ドミニク・ストロス＝カーン

フランスの政治せいじ家か ドミニク・ストロス＝カーン Dominique Strauss-Kahn
2007年ねん4月がつ、ツールーズにおけるドミニク・ストロス＝カーン
生年月日せいねんがっぴ	(1949-04-25) 1949年ねん4月がつ25日にち（75歳さい）
出生しゅっしょう地ち	ヌイイ＝シュル＝セーヌ
出身しゅっしん校こう	パリ第だい10大学だいがく パリ政治せいじ学院がくいん HEC経営けいえい大学院だいがくいん
所属しょぞく政党せいとう	フランス社会党しゃかいとう
配偶はいぐう者しゃ	アンヌ・サンクレール（1991年ねん-2013年ねん）
国際こくさい通貨つうか基金ききん（IMF）専務せんむ理事りじ
在任ざいにん期間きかん	2007年ねん11月1日にち - 2011年ねん5月18日にち
フランス経済けいざい・財政ざいせい相しょう
在任ざいにん期間きかん	1997年ねん6月4日にち - 1999年ねん11月2日にち
大統領だいとうりょう	ジャック・シラク
国民こくみん議会ぎかい議員ぎいん

ドミニク・ストロス＝カーン（ストロス・カーン、ストロスカーン、Dominique Strauss-Kahn、1949年ねん4月がつ25日にち - ）は、フランスの経済けいざい学者がくしゃ、法律ほうりつ家か、政治せいじ家か。フランス社会党しゃかいとう所属しょぞく。しばしば頭文字かしらもじをとって、DSKと呼よばれる。IMF専務せんむ理事りじを務つとめた（2007年ねん11月1日にち～2011年ねん5月がつ18日にち）。

1997年ねんから1999年ねんまで経済けいざい・財政ざいせい・産業さんぎょう大臣だいじん（大蔵おおくら大臣だいじん、財務ざいむ大臣だいじんに相当そうとう）。パリ政治せいじ学院がくいん及およびHEC経営けいえい大学院だいがくいん教授きょうじゅ。2007年ねんフランス大統領だいとうりょう選挙せんきょでは、社会党しゃかいとうの大統領だいとうりょう選挙せんきょ候補者こうほしゃに立候補りっこうほしたが、最終さいしゅう的てきに2006年ねん11月党とう大会たいかいでセゴレーヌ・ロワイヤルが公認こうにん候補者こうほしゃとなった。2012年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょでも有力ゆうりょく候補こうほとみなされてきたが、複数ふくすうの強姦ごうかん未遂みすい疑惑ぎわくが持もち上あがりIMF専務せんむ理事りじを辞任じにんし、選挙せんきょにも出馬しゅつばしなかった。

生おい立たちと初期しょきの経歴けいれき

1949年ねん4月がつ25日にち、ヌイイ＝シュル＝セーヌに生うまれる。父ちちジルベールは、アルザス＝ロレーヌをルーツに持もつユダヤ系けいフランス人じんの家系かけい出身しゅっしん。母ははジャクリーヌはセファルディムを先祖せんぞに持もつジャーナリスト。幼年ようねん時じ、モロッコとモナコで過すごした。

モナコのリセ・アルベール＝プルミエール (Lycée Albert-Premier) から、パリ17区くマルゼルブ大通おおどおり沿ぞいにあるリセ・カルノー (Lycée Carnot) を経へて、HEC経営けいえい大学院だいがくいん入学にゅうがく。HEC卒業そつぎょう後ごはパリ政治せいじ学院がくいん（シアンスポ、公共こうきょう政策せいさくセクション）とパリ第だい6大学だいがく統計とうけい学がく研究所けんきゅうじょでそれぞれ学まなんだ。1972年ねん、シアンスポを卒業そつぎょうし、公法こうほう学がくの学位がくい（リサンス）を取得しゅとく。1975年ねん、パリ第だい10大学だいがく（パリ・ナンテール）から経済けいざい学がくの博士はかせ号ごう (Ph.D.) を取得しゅとくした。1977年ねん、経済けいざい学がくでアグレガシオンを取得しゅとくした。

1977年ねん、ナンシー第だい2大学だいがく経済学部けいざいがくぶ教授きょうじゅ、1981年ねん、パリ第だい10大学だいがく（パリ・ナンテール）及およびフランス国立こくりつ行政ぎょうせい学院がくいん（ENA）教授きょうじゅに就任しゅうにん。2007年ねん、パリ政治せいじ学院がくいんでミクロ経済けいざい学がくとマクロ経済けいざい学がくを教おしえている。

1971年ねんに貯蓄ちょちく調査ちょうさセンター (Centre de recherche sur l'épargne) に勤務きんむしていたが、ここで後のちにフランス大手おおてのIT企業きぎょうキャップジェミニ社長しゃちょうとなるポール・エルムラン (Paul Hermelin) や、革命かくめい的てき共産きょうさん主義しゅぎ者しゃ同盟どうめいの党員とういんで後のちに保険ほけん大手おおてスコールの社長しゃちょうとなったデニス・ケスラー（ドニ・ケスラー）とともに働はたらく。1982年ねんにケスラーはパリ第だい10大学だいがく（パリ・ナンテール）助手じょしゅとなり、『貯蓄ちょちくと退職たいしょく』 L’épargne et la retraite のタイトルで論文ろんぶんを共同きょうどう執筆しっぴつした。

政界せいかい入いり

ストロス・カーンは、社会しゃかい主義しゅぎ教育きょういく研究けんきゅうセンター Centre d'Etudes, de Recherches et d'Education Socialiste に所属しょぞくし、ここで後のちに国防こくぼう相しょう、内相ないしょうを歴任れきにんする社会党しゃかいとうの大物おおものジャン・ピエール・シュヴェーヌマンに師事しじするとともに、後のちに首相しゅしょう、社会党しゃかいとう第だい一いち書記しょきとなるリオネル・ジョスパンとの親交しんこうを得えた。

1981年ねんフランス大統領だいとうりょう選挙せんきょで社会党しゃかいとうのフランソワ・ミッテランが当選とうせんする。ストロス・カーンは、ジョスパンが設立せつりつした社会党しゃかいとう機関きかん「社会しゃかい主義しゅぎとユダヤ主義しゅぎ」で勤務きんむするため、公職こうしょくを離はなれ、社会党しゃかいとう企画きかく担当たんとう委員いいんとなる。1986年ねんオート＝サヴォワ県けんから下院かいん国民こくみん議会ぎかい選挙せんきょに立候補りっこうほし初はつ当選とうせんする。1988年ねんヴァル＝ドワーズ県けんから選出せんしゅつされる。財務ざいむ委員いいん長ちょうになり、同おなじく社会党しゃかいとう出身しゅっしんのピエール・ベレゴボワ蔵相ぞうしょう（後ご、首相しゅしょう）とともに経済けいざい・財政ざいせい専門せんもん家かとして知しられるようになっていった。1995年ねんから1997年ねんまでサルセル市長しちょうを務つとめた。

産業さんぎょう界かい

1991年ねんエディット・クレッソン内閣ないかくの産業さんぎょう担当たんとう次官じかんに就任しゅうにんする。クレッソン内閣ないかくの後継こうけいとなったベレゴボワ内ない閣かくでもいくつかのポストに就つく。しかし1993年ねん社会党しゃかいとうは総そう選挙せんきょで敗北はいぼくし、ストロス・カーンも落選らくせんの憂うき目めを見みる。選挙せんきょ後ご、クロード・アレグール Claude Allègreらと社会党しゃかいとう専門せんもん家かグループ groupe des experts du PSを結成けっせいした。このグループは、ミシェル・ロカール派はと近ちかい関係かんけいにあり、ロカールを支援しえんした。1994年ねんルノー社しゃ取締役とりしまりやくのレイモン・レヴィ Raymond Lévyによって欧州おうしゅう連合れんごうに対たいするフランス産さん業界ぎょうかいロビー団体だんたいである産業さんぎょうサークル Cercle de l’Industrieに誘さそわれる。産業さんぎょうサークルでヴァンサン・ボロレ、ルイ・シュヴァイツァーなどの有力ゆうりょく実業じつぎょう家かと知己ちきとなった。ストロス・カーンは産業さんぎょうサークルで事務じむ総長そうちょう、副ふく会長かいちょうを務つとめた。1993年ねん法律ほうりつ事務所じむしょ「DSK顧問こもん」を設立せつりつして、企業きぎょう弁護士べんごしとしても活動かつどうした。1991年ねんTF1の記者きしゃであったアンヌ・サンクレールと結婚けっこん。

蔵相ぞうしょう

1997年ねん国民こくみん議会ぎかい総そう選挙せんきょで社会党しゃかいとうが勝利しょうりし、ストロス・カーンも当選とうせんし、リオネル・ジョスパン内閣ないかくが成立せいりつすると、経済けいざい・財政ざいせい・産業さんぎょう大臣だいじんとして入閣にゅうかくする。蔵相ぞうしょうとしては、大だい規模きぼな民営みんえい化かを実施じっしし、その中なかにはフランス・テレコムの株式かぶしき公開こうかいも含ふくまれる。そのほか、種々しゅじゅの規制きせい緩和かんわや研究けんきゅう、開発かいはつ分野ぶんやへの投資とうしを促うながした。ストロス・カーンの努力どりょくもあり、フランス経済けいざいはストロス・カーンの在任ざいにん中ちゅう、GDPの増加ぞうかと、失業しつぎょう率りつ、公的こうてき債務さいむの減少げんしょうが見みられた。このことは、ストロス・カーンの政治せいじ家かとしての信頼しんらい度どを増ますこととなり、同時どうじに党内とうない実力じつりょく者しゃであるジョスパンやロカールの一層いっそうの支持しじを得えることにも繋つながった。ストロス・カーンはこの時期じき、党内とうない改革かいかく派はのグループ「社会しゃかい主義しゅぎと民主みんしゅ主義しゅぎ」Socialisme et Démocratieを結成けっせいしている。しかし、ジョスパン首相しゅしょうとマルティーヌ・オブリー社会しゃかい相しょうが打うち出だした週しゅう35時じ間あいだ労働ろうどう時間じかん制せい（4時じ間あいだの削減さくげん）に対たいしては、産業さんぎょう界かいの意向いこうもあり反対はんたいしていたが、ジョスパン首相しゅしょうの意向いこうもあり実現じつげんした。

1999年ねんエルフアキテーヌ社しゃとMNEF（学生がくせい健康けんこう保険ほけん）に関係かんけいした2つの金融きんゆうスキャンダルで渦中かちゅうの人ひととなり、蔵相ぞうしょうを辞任じにんした。後のちに裁判さいばんで無罪むざいとなり、2001年ねん国民こくみん議会ぎかい議員ぎいんに返かえり咲ざきを果はたした。2002年ねん国民こくみん議会ぎかい総そう選挙せんきょでも当選とうせん。2004年ねん末まつ、2007年ねんフランス大統領だいとうりょう選挙せんきょに向むけて、ジャック・ラング、マルティーヌ・オブリとともに社会党しゃかいとう政策せいさくプログラム作成さくせいの責任せきにん者しゃとなる。2005年ねん夏なつ、大統領だいとうりょう選挙せんきょ候補者こうほしゃを選出せんしゅつする党内とうない予備よび選挙せんきょに立候補りっこうほを表明ひょうめいした。党とう大会たいかいではセゴレーヌ・ロワイヤル、ローラン・ファビウス元もと首相しゅしょうが立候補りっこうほし、ストロス・カーンは2位いとなり、ロワイヤルに敗やぶれた。

ストロス・カーンはロカール、ピエール・モスコヴィシ Pierre Moscoviciと「ヨーロッパを左ひだりに」 À gauche en Europe というシンクタンクを設立せつりつした。また、前述ぜんじゅつの「社会しゃかい主義しゅぎと民主みんしゅ主義しゅぎ」グループ会長かいちょうでもある。

国際こくさい通貨つうか基金ききん (IMF) は2007年ねん9月がつ28日にち午前ごぜんに開ひらいた理事りじ会かいで、次期じき専務せんむ理事りじに元もと財務ざいむ相しょうのストロス・カーンが就つくことを決定けってい、同年どうねん11月がつ1日にちに就任しゅうにんした。任期にんきは5年ねん。ストロス・カーンはこの期間きかん、仏ふつ政界せいかいから離はなれることになる。就任しゅうにん後ごの2008年ねんには部下ぶかの女性じょせいエコノミストとの立場たちばを利用りようしたとされる不適切ふてきせつな交際こうさいが問題もんだいとなり、IMFによる調査ちょうさが行おこなわれた。

レイプ疑惑ぎわく

2012年ねんフランス大統領だいとうりょう選挙せんきょにおいて40%以上いじょうの支持しじで断だんトツの有力ゆうりょく候補こうほになり、社会党しゃかいとう内ないでも有力ゆうりょくな候補こうほとしてみなされてきたが2011年ねん5月がつ14日にちに訪問ほうもん先さきのニューヨーク市しのソフィテルホテルにおいて、アフリカからの移民いみん女性じょせいのホテル従業じゅうぎょう員いんへの性的せいてき暴行ぼうこう容疑ようぎで逮捕たいほ・訴追そついされた。

精液せいえきなどの物的ぶってき証拠しょうこがあったにもかかわらず、ストロス・カーンは「男女だんじょ双方そうほうに同意どういがあった」と保釈ほしゃくを要請ようせいするが、当然とうぜんにもこれは認みとめられず、同市どうしの島しま全体ぜんたいが刑務所けいむしょとなっているライカーズ島とうの独房どくぼうに収容しゅうようされた。事件じけんには、ストロス・カーンと政治せいじ的てき対立たいりつが続つづいていたニコラ・サルコジ大統領だいとうりょうの関与かんよも疑うたがわれた。

辞任じにん後ご

5月18日にちにはIMF専務せんむ理事りじを辞任じにんする旨むねが発表はっぴょうされた。5月20日にちに600万まんドル相当そうとうの保釈ほしゃく金きんを払はらうなどの条件じょうけんで保釈ほしゃくが認みとめられ、自宅じたく軟禁なんきんが続つづいていたが、性的せいてき暴行ぼうこうの被害ひがい者しゃの移民いみん当時とうじからの供述きょうじゅつについて検察けんさつ当局とうきょくが疑念ぎねんを抱いだき、7月がつ1日にち、ニューヨーク州しゅうの裁判所さいばんしょはストロス・カーンの自宅じたく軟禁なんきんを解除かいじょ。8月22日にちは検察けんさつ側がわが起訴きそを取とり下さげた。

結局けっきょく、ホテル従業じゅうぎょう員いんへのレイプ事件じけんについては退しりぞけたものの、この事件じけんを契機けいきに過去かこの女性じょせい問題もんだいが続出ぞくしゅつ、フランス国内こくないでスキャンダルが連日れんじつ報道ほうどうされ、8月がつ8日にちには新あらたな原告げんこくにレイプ容疑ようぎで民事みんじでも訴うったえられたほか、他ほかにもレイプ容疑ようぎで訴うったえを起おこされており、大統領だいとうりょう選挙せんきょへの出馬しゅつばは難むずかしいとの見方みかたが多おおく、結局けっきょく2012年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょには出馬しゅつばしなかった。

売春ばいしゅん婦ふが参加さんかする乱交らんこうパーティーに出席しゅっせきしていた事件じけんについても売春ばいしゅん斡旋あっせん容疑ようぎで起訴きそされたが、2015年ねん6月がつにパーティーの首謀しゅぼう者しゃではなかったと判断はんだんされて無罪むざい判決はんけつがい渡いわたされた。

著書ちょしょ

• La flamme et la cendre, Grasset, 2002年ねん (ISBN 2-01-279122-0)
• Lettre ouverte aux enfants d’Europe, Grasset, 2004年ねん (ISBN 2-246-68251-7)

ストロス＝カーンを題材だいざいとした作品さくひん

• ハニートラップ 大統領だいとうりょうになり損そこねた男おとこ - 2014年ねんの米べい映画えいが。強姦ごうかん未遂みすい事件じけんから着想ちゃくそうを得えたフィクション。

外部がいぶリンク

• DSK's blog（フランス語ふらんすご）
• Engagement of DSK for the YES, in the European Treaty（フランス語ふらんすご）
• Socialisme et Démocratie website（フランス語ふらんすご）
• official campaign site for the 2007 presidential elections（フランス語ふらんすご）

公職こうしょく
先代せんだい ジャン・アルテュイ	フランスの蔵相ぞうしょう・財務ざいむ相しょう 1997年ねん - 1999年ねん	次代じだい クリスチャン・ソテール
先代せんだい ロドリゴ・ラト	国際こくさい通貨つうか基金ききん専務せんむ理事りじ 第だい10代：2007年ねん11月1日にち - 2011年ねん5月18日にち	次代じだい ジョン・リプスキー （代行だいこう）