セント・ヒューバート

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セント・ヒューバートえい: St. Hubert's Hound)またはサン・ユベールふつ: Chien de Saint-Hubert)とは、ふるくから存在そんざいするベルギーセントハウンド嗅覚きゅうかくすぐれた狩猟しゅりょういぬしゅ)の一種いっしゅである。

現在げんざい絶滅ぜつめつしてしまったが、このいぬしゅ影響えいきょうはベルギーやフランスイギリスおおくのセントハウンドにがれている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

セント・ヒューバートの祖先そせんおもわれるいぬしゅは2世紀せいき書物しょもつにも登場とうじょうする古代こだいいぬしゅであるセグジウム・ハウンドで、これを7世紀せいきごろきでられたリエージュ司教しきょうせいユベール改良かいりょうしたものがこのいぬしゅはじまりといわれている。

あるいは11世紀せいきごろにベルギーせいユベール僧院そういん修道しゅうどうがブリーディングしたのが最初さいしょとするせつもある。

うごきはゆったりとしているが、慎重しんちょう正確せいかく嗅覚きゅうかく追跡ついせき貴族きぞくこのまれた。それがフランス国王こくおうところとなり、誕生たんじょうにセント・ヒューバートを毎年まいとし1とうずつ、6年間ねんかんにもわたって献上けんじょうしてもらったという記録きろくのこっている。

また、13世紀せいきごろからは毎年まいとしすうわたって2とうずつせいユベールだい修道院しゅうどういんから献上けんじょうされた。

それからさらにこのいぬしゅ能力のうりょくわたり、おおくのいぬしゅ源流げんりゅうとなり外国がいこくにも輸出ゆしゅつされていったのだが、ほんしゅ徐々じょじょ衰退すいたいしてゆき、フランス革命かくめいこったころにはもうすでに絶滅ぜつめつしていた。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

子孫しそんであるブラットハウンドとくらべるとデューラップや皮膚ひふのたるみがなく、どう長足ちょうそくたんである。

だがいぬしゅくらべるとあたまおおきくて重量じゅうりょうもある。はスムースコートで、基本きほんてき毛色けいろはブラックのにタン、ホワイトのマーキング(バーニーズ・マウンテン・ドッグとはことなる)である。マズルはとがっていて、がくたいら。かざはない。

このいぬしゅ一番いちばん特徴とくちょうは、みみがとてもながいことである。ながさは個体こたいごとにちがうが、たいていはかたにつくほどのながさである。

セント・ヒューバートの亜流ありゅういぬしゅ[編集へんしゅう]

セント・ヒューバートは毛色けいろによっても能力のうりょく微妙びみょうちがうとされ、ときには別種べっしゅとしてあつかわれた。そのいちれいを2いぬしゅ紹介しょうかいする。

  • ブラック・セント・ヒューバート英語えいご:Black St.Hubert's)
セント・ヒューバートの全身ぜんしん漆黒しっこくしょくのもの。よるのハントにけていて、ねばづよいとされている。さらみみながい。
  • ルビーレッド・セント・ヒューバート英語えいご:Ruby-Red St.Hubert's)
こちらは全身ぜんしんが(宝石ほうせきの)ルビーのようにいろをしているセント・ヒューバートである。
現在げんざいはこの表現ひょうげん誇張こちょうであるともみられているが、表現ひょうげんただしければアイリッシュ・セッターのようなレッド一色いっしょく毛色けいろをしている。
まれにこのレッドの地色じいろこまかなしろいブチ模様もようがあるものがいたらしく、それらはシャワー・オブ・ヘイル・ヒューバート英語えいご:Shower of Hail Hubert's)とばれた。夜明よあけから早朝そうちょうのハントにけていて、あたまがよいとされている。

セント・ヒューバートのおも子孫しそんいぬしゅ[編集へんしゅう]

セント・ヒューバートは前記ぜんきとお莫大ばくだいかず子孫しそんいぬしゅをもっている。ここではそのいちれいを3いぬしゅ紹介しょうかいする。

ときにセント・ヒューバートと同一どういつされるが、それのいろいものにのセントハウンドをわせて作出さくしゅつされたベルギーのいぬしゅ嗅覚きゅうかくするどさはしっかりほんしゅ特徴とくちょういでいる。
名前なまえ意味いみは「高貴こうき猟犬りょうけん」である。近年きんねんはペットやショードッグとしても人気にんきたかい。
現在げんざい絶滅ぜつめつしてしまったイギリスのセントハウンド。セント・ヒューバートのいろうすいものが輸出ゆしゅつさきのイギリスで独自どくじ発展はってんし、あしながめで少々しょうしょう軽量けいりょうされたものである。みみながいが、セント・ヒューバートよりはすこみじかい。毛色けいろおもにホワイトやうすいタンだった。一時期いちじきセント・ヒューバートやブラッドハウンドと混同こんどうされていたため、ややこしい記述きじゅつをしている資料しりょうはかなりおおい。
15世紀せいきから18世紀せいきあいだ存在そんざいしたフランスの王家おうけ専用せんよういぬしゅ。フランスめいシャン・ブラン・デュ・ロワ(Chien Blanc du Roi)。1470ねんまずしい地主じぬしがルイ11せい献上けんじょうしたしろなセント・ヒューバートをもとにイタリアン・ポインターなどを交配こうはいして作出さくしゅつされた。キングス・ホワイト・ハウンドの基礎きそとなったスイヤールといういぬはなあかかったという逸話いつわがある。そのためにスイヤールはアルビノであったのではなかろうかとする見方みかたもある。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • デズモンド・モリスのいぬしゅ辞典じてんまことぶんどう新光しんこうしゃ

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]