ジュリア・クリステヴァ

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ジュリア・クリステヴァ
Julia Kristeva
人物じんぶつ情報じょうほう
生誕せいたん (1941-06-24) 1941ねん6月24にち(82さい
 ブルガリア スリヴェン
国籍こくせき  ブルガリア フランスの旗 フランス
出身しゅっしんこう ソフィア大学だいがく (せいクリメント・オフロドスキ・ソフィア大学だいがく)
学問がくもん
学派がくは ポスト構造こうぞう主義しゅぎ
研究けんきゅう分野ぶんや 哲学てつがく文学ぶんがく理論りろんフェミニズム
研究けんきゅう機関きかん パリだい7大学だいがく
博士はかせ課程かてい指導しどう教員きょういん リュシアン・ゴルドマン
主要しゅよう作品さくひんおんな時間じかん』『セメイオチケ』『詩的してき言語げんご革命かくめい
公式こうしきサイト
http://kristeva.fr/
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ジュリア・クリステヴァ(ユリア・クリステヴァ、Julia Kristeva / Юлия Кръстева、1941ねん6月24にち[1] - )は、ブルガリア出身しゅっしんのフランスの文学ぶんがく理論りろんいえで、著述ちょじゅつ哲学てつがくしゃ精神せいしん分析ぶんせきいえ[1]ユダヤけい家庭かていまれた[2]

人物じんぶつ[編集へんしゅう]

1965ねん給費きゅうひ留学生りゅうがくせいとしてパリに移住いじゅう[2]リュシアン・ゴルドマンロラン・バルトらの指導しどうけた[1]。1973ねんからパリだい7大学だいがく(ドゥニ・ディドロ)の教授きょうじゅつと[2][1]現在げんざい名誉めいよ教授きょうじゅ彼女かのじょ言語げんごがく言語げんごあいだテクストせいかんする著作ちょさくは、文学ぶんがくろん雑誌ざっしテル・ケル(Tel Quel)』の共同きょうどう編集へんしゅうしゃとしての活動かつどうとおして、ポスト構造こうぞう主義しゅぎてき議論ぎろんをその特徴とくちょうとしている。彼女かのじょは、フロイトラカン精神せいしん分析ぶんせきロシア・フォルマリズム彼女かのじょはそのなか仲介ちゅうかいしゃてき役割やくわりえんじていて、それによりミハイル・バフチンのフランスの知的ちてきシーンへの紹介しょうかいしゃとなった)やヘーゲル主義しゅぎから影響えいきょうけている。研究けんきゅう活動かつどう平行へいこうして、一連いちれん小説しょうせつ発表はっぴょうしている。

すでに1970年代ねんだいはじめからクリステヴァは、家父かふちょう社会しゃかいなかでの女性じょせいのアイデンティティの問題もんだいげてきた。その精神せいしん分析ぶんせきとの思想しそうてき親近しんきんせいのため、フェミニスト文芸ぶんげい理論りろん一部いちぶから非難ひなんけたこともある。それ以前いぜんには、その著作ちょさくジェンダー研究けんきゅう多大ただい影響えいきょうおよぼしていた時期じきもあるが、当時とうじ、「フェミニストてき」というばれかた彼女かのじょかたくなに拒絶きょぜつしていた。シモーヌ・ド・ボーヴォワールしょう設立せつりつ参加さんかし、2008ねんから2011ねんまで審査しんさいんちょうつとめた。

アラン・ソーカルらによって、数学すうがく科学かがく用語ようご不適切ふてきせつ使用しようした論文ろんぶんであるとの批判ひはんける(→ソーカル事件じけん参照さんしょう

パートナーは、フィリップ・ソレルス[3]

著作ちょさく[編集へんしゅう]

言語げんごがく文学ぶんがくろん精神せいしん分析ぶんせきをめぐる議論ぎろん[編集へんしゅう]

  • Le Langage, cet inconnu. Une initiation à la linguistique, SGPP, 1969 (publié sous le nom Julia Joyaux ; rééd. Seuil, Template:Coll no 125, 1981)
  • Semeiotikê. Recherches pour une sémanalyse, Seuil, 1969
    • 『セメイオチケ(1)記号きごう解体かいたいがく原田はらだ邦夫くにおやく(せりか書房しょぼう, 1983ねん
    • 『セメイオチケ(2)記号きごう生成せいせいろん中沢なかざわ新一しんいち原田はらだ邦夫くにお松浦まつうら寿夫としお松枝まつえだいたわけ(せりか書房しょぼう, 1984ねん
  • Le Texte du roman. Approche sémiologique d’une structure discursive transformationnelle, La Haye, Mouton, 1970
    • 『テクストとしての小説しょうせつ谷口たにぐちいさむやく国文こくぶんしゃ, 1985ねん
  • Des Chinoises, Éditions des femmes, 1974[4] ; rééd. Pauvert, 2001
  • La Traversée des signes (ouvrage collectif), Seuil, 1975
    • 記号きごう横断おうだん中沢なかざわ新一しんいちやく(せりか書房しょぼう, 1987ねん
  • Polylogue, Seuil, 1977
  • Folle Vérité (ouvrage collectif), 1979
  • Pouvoirs de l'horreur. Essai sur l'abjection, Seuil, 1980
  • Histoires d'amour, Denoël, 1983
  • Au commencement était l'amour. Psychanalyse et foi, Textes du XXe siècle, Hachette, 1985
    • はじめにあいがあった ― 精神せいしん分析ぶんせき信仰しんこう枝川えだがわ昌雄まさおやく法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱんきょく, 1987ねん
  • La Révolution du langage poétique. L'avant-garde à la fin du XIXe siècle, Lautréamont et Mallarmé, Point, 1985
    • 詩的してき言語げんご革命かくめい(1)理論りろんてき前提ぜんてい原田はらだ邦夫くにおやく(勁草書房しょぼう, 1991ねん
    • 詩的してき言語げんご革命かくめい(3)国家こっか枝川えだがわ昌雄まさお原田はらだ邦夫くにお松島まつしまただしわけ(勁草書房しょぼう, 2000ねん
  • Soleil noir. Dépression et mélancolie, Gallimard, 1987
    • くろ太陽たいようそもそもうつとメランコリー』西川にしかわ直子なおこやく(せりか書房しょぼう, 1994ねん
  • Étrangers à nous-mêmes, Fayard, 1988
    • 外国がいこくじんわれらのうちなるもの』池田いけだ和子かずこわけ法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱんきょく, 1990ねん新装しんそうばん2014ねん
  • おんな時間じかん棚沢たなざわ直子なおこ,天野あまの千穂子ちほこへんやく勁草書房しょぼう, 1991ねん)(日本語にほんごオリジナルへんやく。「おんなってけっしてそんなものじゃない」「おんなたちひとりひとり」「あたらしいタイプの知識ちしきじん――異端いたんしゃ」「『ポリローグ』以後いご」「あいという異端いたん倫理りんり」「せい他者たしゃ」「おんな時間じかん」「あいのアブジェ「「なにわないで」――《表象ひょうしょう禁止きんしに》ついて」「日本にっぽんてき《バロック》」を収録しゅうろく
  • Visions capitales, Réunion des musées nationaux, 1998
  • Les Nouvelles Maladies de l’Âme, Fayard, 1993
  • 彼方かなたをめざして ― ネーションとはなにか』支倉はせくら寿子ひさこ木村きむら信子のぶこへんやく(せりか書房しょぼう, 1994ねん)(日本語にほんごオリジナルへんやく
  • Le Temps sensible: Proust et l'expérience littéraire, Gallimard, 1994, rééd. Template:Coll, 2000
  • Le Génie féminin, Fayard, rééd. Gallimard, 2003–2004, Template:Coll :
  • Au risque de la pensée, Éditions de l'Aube, 2001
  • Cet incroyable besoin de croire, Bayard, 2007
  • Seule, une femme, Éditions de l'Aube, 2007
  • Du mariage considéré comme un des beaux-arts, avec Philippe Sollers, Fayard, 2015
  • Je me voyage. Mémoires, entretiens avec Samuel Dock, Paris, Fayard, 2016
  • Beauvoir présente, Fayard, 2016
    • 『ボーヴォワール』ぐりわきえいしょう中村なかむらあややく法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱんきょく、2018ねん
  • Dostoïevski (anthologie), Buchet/Chastel, 2020

小説しょうせつ[編集へんしゅう]

  • Les Samouraïs, 1990
  • Le Vieil Homme et les loups, 1991
  • Possessions, 1996
  • Meurtre à Byzance, 2004
  • Thérèse mon amour, récit, Fayard, 2008
  • L'Horloge enchantée, Fayard, 2015

発表はっぴょう作品さくひんしゅう[編集へんしゅう]

  • La Haine et le pardon, texte établi, présenté et annoté par Pierre-Louis Fort, Fayard, 2005
  • Pulsions du temps, texte établi, présenté et annoté par David Uhrig, Fayard, 2013

邦訳ほうやく論文ろんぶん

  • 快楽かいらく彼岸ひがんおんなたち」下澤しもざわ和義かずよしやく, 『現代げんだい思想しそう』1995ねん10がつ臨時りんじ増刊ぞうかんごう所収しょしゅう
  • 「フロイトの聖母せいぼ木村きむら信子のぶこやく, 棚沢たなざわ直子なおこへんおんなたちのフランス思想しそう』(勁草書房しょぼう, 1998ねん)

共著きょうちょ[編集へんしゅう]

受賞じゅしょうれき[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d 世界せかい文学ぶんがくだい事典じてん編集へんしゅう委員いいんかい 1996, p. 930.
  2. ^ a b c クリステヴァ 2006, p. 328.
  3. ^ 橋爪はしづめ 1988, p. 209.
  4. ^ Julia Kristeva. "Des Chinoises". desfemmes.fr (フランス語ふらんすご). 2023ねん7がつ13にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]