(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ニキシー管 - Wikipedia コンテンツにスキップ

ニキシーかん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ニキシーかん

ニキシーかん(ニキシーかん、Nixie tube)は数字すうじあるいは文字もじ記号きごう情報じょうほう表示ひょうじする一種いっしゅひや陰極いんきょく放電ほうでんかんひや陰極いんきょくかん)である。

構造こうぞう動作どうさ

[編集へんしゅう]
ニキシーかん (GN-4) の0 - 9までの表示ひょうじ
ニキシーかん NL54417がた 背面はいめんひだり)と前面ぜんめんみぎ、アラビア数字すうじ陰極いんきょくかさなってえる)

ガラスせいで、数字すうじあるいは文字もじなどの形状けいじょうをした多数たすう陰極いんきょくと1つのメッシュじょう陽極ようきょくから構成こうせいされ、内部ないぶ少量しょうりょうアルゴンあるいはさらに少量しょうりょう水銀すいぎん添加てんかした0.15気圧きあつ以下いかネオンガス(すなわち、放電ほうでん電圧でんあつひくくするためのペニングガス)でたされている。もっと一般いっぱんてきなニキシーかんは0 - 9の数字すうじ小数点しょうすうてん形状けいじょう陰極いんきょくかさねて内蔵ないぞうしているが、さらに様々さまざま文字もじ記号きごうしめすためのタイプ(1文字もじを14セグメントの陰極いんきょくどういち平面へいめん表示ひょうじするものなど)もある。真空しんくうかんのようなバルブの形状けいじょうをしているものが有名ゆうめいである。かく陰極いんきょく陽極ようきょくとのあいだやく140 - 170Vの直流ちょくりゅう電圧でんあつ(おおむね商用しょうよう電源でんげん整流せいりゅうしてられる電圧でんあつレベル)が印加いんかされると陰極いんきょくから電子でんし放出ほうしゅつこり、陰極いんきょくおおうようにあか橙色だいだいいろグロー放電ほうでん発光はっこうしょうじるので数字すうじなどを認識にんしきすることができる。発光はっこうしょくえることは使用しようする混合こんごうガスをえることで可能かのうである。文字もじおおきさはたかさが10 - 135mmのものがある。表示ひょうじ文字もじをバルブの頭部とうぶ方向ほうこうから頭部とうぶ表示ひょうじがた側面そくめん方向ほうこうから側部そくぶ表示ひょうじがたがあるが、小型こがた機器ききには後者こうしゃもちいられた。

歴史れきし

[編集へんしゅう]

ニキシーかんは、1954ねんちいさな真空しんくうかん製造せいぞう企業きぎょう「ハイデューブラザーズ研究所けんきゅうじょ (Haydu Brothers Laboratories)」が開発かいはつした。のちに同社どうしゃバロースしゃ買収ばいしゅうされている。

おなじようなデバイスは1920年代ねんだいにすでに特許とっきょされており、1930年代ねんだいにはナショナルユニオンしゃ (National Union Co.) とテレフンケンしゃ量産りょうさん開始かいししている。しかしながら、その構造こうぞうはまだ洗練せんれんされたものではなく、デジタルエレクトロニクス技術ぎじゅつ未熟みじゅく時代じだいであったことから、ニキシーかん普及ふきゅう1950年代ねんだいまでつこととなる。

雑誌ざっし「サイエンティフィック・アメリカン (Scientific American)」1973ねん6がつごう記事きじによると、ニキシー (Nixie) という名称めいしょう由来ゆらいは、"Numeric Indicator eXperimental No.1"の省略形しょうりゃくけいである"NIX I"という。

バロースしゃ買収ばいしゅうされたハイデューしゃは、デジタルカウンタとして作動さどうし、なおかつディスプレイようのニキシーかん動作どうささせることができるべつ電子でんしかん技術ぎじゅつ開発かいはつしていた。これは、「Beam-X ch」計数けいすうかんとしてられ、のちに「Trochotron(トロコトロン)」とばれたものである。トロコトロンは、時計とけいおよび周波数しゅうはすうカウンタと同様どうようUNIVAC 1101コンピュータ使用しようされた。

会社かいしゃ製造せいぞうされたニキシーとおなじようなディスプレイは、「Numicator」などの様々さまざま商標しょうひょうめいばれていた。「ニキシーかん」は一般いっぱんめいとしてはやくからもちいられたが、ひや陰極いんきょくネオン表示ひょうじかん (cold cathode neon readout tube) という名称めいしょう使用しようされていた。おなじようなデザインの表示ひょうじかんは、1950年代ねんだいから1990年代ねんだいまで、世界せかいてき製造せいぞうされている。

1960年代ねんだい後半こうはん当時とうじ生産せいさんりょうばしていた電卓でんたく表示ひょうじよう多用たようされ、生産せいさんりょう最高さいこうたっした。

数字すうじ表示ひょうじデバイスには、「Numitron」などとばれる白熱はくねつフィラメント表示ひょうじかんや「Digitron」などの名称めいしょうをもつ蛍光けいこう表示ひょうじかん発光はっこうダイオード (LED)、液晶えきしょうディスプレイ (LCD) などがある。

ニキシーかんやく170Vの電源でんげん必要ひつようとしたため、1970年代ねんだいまでに、てい電圧でんあつ動作どうさ発光はっこうダイオードや蛍光けいこう表示ひょうじかんによって表現ひょうげんされる7セグメントディスプレイ主役しゅやくわたした。てい電圧でんあつであることは、ドライバとして安価あんか集積しゅうせき回路かいろ使つかうえ必要ひつよう条件じょうけんであり、とくに新興しんこうのポケット電卓でんたく、および携帯けいたいがたのデジタル測定そくてい機器ききにはもとめられていた。7セグメントディスプレイの普及ふきゅうにより、ニキシーかんはその役目やくめえることとなった。高額こうがく特許とっきょりょう衰退すいたい一因いちいんであった。

その保守ほしゅようとしての生産せいさんつづいたが、1990年代ねんだいまでにすべてのメーカーで製造せいぞう終了しゅうりょうした。

実用じつようひんとしての利用りようすでいが、ニキシーかん駆動くどう回路かいろ個人こじん制作せいさく可能かのうなレベルであるため、ニキシーかん使用しようした時計とけいなどレトロアートとしての需要じゅようがあり[1]、ストックをばらりするネットショップや個人こじん少数しょうすう生産せいさんするもの[2][3]あらわれている。

おう用例ようれい寿命じゅみょう

[編集へんしゅう]
周波数しゅうはすうカウンタでの動作どうさ表示ひょうじれい

ニキシーかんは、初期しょきのデジタル電圧でんあつけい回路かいろけい周波数しゅうはすうカウンタ自動じどう券売けんばい、そのおおくの装置そうち数字すうじ表示ひょうじとして使用しようされた。また、軍事ぐんじ研究けんきゅう機関きかんにおける高価こうかなデジタルしき時間じかん表示ひょうじ、そしておおくの初期しょき電卓でんたく1961ねん真空しんくうかん使つかったSumlock-ComptometerしゃのAnita Mk VII)にも使つかわれていた。のちに、14セグメントによる英数字えいすうじ表示ひょうじ形式けいしき空港くうこう到着とうちゃく出発しゅっぱつ表示ひょうじばん株式かぶしき相場そうば表示ひょうじばん使用しようされた。さらに、かい番号ばんごう表示ひょうじするためにエレベーターのインジケーターや、えき自動じどう券売けんばい精算せいさんピンボールなどふるアーケードゲーム得点とくてん表示ひょうじ使つかわれたれいがある。名鉄めいてつ7000けい電車でんしゃの2しゃ以降いこうでは客室きゃくしつない速度そくどけい使用しようされていた。

ニキシーかん平均へいきん寿命じゅみょう製造せいぞう技術ぎじゅつ材料ざいりょうなどによってことなり、初期しょき製品せいひんは5000あいだほどだったが、最後さいごころすぐれた製品せいひんでは20まんあいだあるいはそれ以上いじょうたっした。ニキシーかんつぎのような多数たすう故障こしょうモードがある。

  • 単純たんじゅん破壊はかい
  • ガラスのヒビれや電極でんきょくせん導入どうにゅう気密きみつ劣化れっかによる大気たいきいれ
  • 1または複数ふくすう文字もじ一部いちぶあるいは全部ぜんぶ陰極いんきょく劣化れっかによる発光はっこう不良ふりょう
  • 放電ほうでんようする電圧でんあつがることによる発光はっこうのちらつきや点灯てんとう
  • ガラス容器ようき内面ないめんへの電極でんきょく金属きんぞくスパッタリングによる視認しにんせい悪化あっか
  • 誤用ごようあるいはスパッタリングによる内部ないぶ回路かいろ開放かいほうまたは短絡たんらく

ていかくえた条件じょうけんでニキシーかん駆動くどうさせるとぐに動作どうさ停止ていしいたる。とく電流でんりゅう電極でんきょくのスパッタリングをこす。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]