トリビュート・アルバム

トリビュート・アルバム（英えい: tribute album）は、功績こうせきのある人物じんぶつ、グループに対たいして称賛しょうさんするために作つくられるアルバムのこと。複数ふくすうのミュージシャンによって対象たいしょうとなるミュージシャンの曲きょくをカバーしたコンピレーション・アルバムのような形式けいしきになることが多おおい。

概要がいよう[編集へんしゅう]

トリビュートとは「称賛しょうさん・賛辞さんじ・貢物みつぎもの」といった意味いみであり^[1]、自分じぶん自身じしんに大おおきく影響えいきょうを与あたえたり、尊敬そんけいしていたり、憧憬どうけいの存在そんざいであったりするアーティストに対たいして敬意けいいを表あらわすアルバムであることを示唆しさする呼称こしょう。ミュージシャン以外いがいでは手塚てづか治虫おさむ（ATOM KIDS^[2]）、アイルトン・セナのトリビュート・アルバムが製作せいさくされた（A Tribute To Ayrton Senna）^[3]。

歴史れきし[編集へんしゅう]

「トリビュート・アルバム」という言葉ことばが日本にっぽんのマスメディアで取とり上あげられるようになったのは1997年ねん頃ごろ^[4]。1997年ねん8月がつ16日にちの日本経済新聞にほんけいざいしんぶんに「トリビュート・アルバムー古ふるい音源おんげんへの興味きょうみ高たかまる（ヒット直送ちょくそう便びん）」との記事きじが掲載けいさいされる^[4]。

内容ないようは「いま、CD店てんの推奨すいしょう盤ばんコーナーには、若わかいアーティストの最新さいしん作さくとともに往年おうねんの大だいスターのアルバムが積つまれている。例たとえば若わか大将たいしょう『加山かやま雄三ゆうぞう』、ロック歌謡かようの草分くさわけ『西城さいじょう秀樹ひでき』、日本にっぽんのロックギタリストの重鎮じゅうちん『Char』…。と言いっても、これらのCDで実じつは本人ほんにんたちは一いち曲きょくも歌うたっていない。帯おびを見みれば、「トリビュート・アルバム」とある。『トリビュート』。英語えいごで『尊敬そんけいの辞じ』『ささげ物ぶつ』などという意味いみだ。こうしたCDはみな、そのスターのファン、つまりそれを聴きいて育そだった世代せだいのミュージシャンたちが、オリジナルを新あらたに編曲へんきょくし、吹ふき込こみ直なおしたカバーバージョン集しゅうなのだ。槇原まきはら敬之たかゆきが加山かやま雄三ゆうぞうの『お嫁よめにおいで』を、サンプラザ中野なかのが西城さいじょう秀樹ひできの『ちぎれた愛あい』をアバンギャルドなアレンジで絶唱ぜっしょうし、藤井ふじいフミヤがCharの『気絶きぜつするほど悩なやましい』をパンク風ふうにシャウトしている。それぞれのミュージシャンがオリジナルを自分じぶん流りゅうに消化しょうかして、そこから新あらたな魅力みりょくを醸かもし出だす。トリビュートはそもそも、洋楽ようがくで盛さかんに作つくられてきた。レコード会社かいしゃの枠わくを超こえてアーティストが集あつまり、自分じぶんたちの音楽おんがくに影響えいきょうを与あたえたスーパースターに捧ささげるアルバムを作つくる企画きかくだ。しかし今いま、日本にっぽんの音楽おんがく業界ぎょうかいは「今後こんごは和製わせいトリビュートの波なみが来くる」と予測よそくしている。若わかい音楽おんがくファンの間あいだで古ふるい音源おんげんへの興味きょうみが高たかまっていることがこの背景はいけいにある。レコード会社かいしゃ側がわにも『次つぎの時代じだいに受うけ継つがれていくもの』として、日本にっぽんのスタンダード・ナンバーを作つくろうという機運きうんがあるようだ。大手おおてCD店てんは「トリビュートものはタイトル数すうで増ふえており、積極せっきょく的てきにプロモートしている」（山野やまの楽器がっき）と話はなす。かつての時代じだいをそのスターと共有きょうゆうした者ものにとっては懐なつかしき再会さいかいの歌うた、そこに新あたらしい息吹いぶきを与あたえる若者わかものにとっては新鮮しんせんな過去かことの出会であい…。どうやらマーケットの二に重じゅう性せいがトリビュート・アルバムのムーブメントを推おし進すすめているようだ」^[4]。

1999年ねんにhideのトリビュート・アルバム『hide TRIBUTE SPIRITS』がトリビュート・アルバムとして初はじめてオリコンチャートの1位いを獲得かくとく^[5]。2005年ねんに『NANA』のトリビュート・アルバム『LOVE for NANA 〜Only 1 Tribute〜』が、作品さくひんに対たいするトリビュート盤ばんとして初はじめてオリコンチャートTOP3入いり（2位い）を獲得かくとくした^[5]。