night ）
  7. 狼おおかみと原始げんし的てき法律ほうりつ （ The Wolf and the Primal Law ）
  8. にんじん物語ものがたり （ The Story of Carrots ）
  9. アカリスの冒険ぼうけん （ The Adventures of Red Squirrel ）
  10. 女おんな熊ぐま （ The Female Bears ）
  11. 愛あいするものたちと輝かがやくもの （ The Lovers and the Shining One ）
  12. ネズミとガラガラ蛇へび （ The Rat and the Rattlers ）
  13. 砂漠さばくの妖精ようせいディポー （ Dipo: Sprite of the Desert ）
  14. ハンクとジェフ （ Hank and Jeff ）
  15. ジェヴォーダンの鬼おに狼おおかみ （ The Wolf Monster of Gevaudan ） ※伝説でんせつの小説しょうせつ化か。
  16. フランスの狼おおかみ王おうクルートー （ Courtaud, The King Wolf of France ） ※伝説でんせつの小説しょうせつ化か。
  17. 豹ひょうの恋人こいびと （ The Leopard Lover ）

『フランスの英雄えいゆう犬けんサンタナ （ Santana, The Hero Dog of France ）』 （1945年ねん）より

  1. フランスの英雄えいゆう犬けんサンタナ （ Santana, The Hero Dog of France ） ※シートンの絶筆ぜっぴつ。

上記じょうき以外いがいの著作ちょさく[編集へんしゅう]

以下いかは最初さいしょの単行たんこう本ほん収録しゅうろくであり、初出しょしゅつの雑誌ざっし掲載けいさい時点じてんを書かいたものではない。 再さい録ろく単行たんこう本ほんは載のせていない。『動物どうぶつの絵画かいが的てき解剖かいぼうの研究けんきゅう (Studies in the Art Anatomy of Animals)』 （1896年ねん）はシートンの処女しょじょ出版しゅっぱん作さく[3]で、日本にっぽんでは1997年ねんに『美術びじゅつのためのシートン動物どうぶつ解剖かいぼう図ず』という題名だいめいでマール社しゃから刊行かんこうされた。

漫画まんが化か・映像えいぞう化か等とう[編集へんしゅう]

漫画まんが化かや映像えいぞう化かがいくつも行おこなわれている。

漫画まんが
映画えいが
  • 『狼おおかみ王おうロボ』 - 原題げんだい『The Legend of Lobo』。1962年ねんのディズニー映画えいが。監督かんとく：ジェームズ・アルガー。
  • 『灰色はいいろグマの一生いっしょう』 - 原題げんだい『King of the Grizzlies』。1970年ねんのディズニー映画えいが。監督かんとく：ロン・ケリー。『灰色はいいろ熊ぐまの伝記でんき』を元もとにした作品さくひん。
アニメ等とう

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 内山うちやま賢次けんじ 「シートン動物どうぶつ記きを漫画まんが化かするにあたりて」 （白土しらつち三平さんぺい 『シートン動物どうぶつ記き』第だい1巻かん/1961年ねん12月8日にち発行はっこう/東邦とうほう漫画まんが出版しゅっぱん社しゃ）
  2. ^ 小林こばやし清之きよゆき介かい 「『ロボ』を書かくまで-シートンの足跡あしあと-」 （『児童じどう文芸ぶんげい』1991年ねん6月がつ号ごう/日本にっぽん児童じどう文芸ぶんげい家か協会きょうかい）
  3. ^ アーネスト・トンプソン・シートン/上野うえの安子やすこ・訳やく （『美術びじゅつのためのシートン動物どうぶつ解剖かいぼう図ず』/1997年ねん6月がつ20日はつか発行はっこう/マール社しゃ） P159

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 内山うちやま賢次けんじ『シートン全集ぜんしゅう』全ぜん19巻かん 評論ひょうろん社しゃ 1951-53

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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