ブラッドハウンド

ブラッドハウンド

別名べつめい	Chien de Saint-Hubert St. Hubert Hound Sleuth hound
原産地げんさんち	ベルギー  フランス  イギリス
特徴とくちょう 体重たいじゅう 36–50 kg 体高たいこう 58–69 cm 外そと被ひ 硬かためのスムースコート 毛色けいろ ブラック・アンド・タン 寿命じゅみょう 7–12年ねん
主要しゅよう畜犬団体だんたいによる分類ぶんるいと標準ひょうじゅん FCI Group 6 Section 1.1 #084 標準ひょうじゅん AKC Hound 標準ひょうじゅん ANKC Group 4 (Hounds) 標準ひょうじゅん CKC Group 2 - (Hounds) 標準ひょうじゅん KC (UK) Hound 標準ひょうじゅん NZKC Hounds 標準ひょうじゅん UKC Scenthounds 標準ひょうじゅん
イヌ (Canis lupus familiaris)

ブラッドハウンド（英えい: Bloodhound）は、ベルギー原産げんさんのセントハウンド犬いぬ種しゅである。この犬いぬ種しゅ名めいは使役しえき柄がらからついたのではなく、「高貴こうきな血ちを継つぐ純血じゅんけつの犬いぬ」を意味いみしてつけられたものである。肩書かたがきは「魔法まほうの嗅覚きゅうかく」。

歴史れきし

司教しきょうの生うみ出だしたセントハウンド、セント・ヒューバートがブラッドハウンドの先祖せんぞである。セント・ヒューバートの毛色けいろが濃こいものを改良かいりょうし、大おおきく力強ちからづよく、且かつ嗅覚きゅうかくの非常ひじょうに優すぐれた犬いぬ種しゅを目指めざして作つくりだされた。ちなみに、毛色けいろの薄うすいほうの犬いぬはイギリスのイングランドへ送おくられ、タルボット・ハウンドという別べつの犬いぬ種しゅに進化しんかしていった。ブラッドハウンドが誕生たんじょうした時期じきには諸説しょせつがあるが、少すくなくとも11世紀せいきにウイリアム征服せいふく王おうによってイギリスへ持もち帰かえられたという記録きろくが残のこされているため、8〜10世紀せいきごろであろうといわれている。

主おもに傷きずついた獲物えものの血ちの臭においを追跡ついせきするセントハント（嗅覚きゅうかく猟りょう）に用もちいられ、動物どうぶつだけでなく囚人しゅうじんや奴隷どれいなどの探索たんさくにも使つかわれていた。又また、「魔法まほうの嗅覚きゅうかく」という肩書かたがきの通とおり、とても嗅覚きゅうかくが鋭するどいため、警察犬けいさつけんとしても世界せかい的てきに多おおく採用さいようされている。警察犬けいさつけんとしては犯人はんにんの臭においを追跡ついせきし、発見はっけんするという役目やくめを担になう。1〜2週間しゅうかん経たった古ふるい臭くさいや、歩あるかずに乗のり物ものに乗のって移動いどうした時ときに僅わずかに残のこる浮遊ふゆう臭しゅうをも察知さっちすることが出来でき、且かつ集中しゅうちゅう力りょくもずば抜ぬけて高たかいことが、この使役しえきにとても合あっているのである。この能力のうりょくが幸さいわいし、2度どの世界せかい大戦たいせんが起おこった際さいにも軍用ぐんよう犬けんや警察犬けいさつけんとして繁殖はんしょくが推薦すいせんされていたため、多おおくの犬いぬ種しゅが滅ほろびていく中なかでも生いき残のこることが出来できた。大戦たいせん時じには、密告みっこく者しゃや不法ふほう入国にゅうこく者しゃ、隠かくれている敵てきの軍人ぐんじんの捜索そうさくなどを行おこなった。又また、番犬ばんけんも同時どうじにこなした。

特徴とくちょう

実じつ猟りょう・実用じつようの犬いぬ（実じつ猟りょうタイプ）とショー用よう・ペット用ようの犬いぬ（ショータイプ）とでは、容姿ようしが微妙びみょうに異ことなっている。実じつ猟りょうタイプの犬いぬは皮膚ひふのたるみが少すくなめでよりがっしりした体格たいかくをしていて、ショータイプの犬いぬは皮膚ひふのたるみが多おおく、少すこしすっきりした体格たいかくになっている。

がっしりとした筋骨きんこつ隆々りゅうりゅうの体格たいかくをしている。顔かおには深ふかいしわがあり、のど下かにはデューラップというたるみがある。体からだの皮膚ひふは引ひっ張ぱるとよく伸のびるが、これは獲物えものに噛かまれたり引ひっかかれても深ふかいケガを負おいにくく、身みをよじって逃にげ出だしやすくするために発達はったつしたものである。ケガを負おって死しに物狂ものぐるいに対抗たいこうする獲物えものを自力じりきで倒たおすブラッドハウンドには、欠かかすことの出来できない大切たいせつな防具ぼうぐなのである。頭部とうぶは大おおきく、マズルは太ふとく短みじかく、アゴの力ちからが強つよい。耳みみは長ながめの垂だれ耳みみで、首くびは太ふとく短みじかい。胸むねは広ひろく、胴どうはやや長ながめで脚あしも長ながく、太ふとい。尾おは太ふとく、先細さきぼそりの長ながい垂だれ尾お。コートは硬かためのスムースコートで、毛色けいろはブラック・アンド・タン。だが正まさしく言いうとタン・アンド・ブラックという毛色けいろで、タンを地ちとして、サドル（背中せなか）にブラックが入はいったものである。体高たいこう58〜69cm、体重たいじゅう36〜50kgの大型おおがた犬けんで、性格せいかくは温和おんわで従順じゅうじゅんだが、警戒けいかい心しんが強つよい。しつけの飲のみ込こみや友好ゆうこう性せいは普通ふつうだが、力ちからが強つよいのでしっかりと訓練くんれんを行おこなう必要ひつようがある。走はしり回まわるなどの運動うんどうはあまり好すきではないが、集中しゅうちゅう力りょくがかなり高たかく、黙々もくもくと臭においを追跡ついせきすることが大好だいすきなので、散歩さんぽの時間じかんは必かならず長ながくなる。嗅覚きゅうかくの鋭するどさは全ぜん犬いぬ種しゅの中なかでも一番いちばんであるといわれていて、ジャーマン・シェパード・ドッグよりもはるかに優すぐれた嗅覚きゅうかくを持もつ（ただし訓練くんれん性せいなどの面めんではシェパードの方ほうがうわてである）。かかりやすい病気びょうきは大型おおがた犬けんにありがちな股関節こかんせつ形成けいせい不全ふぜんなどである。

飼育しいく状じょう況きょう

イギリスではかつて人気にんき犬いぬ種しゅであったが、2016年ねんにドッグショーを主催しゅさいするケネルクラブに登録とうろくされた新生しんせい子こは53匹ひきで、英国えいこく原産げんさん種しゅでありながら絶滅ぜつめつも危惧きぐされる状況じょうきょうとなっている。

日本にっぽんでも実じつは実じつ猟犬りょうけんとして人気にんきが高たかく多おおく飼育しいくされているが、この犬いぬたちは大半たいはんが外国がいこく生うまれの犬いぬであるため、国内こくない登録とうろくはほとんどカウントされていない。それに登録とうろくされるのは日本にっぽん国内こくないで生うまれた仔犬こいぬだけで、近年きんねんは数すう年ねんに一いち度ど国内こくない登録とうろくが行おこなわれている。このため、国内こくない登録とうろく頭数とうすう順位じゅんいが圏外けんがい（無なし）であったり、最下位さいかい級きゅうの順位じゅんいであったりしても多おおくの頭数とうすうが飼育しいくされブリーディングが行おこなわれているという、順位じゅんいと頭数とうすうが矛盾むじゅんした状態じょうたいになっている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『犬いぬのカタログ2004』（学研がっけん）中島なかじま眞理まり 監督かんとく･写真しゃしん
• 『日本にっぽんと世界せかいの愛犬あいけん図鑑ずかん2007』（辰巳たつみ出版しゅっぱん）佐草さくさ一いち優ゆう監修かんしゅう
• 『デズモンド・モリスの犬いぬ種しゅ事典じてん』デズモンド・モリス著書ちょしょ、福山ふくやま英也ひでや、大木おおき卓たく訳やく 誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ、2007年ねん
• 『日本にっぽんと世界せかいの愛犬あいけん図鑑ずかん2009』（辰巳たつみ出版しゅっぱん）藤原ふじわら尚しょう太郎たろう編へん･著ちょ
• 『日本にっぽんと世界せかいの愛犬あいけん図鑑ずかん2010』（辰巳たつみ出版しゅっぱん）藤原ふじわら尚しょう太郎たろう編へん･著ちょ

関連かんれん項目こうもく

• 犬いぬの品種ひんしゅ一覧いちらん
• DVD探知たんち犬けん - 近年きんねん違法いほうDVDを判別はんべつするために考案こうあんされた使役しえき。本ほん種しゅもこれに使つかうための訓練くんれんが行おこなわれている。
• じゃじゃ馬うま億おく万まん長者ちょうじゃ - 主人公しゅじんこうクランペット一家いっかはデュークという名なのブラッドハウンドを飼かっている。
• APEX LEGENDS -ブラッドハウンドという名なの敵てきの追跡ついせき能力のうりょくに優すぐれたガスマスクを付つけた人ひと型がたのキャラクターが登場とうじょうする。