ねつ放射ほうしゃ

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白熱はくねつ電球でんきゅうは、ねつ放射ほうしゃ応用おうようした照明しょうめい器具きぐである。

ねつ放射ほうしゃ(ねつほうしゃ、えい: thermal radiation)とは、気体きたい液体えきたいまたは固体こたい構成こうせいする原子げんし分子ぶんしから、温度おんど依存いぞんする電磁波でんじは放出ほうしゅつされていることをいう[1]ねつ放射ほうしゃみなもとは、ねつ運動うんどうである[1]放射ほうしゃ特性とくせい物質ぶっしつ種類しゅるい温度おんどまり[2]振動しんどうすう次元じげんにおいてひろ連続れんぞくスペクトルをもつ[3]ねつ放射ほうしゃは、つてねつ一種いっしゅである。ねつ輻射ふくしゃ(ねつふくしゃ)、温度おんど放射ほうしゃ温度おんど輻射ふくしゃともいう[4]室温しつおんにおけるねつ放射ほうしゃ主成分しゅせいぶんは、赤外線せきがいせんである[3]

理論りろん[編集へんしゅう]

ねつ放射ほうしゃ基礎きそ理論りろんプランクの法則ほうそくである。白熱はくねつ電球でんきゅうは、電流でんりゅうすくない場合ばあいよわあかっぽいひかりすが、電流でんりゅうおおくなるとつよしろっぽいひかりす。その理由りゆうはプランクの法則ほうそく説明せつめいできる。プランクの法則ほうそくは、くろたいという仮想かそうてき物体ぶったいについて、ねつ放射ほうしゃのスペクトルと温度おんど関係かんけい説明せつめいしている。くろたいはっするねつ放射ほうしゃくろたい放射ほうしゃという。おな温度おんどでの実際じっさい物体ぶったいねつ放射ほうしゃくろたい放射ほうしゃよりもよわいが[5]基本きほんてき性質せいしつおなじである[3]実際じっさい物体ぶったいねつ放射ほうしゃくろたい放射ほうしゃ射出しゃしゅつりつまたは放射ほうしゃりつεいぷしろんという。

派生はせいてき法則ほうそく[編集へんしゅう]

以下いか法則ほうそくは、すべてプランクの法則ほうそくから導出どうしゅつされる。

ウィーンの変位へんいそく
くろたい放射ほうしゃにおいてエネルギー密度みつど最大さいだい波長はちょうねつ力学りきがく温度おんど反比例はんぴれいすることをしめ法則ほうそく。つまり温度おんどたかいほど波長はちょうみじか電磁波でんじは多量たりょう[3]。プランクの法則ほうそく説明せつめいされるスペクトル曲線きょくせん最大さいだい数学すうがくてきもとめることで導出どうしゅつされる。この法則ほうそくにより、ピーク波長はちょうから温度おんどもとめること接触せっしょくでできる。
室温しつおんではおも赤外線せきがいせん放射ほうしゃし、炭火すみびストーブなどは赤外線せきがいせんくわえてあか可視かしこう放射ほうしゃし、白熱はくねつ電球でんきゅうさらしろっぽく発光はっこうし、太陽たいよう紫外線しがいせん放射ほうしゃしている。
シュテファン=ボルツマンの法則ほうそく
くろたい放射ほうしゃすべての振動しんどうすうにわたるエネルギー総量そうりょうねつ力学りきがく温度おんどの4じょう比例ひれいすることをしめ法則ほうそく。プランクの法則ほうそく説明せつめいされるスペクトル曲線きょくせん積分せきぶんすることで導出どうしゅつされる。
レイリー・ジーンズの法則ほうそく
くろたい放射ほうしゃのピークに対応たいおうする波長はちょうよりもはるかになが波長はちょうにおいて、単位たんい波長はちょうあたりの放射ほうしゃりょうねつ力学りきがく温度おんどに(近似きんじてきに)比例ひれいするという法則ほうそく。プランクの法則ほうそく近似きんじとして導出どうしゅつされる。

放射ほうしゃでんねつ[編集へんしゅう]

輻射ふくしゃでんねつともいう[6]物体ぶったいそとからたった電磁波でんじは反射はんしゃ透過とうか吸収きゅうしゅうし、そとかって電磁波でんじは放出ほうしゅつする[3]すべての物体ぶったい電磁波でんじはし、それを相互そうご吸収きゅうしゅうすることによって、きでエネルギーが移動いどうする。物体ぶったい同士どうしはなれていても、また、ねつ媒介ばいかいする物質ぶっしつがない真空しんくうでもねつつたわる[3][5]気温きおんおなじでも日向ひなた日陰ひかげ体感たいかん温度おんどことなるのは、輻射ふくしゃでんねつによるものである。

めんあいだはこばれる熱量ねつりょう[編集へんしゅう]

ねつ力学りきがく温度おんどTs表面積ひょうめんせきA2放射ほうしゃりつεいぷしろん2物体ぶったいが、周囲しゅうい壁面へきめん表面積ひょうめんせきA1放射ほうしゃりつεいぷしろん1ねつ力学りきがく温度おんどTa)にねつ放射ほうしゃによって単位たんい時間じかん放出ほうしゅつする熱量ねつりょうPしたしきになる。

σしぐまシュテファン=ボルツマン定数ていすう

A2 << A1とき、すなわちとおくへねつひろがっていく場合ばあい

となる。ねつ放射ほうしゃされる熱量ねつりょうは、シュテファン=ボルツマン定数ていすうちいさいなので[よう検証けんしょう]温度おんどひくときちいさいが、ねつ力学りきがく温度おんどの4じょう比例ひれいするので、高温こうおんでんねつではねつ伝導でんどう対流たいりゅう以上いじょう重要じゅうよう[5]である。

壁面へきめんがより一般いっぱんてき位置いち関係かんけいをとる場合ばあいは、形態けいたい係数けいすうF1→2もちいてつぎのようにあらわされる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b ねつ放射ほうしゃ | ウシオ電機うしおでんき”. ウシオ電機うしおでんき株式会社かぶしきがいしゃ ホームページ. 2020ねん9がつ4にち閲覧えつらん
  2. ^ "ねつ放射ほうしゃ". デジタル大辞泉だいじせん. コトバンクより2020ねん9がつ3にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f "ねつ放射ほうしゃ". 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ. コトバンクより2020ねん9がつ1にち閲覧えつらん
  4. ^ "ねつ放射ほうしゃ". マイペディア. コトバンクより2020ねん9がつ1にち閲覧えつらん
  5. ^ a b c "ねつ放射ほうしゃ". 化学かがく辞典じてん だい2はん. コトバンクより2020ねん9がつ1にち閲覧えつらん
  6. ^ "放射ほうしゃでんねつ". ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん. コトバンクより2020ねん9がつ1にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]