ぶたインフルエンザ

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Swine flu
別称べっしょう Pig influenza, swine flu, hog flu, pig flu
H1N1インフルエンザウイルス電子でんし顕微鏡けんびきょう写真しゃしん[1]
概要がいよう
診療しんりょう 感染かんせんしょう
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう

ぶたインフルエンザ(ぶたインフルエンザ、swine influenza, swine flu, hog flu, pig flu)とは、ぶた感染かんせんするインフルエンザウイルスす。ぶた由来ゆらいインフルエンザ(swine-origin influenza virus, S-OIV)とも表記ひょうきされる。また、ぶたインフルぶたフルとも略称りゃくしょうされる。

ぶた由来ゆらいインフルエンザウイルスヒト感染かんせんして新型しんがたインフルエンザウイルスとなり、2009ねん世界せかいてき流行りゅうこう発生はっせいした。詳細しょうさい2009ねん新型しんがたインフルエンザの世界せかいてき流行りゅうこう参照さんしょう

ウイルスの種類しゅるい[編集へんしゅう]

ウイルスの種類しゅるいは、オルトミクソウイルスCがたインフルエンザウイルスぞく)、およびAがたインフルエンザウイルスぞくH1N1H1N2H2N1H3N1H3N2H2N3などが確認かくにんされている。

はじめて確認かくにんされたのは、2009ねんのメキシコであり、3種類しゅるい様々さまざまなウイルスが交配こうはいされたものによるとされている[2]遺伝子いでんしの6つがN1N2がたインフルエンザと類似るいじしており、これは2000ねんごろにぶたあいだひろまったものである[2]

このインフルエンザウイルスは、国立こくりつ感染かんせんしょう研究所けんきゅうじょ病原びょうげんからだとう安全あんぜん管理かんり規定きてい」によりバイオハザードレベル3(個体こたいたいするたか危険きけん地域ちいき社会しゃかいたいするてい危険きけん)に分類ぶんるいされる生物せいぶつ災害さいがい人間にんげん自然しぜん環境かんきょう重大じゅうだい危険きけんをもたらすような生態せいたい異変いへん)の原因げんいんとなりうるウイルスである[よう出典しゅってん医学いがく]

ぶた感染かんせんした場合ばあい[編集へんしゅう]

ぶた場合ばあい症状しょうじょう

ブタはヒトトリのAがたインフルエンザウイルスに容易ようい感染かんせんする。とりインフルエンザ参照さんしょう

発症はっしょうブタは元気げんき消失しょうしつ食欲しょくよく不振ふしん発熱はつねつなどの一般いっぱん症状しょうじょう鼻汁はなしる発作ほっさせいせき呼吸こきゅう促拍などの呼吸こきゅう症状しょうじょうしめす。病理びょうり所見しょけんとして呼吸こきゅう粘膜ねんまく上皮じょうひカタルせい炎症えんしょう咽頭いんとう粘膜ねんまく充血じゅうけつ気管支きかんし気管きかんない粘液ねんえき貯留ちょりゅうはいあいだしつせい肺炎はいえん肺気腫はいきしゅなどがみとめられる。ウイルスの分離ぶんり鼻汁はなしるぬぐえき気管きかんはい病変びょうへん発育はついく鶏卵けいらんひつじまくうちあるいは尿にょうまく腔内接種せっしゅしておこなう。特異とくいてき治療ちりょうほうはないため、対症療法たいしょうりょうほうおこなう。一般いっぱん良好りょうこうであり死亡しぼうりつは1%以下いかであるが、肺炎はいえん進行しんこうするとわるおさなわかブタでは致死ちしてきとなる。

日本にっぽんにおいてブタのあいだ流行りゅうこうしているAがたインフルエンザウイルスの主要しゅようがたH1N1H3N2の2がたであり、この2がたたいするかつワクチン開発かいはつされている。ことなるがたぶたインフルエンザウイルスかぶ同時どうじどういち細胞さいぼう感染かんせんした場合ばあいには、遺伝子いでんしさい集合しゅうごうによって新型しんがたインフルエンザウイルスが出現しゅつげんする可能かのうせいがある(抗原こうげん不連続ふれんぞく変異へんい)。

ひとへの感染かんせんれい[編集へんしゅう]

1976ねん[編集へんしゅう]

ぶたインフルエンザがひと感染かんせんした最初さいしょ発見はっけんれいは、1976ねん2がつニュージャージーしゅうフォートディクスのアメリカ陸軍りくぐん訓練くんれん基地きちFort Dix)で死亡しぼうした19さい二等兵にとうへい検死けんしによるものである。どう基地きちない発病はつびょううたがわれたのはすうにんだったが、500にん以上いじょう感染かんせんしていることがかった。事態じたいおも保健ほけん衛生えいせい当局とうきょく勧告かんこくしたがい、フォード大統領だいとうりょう同年どうねん10がつ全国ぜんこくてき予防よぼう接種せっしゅプログラムを開始かいしした。

結局けっきょく、このとき感染かんせん基地きちないにとどまって、外部がいぶでの流行りゅうこうく(感染かんせん自体じたいによる)死者ししゃ兵士へいし1にんだった[3]

やく4000まんにん予防よぼう接種せっしゅけたが、予防よぼう接種せっしゅ副作用ふくさようで500にん以上いじょうギラン・バレー症候群しょうこうぐん発症はっしょうし、30にん以上いじょう死亡しぼうしたため、12月16にちにプログラムは中止ちゅうしされた[よう出典しゅってん医学いがく]。ワクチンが原因げんいんでギラン・バレー症候群しょうこうぐんとなってしまったのは565けんともされ、30にん高齢こうれいしゃ予防よぼう接種せっしゅけてから数時間すうじかん以内いないに「説明せつめい不可能ふかのう」をげていたという[4][信頼しんらいせいひく医学いがく情報じょうほうげん]

2009ねん[編集へんしゅう]

2009ねんには、インフルエンザウイルスA(H1N1)pdm09流行りゅうこうした。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ International Committee on onomy of Viruses. “The Universal Virus Database, version 4: Influenza A”. 2010ねん1がつ13にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2010ねん1がつ13にち閲覧えつらん
  2. ^ a b Gibbs, Adrian J.; Armstrong, John S.; Downie, Jean C. (2009-11-24). “From where did the 2009 'swine-origin' influenza A virus (H1N1) emerge?”. Virology Journal 6: 207. doi:10.1186/1743-422X-6-207. ISSN 1743-422X. PMC 2787513. PMID 19930669. https://doi.org/10.1186/1743-422X-6-207. 
  3. ^ “March 24, 1976: Ford Orders Swine-Flu Shots for All”. WIRED. (2008ねん3がつ24にち). https://www.wired.com/2008/03/dayintech-0324/ 2020ねん4がつ14にち閲覧えつらん 
  4. ^ ロバート・メンデルソン『医者いしゃ患者かんじゃをだますとき』p.234

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 日本にっぽん獣医じゅういない科学かがくアカデミーへん獣医じゅういない科学かがくだい動物どうぶつへん)』 ぶんえいどう出版しゅっぱん 2005ねん ISBN 4-8300-3200-6
  • 見上みかみぴょう監修かんしゅう獣医じゅうい感染かんせんしょうカラーアトラス』 ぶんえいどう出版しゅっぱん 2006ねん ISBN 4-8300-3203-0

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]