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ジヴァニア

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
A bottle of Cypriot Zivania.

ジヴァニアギリシャ: ζιβανία, ζιβάνα, トルコ: Zivaniya)とは、地中海ちちゅうかいキプロスとう伝統でんとうてき生産せいさんされてきた、おもブドウ原料げんりょうとする蒸留酒じょうりゅうしゅ、すなわちブランデー(グレープ・ブランデー)の1しゅである。ただし、おなじくブドウをおも原料げんりょうとするものの、混成こんせいしゅとしてつくられるジヴァニアも存在そんざいする。また、基本きほんてきにはホワイトスピリッツ(無色むしょく透明とうめい蒸留酒じょうりゅうしゅ)だが、長期ちょうき貯蔵ちょぞうおこなうなどして、有色ゆうしょくとなったジヴァニアも存在そんざいする。

概要がいよう

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ジヴァニアは、病気びょうきぼうなどをのぞせんはて作業さぎょうた、じゅくしたブドウ果実かじつのみからつくられる。このブドウは、キプロスとう栽培さいばいされているブドウ(XynisteriしゅやMavroしゅ)である。このブドウを醸造じょうぞうしてつくった辛口からくちワインと、ワイン生産せいさんさいなどに発生はっせいする、ポマースブドウしぼりかす)とを混合こんごうして、専用せんよう蒸留じょうりゅう蒸留じょうりゅうすることによってジヴァニアは製造せいぞうされる。そのは、基本きほんてき熟成じゅくせいなどをおこなわない、いわゆるホワイトスピリッツ(無色むしょく透明とうめい蒸留酒じょうりゅうしゅ)として仕上しあげられる。このため、基本きほんてき糖分とうぶんなどは製品せいひんふくまれない [注釈ちゅうしゃく 1]

ただし、ジヴァニアの製法せいほうほかにも存在そんざいする。まず、ポマースを使用しようせずに、地元じもとさんのワインを蒸留じょうりゅうしてつくった、いわゆる通常つうじょうのグレープ・ブランデーの原酒げんしゅ [注釈ちゅうしゃく 2]同等どうとうのジヴァニアも存在そんざいする。したがって、こちらもホワイトスピリッツで、糖分とうぶんなどは製品せいひんふくまれない。そしてもう1つが、上記じょうきいずれかの製法せいほうつくられた蒸留酒じょうりゅうしゅのジヴァニアに、ポマースをんで、さらにそれをみず希釈きしゃくしてつくる、混成こんせいしゅのジヴァニアである。こちらは、のタイプのジヴァニアとは性質せいしつことにする。

ただ、いずれの製法せいほうのジヴァニアも、レーズンのようなかおりをつという特徴とくちょう存在そんざいする。また、だいたいアルコール度数どすうは45%程度ていど製品せいひんされる。そして蒸発じょうはつなどがこらないように密封みっぷうされて出荷しゅっかされる。

以上いじょうのような比較的ひかくてき短期間たんきかんつくられるジヴァニア以外いがいに、長期ちょうき貯蔵ちょぞうおこなった特別とくべつなジヴァニアも存在そんざいする。また、キプロスとういくつかのむらでは、ジヴァニアにシナモンんで仕上しあげられた、赤色あかいろていした混成こんせいしゅつくられてきた [注釈ちゅうしゃく 3]

歴史れきし

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ジヴァニアは、おそくとも1879ねんにはキプロスとうつくられていたことをしめ文献ぶんけんのこっている [1] 。 そして1989ねんからは、EUによって、キプロスとうつくられた、上記じょうき製法せいほうのグレープ・ブランデー [注釈ちゅうしゃく 4] 以外いがいは「ジヴァニア」を名乗なのってはならないと規定きていされている [2]

キプロスでの慣習かんしゅう

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キプロスとうでジヴァニアは、さけの1つとしてたのしまれてきたのはわずもがなである。なお、ジヴァニアをさい、いわゆるつまみものとして、乾燥かんそうさせたナッツるいや、地元じもと料理りょうり用意よういする場合ばあいもある。また、近年きんねんではジヴァニアを冷凍庫れいとうこやしてからむといったたのしみかたもされる。

このようにさけとしてたのしむ以外いがいに、つぎのような目的もくてきでもジヴァニアは利用りようされてきた。1つは、傷口きずぐち治療ちりょう消毒しょうどく)、身体しんたいいた場所ばしょマッサージするときる、風邪かぜやく歯痛しつう治療ちりょうといった、治療ちりょう目的もくてきとした利用りようがなされてきた。もう1つは、とく山間さんかんむら々において、ふゆ身体しんたいあたためるためのものとしての利用りようもなされてきた。

このほか長期ちょうき貯蔵ちょぞう されたジヴァニアは、高級こうきゅうひんとしてあつかわれてきた。この特別とくべつなジヴァニアは、なにかの行事ぎょうじときまれてきたり、客人きゃくじんをもてなすときされたりしてきた。

また、すんでじゅつとおり、いくつかのむらでは、ジヴァニアをベース(原料げんりょう)とした混成こんせいしゅつくられてきた。この混成こんせいしゅは、ジヴァニアにシナモンんでつくられており、まれたシナモンの影響えいきょうさけ赤色あかいろていし、またシナモンのかおりもくわわる。

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ただし、出荷しゅっかするまで、腐食ふしょくしないようにメッキ処理しょりおこなった金属きんぞくせいのタンクに貯蔵ちょぞうする場合ばあいもあるものの、新品しんぴん木製もくせい容器ようき貯蔵ちょぞうする場合ばあいもあるため、木製もくせい容器ようき使つかった場合ばあいいろ可能かのうせいもある。なお、いずれの貯蔵ちょぞう容器ようき蒸発じょうはつこらないように密封みっぷうされている。
  2. ^ ここで通常つうじょうのグレープ・ブランデー(いわゆる通常つうじょうワインからつくられたブランデー)の原酒げんしゅというのは、ブドウからつくった醸造じょうぞうしゅ、すなわち、一般いっぱんてきワイン蒸留じょうりゅうしただけの無色むしょく透明とうめい蒸留酒じょうりゅうしゅのこと。一般いっぱんてきなブランデーは、この原酒げんしゅ木製もくせいたる熟成じゅくせいさせる。このたる熟成じゅくせいえたのちのブレンドをおこなまえの、いわゆる琥珀こはくしょく原酒げんしゅという意味いみではない。あくまで蒸留じょうりゅうからられたままの、無色むしょく透明とうめい原酒げんしゅである。
  3. ^ 「ジヴァニアをベース(原料げんりょう)とした混成こんせいしゅ」と表記ひょうきしてあるてん注意ちゅうい。EUけんにおいてリキュール名乗なのるためには、一定いってい以上いじょう濃度のうど糖分とうぶんふくまれている必要ひつようがある。(くわしくはEUにおけるリキュールの定義ていぎふし参照さんしょうのこと。)
  4. ^ ブランデーの分類ぶんるいの1つの方法ほうほうとして、グレープ・ブランデーとフルーツ・ブランデーとに分類ぶんるいすることがある。ブドウもフルーツ(果物くだもの)の1しゅなのだが、ブドウを原料げんりょうとしたブランデーだけは「グレープ・ブランデー」とばれて区別くべつされる。また、たんに「ブランデー」とった場合ばあい通常つうじょうは、このグレープ・ブランデーをすのだが、原料げんりょうをハッキリさせるために、えて「グレープ・ブランデー」と表記ひょうきしてある。ちなみに、もう一方いっぽうの「フルーツ・ブランデー」とうのは、ブドウ以外いがい果物くだものたとえば、リンゴ、ナシ、スモモなどでつくられるブランデーすべてをふくむ。ただし、「*・ブランデー」とさけなかにはリキュール分類ぶんるいされるさけもあって、それはフルーツ・ブランデーにふくまれないので、混同こんどうしないよう注意ちゅういされたい。このグレープ・ブランデーとフルーツ・ブランデーという分類ぶんるいは、あくまで蒸留酒じょうりゅうしゅのブランデーの分類ぶんるいであって、リキュールの分類ぶんるいではない。

出典しゅってん

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  1. ^ Samuel W. Baker (1879). "Cyprus, as I Saw it in 1879." p.120 Project Gutenberg (Etext edition, 2003). ISBN 1-84637-912-1
  2. ^ "The name ‘grape marc’ or ‘grape marc spirit’ may be replaced by the designation Zivania solely for the spirit drink produced in Cyprus."