(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ドワーフ (トールキン) - Wikipedia コンテンツにスキップ

ドワーフ (トールキン)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
トールキンのドワーフ

J・R・R・トールキン架空かくう世界せかいであるなかくににおいてドワーフ英語えいご: Dwarf複数ふくすうがた: Dwarves)はひく頑健がんけん種族しゅぞくであり、全員ぜんいんがひげをやしていること特徴とくちょうである。種族しゅぞくたいして植物しょくぶつ動物どうぶつふくめてあまり親密しんみつとはえず、ホビットたいしてはまだ友好ゆうこうてき場合ばあいおおいが、エルフたいしてはむかしから不信ふしんかんいていることがられる(一部いちぶのぞく)。典型てんけいてきなドワーフは鍛冶たんや石工せっこう職業しょくぎょうとしており、かれらがつく作品さくひんなかにはエルフの作品さくひんよりもすぐれたものもある。また礼儀れいぎもありおもんじるものの、種族しゅぞくとは不和ふわになることさえある。

概要がいよう[編集へんしゅう]

エルフや人間にんげんことなり、ドワーフはイルーヴァタールのにはかぞえられない。ドワーフは鍛冶たんやつかさどアウレによってつくられた。しかしアウレにはみずからの作品さくひん独立どくりつした生命せいめいあたえるちからがなかった。そのちからイルーヴァタールのみがっているのであり、万物ばんぶつちちたるイルーヴァタールの模倣もほうであったからである。アウレはこれを懺悔ざんげし、イルーヴァタールにドワーフをつくしたことを告白こくはくこわそうとした。これをたイルーヴァタールはアルダの創造そうぞう計画けいかくにドワーフをくわえることを約束やくそくし、ドワーフにすでに独立どくりつした生命せいめい宿やどっていることをげる。このことからドワーフはイルーヴァタールの養子ようしばれる。アウレはななにんドワーフの父祖ふそつくり、すべてのドワーフはかれらの子孫しそんであった。かれらはエルフが創造そうぞうされるまではねむりにつかされた。ドワーフはアウレの影響えいきょうからか工芸こうげいひん加工かこうこのみ、よくおのたおし、牧人ぼくじんエントがヤヴァンナのねがいによってみだされる原因げんいんともなる。

トールキンの作品さくひん登場とうじょうするドワーフのほとんどはドゥリンのみんである。ドゥリンのみんカザド=ドゥームのドゥリン1せいはじまる部族ぶぞくであり、ちょうひげぞくともばれる。著名ちょめい例外れいがいとしては『シルマリルの物語ものがたり』でかたられるあお山脈さんみゃくのドワーフのまちノグロドとベレゴストにむドワーフがある。

かれらはなかくに山々やまやまから貴金属ききんぞく採掘さいくつし、加工かこうした。もっと有名ゆうめいなドワーフの貴金属ききんぞくミスリルである。さまざまなてんで、ドワーフはエルフと人間にんげん中間ちゅうかん位置いちしている。かれらは不死ふしではないが、250ねん以上いじょう寿命じゅみょうっている。かれらは一般いっぱんてき人間にんげんよりも堕落だらくしがたい種族しゅぞくであるが、よくられて性急せいきゅうおこないをするてんでは共通きょうつうしている(とく有名ゆうめいなのはエル・シンゴル殺害さつがいアーケンせきをめぐるいさかいであろう)。

ドワーフの言語げんごはアウレによって創造そうぞうされ、クズドゥルばれている。ドワーフは自分じぶんたちの言葉ことば秘密ひみつにしていたため、人間にんげんやエルフにとってはなじみのない言語げんごである。ただし、ひとつだけ有名ゆうめいなドワーフの言葉ことばがある。それはふるくはだい一紀かずのりまでさかのぼる古代こだいかちどきこえである。「バルク カザード!カザード アイ=メーヌ!」"Baruk Khazâd! Khazâd ai-mênu!"と発音はつおんされ、「ドワーフのおのだ!ドワーフがなんじらをつぞ!」のである。

トーリン・オーケンシールドは『ホビットの冒険ぼうけん』において、12にんのドワーフをともなって袋小路ふくろこうじ屋敷やしきおとずれ、財宝ざいほうもどたびビルボくわえる。

ギムリは『指輪ゆびわ物語ものがたり』において指輪ゆびわ仲間なかまくわわり、エルフのレゴラス親友しんゆうになる。

ドワーフの女性じょせい[編集へんしゅう]

指輪ゆびわ物語ものがたりおよび『ホビット』にはドワーフの女性じょせい登場とうじょうしない。『指輪ゆびわ物語ものがたりついへんの『ドゥリンの一族いちぞく』のしょうにはドワーフの女性じょせい男性だんせいまった見分みわけがつかないと記述きじゅつがあり、このことから女性じょせいひげえているのだろうと推測すいそくまれた。しかしながら、2022ねんからはじまったドラマシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング: ちから指輪ゆびわ』には複数ふくすうのドワーフ女性じょせい登場とうじょうし、男性だんせい見分みわけがつきひげえていない。

名前なまえ[編集へんしゅう]

ドワーフは自分じぶんたちの種族しゅぞくカザド (Khazad) とんでいる。これはアウレがかれらにあたえた名前なまえである。この言葉ことばシンダールにおいてはハゾドリム (Hadhodrim) 、クウェンヤにおいてはカサリ (Casari) とやくされた。ノルドールあいだではカサリがドワーフを一般いっぱんてき言葉ことばであったが、シンダールナウグリム (Naugrim) あるいはノゴスリム (Nogothrim) 、つまり「成長せいちょう阻害そがいされたもの」とぶ。

なかくにのドワーフの名前なまえは、そのおおくがエッダの『巫女ふじょ予言よげん』からられている。

英語えいごへの影響えいきょう[編集へんしゅう]

トールキンの著作ちょさくである『ホビットの冒険ぼうけん』と『指輪ゆびわ物語ものがたり』が人気にんきはくしたことにより、ファンタジー文学ぶんがくにおいてこの種族しゅぞくをあらわす用語ようごとしてdwarves使つかうことが普及ふきゅうした。トールキン以前いぜんdwarfsつづりがことなる)がもちいられていた。たとえばディズニーの『白雪姫しらゆきひめななにん小人こどもSnow White and Seven Dwarfsにおいてもdwarfsもちいられていた。事実じじつ後者こうしゃつづりが一般いっぱんてきであったため、『指輪ゆびわ物語ものがたり』の植字しょくじこうはトールキンのdwarvesdwarfsに「訂正ていせい」したほどである[1]

トールキンによれば、dwarfの「本当ほんとうの『歴史れきしてき』な」複数ふくすうがたdwarrowsdwerrowsであるという。かれはかつてdwarvesを「個人こじんてきあやまった文法ぶんぽう」とべている[2]。しかし『指輪ゆびわ物語ものがたり』のついへんFにおいて、ドワーフが現在げんざい英語えいごかたられることがおおかったならば、人間にんげん(man)の複数ふくすうがたmen保持ほじされているごとく、dwarf特殊とくしゅ複数ふくすうがた保持ほじされたはずであるとべている。dwarrowというかたちはモリアの名前なまえであるDwarrowdelfにのみあらわれている。トールキンはわりにElf複数ふくすうがたElves対応たいおうするDwarvesもちい、意味いみ読者どくしゃにとってわかりやすいようにした。一般いっぱんことなる用語ようごもちいたことは、神話しんわやおとぎばなし登場とうじょうするおなじような名前なまえものとトールキンのドワーフを区別くべつする役割やくわりたした。

作中さくちゅう登場とうじょうするドワーフ[編集へんしゅう]

  • 指輪ゆびわ仲間なかま

[編集へんしゅう]

  1. ^ (The Letters of J. R. R. Tolkien, 138)
  2. ^ (The Letters of J. R. R. Tolkien, 17)