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トルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界げんかい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

トルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界げんかい(トルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフげんかい、英語えいご: Tolman–Oppenheimer–Volkoff limit)とは、中性子星ちゅうせいしせいちうる質量しつりょう上限じょうげんである。白色はくしょく矮星におけるチャンドラセカール限界げんかい相当そうとうする。現在げんざい推定すいていされる範囲はんいはおよそ1.5から3.0太陽たいよう質量しつりょうである[1]

歴史れきし

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1939ねんロバート・オッペンハイマージョージ・ヴォルコフ英語えいごばんは、リチャード・C・トルマン研究けんきゅう結果けっかもちいて中性子星ちゅうせいしせい質量しつりょう限界げんかいはじめて計算けいさんした。このさい、オッペンハイマーとヴォルコフは中性子星ちゅうせいしせい中性子ちゅうせいしつめたく、縮退しゅくたいしたフェルミ気体きたいからると仮定かていした。この仮定かていからられた質量しつりょう限界げんかいはおよそ0.7太陽たいよう質量しつりょうであった[2][3]。これは白色はくしょく矮星におけるチャンドラセカール限界げんかいよりもちいさい。のち中性子ちゅうせいしあいだはたらつよ相互そうご作用さようによる斥力せきりょく考慮こうりょれられたことでよりおおきいられ、現在げんざいではおよそ1.5から3.0太陽たいよう質量しつりょうとされている[1]。この不確ふたしかさはちょう密度みつど物質ぶっしつ記述きじゅつする状態じょうたい方程式ほうていしきがよくられていないことに起因きいんする。

恒星こうせい進化しんか

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トルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界げんかいは、恒星こうせい進化しんか最終さいしゅう段階だんかいかんする研究けんきゅうにおいて重要じゅうよう役割やくわりたす。この限界げんかいよりもかる中性子星ちゅうせいしせいでは、ほしおもさはつよ相互そうご作用さようによる短距離たんきょりあいだでの中性子ちゅうせいし-中性子ちゅうせいし相互そうご作用さよう斥力せきりょく中性子ちゅうせいし縮退しゅくたいあつささえられている。もし、中性子星ちゅうせいしせいがこの限界げんかいよりもおもいときにはより密度みつどたか状態じょうたい崩壊ほうかいするだろう。それはブラックホールを形成けいせいするか構成こうせいぶつ変化へんかして方法ほうほう(れいとして、クォークぼしであればクォーク縮退しゅくたいあつ)によってささえられる。クォーク縮退しゅくたいなどのよりわったかたち仮説かせつてき縮退しゅくたい物質ぶっしつ特徴とくちょうは、中性子ちゅうせいし縮退しゅくたいくらべてさらにわずかなことしかられておらず、この限界げんかいへの反証はんしょうられないことから、おおくの宇宙うちゅう物理ぶつり学者がくしゃは、この限界げんかいえた中性子星ちゅうせいしせい直接ちょくせつブラックホールになると推測すいそくしている。

個々ここほし崩壊ほうかいしてブラックホールがつくられるためには、質量しつりょうがトルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界げんかいえていなければならない。

観測かんそくてきに、Xせんれんぼし構成こうせいするいくつかのおも天体てんたいは、おおきな質量しつりょうつこと、比較的ひかくてきくらいことおよびXせんスペクトルから恒星こうせいブラックホールだとかんがえられている。それらのブラックホールの候補こうほ天体てんたい太陽たいよう質量しつりょうのおよそ3から20ばい質量しつりょうつと推定すいていされている[4][5]

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ a b Bombaci, I. (1996). “The maximum mass of a neutron star”. Astronomy and Astrophysics 305: 871-877. Bibcode1996A&A...305..871B. 
  2. ^ Tolman, Richard C. (1939). “Static Solutions of Einstein's Field Equations for Spheres of Fluid”. Physical Review 55 (4): 364-373. doi:10.1103/PhysRev.55.364. ISSN 0031-899X. 
  3. ^ Oppenheimer, J. R.; Volkoff, G. M. (1939). “On Massive Neutron Cores”. Physical Review 55 (4): 374-381. doi:10.1103/PhysRev.55.374. ISSN 0031-899X. 
  4. ^ E. McClintock, Jeffrey; A. Remillard, Ronald. Black Hole Binaries. arXiv:astro-ph/0306213v4. Bibcode2006csxs.book..157M. 
  5. ^ Casares, Jorge (2007). “Observational evidence for stellar-mass black holes”. Proceedings of the International Astronomical Union 2 (S238): 3. arXiv:arXiv:astro-ph/0612312v1. Bibcode2007IAUS..238....3C. doi:10.1017/S1743921307004590. ISSN 1743-9213.