セスナ 172

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セスナ 172

セスナ 172

セスナ 172

  • 用途ようと訓練くんれん自家用じかよう遊覧ゆうらん報道ほうどう観測かんそく
  • 分類ぶんるいけい飛行機ひこうきおおきさによる分類ぶんるい
  • 製造せいぞうしゃセスナしゃ
  • 運用うんようしゃ個人こじん航空機こうくうき使用しよう事業じぎょうしゃなど
  • はつ飛行ひこう1955ねん11月
  • 生産せいさんすう:43,000+[1]
  • 生産せいさん開始かいし:1956ねん
  • 運用うんよう開始かいし:1956ねん
  • 運用うんようじょうきょう運用うんようちゅう
  • ユニットコスト

セスナ スカイホーク(Cessna Skyhawk)(セスナ 172)は、セスナ機せすなき一種いっしゅであり、4座席ざせき単発たんぱつプロペラ推進すいしんこうつばさしきけい飛行機ひこうきで、セスナ・エアクラフト・カンパニー以下いかセスナしゃ略称りゃくしょうする)が製造せいぞうしているけい飛行機ひこうきである。1955ねんはつ飛行ひこうよく1956ねんわたしがはじまった。シリーズめいべつ集計しゅうけいした場合ばあい、2015ねん時点じてん累計るいけい生産せいさんすうは4まん5せんたっし、歴史れきしじょう世界せかいもっとおお生産せいさんされている機体きたいシリーズである。

当初とうしょはモデルナンバーのセスナ 172(Cessna 172)の名称めいしょう販売はんばいされていたが、現在げんざいでは愛称あいしょうだったスカイホーク(Skyhawk)を商品しょうひんめいとしている[4]

日本にっぽんでは「セスナ・セスナ機せすなき」がけい飛行機ひこうき代名詞だいめいしになっている。

開発かいはつ[編集へんしゅう]

1920年代ねんだい製造せいぞうされたセスナしゃ最初さいしょ製品せいひんの「モデルA」をると、当時とうじ機体きたい材料ざいりょうきんこん構造こうぞう骨組ほねぐみぬのりといった相違そういてんもあるが、現在げんざいのセスナしゃ製造せいぞうする単発たんぱつけい飛行機ひこうきこうつばさ配置はいち単葉たんようという基本きほんデザインの片鱗へんりんうかがうことができる。1930年代ねんだいだい恐慌きょうこう直後ちょくご開発かいはつされた「モデルEC-1」や「モデルEC-2」をれば、ランディングギア配置はいちのぞきほぼ現在げんざいのモデル 172とほぼおなじデザインに到達とうたつしていたことがほどける。

セスナしゃ自社じしゃ設計せっけいした飛行機ひこうきうち民間みんかんについてはだい大戦たいせんのち開発かいはつされた機体きたいシリーズから3けた数字すうじの「モデルナンバー」であらわすようになった。

モデル 172のデザインのもととなる直系ちょっけい機体きたいシリーズはモデル 170である。モデル 170は、こうつばさ配置はいち単葉たんようつばさ金属きんぞくせいセミモノコック構造こうぞう胴体どうたい水平すいへい対向たいこう空冷くうれいピストンエンジン採用さいようしていた。モデル 172においてもこれらの基本きほんデザインは踏襲とうしゅうされた。一方いっぽうランディングギア形式けいしきしきから前輪ぜんりんしきに、主翼しゅよくそとばん布製ぬのせいから金属きんぞくせい変更へんこうされた。垂直すいちょく尾翼びよくかたち楕円だえんかたから矩形くけい変更へんこうとなった。

エンジンは当初とうしょコンチネンタルせい採用さいようしていたが、1967ねんのモデル 172Iからライカミングせい変更へんこうされている。小型こがたプロペラにはハーツェル・プロペラ採用さいようされることがおおいが、セスナではモデル 170からMTプロペラ製品せいひん採用さいようしており、モデル 172でもMTプロペラが採用さいようされた。しかしセスナがテキストロン傘下さんかとなって以降いこうは、おなじくテキストロン傘下さんかとなったマコーレイ・プロペラ・システムズがセスナの子会社こがいしゃとなり、プロペラは同社どうしゃせい金属きんぞくせい2翅(固定こていピッチ)に変更へんこうされた。

モデル 172の最初さいしょ飛行ひこうは1955ねんおこなわれた。このとし量産りょうさん開始かいしし、1956ねんからわたしがはじまった。

以降いこうとしるにしたがすこしずつ改良かいりょうかさつづけ、次々つぎつぎあたらしい型式けいしき開発かいはつ製造せいぞうつづけた(とく1960年代ねんだいはセスナしゃ意向いこう当時とうじ自動車じどうしゃメーカーと同様どうよう毎年まいとしあたらしいモデルをしていた)。その1980年代ねんだいには、製造せいぞうぶつ責任せきにんほうがらみの問題もんだい事業じぎょう採算さいさんせい理由りゆうとして、182スカイレーン206ステーショネアなどのほかのモデルととも製造せいぞう中止ちゅうしうれいをけることとなる。1996ねんには製造せいぞう販売はんばい再開さいかいされた。

製造せいぞうすうおおいため練習れんしゅう撮影さつえいなどの事業じぎょうようから個人こじん所有しょゆう遊覧ゆうらんまでゼネラル・アビエーションでの採用さいようおおい。これはこうつばさしきのため安定あんていせいたかく、習熟しゅうじゅくした操縦そうじゅう教官きょうかん整備せいびおおいため操縦そうじゅう学校がっこうおお採用さいようされており訓練くんれんけた人間にんげんおおいこと、中古ちゅうこやアフターパーツが豊富ほうふ流通りゅうつう比較的ひかくてきてい価格かかくであるためである。

基本きほん形状けいじょうはほとんど変更へんこうされていないため飛行ひこう特性とくせい変化へんかしていないが、グラスコックピット採用さいようなどアビオニクスのアップグレードや、素材そざい変更へんこう定期ていきてきっている[4]操縦そうじゅう伝統でんとうてき計器けいきばんからりょう手持てもちタイプである。当初とうしょ8を横倒よこだおしにした形状けいじょうだったが、のちやまがた変更へんこうされた。

Robert TimmJohn Cook は、ラスベガスマッカラン国際こくさい空港くうこうからち、1958ねん12月4にちから1959ねん2がつ7にちに64にち22あいだ19ふん5びょう滞空たいくう時間じかん記録きろく保持ほじしている。給油きゅうゆ走行そうこうちゅうのトラックからおこなった。1987ねんマチアス・ルストがモスクワのあか広場ひろば着陸ちゃくりくしたときにも使用しようされた。

軍用ぐんようがたT-41 メスカレロばれる。

型式けいしき一覧いちらん[編集へんしゅう]

172
初期しょきがたのセスナ 172, 1957がたのように "fastback"尾翼びよく後部こうぶまどく、"正方形せいほうけい"の尾翼びよく特徴とくちょう
モデル 172の基本きほん型式けいしきである。最初さいしょ機体きたいは1955ねん製造せいぞう開始かいしされ、1956ねんからわたしがはじまった。1960ねん初頭しょとうしん型式けいしき172Aが登場とうじょうするまで製造せいぞうつづけた。コンチネンタルしゃせいO-300(145hp)水平すいへい対向たいこう6気筒きとう空冷くうれいエンジンを搭載とうさいし、最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうは2,200lb(998kg)である。オプションしの当時とうじ基本きほん価格かかくで8,995あめりかドルであった。1960ねん製造せいぞう終了しゅうりょうとなるまでの5年間ねんかん合計ごうけい4,195製造せいぞうされた。1956ねんモデルともいう。
172A
172Aは172の後継こうけい型式けいしきであり、1959ねん型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし、1960ねんわたしがはじまった2番目ばんめ型式けいしきである。垂直すいちょく尾翼びよく平面へいめん形状けいじょう矩形くけいからテーパーがた変更へんこうし、後退こうたいかくをつけた。燃料ねんりょう搭載とうさいりょう若干じゃっかんやした。価格かかくは9,450あめりかドルで合計ごうけい1,050製造せいぞうされた。1960ねんモデルともいう。
172B
172Bは1960ねん型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし、1961ねんからわたしがはじまった3番目ばんめ型式けいしきである。ランディングギアながさをいくふん短縮たんしゅくさせ、エンジンマウント位置いちを3インチほど前方ぜんぽうにずらしてエンジンカウルさい整形せいけいし、さらプロペラスピナー先端せんたんするどくさせ、そらりょくてき性能せいのう向上こうじょうねらった。またこの型式けいしきには標準ひょうじゅん装備そうびがたとデラックス装備そうびがたの2種類しゅるい製造せいぞうされて、後者こうしゃには「スカイホーク」という愛称あいしょうけられた。現在げんざいはモデル 172の機種きしゅ全体ぜんたい愛称あいしょうとなっている「スカイホーク」という名称めいしょうがこのときはじめて使用しようされるようになった。デラックス装備そうびがた当時とうじけい飛行機ひこうきではまだめずらしかったジャイロ計器けいき搭載とうさいし、計器けいき飛行ひこう可能かのうとした。また172Bにはフロートけた水上すいじょうかた製造せいぞうされた。水上すいじょうがた場合ばあい直径ちょっけいおおきくしてピッチかくよわめたプロペラ使用しようした。1961ねんモデルともいう。
172C
172Cは1961ねん型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし、1962ねんからわたしがはじまった。この型式けいしきからオプションでオートパイロット搭載とうさい選択せんたくできるようになった。エンジン始動しどう方法ほうほうリコイルスターターしきからセルモーターによるキースターターしき変更へんこうされた。座席ざせきのポジションは、6段階だんかい調整ちょうせい可能かのうとなった。オプションで貨物かもつしつチャイルドシートを2せき設置せっちできるようになった。機体きたい基本きほん価格かかくは9,895あめりかドルであった。この型式けいしきけい889製造せいぞうされた。この型式けいしき最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうは2,250lb(1,021kg)に増加ぞうかした。1962ねんモデルともいう。
172D
172Dは1962ねん型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし、1963ねんからわたしがはじまった。機体きたい構造こうぞう見直みなおしてキャビン後方こうほうまどもうけられた。これにより機体きたい真後まうしろの視界しかい確保かくほされることとなり操縦そうじゅうせい向上こうじょうした。セスナしゃではこの後方こうほうまどをオムニビジョンとしょうして、最初さいしょに1962ねんにモデル 182および210に採用さいようし、翌年よくねんこの172Dに導入どうにゅうした。またあたらしくラダーペダルブレーキペダル統合とうごうしたペダルをそなえた。これによりタキシングどき操縦そうじゅうせい向上こうじょうした。この型式けいしきから最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうは2,300lb(1,043kg)となった。この型式けいしきけい1,146製造せいぞうされた。1963ねんモデルともいう。
くわえて、172Dでは高性能こうせいのうがた製造せいぞうされ、172D パワーマチック命名めいめい製造せいぞうされた。この高性能こうせいのうがた搭載とうさいエンジンをコンチネンタルしゃせいGO-300E変更へんこうした。このエンジンは、O-300をこう回転かいてんすることで出力しゅつりょくアップさせ、減速げんそくギアボックスをかいしてプロペラを回転かいてんする仕組しくみとなっている。これにより、プロペラじく回転かいてん低速ていそくおさえつつ、エンジン出力しゅつりょくが175hpに向上こうじょう最高さいこう巡航じゅんこう速度そくどが11mph(18km/h)はやくなった。このエンジンはすでべつ機種きしゅであるモデル175に搭載とうさい製造せいぞうされていたが、172D パワーマチックにがれモデル175は製造せいぞう終了しゅうりょうした。
172E
セスナ 172Eの計器けいきばん
172Eは1963ねん型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし、1964ねんからわたしがはじまった。この型式けいしきでは電装でんそうけい漏電ろうでん遮断しゃだんヒューズからサーキットブレーカー変更へんこうした。また計器けいきパネルのさい設計せっけいおこなった。この型式けいしきけい1,401製造せいぞうされた。
172F
1964ねんしきセスナ 172F
172Fは1964ねん型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし、1965ねんからわたしがはじまった。この型式けいしきではフラップ操作そうさ従来じゅうらいのレバーハンドルを使つかった人力じんりき駆動くどうしきから電気でんき駆動くどうしき変更へんこうした。またフランスでもランス・セスナしゃがこの型式けいしき製造せいぞうおこない、F172としてした。ランスの製造せいぞうは1971ねんまでおこなわれた。この型式けいしきは、アメリカ空軍くうぐん初等しょとう練習れんしゅうとして採用さいようしたT-41Aメスカレロもととなった。T-41Aは60年代ねんだいつうじて70年代ねんだい前半ぜんはんまで運用うんようされた。この型式けいしきけい1,436製造せいぞうされた。
172G
1966ねんしきセスナ F172G
172Gは1965ねん型式けいしき認証にんしょう取得しゅとくし、1966ねんわたしがはじまった。価格かかくは、標準ひょうじゅんがたが12,450あめりかドル、アップグレードがたのスカイホークが13,300あめりかドルであった。この型式けいしきは、けい1,597製造せいぞうされた。
172H
172Hは1966ねん型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし、1967ねんわたしがはじまった。コンチネンタルしゃせいO-300エンジンを搭載とうさいする最後さいご型式けいしきとなった。ぜんあし緩衝かんしょうながさを短縮たんしゅく空気くうき抵抗ていこう低減ていげんねらった。あたらしい亀裂きれつ発生はっせいしにくいエンジンカウルが開発かいはつされた。同時どうじに、エンジンのマウントはあたらしく振動しんどう吸収きゅうしゅうせいのあるものに変更へんこうされコックピットない騒音そうおん低減ていげんされた。失速しっそく警告けいこくのホーンを電気でんきしきから空気圧くうきあつしき変更へんこうした。この型式けいしき販売はんばい価格かかくは、標準ひょうじゅんがたが10,950あめりかドルで、アップグレードがたのスカイホークが12,750あめりかドルであった。この型式けいしきは、けい839製造せいぞうされた。販売はんばいすうはじめてぜん型式けいしき成績せいせき下回したまわった。
172I
150hp(112kw)のライカミング O-320-E2Dエンジンを装備そうびした1968ねんしきセスナ 172I
172Iは1967ねん型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし、1968ねんわたしがはじまった。この型式けいしきからエンジンがコンチネンタルしゃせいからライカミングせい変更へんこうされた。エンジンの型式けいしきライカミング O-320-E2Dであり、以前いぜんのエンジンのコンチネンタル O-300より5 hp(3.7kW)ほど出力しゅつりょくアップし150 hp(112kW)となった。またスピードも向上こうじょうたい速度そくどで130mph(209km/h)から131mph(211km/h)へとなった。上昇じょうしょうりつわらず645ft(197m)/ぶんのままである。この型式けいしきから操縦そうじゅう計器けいき配置はいちはじめてTがた配置はいちとなった。この型式けいしきけい1,206製造せいぞうされぜん型式けいしき製造せいぞうすう上回うわまわった。
172J
セスナしゃは、これまでずっとつづいてきたモデル172シリーズの基本きほん設計せっけいを、廃棄はいきしようと計画けいかくしていた。これまでの主翼しゅよく支柱しちゅう支持しじ補強ほきょうするかたちから、かたしき支柱しちゅういすっきりとしたデザインにして、172Jとしてそうとかんがえていた。しかし販売はんばい計画けいかくもとづく設計せっけい完了かんりょう期限きげんちかづくと、販売はんばいディーラーたちがもと機体きたいのデザインにもどして、しん計画けいかく破棄はきするよう圧力あつりょくをかけはじめた。その理由りゆうしん設計せっけいでは訓練くんれんとして使つかいづらいとかんがえたからである。結局けっきょくこのあつりょくにより、しん計画けいかくをモデル172には適用てきようせず今後こんごともまえつばさデザインを踏襲とうしゅうすることとなった。このまぼろしの172J計画けいかくは、しん機種きしゅモデル177カーディナルとしてがれ、開発かいはつおこなわれた。結局けっきょく172Jは製造せいぞうされず欠番けつばんとなった。
172K
172Kは、1968ねん5がつ型式けいしき認証にんしょう取得しゅとくし、わたしは1969ねんからはじまった、1969ねんモデルである。この型式けいしき垂直すいちょく尾翼びよくつばさはしさい設計せっけいされ、リアウインドウもさい整形せいけいされたものとなった。オプションで飛行ひこう距離きょり延長えんちょうのためにつばさないに52ガロン(197L)の燃料ねんりょうタンクの増設ぞうせつ提供ていきょうされた。リアウインドウはわずかに16in²(103cm2面積めんせきおおきくなった。この型式けいしき標準ひょうじゅんがたが12,500あめりかドルで、アップグレードがたのスカイホークが13,995あめりかドルで販売はんばいされた。製造せいぞう総数そうすうは1,170であった。
172Kは1970ねん販売はんばいつづけられたが、1969ねん販売はんばいされたものと細部さいぶことなっていた。紡錘ぼうすいがた整形せいけいされたグラスファイバーせい主翼しゅよくつばさはしとなっている。また座席ざせきぜん関節かんせつしきとなっている。まえべた製造せいぞう総数そうすうのうち、1970ねんぶんは759製造せいぞうされた。
172L
172Lは、1970ねん5がつ型式けいしき認証にんしょう取得しゅとくし、1971ねんと1972ねんの2年間ねんかん販売はんばいされた。この型式けいしきからしゅあし支柱しちゅういたバネしきからテーパーチューブに変更へんこうされた。このテーパーが幾分いくぶんかついた中空なかぞらパイプの支柱しちゅうは、いたバネよりも衝撃しょうげきエネルギーの吸収きゅうしゅうりょくおおきく、着陸ちゃくりくがりをやわらげる効果こうかがある。それが胴体どうたい下部かぶ両側りょうがわからなな方向ほうこうにハのけられている。離着陸りちゃくりくはこの支柱しちゅうたわんで衝撃しょうげき吸収きゅうしゅうする仕組しくみとなっている。テーパーチューブは高速こうそく上昇じょうしょう空気くうき抵抗ていこうよわめるために断面だんめんがつぶれた楕円だえんじょうさやじょうフェアリングでつつまれている。さらにタイヤをつつむようにブレーキフェアリングがけられている。ハのじょうしゅあしによりホイールトラックが12inch(30cm)ひろくなり走行そうこう安定あんていせいくなった。このしゅあしによりあし重量じゅうりょうかるくなった。そのに、垂直すいちょく尾翼びよく直前ちょくぜんドーサルフィン前方ぜんぽうながばされ尾翼びよくとのつななめらかに整形せいけいされた。
172Lは、標準ひょうじゅんがたが13,425あめりかドル、アップグレードがたのスカイホークが14,995あめりかドルであった。1971ねんに827、1972ねんに984わたされた。
172M
1977ねんしきセスナ 172M
1976ねんしきセスナ 172Mの計器けいきばん
この型式けいしきは172系列けいれつはじめて主翼しゅよくにドループド・ウイング・チップ(つばさはししたがっているつばさ)を導入どうにゅうし、低速ていそく飛行ひこう操縦そうじゅうせい改善かいぜんされた。この主翼しゅよくはセスナしゃではキャンバーリフトウイングという名称めいしょう営業えいぎょうおこなわれた。
1974ねん製造せいぞうされた172Mからはオプションに「スカイホークII」パッケージがはじめて導入どうにゅうされた。このパッケージでは、航法こうほう音声おんせい応答おうとう統合とうごう通信つうしん、ADF(電波でんぱしき自動じどう方向ほうこう探知たんち)、トランスポンダひとし高機能こうきのう機器きき標準ひょうじゅん装備そうびとなっている。またキャビン後方こうほう貨物かもつスペースがおおきくなった。オプションでぼうかた2とうしき着陸ちゃくりくとう選択せんたくできる。
1975ねん製造せいぞうの172Mは、普及ふきゅうがた「172」が16,055あめりかドルで、上級じょうきゅうがたの「スカイホーク」が17,890あめりかドルで、最上級さいじょうきゅうがたの「スカイホークII」が20,335あめりかドルでされた。
1976ねんには標準ひょうじゅんがた「172」の販売はんばい中止ちゅうしし、172Mは、ぜんパッケージが「スカイホーク」と名称めいしょう使用しようするようになる。
172Mは、計器けいきパネルの計器けいき配置はいちデザインが変更へんこうされ、燃料ねんりょうけいやその圧力あつりょくけい左側ひだりがわ移動いどうされパイロットが視認しにんやすくなった。
この型式けいしき172Mがた製造せいぞう期間きかんの4年間ねんかん総計そうけい7306製造せいぞうされた。
172N
1976ねんしきセスナ スカイシャーク N の着陸ちゃくりく
1977ねん製造せいぞうから172Nがたとなった。172Nは「スカイホークN」および「スカイホーク/100」という名称めいしょうばれた。それまでの172が80/87オクタン価おくたんか航空こうくうようガソリン使用しようするのにたいし、あたらしい「スカイホーク/100」は搭載とうさいエンジンのライカミングO-320-H2ADが100オクタンのアブガスの使用しよう前提ぜんていとしているのに由来ゆらいする。このエンジンを使用しようする「スカイホーク/100」は、燃料ねんりょうちがいによる煩雑はんざつさと、信頼しんらいせい問題もんだいのために、1981ねんから製造せいぞうされる172Pがたから、同様どうようていかく出力しゅつりょくO-320-D2J変更へんこうされることとなる。
172Nからは、昇降しょうこうかじのトリムをオプションで、事前じぜん設定せっていしきフラップを標準ひょうじゅん装備そうびされることとなった。
販売はんばい価格かかくは、スカイホークNが22,300あめりかドルで、スカイホーク/100が29,950あめりかドルで販売はんばいされた。
1978ねん製造せいぞうから電力でんりょくシステムが28ボルトから14ボルトに低減ていげんされた。エアコンディションシステムがオプションでえらべるようになった。
1979ねん製造せいぞうから、フラップ展開てんかい可能かのう機体きたい速度そくどが、フラップ角度かくど10で、110ノットから115ノット(213km/h)まで増加ぞうかした。またつばさない燃料ねんりょうタンクの容量ようりょうが、オプションで66ガロン(250L)にやすことができる。
172Nがたは1980ねんまで製造せいぞうされた。
172O
172Oかた製造せいぞうされず存在そんざいしない。
172P
1981ねん製造せいぞうから172Pがたとなった。ぜん172NのエンジンのライカミングO-320-H2ADの信頼しんらいせい問題もんだいにより、172Pはおなていかく出力しゅつりょく160hpを発生はっせいさせるライカミングO-320-D2J変更へんこうされて問題もんだい改善かいぜんされた。172Pはフラップの設定せってい角度かくど最大さいだいが40から30らされ、最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうは2,300lb(1,043kg)から2,400lb(1,089kg)にやされた。オプションで62ガロンインテグラルタンク選択せんたくできる。
販売はんばい価格かかくは、普及ふきゅうがたの「スカイホークP」が33,950あめりかドルで、アップグレードがたの「スカイホークP II」が37,810あめりかドルであった。さらに、ナビゲーション・コミュニケーション統合とうごう通信つうしん装備そうびした「スカイホークP II」が42,460あめりかドルで販売はんばいされた。
1982ねん製造せいぞうから、着陸ちゃくりくとう機首きしゅからつばさ移動いどうされ、また電球でんきゅう寿命じゅみょうながくなった。1983ねん製造せいぞうから機内きない騒音そうおん改善かいぜんされ、キャビンのまどあつくなった。1984ねん製造せいぞうからドアのロックがダブルロックしきとなった。
172Pかたは1986ねん製造せいぞう終了しゅうりょうした。製造せいぞうぶつ責任せきにんほう問題もんだいからみ、それ以降いこう11年間ねんかんものあいだモデル172系列けいれつ製造せいぞうされることはなかった。
172Q カットラス
172Qは1982ねん10がつ型式けいしき認定にんてい取得しゅとくした。172Qは1982ねんから1983ねんまでの短期間たんきかんに172Pと並行へいこうして製造せいぞうされた。わたしは1983ねんからはじまった。あししきの172RGとおなじエンジンをんでいた関係かんけいで172Qにはおなじカットラスという愛称あいしょうけられた。172Pモデルの機体きたいはそのままに、エンジンを180hpを発生はっせいさせるライカミングO-360-A4Nえたものである。20hpの出力しゅつりょくアップにより、最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうは2,550lb(1,157kg)に増加ぞうかし、172Pの最大さいだい巡航じゅんこう速度そくどより2ノットはやい122ノット(226km/h)をせた。ペイロードは172Pとくらやく100lb(45kg)増加ぞうかし、最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう増加ぞうかしたことにより上昇じょうしょうりつは20フィート/ぶん低下ていかした。
172R
172系列けいれつは1986ねん量産りょうさん中断ちゅうだんした。以来いらい10ねんほど中止ちゅうし状態じょうたいつづいたが、1996ねん生産せいさん販売はんばい再開さいかいされることとなった。再開さいかいの172系列けいれつ最初さいしょ型式けいしきが172Rである。1996ねん型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし1997ねんからわたしがはじまった。エンジンは燃料ねんりょう噴射ふんしゃしきライカミング IO-360-L2A搭載とうさいする。モデル172シリーズで最初さいしょ燃料ねんりょう噴射ふんしゃしきエンジンを搭載とうさいした型式けいしきとなった。172Rではエンジンの回転かいてんすうげ、ていかく出力しゅつりょく180hpから160hpにげんかくして使用しようされている。最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうは2,450lb(1,111kg)である。172Rは以前いぜん型式けいしきからおおくの改良かいりょうおこなった。キャビンない内装ないそうインシュレーター工夫くふうして高性能こうせいのう防音ぼうおん処置しょちほどこし、せいおんせいしている。また換気かんきシステムは段階だんかい調節ちょうせつ可能かのうとなっている。先進せんしんのインターフォンシステムを装備そうびし、立体りったいデザインされた内装ないそう衝撃しょうげき吸収きゅうしゅう能力のうりょく保持ほじしている。座席ざせきめんのレベルともたれを最適さいてき位置いち調整ちょうせい可能かのうであり、慣性かんせいロックしきリールのシートベルトをそなえている。エアバッグきの軽量けいりょう衝撃しょうげき吸収きゅうしゅうシートを装備そうびする。2013ねんからセスナしゃのウェブサイトには表示ひょうじされなくなり販売はんばいはすでに終了しゅうりょうした模様もようである。直近ちょっきんの2012ねんにおける1年間ねんかんわたすうは27であった。
172S
1999ねんしきセスナ 172S
172Sは1998ねん型式けいしき証明しょうめい取得しゅとくし、同年どうねんからわたしがはじまった。エンジンは172Rとおな型式けいしきIO-360-L2A搭載とうさいするが、ていかくよりげて使用しようしていたエンジン回転かいてんすうもともどし、ていかく出力しゅつりょく180hpで使用しようしている。172Rより20hp増加ぞうかした。この出力しゅつりょく向上こうじょうにより最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうを2,550lb(1,157kg)に増加ぞうかさせている。172Rが販売はんばいされていた時期じきは172Rが「スカイホーク」、172Sは「スカイホークSP」という愛称あいしょう使つかって営業えいぎょうおこなわれていた。しかし、172Rの販売はんばい終了しゅうりょうしたのちは172Sにたいたんに「スカイホーク」という愛称あいしょう使つかって営業えいぎょう活動かつどうおこなわれている。連邦れんぽう航空局こうくうきょく型式けいしき認定にんていデータシートにはたんに172Sで登録とうろくされている。172Sはしゅとして個人こじん所有しょゆう運航うんこうしゃけに製造せいぞうされた。その標準ひょうじゅんかわりシートとガーミンG1000電子でんし飛行ひこう計器けいきシステムを装備そうびし、グラスコックピットしている。2013ねん5がつ現在げんざい唯一ゆいいつ製造せいぞう継続けいぞくしている型式けいしきとなっている。直近ちょっきんの2012ねんにおける1年間ねんかんわたすうは113であった。民間みんかんピストンエンジンしき航空機こうくうきなか最大さいだいわたすうであった。
近年きんねん環境かんきょう規制きせい対応たいおうする派生はせいがたとして、エンジンをコンチネンタル・モータースせいディーゼルエンジン「CD-155」に変更へんこうし、アビオニクスにガーミンG1000 NXiを採用さいようした「ターボ・スカイホークJT-A」を用意よういしており、2017ねんにFAAとEASAから承認しょうにんけた[5]燃料ねんりょう共通きょうつうによるコストカットが可能かのうなため、ジェット機じぇっとき利用りようする官公庁かんこうちょうけの練習れんしゅうとしてまれており、日本にっぽん海上保安庁かいじょうほあんちょうなどが採用さいようしている[6]
172RG カットラス
セスナ 172RG
172RGは、1979ねん6がつ型式けいしき認定にんてい取得しゅとくした。1979ねんより生産せいさん開始かいしされ1985ねんまで製造せいぞうされた。特徴とくちょうは、ランディングギアがしきとなったことである。またエンジンはライカミングO-360-F1A6変更へんこうされ180hpにパワーアップされた。172RGはノーマルな172よりもやく19,000あめりかドルたかかった。最高さいこう巡航じゅんこう速度そくどは140ノット(260km/h)に向上こうじょうした。速度そくどおおいに向上こうじょうしたが初期しょきコスト、運用うんようコスト両方りょうほうともノーマルよりもたかかったためにあまりれず、自家用じかようとしては営業えいぎょうめんではるわなかった。しかしあし操作そうさをする必要ひつようのある認定にんてい民間みんかん旅客機りょかくきパイロットの養成ようせいには重宝ちょうほうがられ、航空こうくう学校がっこうけにはよくれた。1980ねんから1984ねんあいだ合計ごうけい1,177の172RGがわたされた。172RGは172のナンバーを使つかって販売はんばい営業えいぎょうおこなわれたが、型式けいしき認定にんていは175モデルシリーズのうちひとつとして認証にんしょうされている。
ランスFR172J、セスナR172K ホークXP
1977ねんしきセスナ R172K Hawk XP
Wipline 水上すいじょうようフロートをそなえた1977ねんしきセスナ R172K Hawk XP
FR172Jランスロケットは、フランスにあるランス・アビアシオンしゃen)によりライセンス製造せいぞうされた機体きたいである。60年代ねんだいから70年代ねんだいにかけて生産せいさんされ、ロールス・ロイスしゃでライセンス生産せいさんされた燃料ねんりょう噴射ふんしゃがたエンジンのコンチネンタルIO-360D搭載とうさいした。このエンジンは210hp(160kW)を発生はっせいした。プロペラはじょうそくプロペラしきであった。
ランスロケットは、そのにセスナしゃ販売はんばいされることとなるR172KホークXPへとつながる。このモデルは1976ねん5がつ型式けいしき認証にんしょうされ1977ねんから1981ねんまで販売はんばいおこなわれた。機体きたいはカンザスのセスナの工場こうじょうとフランスのランスの工場こうじょう製作せいさくされた。燃料ねんりょう噴射ふんしゃしきエンジンのコンチネンタルIO-360KのちにIO-360KB)を搭載とうさいする。195hp(145kW)を発生はっせいさせる。プロペラは2つばさじょうそくプロペラを採用さいようしている。ホークXPは最高さいこう巡航じゅんこう速度そくど131ノット(243km/h)で飛行ひこうすることができる。
R172JやR172Kは、172のナンバーを使つかって販売はんばい営業えいぎょうおこなわれたが、型式けいしき認定にんていは175モデルシリーズのうちひとつとして認証にんしょうされている。
ホークXPを購入こうにゅうしたきゃくなかには、速度そくど性能せいのうなど価格かかくにふさわしいほど性能せいのう向上こうじょうではなく、エンジンがおおきくなったぶん燃料ねんりょう消費しょうひりょうなど運用うんようコストがたかくなったとの評価ひょうかあたえるものもいた。フロートを装着そうちゃくした水上すいじょうタイプは好評こうひょうた。いままでのノーマルタイプの水上すいじょうがた172にくら出力しゅつりょくがアップしたぶん水上すいじょうからの離陸りりく性能せいのう劇的げきてき向上こうじょうした。

軍事ぐんじ運用うんようこく[編集へんしゅう]

172からの派生はせいがたであるT-41メスカレロは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく空軍くうぐんおよ陸軍りくぐんくわえてアメリカ・メキシコ国境こっきょう地帯ちたい警備けいび監視かんしよう国境警備隊こっきょうけいびたい運用うんようされている。民生みんせいひんの172をそのまま採用さいようしているくにもある。

アイルランド空軍くうぐんでは、ランスで生産せいさんされた機体きたいがパトロールや現金げんきん輸送ゆそう囚人しゅうじん輸送ゆそう危険きけんぶつ輸送ゆそう監視かんしよう使用しようされている。またアイルランド陸軍りくぐんでは操縦そうじゅう訓練くんれんよう使用しようされている。

 オーストリア
ボリビアの旗 ボリビア
 チリ
エクアドルの旗 エクアドル
グアテマラの旗 グアテマラ
ホンジュラスの旗 ホンジュラス
Kirkuk空軍くうぐん基地きち着陸ちゃくりくするイラク空軍くうぐんのセスナ 172
イラクの旗 イラク
アイルランドの旗 アイルランド
リベリアの旗 リベリア
 リトアニア
マダガスカルの旗 マダガスカル
パキスタンの旗 パキスタン
フィリピンの旗 フィリピン
サウジアラビアの旗 サウジアラビア
シンガポールの旗 シンガポール

要目ようもく(172S)[編集へんしゅう]

画像がぞう[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Russ Niles (2007ねん10がつ4にち). “Cessna to Offer Diesel Skyhawk”. 2007ねん10がつ5にち閲覧えつらん
  2. ^ Mola, Roger A. (2006ねん7がつ). “Cessna's Golden Oldie”. 2009ねん4がつ16にち閲覧えつらん
  3. ^ Cessna Aircraft (2013ねん5がつ). “Starting Price”. 2013ねん5がつ24にち閲覧えつらん
  4. ^ a b ジャプコン、日本にっぽんはつセスナ・ターボ・スカイホークJT-A 5海上保安庁かいじょうほあんちょう納入のうにゅう新着しんちゃく情報じょうほう株式会社かぶしきがいしゃジャプコン - JAPCON”. 株式会社かぶしきがいしゃジャプコン - JAPCON. 2021ねん7がつ30にち閲覧えつらん
  5. ^ テキストロン・アビエーションしゃTurbo Skyhawk JT-A(セスナ172 JT-A)がFAAとEASAの承認しょうにん取得しゅとく新着しんちゃく情報じょうほう株式会社かぶしきがいしゃジャプコン - JAPCON”. 株式会社かぶしきがいしゃジャプコン - JAPCON. 2021ねん7がつ30にち閲覧えつらん
  6. ^ ジャプコン、日本にっぽんはつセスナ・ターボ・スカイホークJT-A 5海上保安庁かいじょうほあんちょう納入のうにゅう新着しんちゃく情報じょうほう株式会社かぶしきがいしゃジャプコン - JAPCON”. 株式会社かぶしきがいしゃジャプコン - JAPCON. 2021ねん7がつ30にち閲覧えつらん
  7. ^ a b Andrade 1982, Page 27
  8. ^ Andrade 1982, Page 45
  9. ^ Andrade 1982, Page 57
  10. ^ Andrade 1982, Page 95
  11. ^ Andrade 1982, Page 97
  12. ^ Strategy Page (2008ねん2がつ). “Iraq Seeks Cessna Solution”. 2008ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  13. ^ Andrade 1982, Page 61
  14. ^ Andrade 1982, Page 147
  15. ^ Andrade 1982, Page 151
  16. ^ Andrade 1982, Page 172
  17. ^ Andrade 1982, Page 189
  18. ^ a b Taylor, John: Jane's Pocket Book of Military Transport and Training Aircraft, page 67. MacMillian Publishing Inc, 1974. Library of Congress 73-15288
  19. ^ Andrade 1982, Page 193

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]