テングタケ科か

テングタケ科か
テングタケ Amanita pantherina
分類ぶんるい
界さかい : 菌きん界かい Fungi 門もん : 担子菌きん門もん Basidiomycota 亜あ門もん : 菌きん蕈亜門もん Hymenomycotina 綱つな : 真正しんしょう担子菌きん綱つな Homobasidiomycetes 目め : ハラタケ目め Agaricales 科か : テングタケ科か Amanitaceae
下位かい分類ぶんるい（属ぞく）
本文ほんぶん参照さんしょう

テングタケ科か（学名がくめい：Amanitaceae）はハラタケ目めに分類ぶんるいされるキノコの科かのひとつ。

形態けいたい

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  ヒダを覆おおっている膜まくが剥はがれてツバになるSaproamanita thiersii

生態せいたい

テングタケ科かの菌類きんるいの多おおくの種たねはマツ科かおよびブナ科かを中心ちゅうしんとした樹木じゅもくの根ねと共生きょうせいし、菌きん根ねを形成けいせいすることで生活せいかつしていると考かんがえられている。樹木じゅもくにとっては菌類きんるいの作つくり出だす有機ゆうき酸さんや抗生こうせい物質ぶっしつによる土壌どじょう中ちゅうの栄養分えいようぶんの吸収きゅうしゅう促進そくしんや病原びょうげん微生物びせいぶつの駆除くじょ、菌類きんるいにとっては樹木じゅもくが光合成こうごうせいで得えられた栄養分えいようぶんの一部いちぶを受うけ取とっている相あい利り共生きょうせいの関係かんけいがある。土壌どじょう中ちゅうには菌きん根ねから菌糸きんしを介かいして同種どうしゅの樹木じゅもく同士どうしや他た種たね植物しょくぶつに繋つながる広大こうだいなネットワークが存在そんざいすると考かんがえられている。ただし、一部いちぶの種たねについては菌きん根性こんじょうでないとかつてより指摘してきされており、これを分類ぶんるい学がく上じょうも別べつグループに分わける研究けんきゅう者しゃもいる。

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  マツ科かトウヒ属ぞく（Picea）樹木じゅもくの根ねに形成けいせいされた菌きん根ね
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  テングタケ科かが共生きょうせいした菌きん根ねの拡大かくだい図ず
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  ブナ科か森林しんりんに生はえるコテングタケモドキ Amanita pseudoporphyria
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  菌きん根ねによるネットワークの模も式しき図ず

人間にんげんとの関係かんけい

食用しょくよう

テングタケ科かの多おおくの種たねは生いきた樹木じゅもくと共生きょうせいする菌きん根性こんじょうの菌類きんるいであるため、木材もくざい腐朽ふきゅう菌きんであるシイタケやナメコのような菌きん床ゆか栽培さいばいや原木はらき栽培さいばいはできずに野外やがいでの採取さいしゅが基本きほんとなる。子こ実体じったいは壊こわれやすく長距離ちょうきょりの流通りゅうつうにも向むいていないものが多おおい。テングタケ属ぞくのタマゴタケおよびその近きん縁えん種しゅのように食用しょくようとなるものもあり、美味びみと評価ひょうかする人ひともいる。一方いっぽうでドクツルタケ及およびその近きん縁えん種しゅやタマゴテングタケのように致命ちめい的てきな毒どくキノコも多おおく含ふくまれ誤あやま食しょくによる中毒ちゅうどく事故じこがしばしば報告ほうこくされる。

テングタケ属ぞく（Amanita）では毒どく成分せいぶんとして属ぞく名めいに由来ゆらいするアマニチン（Amanitin）やアマトキシン（Amatoxin）などと呼よばれる毒性どくせいタンパク質たんぱくしつが分離ぶんりされている。これは細胞さいぼうでのタンパク質たんぱくしつ合成ごうせいを阻害そがいし、細胞さいぼうを壊死えしさせる猛毒もうどくで毒性どくせいの強つよいとされるテングタケ属ぞくのキノコには大量たいりょうに含ふくまれている。毒性どくせいが強つよいだけでなく解毒げどく剤ざいが存在そんざいせず、また摂取せっしゅから症状しょうじょうが発現はつげんするまでの時間じかんが長ながいことも救命きゅうめいを難むずかしくさせている。また、種類しゅるいによってはイボテン酸さん（ibotenic acid）などの神経しんけいに作用さようするアミノ酸あみのさんが有毒ゆうどく成分せいぶんとして含ふくまれている。イボテン酸さんという名前なまえ自体じたいがイボテングタケ（Amanita ibotengutake）から来きており、発見はっけん者しゃも日本人にっぽんじんである。

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  キノコ狩かりで採取さいしゅされたタマゴタケ近きん縁えん種しゅ
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  猛毒もうどくキノコが生はえるので注意ちゅういするようにという看板かんばん（オーストラリア）
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  αあるふぁアマニチンの構造こうぞう式しき
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  イボテン酸さんの構造こうぞう式しき

下位かい分類ぶんるい

テングタケ属ぞく （学名がくめい Amanita）

この一群いちぐんの子こ実体じったいはschizohymenial development（和名わみょう未定みてい）と呼よばれる特徴とくちょう的てきな発生はっせい方式ほうしきで知しられ、子こ実体じったいは卵たまご状じょうの構造こうぞう物ぶつ内ないに形成けいせいされ、成長せいちょうと共ともにこれを破やぶって出でてくる。構造こうぞう物ぶつの一部いちぶは根元ねもとに残のこり「つぼ」などと呼よばれる構造こうぞうになる。また、ベニテングタケのように破片はへんとして傘かさの周囲しゅういに付着ふちゃくする種類しゅるいもある。

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  タマゴ状じょうの構造こうぞう物ぶつに包つつまれたタマゴテングタケ子たけこ実体じったい
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  テングタケの子こ実体じったい
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  卵たまごを破やぶり出でてきたタマゴテングタケの子こ実体じったい
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  テングタケ属ぞく2種しゅの卵たまごの切断せつだん面めん。この時点じてんで子こ実体じったいが形成けいせいされているのがわかる。
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  柄えの根元ねもとに白色はくしょくのツボ、柄えの中なかほどにツバがある典型てんけい的てきなテングタケ属ぞくの子こ実体じったい

大おおきく2亜あ属ぞくに分わけられ、胞子ほうしがヨウ素もと溶液ようえき（メルツァー試薬しやく、英えい；Melzer's reagent）で変色へんしょくしない（所謂いわゆる非ひアミロイド性せい）テングタケ亜あ属ぞく（subgenus Amanita）と変色へんしょくする（所謂いわゆるアミロイド性せい）マツカサモドキ亜あ属ぞく（subgenus Lepidella）に分わけられる。これとは別べつに傘かさに放射状ほうしゃじょうの模様もようが現あらわれるものがあり、一般いっぱんにテングタケ亜あ属ぞくに含ふくまれるものには明瞭めいりょうな放射ほうしゃ模様もようが現あらわれ、マツカサモドキ亜あ属ぞくは不明瞭ふめいりょうで判別はんべつできない。

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  傘かさに放射状ほうしゃじょうの模様もようが見みえるテングツルタケ（Amanita ceciliae テングタケ亜あ属ぞく）
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  放射状ほうしゃじょうの模様もようがあるセイヨウタマゴタケ（A. caesarea テングタケ亜あ属ぞく）
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  放射状ほうしゃじょうの模様もようが不明瞭ふめいりょうなタマゴテングタケ（A. phalloides マツカサモドキ亜あ属ぞく）

ヒダは白色はくしょくのものが多おおいが、タマゴタケの仲間なかまは黄色きいろであり他ほかにも赤あかみを帯おびる種類しゅるいも知しられる。また、ヒダの付つき方かたは柄えに対たいし離はなれ生せいするものが多おおいが、一部いちぶに垂たれ生せいするものも知しられる。

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  ヒダが垂たれ生せいするAmanita australis

Catatrama

中米ちゅうべいコスタリカのブナ科か森林しんりんで見みつかったCatatrama costaricensisだけが知しられる単たん型がたの属ぞくである。

ヌメリカラカサ属ぞく （学名がくめい Limacella）

ヌメリカラカサタケとチャヌメリカラカサタケは、日本にっぽんでも秋あきの落葉樹らくようじゅ林りんでしばしば観察かんさつできる。テングタケ属ぞくと違ちがい、つば、つぼがはっきりしない。鱗片りんぺん状じょうにささくれ立たった傘かさには粘性ねんせいがある。毒どくはなく食用しょくようにもなるが、粉こな臭くさい。近年きんねんでも数すう種しゅの再さい分類ぶんるいがなされるなど不ふ確定かくていな要素ようそが多おおい分類ぶんるい群ぐんである。

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  Limacella glioderma
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  Limacella glischra
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  Limacella guttata

Saproamanita

2010年代ねんだいに提唱ていしょうされた新あたらしいグループで菌きん根性こんじょうではなく、腐植ふしょく分解ぶんかい性せいという生態せいたい的てき特徴とくちょうに基もとづいてテングタケ属ぞく（Amanita）の一部いちぶを分離ぶんりしたもの。分離ぶんりを認みとめないとする研究けんきゅう者しゃもいる。

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  草原そうげんに生はえたSaproamanita vittadini（イタリア）

Zhuliangomyces

2019年ねんに前記ぜんきのヌメリカラカサ属ぞく（Limacella）から分離ぶんりしてできた属ぞく。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『北陸ほくりくのきのこ図鑑ずかん』 著者ちょしゃ：池田いけだ良幸よしゆき／監修かんしゅう：本郷ほんごう次雄つぐお （橋本はしもと確かく文ぶん堂どう／2005年ねん） ISBN 4893790927
• 『きのこ博物館はくぶつかん』 著者ちょしゃ：根田こんだ仁ひとし （八坂やさか書房しょぼう／2003年ねん） ISBN 489694819X

外部がいぶリンク

• Amanitaceae.org テングタケ科かを記載きさいしたサイト