出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゼトラ(Setra )はダイムラー・トラック傘下、ドイツのエボバスグループ・カールケスボーラー(Carl Kässbohrer )のバスのブランド名。
トラックや自家用車の荷台を設計する一方、バスの製造も手がけていた。1951年には、骨格全体で車体強度を確保し、シャシのフレームを廃止した構造を開発した。これはドイツ語では「selbsttragend」という言葉で表現される一体構造の車体であり、ケスボーラーではこの言葉から文字を取り「ゼトラ」と命名した。以後、「ゼトラ」ブランドでバスの製造を行っている。
カールケスボーラー社は、ウルムを拠点にして「ケスボーラー・ゼトラ」の生産を行なっており、品質の高さでは定評があった[1]が、経営不振が続き、1995年にはダイムラー・ベンツ(現:ダイムラー)の傘下に入ることになった。
その際にダイムラーベンツのバス部門と共にエボバスを構成し、現在に至っている。
「ゼトラ」というブランド名から、型式の頭文字には全て「S」がつく。
- S215NR(ワンステップバス)
- S216HDS(スーパーハイデッカー・アンダーフロアコックピット)
- S300NC(ノンステップバス)
- S309HD(全長9m・ハイデッカー)
- S312HD(全長10.94m・ハイデッカー)
- S315HD(全長12m・ハイデッカー)
- S315HDH(全長12m・スーパーハイデッカー)
- S328DT(全長12m・ダブルデッカー)
日本へ輸入されたのは全てS216HDSで、はとバス3台、東京ヤサカ観光バス2台など、1983年に合計7台のみの輸入に終わった。ドレクメーラーと同じく、伊藤忠商事・東京いすゞ自動車が輸入元となっていた。
当初導入した事業者からは全車両とも売却されているが、2008年時点では愛知県の陸王交通で、東京ヤサカ観光バスから譲受した1台が稼動していることが確認されている。
日本初のアンダーフロアコックピット車(UFC)であり、はとバスでは「スーパーデッカー」と称して、貸切仕業を中心に、定期観光バスの応援にも使用された。日本では少数台数の導入に終わったが、この後いすゞ・スーパークルーザーを皮切りに、UFCの観光バスが各社からリリースされるなどの影響を与えた車両であった。
- ^ バスラマ・インターナショナル12号「ドイツのバスメーカー ガイダンス」の記述による。
ウィキメディア・コモンズには、
ゼトラに
関連するメディアがあります。