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ノイラミニダーゼ阻害そがいやく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ノイラミニダーゼ阻害そがいやく(ノイラミニダーゼそがいやく、Neuraminidase inhibitors)は細胞さいぼうまく表面ひょうめんにあるノイラミニダーゼ(NA)を阻害そがいするこうウイルスやく総称そうしょうである。体内たいないでのインフルエンザウイルス増殖ぞうしょく過程かていにおいて、感染かんせん細胞さいぼうからのインフルエンザウイルスの放出ほうしゅつ必要ひつようウイルス・ノイラミニダーゼ抑制よくせいすることでインフルエンザウイルスを細胞さいぼうないめる。これによりパンデミックを予防よぼうできる。しかし、ノイラミニダーゼをたないCがたインフルエンザには無効むこうである。M2蛋白たんぱく阻害そがいやくアマンタジンなど)はAがたインフルエンザのみ有効ゆうこうである。これにたいザナミビル商品しょうひんめい:リレンザ)、オセルタミビル商品しょうひんめい:タミフル)などはAがた/Bがたインフルエンザの双方そうほう有効ゆうこうである。

歴史れきし

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本来ほんらい、ノイラミニダーゼ阻害そがいやくはウイルスがくことを阻害そがいする。このため個体こたい単位たんいると、投与とうよ時期じきおそいと実験じっけん動物どうぶつたすけるどころか死期しきはやめるため、研究けんきゅうしゃからは禁忌きんきとされていた研究けんきゅう分野ぶんやであった。しかし、パンデミック予防よぼう観点かんてんからは、犠牲ぎせいにしても、だい流行りゅうこうふせぐことができるてん注目ちゅうもくされ1970年代ねんだい研究けんきゅうさかんになった。

1974ねんからシアルさん類似るいじたいである 2-デオキシ-2,3-ジデヒドロ-N-アセチルノイラミンさん(DANA)がノイラミニダーゼの抑制よくせいやくとして存在そんざいした。それにくわえ、Xせん結晶けっしょう構造こうぞう解析かいせきにより立体りったい構造こうぞうあきらかとなったノイラミニダーゼの立体りったい構造こうぞうをもとに、DANAの構造こうぞう基礎きそとしてコンピュータ支援しえんにより分子ぶんし設計せっけいし、ノイラミニダーゼの活性かっせい部位ぶい結合けつごうし、阻害そがいする分子ぶんし設計せっけいした。これにより、1989ねんにビオタによりザナミビルが開発かいはつされた。

1990ねんにグラクソ(現在げんざいグラクソ・スミスクライン)にライセンス提供ていきょうおこない、ザナミビルすい和物あえものドライパウダー(商品しょうひんめい:リレンザ)として販売はんばいおこなわれた。ザナミビルは経口けいこうによる生物せいぶつがくてき利用りようのうひくく、経口けいこう投与とうよできなかったため、吸入きゅうにゅうざいとしてリレンザが販売はんばいされていた。

1996ねんギリアド・サイエンスが、経口けいこう投与とうよができるオセルタミビルを開発かいはつし、ロシュへライセンス提供ていきょうおこない、リンさんオセルタミビル(商品しょうひんめい:タミフル)が発売はつばいされた。リレンザはタミフル発売はつばいまえにはノイラミニダーゼ阻害そがいやくとして唯一ゆいいつ薬剤やくざいであったが、吸入きゅうにゅうやくであることと、高価こうかであることから、げにかんして限定げんていてき成功せいこうにとどまっていた。

タミフルが市場いちば販売はんばいされた1999/2000ねんシーズンにおいては、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおけるノイラミニダーゼ阻害そがいやく市場いちばは、それぞれやく半分はんぶんずつであったが、2004ねんにはリレンザの市場いちば占有せんゆうりつは3%にまでみ、タミフルが市場いちばのほとんどをめていた。しかしタミフルの若年じゃくねんしゃへの処方しょほう制限せいげんされたこと、2008/2009ねんのA/H1N1(ソ連それん)のほとんどがタミフルたいせい獲得かくとくしたことなどにより、リレンザの処方しょほう上向うわむいていた。2010ねん1がつにはラピアクタ、2010ねん10がつにはイナビル上市かみいちされた。

作用さようじょ

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感染かんせんした細胞さいぼうからインフルエンザウイルスが放出ほうしゅつされるさい必要ひつようとなるノイラミニダーゼを阻害そがいすることにより、インフルエンザウイルス表面ひょうめんにあるヘマグルチニン宿主しゅくしゅ細胞さいぼう表面ひょうめんのシアルさん結合けつごう維持いじすることで、インフルエンザウイルスが細胞さいぼうからくのを阻害そがいする。そのため、感染かんせん初期しょきのみで有効ゆうこうである。発症はっしょうから48あいだ以降いこう場合ばあい個体こたい治癒ちゆ効果こうかはほとんどない。

適応てきおう

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Aがた・Bがたインフルエンザの早期そうき治療ちりょう予防よぼう

こう病原びょうげんせいトリインフルエンザ対策たいさく

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H5N1がたトリインフルエンザこう病原びょうげんせいトリインフルエンザとしょうされ、ヒトからヒトへの感染かんせんがおこるようになると、世界せかいてきだい流行りゅうこうパンデミック)をこす可能かのうせいがあるとされている。これに対応たいおうするために、各国かっこくでノイラミニダーゼ阻害そがいやく備蓄びちくおこなわれている。