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ステント

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ステントとは、人体じんたい管状かんじょう部分ぶぶん血管けっかん気管きかん食道しょくどう十二指腸じゅうにしちょう大腸だいちょう胆道たんどうなど)をかん腔内からひろげる医療いりょう機器ききである。おおくの場合ばあい金属きんぞくでできた網目あみめつつじょうのもので、治療ちりょうする部位ぶいおうじたものをもちいる。

語源ごげん

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「ステント」の語源ごげんとしては、19世紀せいき英国えいこく歯科しかであったチャールズ・ステント英語えいごばん[1](Charles Thomas Stent)の名前なまえ由来ゆらいするといわれている[2]

おもなステント治療ちりょう

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狭心症きょうしんしょう急性きゅうせい心筋梗塞しんきんこうそく急性きゅうせいかんむり症候群しょうこうぐん
冠動脈かんどうみゃく狭窄きょうさくしている部分ぶぶんにステントを留置りゅうちして血管けっかん内部ないぶからささえ、狭窄きょうさく改善かいぜんして十分じゅうぶんりゅう治療ちりょう方法ほうほうである。先端せんたんにステントをせたバルーンカテーテルを、大腿だいたい動脈どうみゃくうで動脈どうみゃくから血管けっかん挿入そうにゅうする。バルーンを狭窄きょうさくすすめ、そこでひろげるとステントもひろがり、狭窄きょうさく改善かいぜんされる。ひろがったステントをのこしてバルーンカテーテルをってもステントは血管けっかんないのこり、狭窄きょうさく部分ぶぶん内側うちがわからささつづける。ステントは異物いぶつであるので、ステント血栓けっせんしょう発生はっせい可能かのうせいがあり、この予防よぼうのためにステント留置りゅうちてい用量ようりょうアスピリン長期ちょうき投与とうよと、P2Y12受容じゅようたい拮抗きっこうやく一般いっぱんてきにはクロピドグレル)の1年間ねんかん投与とうよによる2ざいこう血小板けっしょうばん療法りょうほう有用ゆうようであると報告ほうこくされている[3]ポリマーエベロリムスなどの薬剤やくざい溶出ようしゅつするようにし、さい狭窄きょうさくふせ薬剤やくざい溶出ようしゅつステント (DES) も実用じつようされている。海外かいがいでは、留置とめおき一定いってい期間きかん経過けいかしたのち生体せいたい分解ぶんかい吸収きゅうしゅうされるステントも発売はつばいされている。
大動脈だいどうみゃくこぶ
がんによる気管きかん食道しょくどう十二指腸じゅうにしちょう大腸だいちょう胆道たんどうなどの狭窄きょうさく
がんにより気管きかん食道しょくどう十二指腸じゅうにしちょう大腸だいちょう胆道たんどう狭窄きょうさくし、呼吸こきゅう不全ふぜん食事しょくじれなくなることや、便通べんつう不全ふぜんふせぐ。当然とうぜんのことながら、がんそのものの治療ちりょうではないが、がん切除せつじょ不能ふのう場合ばあい患者かんじゃ生存せいぞん期間きかんちゅうQOL維持いじするために、使用しようされる。胆道たんどうステントの場合ばあいは、胆汁たんじゅう肝臓かんぞうないから排出はいしゅつされることをたすけ、よって黄疸おうだん発生はっせいふせぐ。
のう梗塞こうそく
バルーン、もしくはフィルターを狭窄きょうさく部位ぶいよりのうちかいところに準備じゅんびしたあと、狭窄きょうさく部位ぶい風船ふうせんひろげ、そのにステントが格納かくのうされたカテーテルを狭窄きょうさくのあった部位ぶいまで誘導ゆうどうして留置りゅうちする。
ステントグラフトない挿術
1990ねんごろよりアルゼンチンのパロディ医師いしによってはじめられた、大動脈だいどうみゃくこぶ治療ちりょうたいする治療ちりょう方法ほうほうひとつ。ステントと一体化いったいかした人工じんこう血管けっかん動脈どうみゃくこぶうちこぶないへのりゅう遮断しゃだんし、こぶ破裂はれつ予防よぼうする治療ちりょう方法ほうほうあるじには自己じこ拡張かくちょうがたのステントにダクロン素材そざい人工じんこう血管けっかん装着そうちゃくされたステントグラフトをそれが収納しゅうのうされたデリバリーシステムごと、大腿だいたい動脈どうみゃくなどよりオーバーザワイヤーにて治療ちりょう部位ぶいにアプローチし展開てんかい拡張かくちょうすることによって治療ちりょう効果こうかる。

ステントの種類しゅるい

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  • 素材そざいとしては医療いりょうようステンレスである316Lステンレス、タンタルコバルト合金ごうきんニチノールえい: nitinolニッケルチタン合金ごうきん
  • 製法せいほうとしては、金属きんぞくせいつつをレーザーカットして形成けいせいしたものみじかいセルを連結れんけつしたもの、ワイヤーをんで形成けいせいしたものなどがある。
  • 金属きんぞく露出ろしゅつしたベアメタルステントと、ベアメタルステントにePTFEまく(センチュリーメディカルしゃ Niti-s ComViステント)、シリコンまく(ボストン・サイエンティフィックしゃ きもかんようカバードウォールステント)、ポリウレタンまくボストン・サイエンティフィックしゃ ウルトラフレックス気管きかん気管支きかんしようステント/メディコス・ヒラタしゃ きもかんようカバードスパイラルZステント)などをかぶせたカバードステントがある。また、ダクロンまくかぶせたきもかんようカバードステントも過去かこには存在そんざいした。これらのカバードステントは現在げんざいおも血管けっかんけいおおもちいられている。ePTFEまくもちいたカバードステントはおも冠動脈かんどうみゃくようとしてもちいられている。
  • 薬剤やくざい溶出ようしゅつせいステント (Drug Eluting Stents: DES) はベアメタルステントの表面ひょうめんに、細胞さいぼう増殖ぞうしょく抑制よくせいする薬剤やくざい塗布とふしている。薬剤やくざいは1~3ヶ月かげつ程度ていど溶出ようしゅつする。薬剤やくざい塗布とふおよび溶出ようしゅつのコントロールのためにポリマーを使つかうのが一般いっぱんてきである。
  • 留置とめおき方法ほうほうから、バルーンエクスパンダブルタイプ(バルーン拡張かくちょうがた)とセルフエクスパンダブルタイプ(自己じこ拡張かくちょうがた)に大別たいべつされる。おも胸腔きょうこうない血管けっかん冠動脈かんどうみゃく小児しょうにはい動脈どうみゃくなど)にはバルーンエクスパンダブルタイプ、それ以外いがい末梢まっしょう血管けっかんおよきもかん消化しょうかかんにはセルフエクスパンダブルタイプがもちいられることおおい。
  • バルーンエクスパンダブルタイプは内側うちがわから狭窄きょうさくささえ、たいしてセルフエクスパンダブルタイプは内側うちがわからひろつづける。
  • 大動脈だいどうみゃくようステントグラフトもカバードステントの一種いっしゅで、まくにはおもにダクロンまくとePTFEまくもちいられている。日本にっぽんにおけるステントグラフトとして、企業きぎょうせいもの認可にんかされるまではだい口径こうけいZステントにシンウォール人工じんこう血管けっかん装着そうちゃくした自作じさくステントグラフトなどがもちいられてきた。現在げんざい企業きぎょうせいものとして以下いかもの市場いちば供給きょうきゅうされている。

腹部ふくぶ大動脈だいどうみゃくこぶ治療ちりょうよう

  • クックジャパン株式会社かぶしきがいしゃ     ゼニスFlex AAA エンドバスキュラーグラフト
  • ジャパンゴアテックス株式会社かぶしきがいしゃ  エクスクルーダーYがたステントグラフトシステム
  • 日本にっぽんライフライン株式会社かぶしきがいしゃ  AFX2ステントグラフトシステム
  • 日本にっぽんメドトロニック株式会社かぶしきがいしゃ   ENDURANTステントグラフトシステム

胸部きょうぶ大動脈だいどうみゃくこぶ治療ちりょうよう

  • ジャパンゴアテックス株式会社かぶしきがいしゃ  ゴアC-TAG胸部きょうぶ大動脈だいどうみゃくステントグラフトシステム
  • クックジャパン株式会社かぶしきがいしゃ     ゼニスTX2 TAAエンドバスキュラーグラフト
  • 日本にっぽんメドトロニック株式会社かぶしきがいしゃ   VALIANT Captivia胸部きょうぶステントグラフトシステム
  • テルモ株式会社かぶしきがいしゃ RELAY plus
  • 川澄かわすみ化学かがく株式会社かぶしきがいしゃ Najuta

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 川田かわた志明しめい. “冠動脈かんどうみゃくかべささえるステント”. 耳寄みみよりな心臓しんぞうはなしだい23. 日本にっぽん心臓しんぞう財団ざいだん. 2015ねん5がつ12にち閲覧えつらん:人名じんめいカタカナ表記ひょうき
  2. ^ Ariel Roguin (2011). “Stent: The Man and Word Behind the Coronary Metal Prosthesis”. Circulation: Cardiovascular Interventions 4 (2): 206-209. doi:10.1161/CIRCINTERVENTIONS.110.960872. 
  3. ^ JAMA 2013 Jul 10; 310:189.

関連かんれん項目こうもく

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