博士はかせ

博士はかせ （はくし、はかせ: Ph.DまたはD.Ph 英えい: Doctor's degree ドクター・ディグリー）（日本にっぽんの学位がくいは「はくし」、昔むかしの大だい学寮がくりょうの官職かんしょく名めいは「はかせ」であった）は、多おおくの国くにの高等こうとう教育きょういく機関きかん・体系たいけいの中なかで与あたえられる学位がくいのうち最高さいこう位いのものである（博士はかせの学位がくい参照さんしょう）。国くにによっては事実じじつ上じょう博士はかせより上位じょういの学位がくいが存在そんざいすることもある（例れい：明治めいじ31年ねん廃止はいしされた大だい博士はかせ）。英語えいごからドクターともいい、世界せかいの教育きょういくレベルを分類ぶんるいしているISCEDでは最高さいこう位いのレベル8、欧州おうしゅう資格しかくフレームワーク (EQF) でも最高さいこう位いのレベル8と定義ていぎされている。

日本にっぽんでは1887年ねん（明治めいじ20年ねん）に公布こうふされた「学位がくい令れい」で、法学ほうがく博士はかせ・医学いがく博士はかせ・工学こうがく博士はかせ・文学ぶんがく博士はかせ・理学りがく博士はかせの5種類しゅるいの博士はかせが設もうけられ、希少きしょう性せいから「末まつは博士はかせか大臣だいじんか」と詠うたわれるほど市井しせいにおいて高たかく評価ひょうかされ、学位がくいの保持ほじ者しゃに対たいしては敬意けいいが表あらわされていた。5種類しゅるいで開始かいしした博士はかせ学位がくいは19種類しゅるいまで増ふえたが、1991年ねんの制度せいど変更へんこうで廃止はいしされた。現在げんざいは「博士はかせ（文学ぶんがく）」などと専攻せんこう分野ぶんやをカッコ内ないに表記ひょうきし、その数かずは優ゆうに100を超こえる。明治めいじ20年ねん制定せいていの学位がくい令れいは、博士はかせの学位がくいは、「大学院だいがくいんに入はいり定期ていきの試験しけんを経へた者ものに授与じゅよするほか、これと同等どうとう以上いじょうの学力がくりょくのある者ものに帝国ていこく大学だいがく評議ひょうぎ会かいの議ぎを経へて授与じゅよ」すると定さだめ、授与じゅよ権けん者しゃも、大学だいがくではなく、文部もんぶ大臣だいじんとし、いわば国家こっか的てきなイベントに位置付いちづけ、現在げんざいよりもはるかに厳格げんかく・限定げんてい的てきであったこととも関係かんけいする。

国くにによって多少たしょうの差異さいはあるものの国際こくさい的てきに最高さいこう位いの学位がくいとして位置いちづけられている博士はかせ (Doctor) の学位がくいには、課程かてい博士はかせ（甲きのえ博士はかせ）と論文ろんぶん博士はかせ（乙おつ博士はかせ）との二に種類しゅるいがある。多おおくの国くにで手当てあてされているのが、課程かてい博士はかせ。日本にっぽんでは学校がっこう教育きょういく法ほう第だい104条じょうにより大学だいがくなど高等こうとう教育きょういく機関きかんや学位がくい授与じゅよ機関きかん（日本にっぽんにおいては独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん大学だいがく改革かいかく支援しえん・学位がくい授与じゅよ機構きこう）における修士しゅうしおよびそれと同等どうとうの学力がくりょくがあると認みとめられた者ものが、指導しどう教授きょうじゅから指導しどうを受うけつつ、大学院だいがくいんの博士はかせ課程かていあるいは博士はかせ後期こうき課程かていにおいて主軸しゅじくとなる研究けんきゅうテーマについて研究けんきゅうを行おこない、その内容ないようを学位がくい論文ろんぶんとして執筆しっぴつし、最高さいこう学位がくいに相応ふさわしいと授与じゅよ機関きかんから認みとめられることで取得しゅとくできる（「甲きのえ博士はかせ」、通称つうしょうは「課程かてい博士はかせ」もしくは「コースドクター」と称しょうする）。この課程かてい博士はかせと対比たいひされるのが、後者こうしゃの論文ろんぶん博士はかせである。我わが国くに特有とくゆうの制度せいどである。その取得しゅとく要件ようけんはかなり厳きびしいが、取得しゅとく要件ようけんとして必要ひつような査読さどく付つき論文ろんぶん数かずを持もち、そのバックグラウンドとして多おおくの査読さどくなし論文ろんぶんや国際こくさい会議かいぎ発表はっぴょう、学会がっかいの委員いいん就任しゅうにんなどの実績じっせきがあり、日頃ひごろから研究けんきゅう業績ぎょうせきの蓄積ちくせき量りょうが多おおく、さらに学位がくい論文ろんぶんの審査しんさにより高度こうどな研究けんきゅう能力のうりょくがあると認定にんていされれば、大学院だいがくいんに入学にゅうがくせず、従したがって、指導しどう教授きょうじゅから指導しどうを受うけることなく、博士はかせ号ごうが授与じゅよされることがある（「乙おつ博士はかせ」、通称つうしょうは「論文ろんぶん博士はかせ」と称しょうする）。

「博士はかせ#博士はかせ学位がくいの取得しゅとく方法ほうほう」も参照さんしょう

また、学位がくいではないが、名誉めいよ称号しょうごうとしての名誉めいよ博士はかせなども存在そんざいする。外交がいこう儀礼ぎれい上じょう、各国かっこく政府せいふ要人ようじん等とうが博士はかせ号ごう取得しゅとく者しゃである場合ばあい、官かん名めいの後のちに博士はかせ閣下かっかと敬称けいしょうする事例じれいが見受みうけられる。

日本にっぽんの称号しょうごう・学位がくいの分類ぶんるい

分類ぶんるい		区分くぶん		授与じゅよを行おこなう標準ひょうじゅん的てきな課程かてい
称号しょうごう		準じゅん学士がくし		高等こうとう専門せんもん学校がっこうの本科ほんか
		高度こうど専門せんもん士し		専修せんしゅう学校がっこうの専門せんもん課程かてい（専門せんもん学校がっこう）のうち、 4年ねん制せいの学科がっか
		専門せんもん士し		専修せんしゅう学校がっこうの専門せんもん課程かてい（専門せんもん学校がっこう）のうち、 2〜3年ねん制せいの学科がっか
学位がくい	（下記かき以外いがい）	博士はかせ		大学院だいがくいんの博士はかせ課程かてい 特定とくていの省庁しょうちょう大だい学校がっこうの課程かてい
		修士しゅうし		大学院だいがくいんの修士しゅうし課程かてい 特定とくていの省庁しょうちょう大だい学校がっこうの課程かてい
		学士がくし		大学だいがくの学部がくぶ 短期大学たんきだいがくの専攻せんこう科か 高等こうとう専門せんもん学校がっこうの専攻せんこう科か 特定とくていの省庁しょうちょう大だい学校がっこうの課程かてい
		短期大学たんきだいがく士し		短期大学たんきだいがくの本科ほんか
	専門せんもん職しょく学位がくい	修士しゅうし（専門せんもん職しょく） （○○修士しゅうし（専門せんもん職しょく））		大学院だいがくいんの専門せんもん職しょく学位がくい課程かてい （専門せんもん職しょく大学院だいがくいん）	（法科ほうか・教職きょうしょく以外いがい）
		法務ほうむ博士はかせ（専門せんもん職しょく）			法科ほうか大学院だいがくいん
		教職きょうしょく修士しゅうし（専門せんもん職しょく）			教職きょうしょく大学院だいがくいん
		学士がくし （専門せんもん職しょく）	○○学士がくし（専門せんもん職しょく）	専門せんもん職しょく大学だいがく
			学士がくし（○○専門せんもん職しょく）	大学だいがくの学部がくぶの専門せんもん職しょく学科がっか
		短期大学たんきだいがく士し （専門せんもん職しょく）	○○短期大学たんきだいがく士し（専門せんもん職しょく）	専門せんもん職しょく大学だいがくの前期ぜんき課程かてい 専門せんもん職しょく短期大学たんきだいがく
			短期大学たんきだいがく士し（○○専門せんもん職しょく）	短期大学たんきだいがくの専門せんもん職しょく学科がっか

種類しゅるい

研究けんきゅう博士はかせ

研究けんきゅう博士はかせ (Research Doctorate) では、自己じこの研究けんきゅう成果せいかに基もとづく学術がくじゅつ論文ろんぶんを学位がくい請求せいきゅう論文ろんぶんとして提出ていしゅつし、大学院だいがくいんの行おこなう博士はかせ論文ろんぶんの審査しんさに合格ごうかくすることが求もとめられる。学位がくい請求せいきゅう論文ろんぶんの要件ようけんは大学院だいがくいんによって異ことなるが、通常つうじょう、査読さどく有ありの学術がくじゅつ雑誌ざっしに掲載けいさいされた研究けんきゅう論文ろんぶん若もしくはそれと同等どうとうと見み做されるもの（例たとえば計算けいさん機き科学かがくの分野ぶんやでは査読さどく有あり国際こくさい会議かいぎの会議かいぎ論文ろんぶん）、又または前述ぜんじゅつの要件ようけんを満みたす出版しゅっぱん済ずみ論文ろんぶん1編へん以上いじょうをもとに書かかれた論文ろんぶん（テーシス形式けいしき）、が原則げんそくである。とくに顕著けんちょな業績ぎょうせきと認みとめられる場合ばあいには未み出版しゅっぱんの研究けんきゅう論文ろんぶんを学位がくい請求せいきゅう論文ろんぶんとして認みとめる場合ばあいもある。また、文字数もじすうやページ数すうの下限かげんを設定せっていする大学院だいがくいん、出版しゅっぱん論文ろんぶん数すうや国際こくさい会議かいぎ発表はっぴょう件数けんすう等とうを学位がくい審査しんさの申請しんせい要件ようけんとする大学院だいがくいんもある。

英語えいご圏けんにて最もっとも知しられている研究けんきゅう博士はかせは、リベラル・アーツ系けいの「哲学てつがく博士はかせ」 (Doctor of Philosophy, Ph.D., or D.Phil.)であり、これは世界せかい多おおくの国くにで付与ふよされている。

その他たの研究けんきゅう博士はかせ号ごうには、教育きょういく博士はかせ (Doctor of Education, D.Ed., Ed.d)、芸術げいじゅつ博士はかせ (Doctor of Arts, D.A.)、Doctor of Professional Studies、社会しゃかい科学かがく博士はかせ (Doctor of Social Science, D.S.Sc.)、ビジネスマネジメント博士はかせ (Doctor of Business Administration, D.B.A.)、マネジメント博士はかせ (Doctor of Management, D.Mgt.)、情報じょうほうセキュリティ博士はかせ (Doctor of Information Security, D.I.S.)、リハビリテーション博士はかせ (Doctor of Rehabilitatin, Rh.D.)、社会しゃかい福祉ふくし学がく博士はかせ (Doctor of Social Work, D.S.W.) など。工学こうがく博士はかせ系けいでは様々さまざまな名称めいしょうがあり、日本にっぽん、米国べいこく、韓国かんこくでは Doctor of Engineering (D.Eng.)、イギリスではEngineering Doctorate、ドイツではDoktor-Ingenieur (Dr.-Ing.) やDoctor rerum naturalium (Dr.rer.nat.) などがある。

神学しんがくでは、Doctor of Theology (D.Th.) や Doctor of Sacred Theology (D.S.Th.) が研究けんきゅう博士はかせ号ごうである。

専門せんもん職しょく博士はかせ

「専門せんもん職しょく学位がくい」も参照さんしょう

多おおくの国くにでは、学術がくじゅつ的てき教育きょういく、学術がくじゅつ的てき研究けんきゅうを行おこなっていない分野ぶんやにおいても、"doctorates"の専門せんもん職しょく博士はかせ号ごうを付与ふよしている。

たとえば米国べいこくとカナダでは、医学いがく博士はかせ (Doctor of Medicine, D.M.), (Doctor of Physical Therapy, D.P.T.), (Doctor of Chiropractic, D.C.), (Doctor of Osteopathic Medicine, D.O.)、歯学しがく博士はかせ (Doctor of Dental Surgery, D.D.S.),薬学やくがく博士はかせ (Doctor of Pharmacy, D.Pharm.), 心理しんり学がく博士はかせ (Doctor of Psychology, D.Psy), 社会しゃかい福祉ふくし学がく博士はかせ (Doctor of Social Work, D.S.W.), 精神せいしん保健ほけん学がく博士はかせ (Doctor of Behavioral Health, D.B.H.), 獣医じゅうい学がく博士はかせ (Doctor of Veterinary Medicine, D.V.M.), 看護かんご学がく博士はかせ (Doctor of Nursing Practice, D.N.P.)などがある。

日本にっぽんでは、学位がくい規則きそく第だい5条じょうの2に基もとづき、「法務ほうむ博士はかせ（専門せんもん職しょく）」(Juris Doctor, J.D.)の学位がくいが授与じゅよされている。

名誉めいよ博士はかせ

「名誉めいよ博士はかせ」を参照さんしょう

肩書かたがき

英語えいご、ドイツ語ごなどでは、博士はかせへの敬称けいしょうはDoctor of Philosophy (Ph.D.) もしくはDr.（ドクター）表記ひょうきとなる（フランス語ふらんすごでは点てんをつけずDrとすることが多おおい）。会話かいわの際さいに名前なまえの前まえに肩書かたがきとして付つける場合ばあいには「ピーエイチディー」よりも「ドクター」を用もちいることが多おおい。

医師いし

医師いし、歯科しか医師いし、獣しし医師いしも博士はかせと同おなじくドクターと称しょうされるが、この場合ばあいのドクターは学位がくいではなく、病院びょういんや診療しんりょう所しょ内職ないしょく種しゅとしての医師いしに対たいする形容けいようとなる。医師いしも博士はかせ号ごうを取得しゅとくするためには、独自どくじ性せいのある研究けんきゅう論文ろんぶんや著書ちょしょを提出ていしゅつし、博士はかせ論文ろんぶん審査しんさに合格ごうかくすることが要件ようけんとなる。但ただし、６年ねん制せい学科がっかである医学いがく科か、歯学しがく科か、薬学やくがく科か、獣医じゅうい学科がっかを卒業そつぎょうした者ものは修士しゅうし課程かていに進学しんがくせず博士はかせ課程かていに進学しんがくする。

アメリカには専門せんもん職しょく学位がくい制度せいどがあるため専門せんもん職しょくの多おおくはdoctorである。

例たとえば世界せかい保健ほけん機関きかん（WHO）の世界せかいの医学部いがくぶリストにおいては、日本にっぽんの医学部いがくぶ卒業そつぎょうの学位がくいはigakushi あるいはBachelor of Medicineとなっている。大学院だいがくいん課程かていにて医学いがく博士はかせ号ごう、歯学しがく博士はかせ号ごう、獣医じゅうい学がく博士はかせ号ごう（臨床りんしょう博士はかせ号ごうを含ふくめ）を取得しゅとくした人物じんぶつには、Ph.D.を併記へいきする（例れい、M.D., Ph.D. といったように間あいだにカンマを打うつのが慣例かんれいである）。日本にっぽんでは過去かこにおいては医学いがく博士はかせ号ごうの所持しょじ者しゃが「学位がくい」の意味いみも含ふくめ、肩書かたがきにM.D.（歯学しがく博士はかせ号ごうの場合ばあいはD.M.D., D.D.S.）とのみ記しるしていた時期じきもある。

これら学位がくいとは別べつに現在げんざいの日本にっぽんでは博士はかせ学位がくいの有無うむに拘かかわらず、医師いし免許めんきょ、歯科しか医師いし免許めんきょ、獣しし医師いし免許めんきょを持もつ者ものをドクターと呼称こしょうするのが通例つうれいである。これに対たいし、職種しょくしゅとして医師いしではないが医学いがく博士はかせ号ごうを有ゆうする者もの（たとえば医学いがく博士はかせ号ごうを持もっている看護かんご職しょく）も存在そんざいし、彼かれらもドクターではある。

これら肩書かたがきに統一とういつ性せいが見みられないのは、戦前せんぜんの教育きょういく制度せいど上じょうは大学だいがく卒業生そつぎょうせいのみに「医学いがく士し」が与あたえられ、事実じじつ上じょう、医学いがく博士はかせが大学だいがく出身しゅっしん者しゃに独占どくせんされていた。明治めいじ時代じだいの医籍いせき簿ぼには外国がいこくの教育きょういく機関きかんで医学いがくを習得しゅうとくしたものを「ドクター」と分類ぶんるいしていた、などの歴史れきし的てき経緯けいいがあり、またドクターの用語ようごが外来がいらい語ごであるためその用法ようほうや解釈かいしゃくに統一とういつ性せいが見みられないなどの複雑ふくざつに錯綜さくそうする歴史れきし的てき経緯けいいに起因きいんする事情じじょうがある。

各国かっこくの制度せいど

博士はかせ号ごうの学位がくい制度せいどは、国くにによって異ことなる。

日本にっぽん

現在げんざいの博士はかせの学位がくいについては、学校がっこう教育きょういく法ほう第だい104条じょうにおいて、大学だいがくが大学院だいがくいんの課程かていを修了しゅうりょうした者ものに博士はかせの学位がくいを授与じゅよすることとされ、第だい104条じょう第だい2項こうに前項ぜんこうの規定きていにより博士はかせの学位がくいを授与じゅよされた者ものと同等どうとう以上いじょうの学力がくりょくがあると認みとめる者ものに対たいし、博士はかせの学位がくいを授与じゅよすることができるとされている。学位がくい規則きそく第だい4条じょうでは、大学院だいがくいん博士はかせ課程かていを修了しゅうりょうした者ものに博士はかせの学位がくいを授与じゅよすることが規定きていされており、同どう条じょうの第だい2項こうでは大学院だいがくいんの行おこなう博士はかせ論文ろんぶんの審査しんさに合格ごうかくし、かつ、大学院だいがくいんの博士はかせ課程かていを修了しゅうりょうした者ものと同等どうとう以上いじょうの学力がくりょくを有ゆうすることを確認かくにんされた者ものに対たいし博士はかせの学位がくいの授与じゅよを行おこなうことができると規定きていされている。同どう規則きそく第だい4条じょう1項こうに基もとづく博士はかせの学位がくいを課程かてい博士はかせ、第だい2項こうに基もとづく博士はかせを論文ろんぶん博士はかせと呼よび分わけることもある。

また、学校がっこう教育きょういく法ほう第だい104条じょう第だい4項こうおよび学位がくい規則きそく第だい6条じょうの2においては、独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん大学だいがく改革かいかく支援しえん・学位がくい授与じゅよ機構きこうが、学校がっこう以外いがいの教育きょういく施設しせつで大学院だいがくいん博士はかせ課程かていに相当そうとうする教育きょういくを修了しゅうりょうし、機構きこうが行おこなう審査しんさに合格ごうかくした者ものに、博士はかせの学位がくいを授与じゅよすることとされている。

先述せんじゅつの博士はかせと位置付いちづけの異ことなるものに、法務ほうむ博士はかせ（専門せんもん職しょく）がある。法曹ほうそう養成ようせい制度せいどの改革かいかくにより、2003年ねん以降いこう、専門せんもん職しょく大学院だいがくいんの一種いっしゅである法科ほうか大学院だいがくいんにおいて、法務ほうむ博士はかせ（専門せんもん職しょく）の学位がくいが新設しんせつされた。法学ほうがく博士はかせとは異ことなるものであり、専門せんもん職しょく学位がくいに位置いちづけられるものである。

• 博士はかせ課程かてい -博士はかせの学位がくいの授与じゅよを受うけるために在学ざいがくする大学院だいがくいんの課程かていのこと。
• 博士はかせ論文ろんぶん - 「博士はかせの学位がくい」の授与じゅよ審査しんさを受うけたときに提出ていしゅつした学位がくい請求せいきゅう論文ろんぶんのこと。
• 博士はかせ号ごう - 「博士はかせの学位がくい」のこと。

日本にっぽんでの歴史れきし

日本にっぽんにおいては、1887年ねん（明治めいじ20年ねん）5月がつ21日にち、学位がくい令れい（明治めいじ20年ねん勅みことのり令れい第だい13号ごう）が公布こうふせられ、同どう令れい第だい1条じょうにより、博士はかせと大だい博士はかせの二に等とうの学位がくいが定さだめられ、第だい2条じょうにより法ほう学がく博士はかせ、医い学がく博士はかせ、工こう学がく博士はかせ、文ぶん学がく博士はかせ、理り学がく博士はかせの五ご種しゅが定さだめられた。さらに、第だい3条じょうにより、博士はかせ学位がくいは大学院だいがくいんの定規じょうぎ試験しけんを通過つうかした者もの、もしくは同等どうとう以上いじょうの学力がくりょくがあるとして帝国ていこく大学だいがく評議ひょうぎ会かいの議ぎを経へた者ものに、文部もんぶ大臣だいじんが授与じゅよした。また、この頃ころは、課程かていの試験しけんもしくは論文ろんぶんの提出ていしゅつ以外いがいの他ほかに、推薦すいせんによる博士はかせ学位がくいの授与じゅよが存在そんざいしていた。推薦すいせんを行おこなう権限けんげんを有ゆうしていたのは、文部もんぶ大臣だいじん、帝国ていこく大学だいがく総長そうちょう、そして、博士はかせ授与じゅよ者しゃからなる博士はかせ会かいであった。1888年ねん（明治めいじ21年ねん）5月がつ7日にちに五ご種しゅの博士はかせの学位がくいに対たいし25名めいが日本にっぽんで初はじめて授与じゅよされている。

法学ほうがく博士はかせ：　箕作みつくり麟祥りんしょう、鳩山はとやま和夫かずお、穂積ほづみ陳重のぶしげ、菊池きくち武夫たけお、田尻たじり稲次郎いねじろう

医学いがく博士はかせ：　池田いけだ謙けん斎とき、橋本はしもと綱つな常つね、高木たかぎ兼けん寛ひろし、三宅みやけ秀しげる、大沢おおさわ謙二けんじ

工学こうがく博士はかせ：　松まつ本荘ほんじょう一郎いちろう、古市ふるいち公こう威たけし、原口はらぐち要かなめ、長谷川はせがわ芳之助よしのすけ、志田しだ林三郎りんざぶろう

文学ぶんがく博士はかせ：　加藤かとう弘之ひろゆき、重野しげの安繹やすつぐ、外山とやま正一しょういち、小中村こなかむら清矩きよのり、島田しまだ重しげる禮れい

理学りがく博士はかせ：　矢田部やたべ良吉りょうきち、伊藤いとう圭介けいすけ、菊池きくち大麓だいろく、山川やまかわ健次郎けんじろう、長井ながい長義ながよし

1898年ねん（明治めいじ31年ねん）の学位がくい令れい改正かいせいにより、学位がくいは博士はかせの一種いっしゅとなり（結局けっきょく、「大だい博士はかせ」は授与じゅよされた者ものがいないまま廃止はいしとなった）、学位がくい授与じゅよの資格しかくは、帝国ていこく大学だいがく大学院だいがくいんに入はいり試験しけんを経へた者もの、または論文ろんぶんを提出ていしゅつして帝国ていこく大学だいがく分科ぶんか大学だいがく教授きょうじゅ会かいがこれと同等どうとう以上いじょうの学力がくりょくありと認みとめた者もの、もしくは、博士はかせ会かいが学位がくいを授くべき学力がくりょくありと認みとめた者ものに、文部もんぶ大臣だいじんが授さづけることとされた。また、薬学やくがく博士はかせ、農学のうがく博士はかせ、林学りんがく博士はかせ、獣医じゅうい学がく博士はかせの4種類しゅるいの学位がくいが追加ついかされた。

1914年ねん、勅みことのり令れい第だい200号ごうとして改正かいせい学位がくい令れいが公布こうふされ、学位がくい授与じゅよの規定きていがより具体ぐたい的てきに規定きていされるとともに、第だい10条じょうにより、学位がくいの栄誉えいよを汚辱おじょくした者ものにはこれを剥奪はくだつする、懲罰ちょうばつ規定きていが盛もり込こまれるなどより詳細しょうさいな規定きていが整備せいびされた。

1920年ねんの学位がくい令れい改正かいせいでは経済けいざい学がく博士はかせ、経営けいえい学がく博士はかせ、商学しょうがく博士はかせ、政治せいじ学がく博士はかせ、神学しんがく博士はかせの5種類しゅるいの学位がくいが追加ついかされた。また、この改正かいせいにより、博士はかせの学位がくいの授与じゅよ権けん者しゃが文部もんぶ大臣だいじんから大学だいがくへと移譲いじょうされた。

今日きょうの学位がくい制度せいどにおける博士はかせの学位がくいは1947年ねんの学校がっこう教育きょういく法ほうの制定せいていにより整備せいびされたものである。1953年ねん、学位がくい規則きそくが制定せいていされ、新あらたな学位がくいとして修士しゅうしの学位がくいが加くわわり、学位がくいは博士はかせと修士しゅうしの二に等とうとなった。1991年ねん改正かいせい学校がっこう教育きょういく法ほうにより、学位がくいは博士はかせ、修士しゅうしに加くわえ学士がくしの三さん等とうとされ、それまで専攻せんこう分野ぶんやを冠かんした学位がくい名称めいしょうだったものを、全すべて博士はかせ、修士しゅうし、学士がくしに統一とういつし、その代かわりとして、博士はかせ（医学いがく）というように学位がくいの後のちに専攻せんこう名めいを括弧かっこ付つきで併記へいきすることとされた。同年どうねんには、今日きょうの独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん大学だいがく改革かいかく支援しえん・学位がくい授与じゅよ機構きこうの前身ぜんしんとなる学位がくい授与じゅよ機構きこうが発足ほっそくし、省庁しょうちょう大だい学校がっこうで大学院だいがくいん博士はかせ課程かていの修了しゅうりょうに相当そうとうする教育きょういく課程かていを経へた者ものに対たいする博士はかせの学位がくいは、当該とうがい大だい学校がっこうおよび学位がくい授与じゅよ機構きこうの審査しんさを経へた者ものに授与じゅよされることとなった。2000年ねん、学位がくい授与じゅよ機構きこうは、大学だいがく評価ひょうか・学位がくい授与じゅよ機構きこうに改組かいそされ、それまでの学位がくい事業じぎょうは同どう機構きこうに承継しょうけいされた（2016年ねんに再さい改組かいそされ大学だいがく改革かいかく支援しえん・学位がくい授与じゅよ機構きこうとなる）。さらに2005年ねん改正かいせい学校がっこう教育きょういく法ほうにより、上記じょうき三さん等とうの学位がくいに加くわえ短期大学たんきだいがく士しを加くわえた四よん等とうとなり、これによって今日きょうの学位がくい制度せいどが整ととのえられた。

博士はかせ号ごうの種類しゅるい

1887年ねん-1898年ねん

1887年ねん（明治めいじ20年ねん）制定せいていの学位がくい令れいにより、博士はかせの種類しゅるいは次つぎの5種類しゅるいとされた。

• 法学ほうがく博士はかせ
• 医学いがく博士はかせ
• 工学こうがく博士はかせ
• 文学ぶんがく博士はかせ
• 理学りがく博士はかせ

1898年ねん以降いこう

1898年ねん（明治めいじ31年ねん）12月9日にちの学位がくい令れい改正かいせいにより、4種類しゅるいが追加ついかされ、合計ごうけい9種類しゅるいとされた。

• 法学ほうがく博士はかせ
• 医学いがく博士はかせ
• 薬学やくがく博士はかせ（新設しんせつ）
• 工学こうがく博士はかせ
• 文学ぶんがく博士はかせ
• 理学りがく博士はかせ
• 農学のうがく博士はかせ（新設しんせつ）
• 林学りんがく博士はかせ（新設しんせつ）
• 獣医じゅうい学がく博士はかせ（新設しんせつ）

1920年ねん以降いこう

1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）の学位がくい令れい改正かいせいにより、5種類しゅるいが追加ついかされ、合計ごうけい14種類しゅるいとされた。また、この年としより授与じゅよ権けん者しゃが文部もんぶ大臣だいじんから大学だいがくへと移うつった。

• 法学ほうがく博士はかせ
• 医学いがく博士はかせ
• 薬学やくがく博士はかせ
• 工学こうがく博士はかせ
• 文学ぶんがく博士はかせ
• 理学りがく博士はかせ
• 農学のうがく博士はかせ
• 林学りんがく博士はかせ
• 獣医じゅうい学がく博士はかせ
• 経済けいざい学がく博士はかせ（新設しんせつ）
• 経営けいえい学がく博士はかせ（新設しんせつ）
• 商学しょうがく博士はかせ（新設しんせつ）
• 政治せいじ学がく博士はかせ（新設しんせつ）
• 神学しんがく博士はかせ（新設しんせつ）

1956年ねん以降いこう

1956年ねん（昭和しょうわ31年ねん）に学位がくい規則きそくの制定せいていにより3種類しゅるいの博士はかせが追加ついかされ、合計ごうけい17種類しゅるいの博士はかせが定さだめられた。その後ご、1969年ねん（昭和しょうわ44年ねん）に保健ほけん学がく博士はかせ、1975年ねん（昭和しょうわ50年ねん）に学術がくじゅつ博士はかせが新設しんせつされた。1991年ねん（平成へいせい3年ねん）6月がつの学位がくい規則きそく改正かいせいまでの間あいだに列挙れっきょされていた博士はかせの種類しゅるいは以下いかの19種類しゅるいである。

• 法学ほうがく博士はかせ
• 医学いがく博士はかせ
• 歯学しがく博士はかせ
• 薬学やくがく博士はかせ
• 工学こうがく博士はかせ
• 文学ぶんがく博士はかせ
• 理学りがく博士はかせ
• 農学のうがく博士はかせ
• 林学りんがく博士はかせ
• 獣医じゅうい学がく博士はかせ
• 経済けいざい学がく博士はかせ
• 経営けいえい学がく博士はかせ
• 商学しょうがく博士はかせ
• 政治せいじ学がく博士はかせ
• 神学しんがく博士はかせ
• 教育きょういく学がく博士はかせ（新設しんせつ）
• 社会しゃかい学がく博士はかせ（新設しんせつ）
• 水産すいさん学がく博士はかせ（新設しんせつ）
• 保健ほけん学がく博士はかせ（1969年ねん新設しんせつ）
• 学術がくじゅつ博士はかせ（1975年ねん新設しんせつ）

1991年ねん改正かいせい以降いこう

1991年ねん以降いこうは、括弧かっこつきで専門せんもん分野ぶんやを博士はかせの名称めいしょうの後うしろに付記ふきする表記ひょうきになり、博士はかせ（医学いがく）のように示しめされるようになった。専攻せんこう分野ぶんやの名称めいしょうは大学だいがくにより定さだめられるとされているため、現在げんざいでは様々さまざまな名称めいしょうが用もちいられている。1991年ねん以前いぜんからある学位がくいの表記ひょうきが変更へんこうされたもの（医学いがく博士はかせ→博士はかせ（医学いがく）、文学ぶんがく博士はかせ→博士はかせ（文学ぶんがく）、工学こうがく博士はかせ→博士はかせ（工学こうがく）など）以外いがいにも、以下いかのように、様々さまざまな専攻せんこう分野ぶんやの博士はかせ学位がくいが授与じゅよされている。学位がくい規則きそくにより、学位がくいを表記ひょうきする際さいには専攻せんこう分野ぶんやと当該とうがい学位がくいを授与じゅよした大学だいがくまたは大学だいがく改革かいかく支援しえん・学位がくい授与じゅよ機構きこうを付記ふきしなければならない（例れい：「博士はかせ（工学こうがく）（東京工業大学とうきょうこうぎょうだいがく）」「京都大学きょうとだいがく博士はかせ（文学ぶんがく）」「博士はかせ（法学ほうがく）東京大学とうきょうだいがく」）

理工りこう系けい

• 博士はかせ（理学りがく）
• 博士はかせ（工学こうがく）
• 博士はかせ（科学かがく）
• 博士はかせ（化学かがく）
• 博士はかせ（数学すうがく）
• 博士はかせ（地理ちり学がく）
• 博士はかせ（資源しげん学がく）
• 博士はかせ（情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（理工りこう学がく）
• 博士はかせ（建築けんちく学がく）
• 博士はかせ（物理ぶつり学がく）
• 博士はかせ（商船しょうせん学がく）
• 博士はかせ（数理すうり科学かがく）
• 博士はかせ（電気でんき工学こうがく）
• 博士はかせ（情報じょうほう工学こうがく）
• 博士はかせ（生命せいめい科学かがく）
• 博士はかせ（生物せいぶつ科学かがく）
• 博士はかせ（生物せいぶつ工学こうがく）
• 博士はかせ（海洋かいよう科学かがく）
• 博士はかせ（統計とうけい科学かがく）
• 博士はかせ（芸術げいじゅつ工学こうがく）
• 博士はかせ（情報じょうほう科学かがく）
• 博士はかせ（環境かんきょう科学かがく）
• 博士はかせ（感性かんせい科学かがく）
• 博士はかせ（海事かいじ科学かがく）
• 博士はかせ（社会しゃかい工学こうがく）
• 博士はかせ（経営けいえい情報じょうほう）
• 博士はかせ（材料ざいりょう科学かがく）
• 博士はかせ（知識ちしき科学かがく）
• 博士はかせ（認知にんち科学かがく）
• 博士はかせ（環境かんきょう共生きょうせい学がく）
• 博士はかせ（経営けいえい情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（学際がくさい情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（総合そうごう情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（環境かんきょう理工りこう学がく）
• 博士はかせ（物流ぶつりゅう情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（地球ちきゅう環境かんきょう学がく）
• 博士はかせ（情報じょうほう理工りこう学がく）
• 博士はかせ（地球ちきゅう環境かんきょう科学かがく）
• 博士はかせ（緑地りょくち環境かんきょう科学かがく）
• 博士はかせ（生物せいぶつ資源しげん科学かがく）
• 博士はかせ（生物せいぶつ資源しげん工学こうがく）
• 博士はかせ（応用おうよう生命せいめい科学かがく）
• 博士はかせ（生命せいめい共存きょうぞん科学かがく）
• 博士はかせ（経営けいえい情報じょうほう科学かがく）
• 博士はかせ（エネルギー科学かがく）
• 博士はかせ（国際こくさい情報じょうほう通信つうしん学がく）
• 博士はかせ（生物せいぶつ環境かんきょう調節ちょうせつ学がく）
• 博士はかせ（システム生命せいめい科学かがく）
• 博士はかせ（バイオサイエンス）
• 博士はかせ（システム情報じょうほう科学かがく）
• 博士はかせ（ソフトウェア情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（コンピュータ理工りこう学がく）
• 博士はかせ（システムズ・マネジメント）
• その他た

人文じんぶん社会しゃかい学がく系けい

• 博士はかせ（商学しょうがく）
• 博士はかせ（文学ぶんがく）
• 博士はかせ（法学ほうがく）
• 博士はかせ（神学しんがく）
• 博士はかせ（政治せいじ学がく）
• 博士はかせ（社会しゃかい学がく）
• 博士はかせ（経済けいざい学がく）
• 博士はかせ（経営けいえい学がく）
• 博士はかせ（哲学てつがく）
• 博士はかせ（史学しがく）
• 博士はかせ（民俗みんぞく学がく）
• 博士はかせ（金融きんゆう学がく）
• 博士はかせ（人文じんぶん学がく）
• 博士はかせ（仏教ぶっきょう学がく）
• 博士はかせ（文化財ぶんかざい）
• 博士はかせ（心理しんり学がく）
• 博士はかせ（新聞しんぶん学がく）
• 博士はかせ（観光かんこう学がく）
• 博士はかせ（会計かいけい学がく）
• 博士はかせ（経営けいえい法ほう）
• 博士はかせ（歴史れきし学がく）
• 博士はかせ（言語げんご学がく）
• 博士はかせ（英えい文学ぶんがく）
• 博士はかせ（中国ちゅうごく学がく）
• 博士はかせ（英語えいご学がく）
• 博士はかせ（宗教しゅうきょう学がく）
• 博士はかせ（神道しんとう学がく）
• 博士はかせ（密教みっきょう学がく）
• 博士はかせ（法律ほうりつ学がく）
• 博士はかせ（技術ぎじゅつ経営けいえい）
• 博士はかせ（英えい米べい文学ぶんがく）
• 博士はかせ（言語げんご文化ぶんか）
• 博士はかせ（日本にっぽん文化ぶんか）
• 博士はかせ（日本にっぽん文学ぶんがく）
• 博士はかせ（文化ぶんか史学しがく）
• 博士はかせ（国際こくさい関係かんけい）
• 博士はかせ（総合そうごう政策せいさく）
• 博士はかせ（創造そうぞう都市とし）
• 博士はかせ（政策せいさく研究けんきゅう）
• 博士はかせ（政策せいさく科学かがく）
• 博士はかせ（社会しゃかい科学かがく）
• 博士はかせ（地域ちいき研究けんきゅう）
• 博士はかせ（流通りゅうつう科学かがく）
• 博士はかせ（国際こくさい文化ぶんか）
• 博士はかせ（中国ちゅうごく研究けんきゅう）
• 博士はかせ（人文じんぶん科学かがく）
• 博士はかせ（日本にっぽん史学しがく）
• 博士はかせ（不動産ふどうさん学がく）
• 博士はかせ（ドイツ語学ごがく）
• 博士はかせ（ドイツ文学ぶんがく）
• 博士はかせ（公共こうきょう政策せいさく学がく）
• 博士はかせ（比較ひかく文明ぶんめい学がく）
• 博士はかせ（国語こくご国文学こくぶんがく）
• 博士はかせ（社会しゃかい人類じんるい学がく）
• 博士はかせ（国際こくさい協力きょうりょく学がく）
• 博士はかせ（国際こくさい政治せいじ学がく）
• 博士はかせ（国際こくさい関係かんけい論ろん）
• 博士はかせ（文化ぶんか政策せいさく学がく）
• 博士はかせ（地域ちいき政策せいさく学がく）
• 博士はかせ（国際こくさい経営けいえい学がく）
• 博士はかせ（言語げんご文化ぶんか学がく）
• 博士はかせ（応用おうよう経済けいざい学がく）
• 博士はかせ（臨床りんしょう心理しんり学がく）
• 博士はかせ（応用おうよう言語げんご学がく）
• 博士はかせ（英語えいご英えい文学ぶんがく）
• 博士はかせ（教育きょういく心理しんり学がく）
• 博士はかせ（文化ぶんか人類じんるい学がく）
• 博士はかせ（社会しゃかい心理しんり学がく）
• 博士はかせ（ヒューマン・セキュリティ）
• 博士はかせ（ファイナンス）
• 博士はかせ（フランス語ふらんすご学がく）
• 博士はかせ（フランス文学ぶんがく）
• 博士はかせ（マネジメント）
• 博士はかせ（総合そうごう社会しゃかい文化ぶんか）
• 博士はかせ（イギリス文学ぶんがく）
• 博士はかせ（国際こくさい公共こうきょう政策せいさく）
• 博士はかせ（国際こくさい開発かいはつ研究けんきゅう）
• 博士はかせ（国際こくさい経済けいざい法学ほうがく）
• 博士はかせ（比較ひかく社会しゃかい文化ぶんか）
• 博士はかせ（社会しゃかい環境かんきょう科学かがく）
• 博士はかせ（アメリカ研究けんきゅう）
• 博士はかせ（英語えいご文化ぶんか研究けんきゅう）
• 博士はかせ（ドイツ文化ぶんか研究けんきゅう）
• 博士はかせ（歴史れきし民俗みんぞく資料しりょう学がく）
• 博士はかせ（国際こくさい政治せいじ経済けいざい学がく）
• 博士はかせ（政策せいさく・メディア）
• 博士はかせ（日本語にほんご日本にっぽん文化ぶんか）
• 博士はかせ（アジア地域ちいき研究けんきゅう）
• 博士はかせ（日本語にほんご日本にっぽん文学ぶんがく）
• 博士はかせ（地域ちいき社会しゃかいシステム）
• 博士はかせ（グローバルビジネス）
• 博士はかせ（コミュニケーション学がく）
• 博士はかせ（国際こくさいコミュニケーション）
• 博士はかせ（アドミニストレーション）
• 博士はかせ（アメリカ・ヨーロッパ文化ぶんか学がく）
• その他た

理工りこう系けいその他た（医い歯ぱ薬学やくがく・保健ほけん体育たいいく・農学のうがく系けい）

• 博士はかせ（医学いがく）
• 博士はかせ（歯学しがく）
• 博士はかせ（薬学やくがく）
• 博士はかせ（農学のうがく）
• 博士はかせ（林学りんがく）
• 博士はかせ（水産すいさん学がく）
• 博士はかせ（保健ほけん学がく）
• 博士はかせ（獣医じゅうい学がく）
• 博士はかせ（医薬いやく学がく）
• 博士はかせ（体育たいいく学がく）
• 博士はかせ（医科いか学がく）
• 博士はかせ（看護かんご学がく）
• 博士はかせ（鍼灸しんきゅう学がく）
• 博士はかせ（畜産ちくさん学がく）
• 博士はかせ（水産すいさん科学かがく）
• 博士はかせ（体育たいいく科学かがく）
• 博士はかせ（障害しょうがい科学かがく）
• 博士はかせ（健康けんこう科学かがく）
• 博士はかせ（保健ほけん科学かがく）
• 博士はかせ（行動こうどう科学かがく）
• 博士はかせ（農芸のうげい化学かがく）
• 博士はかせ（神経しんけい科学かがく）
• 博士はかせ（臨床りんしょう薬学やくがく）
• 博士はかせ（農業のうぎょう工学こうがく）
• 博士はかせ（医療いりょう薬学やくがく）
• 博士はかせ（医療いりょう情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（再生さいせい医い科学かがく）
• 博士はかせ（心身しんしん障害しょうがい学がく）
• 博士はかせ（感覚かんかく矯正きょうせい学がく）
• 博士はかせ（医療いりょう技術ぎじゅつ学がく）
• 博士はかせ（保健ほけん医療いりょう学がく）
• 博士はかせ（医療いりょう福祉ふくし学がく）
• 博士はかせ（社会しゃかい福祉ふくし学がく）
• 博士はかせ（保健ほけん衛生えいせい学がく）
• 博士はかせ（実験じっけん動物どうぶつ学がく）
• 博士はかせ（農業のうぎょう経済けいざい学がく）
• 博士はかせ（生物せいぶつ生産せいさん学がく）
• 博士はかせ（生物せいぶつ産業さんぎょう学がく）
• 博士はかせ（生物せいぶつ資源しげん学がく）
• 博士はかせ（応用おうよう昆虫こんちゅう学がく）
• 博士はかせ（スポーツ科学かがく）
• 博士はかせ（スポーツ医学いがく）
• 博士はかせ（医療いりょう福祉ふくし経営けいえい学がく）
• 博士はかせ（国際こくさい農業のうぎょう開発かいはつ学がく）
• 博士はかせ（心身しんしん健康けんこう科学かがく）
• 博士はかせ（スポーツ健康けんこう科学かがく）
• 博士はかせ（ヒューマン・ケア科学かがく）
• 博士はかせ（国際こくさいバイオビジネス学がく）
• 博士はかせ（リハビリテーション学がく）
• 博士はかせ（リハビリテーション療法りょうほう学がく）
• その他た

教育きょういく・家政かせい・芸術げいじゅつ・学術がくじゅつ系けい

• 博士はかせ（学術がくじゅつ）
• 博士はかせ（教育きょういく学がく）
• 博士はかせ（科学かがく）
• 博士はかせ（芸術げいじゅつ）
• 博士はかせ（家政かせい）
• 博士はかせ（美術びじゅつ）
• 博士はかせ（音楽おんがく）
• 博士はかせ（美学びがく）
• 博士はかせ（食品しょくひん学がく）
• 博士はかせ（音楽おんがく学がく）
• 博士はかせ（家政学かせいがく）
• 博士はかせ（芸術げいじゅつ学がく）
• 博士はかせ（環境かんきょう学がく）
• 博士はかせ（国際こくさい学がく）
• 博士はかせ（人間にんげん科学かがく）
• 博士はかせ（生活せいかつ科学かがく）
• 博士はかせ（都市とし科学かがく）
• 博士はかせ（デザイン学がく）
• 博士はかせ（身体しんたい教育きょういく学がく）
• 博士はかせ（生活せいかつ環境かんきょう学がく）
• 博士はかせ（生活せいかつ造形ぞうけい学がく）
• 博士はかせ（学校がっこう教育きょういく学がく）
• 博士はかせ（芸術げいじゅつ文化ぶんか学がく）
• 博士はかせ（言語げんご教育きょういく学がく）
• 博士はかせ（教育きょういく情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（臨床りんしょう教育きょういく学がく）
• 博士はかせ（食品しょくひん栄養えいよう学がく）
• 博士はかせ（都市とし情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（食品しょくひん栄養えいよう科学かがく）
• 博士はかせ（日本語にほんご教育きょういく学がく）
• 博士はかせ（人間にんげん・環境かんきょう学がく）
• 博士はかせ（図書館としょかん情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（図書館としょかん・情報じょうほう学がく）
• 博士はかせ（都市とし・地域ちいき計画けいかく）
• 博士はかせ（国際こくさい広報こうほうメディア）
• 博士はかせ（都市とし・環境かんきょうシステム）
• 博士はかせ（日本語にほんご学がく・日本語にほんご教育きょういく学がく）
• その他た

博士はかせ学位がくいの取得しゅとく方法ほうほう

日本にっぽんにおいて博士はかせの学位がくいを授与じゅよするのは、大学だいがくもしくは独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん大学だいがく改革かいかく支援しえん・学位がくい授与じゅよ機構きこうである。学校がっこう教育きょういく法ほう第だい104条じょうは、大学院だいがくいんの課程かていを修了しゅうりょうした者ものに博士はかせの学位がくいを授与じゅよすることとされ、第だい104条じょう第だい2項こうに前項ぜんこうの規定きていにより博士はかせの学位がくいを授与じゅよされた者ものと同等どうとう以上いじょうの学力がくりょくがあると認みとめる者ものに対たいし、博士はかせの学位がくいを授与じゅよすることができるとされている。

学校がっこう教育きょういく法ほう第だい104条じょう第だい1項こうに基もとづいて、課程かてい修了しゅうりょうによって取得しゅとくする博士はかせ号ごうを"課程かてい博士はかせ"（"甲きのえ博士はかせ"）、他方たほう、同どう第だい2項こうに基もとづいて課程かていへの在籍ざいせきとは関係かんけいなく論文ろんぶん提出ていしゅつのみによって取得しゅとくする博士はかせ号ごうを"論文ろんぶん博士はかせ"（"乙おつ博士はかせ"）と呼よび分わけることがある。

"課程かてい博士はかせ"（"甲かぶと博士はかせ"）に関かんしては、「特とくに秀ひいでた研究けんきゅう実績じっせきを持もたない人ひとは、課程かてい博士はかせを選択せんたくすべきである。課程かてい博士はかせのメリットは、指導しどう教授きょうじゅから研究けんきゅう指導しどうを直接ちょくせつ受うけ、研究けんきゅうの進すすめ方かたや業績ぎょうせきの積つみ方かたを学まなべることである。大学だいがくの図書館としょかんなどの研究けんきゅうインフラが利用りようできることも大おおきい。デメリットとしては、標準ひょうじゅん的てきな在籍ざいせき期間きかんが3年間ねんかんであるため時間じかん的てきな制約せいやくを受うける点てん、学費がくひとして数すう百ひゃく万まん円えんが必要ひつようになる点てんがあげられる。」と評価ひょうかされている。

一方いっぽう、"論文ろんぶん博士はかせ"（"乙おつ博士はかせ"）に関かんしては、「博士はかせ号ごうの取得しゅとく要件ようけんは、論文ろんぶん博士はかせの方ほうがかなり厳きびしい。そもそも論文ろんぶん博士はかせを取得しゅとくできるような人ひとは、単たんに取得しゅとく要件ようけんとして必要ひつような査読さどく付つき論文ろんぶん数すうを持もっているだけでなく、そのバックグラウンドとして多おおくの査読さどくなし論文ろんぶんや国際こくさい会議かいぎ発表はっぴょう、学会がっかいの委員いいん就任しゅうにんなどの実績じっせきがあり、日頃ひごろから研究けんきゅう業績ぎょうせきの蓄積ちくせき量りょうが多おおい。」と評価ひょうかされている。

大学だいがくが博士はかせ号ごうを授与じゅよした場合ばあい、授与じゅよ大学だいがくごとに「学位がくい番号ばんごう」あるいは「学位がくい授与じゅよ番号ばんごう」と呼よばれる「通とおし番号ばんごう」が付つけられて文部もんぶ科学かがく省しょうに報告ほうこくされるが、"課程かてい博士はかせ"（"甲かぶと博士はかせ"）には甲かぶと1234XX号ごうのように「甲きのえ」が、"論文ろんぶん博士はかせ"（"乙おつ博士はかせ"）には乙おつ1234XX号ごうのように「乙おつ」が付つけられる。

なお、中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎ会かいは2005年ねん6月13日にちの総会そうかいで大学院だいがくいん改革かいかくに関かんする中間ちゅうかん報告ほうこく「新しん時代じだいの大学院だいがくいん教育きょういく - 国際こくさい的てきに魅力みりょくある大学院だいがくいん教育きょういくの構築こうちくに向むけて - 」の中なかで、「"論文ろんぶん博士はかせ"（"乙おつ博士はかせ"）」について、「諸しょ外国がいこくの制度せいどと比くらべ日本にっぽん独特どくとくの論文ろんぶん博士はかせは、将来しょうらい的てきには廃止はいしする方向ほうこうで検討けんとうすべきではないかという意見いけんも出だされている」と述のべる一方いっぽう、反対はんたい意見いけんも紹介しょうかいした上うえで、「論文ろんぶん博士はかせについては、学位がくいに関かんする国際こくさい的てきな考かんがえ方かたや課程かてい制せい大学院だいがくいん制度せいどの趣旨しゅしなどを念頭ねんとうにその在あり方かたを検討けんとうしていくことが適当てきとうである」としている（資料しりょう第だい1章しょう第だい2節せつ3 課程かてい制せい大学院だいがくいんの制度せいど的てき定着ていちゃくの促進そくしんを参照さんしょう）。

また、大学だいがくによっては、所定しょていの期間きかん在学ざいがくし所定しょていの単位たんいを取得しゅとくして退学たいがくした後のちであっても、一定いってい期間きかんのうちに論文ろんぶんを提出ていしゅつすることにより"課程かてい博士はかせ"（"甲かぶと博士はかせ"）を与あたえる制度せいどを設もうけていることもある。これと同様どうようにして、"論文ろんぶん博士はかせ"（"乙おつ博士はかせ"）として学位がくいの取得しゅとくを申請しんせいする場合ばあいであっても、博士はかせ課程かていの在籍ざいせき経験けいけんがある者ものに対たいしては、学力がくりょくの確認かくにん（試験しけん）の扱あつかいを一部いちぶ免除めんじょするなど便宜べんぎを図はかっている大学だいがくもある。

しかし、退学たいがく後ごの"課程かてい博士はかせ"（"甲かぶと博士はかせ"）の授与じゅよについて中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎ会かいは、「一部いちぶの大学だいがくにおいては、博士はかせ課程かてい退学たいがく後ご、一定いってい期間きかん以内いないに博士はかせの学位がくいを取得しゅとくした者ものについて、実質じっしつ的てきには博士はかせ課程かていにおける研究けんきゅう成果せいかとして評価ひょうかすべき部分ぶぶんが少すくなくないとして『課程かてい博士はかせ』として取とり扱あつかっている例れいも見受みうけられる。このような取とり扱あつかいについては、各かく大学だいがくの判断はんだんにより、何なんらかの形かたちで博士はかせ課程かていへの在籍ざいせき関係かんけいを保たもったまま論文ろんぶん指導しどうを継続けいぞくして受うけられるよう工夫くふうするなど、当該とうがい学生がくせいに対たいする研究けんきゅう指導しどう体制たいせいを明あきらかにして、標準ひょうじゅん修業しゅうぎょう年限ねんげんと比くらべて著いちじるしく長期ちょうきにならない合理ごうり的てきな期間きかん内ないに学位がくいを授与じゅよするよう、円滑えんかつな学位がくい授与じゅよに努つとめることが必要ひつようである」とし、退学たいがくした後のちであっても、学生がくせいが再度さいど復学ふくがくなどの形かたちをとって課程かていに在籍ざいせきして修了しゅうりょうした上うえで学位がくいが授与じゅよされることを原則げんそくとするような措置そちを各かく大学だいがくに求もとめている（資料しりょう）。

博士はかせ論文ろんぶん公表こうひょうの義務ぎむ

なお、日本にっぽんでは、学位がくい規則きそく第だい8条じょう及および第だい9条じょうにおいて、博士はかせ論文ろんぶんの内容ないようの要旨ようし、論文ろんぶん審査しんさの結果けっかの概要がいようの要旨ようし及および論文ろんぶんの全文ぜんぶんの公表こうひょうについて定さだめられている。2013年ねん3月がつまでは、全文ぜんぶんについては「印刷いんさつ公表こうひょう」が義務付ぎむづけられており、実態じったいとしては、学位がくい授与じゅよ大学だいがくの図書館としょかん等とうでの保管ほかん・閲覧えつらんに加くわえて、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんへ送付そうふし、同館どうかんでの保管ほかん・閲覧えつらんをもって「印刷いんさつ公表こうひょう」としている例れいが多おおかった。学位がくい規則きそくの改正かいせいにより、2013年ねん4月がつ以降いこうは、要旨ようし・全文ぜんぶんともに、学位がくい授与じゅよ大学だいがくがインターネットの利用りようにより公表こうひょうするものと改あらためられ、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんへの送付そうふも、印刷物いんさつぶつではなく電子でんしデータによることが可能かのうとなった。 博士はかせ論文ろんぶんの検索けんさくについては、印刷物いんさつぶつ・電子でんし形態けいたいいずれについても、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんオンラインや国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんサーチで検索けんさくが可能かのうである。

博士はかせ学位がくいの取得しゅとく方法ほうほうの意義いぎと問題もんだい点てん

博士はかせの学位がくいは、明治めいじ・大正たいしょう期きにおいて「末まつは博士はかせか大臣だいじん（大将たいしょう）か」と言いわれた程ほど、信頼しんらいの高たかい称号しょうごうであった。

所定しょていの在学ざいがく期間きかん（3年間ねんかん）以上いじょう在学ざいがくし、修了しゅうりょうに必要ひつような単位たんいを全すべて取得しゅとくしてはいるものの、学位がくい論文ろんぶんだけが完成かんせいしないまま就職しゅうしょくすることも多おおく、こうした場合ばあい「単位たんい取得しゅとく満期まんき退学たいがく」と称しょうする場合ばあいがある。文部もんぶ科学かがく省しょう中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎ会かいの報告ほうこく書しょでは「課程かていの修了しゅうりょうに必要ひつような単位たんいは取得しゅとくしたが、標準ひょうじゅん修業しゅうぎょう年限ねんげん内ないに博士はかせ論文ろんぶんを提出ていしゅつせずに退学たいがくすることを『満期まんき退学たいがく』や『単位たんい取得しゅとく後ご退学たいがく』などと呼称こしょうし、制度せいど的てきな裏うらづけがあるかのような評価ひょうかをしている例れいがあるが、これは課程かてい制せい大学院だいがくいん制度せいどの趣旨しゅしに鑑かんがみて適切てきせつでない」とし、これらの名称めいしょうの使用しように対たいしては否定ひてい的てきな見解けんかいを示しめしている[1]。

在学ざいがく年数ねんすうを越こえて大学院だいがくいんに留とまる場合ばあいは研究けんきゅう生せいとして在籍ざいせきするケースもある。また、2005年ねんの文部もんぶ科学かがく省しょう中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎ会かいにおいて文部もんぶ科学かがく大臣だいじんへの答申とうしんの中なかで博士はかせ課程かていに社会しゃかい人じんコースを設置せっちし、社会しゃかい経験けいけんにて実績じっせきのある人物じんぶつの場合ばあいは1年間ねんかんの在籍ざいせき期間きかん中ちゅうに学位がくい取得しゅとくを志こころざすことができるようにすべきだとされた。つまり、大学院だいがくいんの博士はかせ課程かていに社会しゃかい人じんコースが設置せっちされた場合ばあい、1年間ねんかんの修学しゅうがく期間きかんで博士はかせ号ごうを取得しゅとくすることが可能かのうとなる。

近年きんねん、博士はかせ号ごうは研究けんきゅう者しゃの最終さいしゅう目標もくひょうではなく始発しはつ点てんとの考かんがえが広ひろまりつつある。特とくに2001年ねんの学位がくい規則きそく改正かいせい後ごには、博士はかせ課程かていが拡充かくじゅうされるとともに、大学院だいがくいん指導しどうが、教育きょういく機関きかんにおける課程かていの修了しゅうりょうによって学位がくいを授与じゅよするという原則げんそくに従したがって、論文ろんぶんの執筆しっぴつと申請しんせい及および合否ごうひ判定はんていを在学ざいがく中ちゅうに行おこなう方向ほうこうに変化へんかしてきている。ところが、博士はかせ号ごうの在学ざいがく中ちゅうの取得しゅとくが困難こんなんであると考かんがえた日本にっぽんの大学生だいがくせいや外国がいこく人じん留学生りゅうがくせいが、日本にっぽんの大学院だいがくいんを敬遠けいえんし、海外かいがいの大学院だいがくいんでの学位がくい取得しゅとくを目指めざして流出りゅうしゅつすることがある。

結果けっかとして、各かく大学だいがくが博士はかせ号ごうの取得しゅとくに要ようする研究けんきゅう業績ぎょうせきの条件じょうけんを設もうけ、語学ごがく試験しけんや事前じぜん審査しんさなどを通つうじた博士はかせ候補こうほの認定にんていなどの、学位がくい授与じゅよにかかる一連いちれんの過程かていを明文化めいぶんかすることとなった。これらによって、在籍ざいせきする学生がくせいは計画けいかく的てきに研究けんきゅうし目標もくひょうを設定せっていし得えるようになった。学位がくい授与じゅよの条件じょうけんは各かく分野ぶんやにより異ことなる。多おおくの場合ばあい、博士はかせ論文ろんぶんの提出ていしゅつまでに学会がっかいで発表はっぴょうして、査読さどく付つき投稿とうこう論文ろんぶんを執筆しっぴつするという業績ぎょうせきを、博士はかせ課程かてい在籍ざいせき中ちゅうに上あげることが条件じょうけんとなっている。

学位がくい取得しゅとく後ごの進路しんろでは、博士はかせ号ごうを有ゆうしながらも定職ていしょくに就つけないという、オーバードクター問題もんだいが発生はっせいしている。これは、職業しょくぎょう安定あんてい法ほうに関かんして、政策せいさくや行政ぎょうせいを違反いはんとする異議いぎを唱となえる能力のうりょくもない学位がくい取得しゅとく者しゃや、社会しゃかい規範きはんに対たいする認識にんしき能力のうりょくの低ひくい者しゃ達たちを放任ほうにんする一般いっぱん国民こくみんや政治せいじ家からの潮流ちょうりゅうによって生しょうじている。このような状況じょうきょうの下したで「高学歴こうがくれきプア」というレッテルが広ひろまった。文部もんぶ科学かがく省しょうは、職業しょくぎょう安定あんてい法ほうを満みたさない問題もんだいの解決かいけつ策さくとして、2009年ねん6月がつ5日にち、第だい2期きの中期ちゅうき目標もくひょう素案そあん作づくりが進すすむ各かく国立こくりつ大学だいがくに、大学院だいがくいん博士はかせ課程かていの定員ていいん削減さくげんを要請ようせいした。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

1861年ねん、アメリカで初はじめてDoctorate of Philosophy (Ph.D.) を授与じゅよしたイェール大学だいがく

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、学術がくじゅつによる（専門せんもん博士はかせでない）博士はかせは、伝統でんとう的てきに Doctor of Philosophy の学位がくいを授与じゅよされる。この Philosophy は一いち学問がくもん分野ぶんやとしての哲学てつがくではなく、広ひろく学術がくじゅつ一般いっぱんを意味いみし、Ph.D. と略りゃくされる。また、大学だいがくによっては、Doctor of Science を Ph.D. の替かわりに選択せんたくすることができたり、Doctor of Philosophy とは名称めいしょうの異ことなる学位がくいを授与じゅよすることもある。

一般いっぱん的てきに、Ph.D. の学位がくいには専攻せんこう分野ぶんやが添そえられ、学位がくい保持ほじ者しゃの研究けんきゅう分野ぶんやを明確めいかくにすることが多おおい。例たとえば、政治せいじ学がくの研究けんきゅうにおいて授与じゅよされた博士はかせ号ごうであれば、Doctor of Philosophy in Political Science となり得えるし、環境かんきょう科学かがくの博士はかせ号ごうであれば、Doctor of Philosophy in Environmental Science とされるであろう。

また、Ph.D. の学位がくいではなく、専攻せんこうごとに細分さいぶんされた学位がくいを授与じゅよする場合ばあいもある。例たとえば、工学こうがくにおける博士はかせ号ごうで、Doctor of Engineering という学位がくいが授与じゅよされることもある。ここで、工学こうがくは、元来がんらいリベラル・アーツに含ふくまれておらず、基礎きそ的てきな研究けんきゅうを重視じゅうしする学術がくじゅつを追求ついきゅうする分野ぶんやとして考かんがえられていない場合ばあいがあることに注意ちゅういしておきたい。さらに、Ph.D. の代かわりに、Doctor of Science という学位がくいを理科りか系けいの専攻せんこうに用もちいる大学だいがくもある。

また、純粋じゅんすいな基礎きそ研究けんきゅう以外いがいに、研究けんきゅう結果けっかを実際じっさいに応用おうようすることを強調きょうちょうしたプログラムでは、Ph.D. の学位がくいを授与じゅよするかわりに、下記かきのような学位がくいを授与じゅよすることもある。

• Doctor of Theology（略称りゃくしょう：ThD）神学しんがく
• Doctor of Psychology（略称りゃくしょう：PsyD）心こころ理学りがく
• Doctor of Education（略称りゃくしょう：EdD）教育きょういく学がく
• Doctor of Musical Arts（略称りゃくしょう：D.M.A.）音楽おんがく
• Legum Doctor（略称りゃくしょう：LL.D.）法学ほうがく
• Doctor of Social Science（略称りゃくしょう：D.S.Sc.）（既すでに社会しゃかい科学かがく系けいの博士はかせ号ごうを持もつ者ものが2つ目めに取得しゅとくする社会しゃかい科学かがく系けい博士はかせ号ごう）

これらの学位がくいにおいても、名称めいしょうの違ちがいは大おおきい。

また、一部いちぶの学位がくいは、専門せんもん資格しかくの取得しゅとくの条件じょうけんになっているが、日本にっぽんのケースと異ことなることがある。例たとえば、PsyD は、アメリカでは5年間ねんかんのフルタイム就学しゅうがくが必須ひっすであるが、日本にっぽんでは、臨床りんしょう心理しんり士しは、修士しゅうし号ごう取得しゅとく者しゃが取得しゅとくできる。アメリカでは、州しゅう政府せいふが認定にんていする臨床りんしょう心理しんり士しは臨床りんしょう心理しんり学者がくしゃであり、PsyD が必要ひつようだが、修士しゅうしレベルの心理しんり臨床りんしょう従事じゅうじ者しゃは、州しゅう政府せいふの資格しかくである心理しんりカウンセラーという別べつ資格しかくを持もつ。アメリカを含ふくめた欧米おうべいでは、弁護士べんごし、医師いし、歯科しか医い、眼科がんか医い、臨床りんしょう心理しんり士し、一部いちぶの看護かんご師し等とうの高度こうど専門せんもん職しょく従事じゅうじ者しゃは往々おうおうに博士はかせ号ごうが必須ひっすである。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの州しゅうでは、博士はかせ号ごう保持ほじ者しゃ以外いがいが心理しんり学者がくしゃ、または臨床りんしょう心理しんり士しと自称じしょうし、臨床りんしょう行為こういを行おこなうことは違法いほうである。

イギリス

イギリスでは、研究けんきゅう博士はかせ号ごうは資格しかく単位たんいフレームワーク (QCF) においてレベル8であり、PhD または DPhilと略記りゃっきされる（DPhilは オックスフォおっくすふぉード大学どだいがく、サセックス大学だいがく、バッキンガム大学だいがく）。名誉めいよ博士はかせ号ごうについては、Doctor of Engineering 等とうのように of を用もちいて表記ひょうきされる。標準ひょうじゅん的てきな修学しゅうがく期間きかんは多おおくの場合ばあい、修士しゅうし号ごう取得しゅとく後ご3年間ねんかんである。

オーストラリア

オーストラリアにおける博士はかせ号ごう (Doctoral degree) は、オーストラリア教育きょういく訓練くんれん省しょうの定さだめる豪州ごうしゅう資格しかくフレームワークにおいてレベル10とされる。

ドイツ

ドイツでは、ドイツ資格しかくフレームワーク (DQR) レベル8に位置いちづけられる。

少すくなくとも、以下いかの学位がくいが存在そんざいする。

• Doktor der Agrarwissenschaften（略称りゃくしょう：Dr. agr. (agriculturae)） - 農学のうがく博士はかせ
• Doktor der Ingenieurwissenschaften（略称りゃくしょう：Dr.-Ing. (Doctor-Ingenieur)）- 工学こうがく博士はかせ
• Doktor der Rechtswissenschaften（略称りゃくしょう：Dr. iur. (iuris)） - 法学ほうがく博士はかせ
• Doktor der Mathematik（略称りゃくしょう：Dr. math. (mathematicae)） - 数学すうがく博士はかせ
• Doktor der Medizin（略称りゃくしょう：Dr. med. (medicinae)） - 医学いがく博士はかせ。ただし、EUにおいては英語えいご圏けんのM.D.相当そうとうとみなされる。
• Doktor der Zahnmedizin（略称りゃくしょう：Dr. med. dent. (medicinae dentariae)） - 歯学しがく博士はかせ
• Doktor der Philosophie（略称りゃくしょう：Dr. phil. (philosophiae)） - 哲学てつがく博士はかせ
• Doktor der Gartenbauwissenschaften（略称りゃくしょう：Dr. rer. hort. (rerum horticulturarum)） - 園芸えんげい学がく博士はかせ
• Doktor der Naturwissenschaften（略称りゃくしょう：Dr. rer. nat. (rerum naturalium)）- 理学りがく博士はかせ
• Doktor der Staatswissenschaften（略称りゃくしょう：Dr. rer. pol. (rerum politicarum)） - 国家こっか科学かがく博士はかせ
• Doktor der Verwaltungswissenschaften（略称りゃくしょう：Dr. rer. publ. (rerum publicarum)） - 行政ぎょうせい学がく博士はかせ
• Doktor der Musikwissenschaften（略称りゃくしょう：Dr. sc. mus. (scientiae musicae)） - 音楽おんがく学がく博士はかせ
• Doktor der Wirtschaftswissenschaften（略称りゃくしょう：Dr. sc. oec. (scientiarum oeconomicarum)） - 経済けいざい学がく博士はかせ
• Doktor der Sozialwissenschaften（略称りゃくしょう：Dr. sc. soc. (scientiae socialis)） - 社会しゃかい科学かがく博士はかせ
• Doktor der Theologie（略称りゃくしょう：Dr. theol. (theologiae)） - 神学しんがく博士はかせ

フランス

フランスのサイエンス博士はかせ国家こっか免状めんじょう（1810年ねん）

「fr:Doctorat en France」も参照さんしょう

フランスの博士はかせ号ごう（仏ふつ: doctorat）は、国家こっかによる学位がくいである（教育きょういく機関きかんによる学位がくいではない）。それを保証ほしょうする国家こっか免状めんじょう (diplôme national) は、大学だいがく、その他たの認みとめられた高等こうとう教育きょういく機関きかんによって国家こっかの名なの下しも発行はっこうされる。博士はかせ号ごうの取得しゅとくに関かんする詳細しょうさいは法令ほうれいにより定さだめられている。取得しゅとくのための修学しゅうがく期間きかんは、標準ひょうじゅんで修士しゅうし（仏ふつ: master）取得しゅとく後ご3年間ねんかんである。その間あいだに得えられた研究けんきゅう成果せいかをまとめた博士はかせ論文ろんぶん（仏ふつ: thèse de doctorat）を提出ていしゅつし、審査しんさに合格ごうかくすることにより取得しゅとくできる。

博士はかせ論文ろんぶんの審査しんさは、報告ほうこく者しゃ（仏ふつ: rapporteur）による論文ろんぶんの審査しんさと、その後ごの審査しんさ会かい（仏ふつ: soutenance）からなる。報告ほうこく者しゃは、2名めい以上いじょうの博士はかせ論文ろんぶん指導しどう資格しかく（仏ふつ: habilitation à diriger des recherches）を持もつ学外がくがいの当該とうがい専門せんもん領域りょういきの研究けんきゅう者しゃであることが義務付ぎむづけられている。そして、この報告ほうこく者しゃがそれぞれ別々べつべつに報告ほうこく書しょを書かき審査しんさ会かいに進すすめるかどうか決定けっていする。1名めいでも反対はんたいがあれば、審査しんさ会かいは開あけない。また、審査しんさ会かいは、原則げんそく的てきに一般いっぱん公開こうかいであり、3名めいから8名めいの審査しんさ員いん（仏ふつ: jury）もまた半数はんすう以上いじょうが学外がくがいの研究けんきゅう者しゃでなければならない。この審査しんさ会かいを取とり仕切しきるのは、プレジダンと呼よばれる博士はかせ論文ろんぶん指導しどう資格しかくを持もつ大学だいがく教授きょうじゅもしくはそれに相当そうとうする研究けんきゅう者しゃである。審査しんさ過程かていにおいて、博士はかせ論文ろんぶんの指導しどう教官きょうかんは一人ひとりの審査しんさ員いんでしかなく、博士はかせ号ごう授与じゅよの決定けってい権けんは小ちいさい。また、学外がくがいの研究けんきゅう者しゃを多おおく取とり入いれることにより博士はかせ号ごうの質しつを保たもつとともに、研究けんきゅう成果せいかをその分野ぶんやの著名ちょめいな研究けんきゅう者しゃに周知しゅうちできる工夫くふうがなされている。

ここで述のべた博士はかせ号ごうは学術がくじゅつ的てきな研究けんきゅうに対たいするものだが、医学いがく、歯学しがく、薬学やくがく、獣医じゅうい学がくにおける専門せんもん職しょくの技能ぎのう習得しゅうとくに対たいして授与じゅよされる医師いし国家こっか免状めんじょう (fr:Diplôme d'État de docteur) にも「博士はかせ (docteur)」の語かたりが用もちいられる。

博士はかせ号ごう取得しゅとく遅延ちえんの問題もんだい

2023年ねん12月に実施じっしされた統計とうけい的てき文献ぶんけん分析ぶんせきでは、博士はかせ号ごう取得しゅとく遅延ちえん問題もんだいに関かんして質しつの高たかい証拠しょうことされており、研究けんきゅう者しゃの博士はかせ号ごう取得しゅとく遅延ちえんは主おもに学校がっこう側がわの教育きょういくの問題もんだいであり、学校がっこう教育きょういく指導しどう制度せいどを見直みなおすべきであるとされている。

博士はかせ号ごう取得しゅとく者しゃのキャリア

各国かっこくで、高等こうとう教育きょういくへの関心かんしんが高たかまりつつある。そのため、社会しゃかい人じん大学院だいがくいんや夜間やかん大学院だいがくいん、通信つうしん制せい大学院だいがくいんといった形態けいたいで、働はたらきながら研究けんきゅうして博士はかせの学位がくいを取得しゅとくする人ひとが増ふえている。またそうした社会しゃかい経験けいけんの豊富ほうふな人口じんこうが大学だいがくの教員きょういんになることで、学問がくもんと社会しゃかいの接点せってんを拡大かくだいしているという面めんもある。

理系りけいの博士はかせは、企業きぎょうからも一定いっていの研究けんきゅう能力のうりょくを持もつ者ものとして認知にんちされることが多おおく、一部いちぶの産業さんぎょうでは何人なんにんの博士はかせを雇用こようしているかが信用しんようの指標しひょうとされる場合ばあいがある。実際じっさい、日立ひたちグループと日立造船ひたちぞうせんグループの関係かんけい者しゃ（在籍ざいせき者しゃとOB）の間あいだでは、1952年ねんに博士はかせ号ごう取得しゅとく者しゃの親睦しんぼく組織そしき「返かえし仁じん会かい（意味いみは変人へんじん会かい（へんじんかい））」が結成けっせいされた。

国際こくさい的てきな知識ちしき社会しゃかい化か、生涯しょうがい教育きょういくの拡大かくだい、高度こうど専門せんもん職しょくの増加ぞうかなどが進行しんこうする中なか、社会しゃかいにおいて博士はかせ号ごう取得しゅとく者しゃをいかに活いかすことができるかが、多おおくの国々くにぐにで問とわれている。しかしながら日本にっぽんでは、博士はかせ号ごう取得しゅとく者しゃの新規しんき雇用こように積極せっきょく的てきな企業きぎょうや大学だいがくはそれほど多おおくはないのが実状じつじょうであり、ポストドクター問題もんだいの一因いちいんとなってきた。文部もんぶ科学かがく省しょうは2006年ねんに博士はかせ人材じんざいの就職しゅうしょく支援しえんを開始かいし。大阪府立大学おおさかふりつだいがくなど各かく大学だいがくや産学さんがく協きょう働はたらけイノベーション人材じんざい育成いくせい協議きょうぎ会かいが博士はかせ号ごう取得しゅとく者しゃを企業きぎょうに派遣はけんしてのインターンシップ研修けんしゅうを行おこなうようになった。こうした取とり組くみや、人工じんこう知能ちのう（AI）など技術ぎじゅつ革新かくしんに対応たいおうする必要ひつようから、博士はかせ号ごう取得しゅとく者しゃの採用さいように積極せっきょく的てきになった企業きぎょうも見みられる。

なお、博士はかせ号ごう取得しゅとく者しゃは国会こっかい議員ぎいん政策せいさく担当たんとう秘書ひしょの資格しかくを無試験むしけんで取得しゅとくできる他ほか、労働ろうどう基準きじゅん法ほう第だい14条じょうにて高度こうどな専門せんもん知識ちしきを有ゆうする者ものとしても位置付いちづけられている。

また、欧米おうべいなどでは称号しょうごうとして氏名しめいに博士はかせを付つけて呼よぶ（英語えいご圏けんの場合ばあい、博士はかせ号ごう所持しょじ者しゃはMr.○○ではなくDr.○○と呼よばれる）ことが通例つうれいである。日本にっぽんにおいては、ノーベル賞しょうの受賞じゅしょう者しゃ等とうに対たいして博士はかせの敬称けいしょうを付つけて報道ほうどうされる例れいが現代げんだいにおいても見みられることがある。

日本にっぽんで学問がくもん分野ぶんや別べつ博士はかせ課程かてい修了しゅうりょう者しゃの正社員せいしゃいん・正せい職員しょくいん率りつは、工学こうがく博士はかせ76.2％、保健ほけん博士はかせ（医師いし、歯科しか医師いしら）74.1％、農学のうがく博士はかせ66.0％、人文じんぶん博士はかせは41.0％、教育きょういく博士はかせや芸術げいじゅつ博士はかせなどその他たは49.5％である。博士はかせ課程かてい修了しゅうりょう者しゃ（必かならずしも博士はかせ号ごう取得しゅとく者しゃではない）の年収ねんしゅうについては、2018年度ねんど博士はかせ課程かてい修了しゅうりょう者しゃの翌よく年度ねんどの年収ねんしゅうは分野ぶんや別べつでは「収入しゅうにゅうなし」から「1500万まん円えん以上いじょう」まで15区分くぶんすると、保健ほけんが「1200万まん～1500万まん円えん未満みまん」で最もっとも高たかく、次つぎは工学こうがくで「400万まん～500万まん円えん未満みまん」、社会しゃかい科学かがくと理学りがくが「300万まん～400万まん円えん未満みまん」、農学のうがくが「200万まん～300万まん円えん未満みまん」、人文じんぶん科学かがくは「100万まん～200万まん円えん未満みまん」だった。博士はかせ課程かてい修了しゅうりょう者しゃの年収ねんしゅうは保健ほけん、工学こうがく、理学りがく、社会しゃかいで高たかい傾向けいこうにあり、保健ほけんは30％以上いじょうが1,000万まん円えんを超こえていた。所得しょとく割合わりあいが最多さいたなのは理学りがくと社会しゃかいが300～400万まん円えん未満みまん、工学こうがくが400～500万まん円えん未満みまん、保健ほけんでは500～600万まん円えん未満みまんとなっている。農学のうがくが200～300万まん円えん未満みまん、人文じんぶんは100～200万まん円えん未満みまんであった。人文じんぶん博士はかせ課程かてい修了しゅうりょう者しゃは400万まん円えん未満みまんが約やく40％を占しめ、その内うち100～200万まん円えん未満みまんが19.6％で最さい多層たそうであった。

ディプロマミル等とうによる学位がくい偽造ぎぞう

「認定にんてい校こう制度せいど#非ひ認定にんてい大学だいがく」も参照さんしょう

博士はかせ学位がくいの問題もんだいに偽造ぎぞう学位がくいの問題もんだいがある。主おもに海外かいがいにて、学位がくいを審査しんさ・授与じゅよするに足たらないディプロマミル・ディグリーミルという機関きかんが大学だいがくを称しょうして、形式けいしき的てきな審査しんさと料金りょうきんを支払しはらうことで、正式せいしきな博士はかせの学位がくいであるかのように学位がくいを授与じゅよする（学位がくい記きを交付こうふする）組織そしきが存在そんざいする。アメリカでは、ディプロマミルを用もちいた経歴けいれき詐称さしょうが深刻しんこくであり、日本にっぽんにおいても2004 - 2006年度ねんどで全国ぜんこく4大学だいがくに4人にん、「ニセ学位がくい」によって採用さいよう・昇進しょうしんした教員きょういんがいたことを2007年ねん末すえに文部もんぶ科学かがく省しょうが発表はっぴょうした。このような問題もんだいを回避かいひするためにも、学位がくいの名称めいしょうの使用しように際さいしては授与じゅよ機関きかん名めいを併記へいきしなければならないことが学位がくい規則きそくによって定さだめられている（例れい：博士はかせ（医学いがく）（東京大学とうきょうだいがく））。

文部もんぶ科学かがく省しょうは『「真正しんせいな学位がくいと紛まぎらわしい呼称こしょう等とうについての大学だいがくにおける状況じょうきょうに係かかる実態じったい調査ちょうさ」の結果けっかについて』を公表こうひょうし、この中なかで「近年きんねん、正規せいきの大学だいがく等とうとして認みとめられていないにもかかわらず、学位がくい授与じゅよを標榜ひょうぼうし、真正しんせいな学位がくいと紛まぎらわしい呼称こしょうを供与きょうよする者ものの存在そんざいについての指摘してきが我わが国くににおいてもなされるようになっています。このような呼称こしょうを取得しゅとくした者ものが、その呼称こしょうを有ゆうしていることを以って我わが国くにの大学だいがくにおいて採用さいようされること及および昇進しょうしんすること、あるいはその呼称こしょうの所持しょじが大学だいがくにおける広報こうほう媒体ばいたいにおいて表示ひょうじされること等とうがあれば、学習がくしゅう者しゃの誤認ごにんや我わが国くにの高等こうとう教育きょういくに対たいする信頼しんらい低下ていか等とうにつながりかねません」と指摘してきしている。

博士はかせ号ごうの取とり消けし

博士はかせ号ごうの取得しゅとくに際さいし、論文ろんぶん盗用とうよう等ひとしの不正ふせいがあった場合ばあいなどに大学だいがくから博士はかせ号ごうを取とり消けされる事例じれいが散発さんぱつしている。

関連かんれん項目こうもく

• ボローニャ・プロセス
  • 国家こっか資格しかくフレームワーク (NQF)
  • 資格しかく単位たんいフレームワーク (QCF)
• 高等こうとう教育きょういく
• 学歴がくれき
• 学位がくい
• ドクター
• 論文ろんぶん
• 名誉めいよ学位がくい
• 博士はかせ研究けんきゅう員いん

外部がいぶリンク

• 博士はかせ論文ろんぶんデータベース（国立こくりつ情報じょうほう学がく研究所けんきゅうじょ）
• ヴァンゼル セリーヌ, 小野寺おのでら倫子ともこ、「フランスにおける博士はかせ論文ろんぶんの執筆しっぴつ : 公法こうほう研究けんきゅう会かい報告ほうこく」『北大ほくだい法学ほうがく論集ろんしゅう』 2013年ねん 63巻かん 第だい6号ごう p.64-49, 北海道大学ほっかいどうだいがく大学院だいがくいん法学ほうがく研究けんきゅう科か
• 学位がくいに付記ふきする専攻せんこう分野ぶんやの名称めいしょう（大学だいがく改革かいかく支援しえん・学位がくい授与じゅよ機構きこう）2024年度ねんどの調査ちょうさに基もとづく日本にっぽんにおける学位がくいに付記ふきされる専攻せんこう分野ぶんやの一覧いちらん