デジタル時計とけい

ラジオのついていないオーソドックスなデジタル時計とけい。左上ひだりうえのマークはPM、つまり午後ごごを示しめしており、この時刻じこくが午後ごご4時じであることを示しめしている。これに使つかわれているLEDモジュールは単体たんたいで非常ひじょうに大量たいりょうに生産せいさんされたもので、いろいろな機器ききで見みかけられる

デジタル時計とけいとは、デジタル式しき（数字すうじ式しき）の表示ひょうじ装置そうちをもつ時計とけいのこと。アナログ時計とけい（円周えんしゅうと針はりで表示ひょうじされる時計とけい）に対比たいひされる。

電子でんし式しきデジタル時計とけい

電子でんし式しきデジタル時計とけいの例れい。液晶えきしょう表示ひょうじ式しきのもの。

電子でんし式しきのデジタル時計とけいは今日きょう世界中せかいじゅうで幅広はばひろく普及ふきゅうしているが、時計とけいの機能きのうを生うみ出だす内部ないぶ機構きこうや装置そうちは多種たしゅ多様たようである。

電子でんし機器きき組ぐみ込こみ型がたのCPUなどの半導体はんどうたいにより装置そうちの一いち機能きのうとして時刻じこくを計測けいそくするものがある。この場合ばあい、時刻じこくの精度せいどはそれほど重要じゅうよう視しされず、また汎用はんようの電子でんし部品ぶひんが使つかわれることもあり温度おんどによる影響えいきょうも大おおきく時刻じこくの狂くるいは大おおきくなりやすい。現在げんざいではパソコンや携帯けいたい電話でんわなどに多おおく使つかわれているが、日本にっぽんで多おおく出回でまわるようになるのはパソコンが普及ふきゅうした90年代ねんだい以降いこうであった。

一方いっぽう、交流こうりゅうを加くわえた水晶すいしょう振動しんどう子この規則きそく的てきな電子でんし的てき振動しんどうにより時間じかんを刻きざむクォーツ式しきのものは、温度おんど差さによる影響えいきょうが少すくなくかなり高こう精度せいどになる。クオーツ時計とけいは真空しんくう管かん回路かいろを使つかう1920年代ねんだいからあったが、民生みんせい用ようの時計とけいが普及ふきゅうしだすのは1970年代ねんだいである。　また交流こうりゅう電源でんげんを使つかうものでは、電気でんきの向むきの変かわる向むきをダイオードで検出けんしゅつし、1/50あるいは1/60の分ぶん周しゅう器きにより1秒びょうの基準きじゅん信号しんごうを得えるものもある。

また、天文てんもん時計とけいのセシウムやルビジウムなどの原子げんしの規則正きそくただしい挙動きょどうを基準きじゅん信号しんごうとして用もちいる原子げんし時計とけいからの時刻じこく信号しんごうを、自動的じどうてきに受信じゅしんし補正ほせいする電波でんぱ時計とけいの機能きのうを持もつ製品せいひんも増ふえている。

デジタル表示ひょうじ用ようの素子そしには家庭かてい用ようとしては液晶えきしょう表示ひょうじ（LCD）やLED表示ひょうじ、蛍光けいこう表示ひょうじ管かん表示ひょうじなどがある。一般いっぱんには乾電池かんでんち動作どうさができ省しょう電力でんりょくで有利ゆうりな液晶えきしょう表示ひょうじが多おおく使つかわれるが、交流こうりゅう電源でんげんで使つかわれる家電かでん機器ききの内蔵ないぞう時計とけいには現在げんざいもLED表示ひょうじや蛍光けいこう表示ひょうじ管かん方式ほうしきがよく用もちいられる。　またアンティークなインテリア用よう時計とけいの用途ようとではニキシー管かんを用もちいた時計とけいも少数しょうすうながら出回でまわっている。

また、屋外おくがい時計とけいでは昭和しょうわ10年代ねんだいには日本にっぽんでも数字すうじ型がたに折おり曲まげたネオンサインによるデジタル時計とけいもあった。　戦後せんごには多数たすうの白熱はくねつ電球でんきゅうを用もちいたドットマトリクス表示ひょうじが長ながい間あいだ使つかわれたが、近年きんねんはLED表示ひょうじや、大型おおがたの液晶えきしょうパネル表示ひょうじや磁気じき反転はんてんパネル表示ひょうじなどが一般いっぱんに用もちいられている。

電波でんぱデジタル掛時計かけどけい(SEIKO)

表示ひょうじ素子そしの特徴とくちょうとして、それぞれ以下いかの特徴とくちょうが挙あげられる。

白熱はくねつ電球でんきゅう

主おもに屋外おくがい時計とけいの表示ひょうじランプとして使つかわれた。

一般いっぱんに電球でんきゅうを規則きそく的てきに多数たすう並ならべたドットマトリクス方式ほうしきで数字すうじ型がたに表示ひょうじする。

夜間やかんも明あかるいが消費しょうひ電力でんりょくも大おおきい。　また電球でんきゅうの寿命じゅみょうが短みじかい。

日本にっぽんの家電かでんメーカーでは近年きんねん白熱はくねつ電球でんきゅうの製造せいぞうの縮小しゅくしょうが進すすめられている。

ニキシー管かん

屋内おくないの小型こがた時計とけいに用もちいられることがある。

クォーツ腕時計うでどけい　F-91W(カシオ)

数字すうじの形かたちをした発光はっこう部ぶが多数たすう重かさねて収おさめられている。

字形じけいが7セグメントの形状けいじょうに依存いぞんせず読よみやすい、数字すうじがほかの文字もじ盤ばんに隠かくれたり前後ぜんごに動うごくなどの独特どくとくな特徴とくちょうがある。

日本にっぽんでは時計とけい用途ようとでは多おおくは使つかわれなかった。

表示ひょうじ器きの駆動くどうには200V程度ていどの高こう電圧でんあつが必要ひつようである。

蛍光けいこう表示ひょうじ管かん

屋内おくないの小型こがた時計とけいや装置そうち内蔵ないぞう型がた時計とけいに多おおく用もちいられる。

一般いっぱんには視認しにん性せいの高たかい緑色みどりいろ表示ひょうじで7セグメント表示ひょうじのほか、ドットマトリクス表示ひょうじも使つかわれることがある。

表示ひょうじにフィラメント（ヒーター）の点灯てんとうとやや高たかい電圧でんあつが必要ひつようなため消費しょうひ電力でんりょくは比較的ひかくてき大おおきく、通常つうじょうは交流こうりゅう電源でんげんや車載しゃさい使用しようで用もちいられる。

寿命じゅみょうは10年ねん以上いじょう持もつことが多おおい。

LED

屋内おくないの小型こがた時計とけいや装置そうち内蔵ないぞう型がた時計とけいに多おおく用もちいられる。

数字すうじは多おおくの場合ばあい7セグメント表示ひょうじだが、英えい文字もじや漢字かんじ表示ひょうじの必要ひつよう性せいや製品せいひんのデザイン重視じゅうしでドットマトリクス表示ひょうじのものも使つかわれることがある。

かつては発光はっこう色しょくは赤色あかいろだけだったが、現在げんざいでは製品せいひんによりフルカラーも発光はっこう可能かのう。

低てい電圧でんあつ駆動くどうだが消費しょうひ電力でんりょくは比較的ひかくてき大おおきく、主おもに交流こうりゅう電源でんげんの使用しようで用もちいられる。

液晶えきしょうパネル

多おおくの民生みんせい用よう時計とけいや装置そうち内蔵ないぞう型がた時計とけい、屋内おくないの掲示けいじ時計とけいに多おおく用もちいられる。

数字すうじは多おおくの場合ばあい7セグメント表示ひょうじで、ドットマトリクスのものもあるが、見みにくくなりがちである。

文字もじ色しょくは一般いっぱんに黒くろであり、視野しや角かくは広ひろいわけではない。一般いっぱんに低温ていおんでは表示ひょうじの動作どうさが一層いっそう緩慢かんまんになりやすい。

自照じしょう型がた素子そしでないため暗くら所ところでは照明しょうめいが必要ひつようでLEDなどのバックライト照明しょうめいを内蔵ないぞうしたものもある。液晶えきしょうの偏へん光こう板いたの設定せっていにより背景はいけいを黒くろくし表示ひょうじ時じに光ひかりを透過とうかさせることによりバックライトの色いろに依存いぞんした表示ひょうじをさせることができる。　また透明とうめいなガラス板ばん構造こうぞうの液晶えきしょう素子そしでは、透明とうめいなガラス板ばんに黒文字くろもじ（または黒地くろじに透明とうめいな字じ）のデジタル時計とけいを表示ひょうじさせることができる。

消費しょうひ電力でんりょくは非常ひじょうに低ひくいが、一般いっぱんに表示ひょうじ器きは交流こうりゅうで駆動くどうされる。

磁気じき反転はんてんパネル

屋内おくない外がいの大型おおがた時計とけいや耐たい候こう性せいを求もとめられる装置そうちに多おおく用もちいられる。

数字すうじはドットマトリクス、もしくは7セグメント表示ひょうじ。

電磁でんじコイルに電気でんきを流ながし、磁石じしゃくの入はいった表示ひょうじ素子そしを任意にんいの色いろに回転かいてんさせる仕組しくみである。

ロータリーバー式しき（磁気じき反転はんてん）（SEIKO）

パネルの色いろは非ひ表示ひょうじの時ときは黒くろが多おおいが、表示ひょうじの時ときは白しろや緑みどり、黄色おうしょく、オレンジなどの目立めだちやすい蛍光けいこう色しょくが使つかわれることが多おおい。

夜間やかんは照明しょうめいが必要ひつようである。

消費しょうひ電力でんりょくは表示ひょうじ内容ないようを変かえるときに電力でんりょくを必要ひつようとするが、内容ないようを変かえないときは駆動くどう電力でんりょくはかからない。

その他た

屋内おくない用途ようとでは、電磁石でんじしゃくにより動うごく浮うき出でた7セグメントのピンの文字もじで時刻じこくを視認しにんするピンクロックがあるが、動作どうさ音おんが大おおきい欠点けってんがある。　

公共こうきょう施設しせつに置おかれる大型おおがたのものでは、階段かいだん状じょうにドットマトリクス構造こうぞうの水みずの噴出ふんしゅつ口こうを設もうけ、それぞれの水道すいどう管かんを揚水ようすいポンプと電磁でんじ弁べんの制御せいぎょにより、現在げんざい時刻じこくとともにメッセージを表示ひょうじする噴水ふんすい時計とけいというものがある。

iosアプリ: Flip Clock

表示ひょうじ装置そうちの駆動くどう方法ほうほうは一般いっぱんに表示ひょうじする素子そしを直じかに回路かいろに接続せつぞくするスタティック方式ほうしきと、縦横じゅうおうに交差こうさした回路かいろにそれぞれ素子そしの線せんを接続せつぞくし、時分じぶん割わりで電気でんきを流ながすダイナミック方式ほうしきに大別たいべつされる。 スタティック方式ほうしきは表示ひょうじ器き駆動くどうに伴ともなうノイズが発生はっせいしにくく、高級こうきゅうなラジオ受信じゅしん機きの表示ひょうじ部ぶに用もちいられることもあるが、表示ひょうじ器きにつながる配線はいせんの数かずが多おおくなり消費しょうひ電力でんりょくも多おおくなりがちである。 一方いっぽうのダイナミック方式ほうしきは、表示ひょうじ器きにつながる配線はいせんの数かずを少すくなくできる。しかし発信はっしん器きを使つかい表示ひょうじ器きを時分じぶん割わりで部分ぶぶん的てきに表示ひょうじさせるため、ちらつきが生しょうじやすく目めが疲つかれることがあり、ラジオなどの電波でんぱノイズの発生はっせい源げんとなることがある。

機械きかい式しきデジタル時計とけい

コルトベルト社しゃの1890年代ねんだいの回転かいてん板ばん表示ひょうじ式しきのデジタル時計とけい。

機械きかい式しきデジタル時計とけいの例れい(パタパタ時計とけい)。ラジオと一体いったい型がたのもの。(SONY)

時刻じこくを歯車はぐるまやカムなどの力学りきがく的てきな伝達でんたつ機構きこうにより機械きかい的てきにデジタル表示ひょうじをする方式ほうしきで、回転かいてんドラムや円盤えんばんを回転かいてんさせたり、数字すうじ板ばんを反転はんてんさせたりすることで時刻じこくを直読ちょくどくするもの。ゼンマイ動力どうりょくによる回転かいてん板いた式しきのものは19世紀せいきには既すでに登場とうじょうしていた。

現在げんざいも機械きかい式しきデジタル時計とけいの一種いっしゅとして広ひろく知しられる反転はんてん板いた式しきデジタル時計とけい（パタパタ時計とけい）は、文字もじの数字すうじを羅列られつした板いたをたくさん用意よういしておいて、水車みずぐるまのように回転かいてんさせて、現在げんざいの数字すうじを示しめす。時じ(hour)用ようの24枚まいと、分ぶん(minute)用ようの60枚まいがあり、それぞれ、ツメではじく形かたちで、一いち枚まいずつずらす。時間じかんを決きめる原理げんりは、商用しょうよう電源でんげん周波数しゅうはすうを利用りようした同期どうき電動でんどう機き駆動くどうであるのが普通ふつうであった。

蛍光けいこう表示ひょうじ管かんや液晶えきしょうが普及ふきゅうするより前まえには、回転かいてんドラム式しきデジタル時計とけいとともにこの方式ほうしきが主流しゅりゅうであった。

21世紀せいきになった現在げんざいでも、古ふるくからある空港くうこうなどでは機械きかい式しきデジタル時計とけいが置おかれているところもある。また、腕時計うでどけいにも機械きかい的てきにデジタル表示ひょうじをしたものも存在そんざいしている。なかでもブルガリのジェラルドジェンタウォッチや大塚おおつかローテックの7.5号ごうなどは「ジャンピングアワー」と呼よばれる、小しょう窓まどの時ときを示しめす数字すうじが一時いちじ間あいだに一いち回かい、瞬時しゅんじに切きり替かわる機構きこうを採用さいようしている。

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