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Aがたインフルエンザウイルス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Aがたインフルエンザウイルス
Source: Dr. Erskine Palmer, CDC
分類ぶんるい(ICTV MSL #35)
さかい : Orthornavirae
もん : ネガルナウイルスもん Negarnaviricota
つな : インストウイルスもう Insthoviricetes
: アーティキュラウイルス Articulavirales
: オルトミクソウイルス Orthomyxoviridae
ぞく : アルファインフルエンザウイルスぞく Alphainfluenzavirus
たね : Aがたインフルエンザウイルス Influenza A virus

Aがたインフルエンザウイルス(エーがたインフルエンザウイルス、Influenza A virus)は、オルトミクソウイルスアルファインフルエンザウイルスぞく分類ぶんるいされるウイルスの総称そうしょうである[1][2]

Aがたインフルエンザウイルスはヒト鳥類ちょうるいウマブタなどに感染かんせんする。いくつかのAがたインフルエンザウイルス(がた)はヒトや家禽かきんたいし、インフルエンザこす[3]。さらに、時折ときおり野生やせい水鳥みずとりから家畜かちくなどにウイルスが伝染でんせんするため、世界せかいてき流行りゅうこうパンデミック:pandemic)がこることが懸念けねんされている[4][5]。 Bがたよりも高熱こうねつやすい。

かぶ命名めいめい

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Aがたインフルエンザウイルスの命名めいめいほう
Aがたインフルエンザウイルス(H5N1)
ウイルス構造こうぞう立体りったい

分離ぶんりされた変異へんいかぶ名前なまえけられて管理かんりされる。名前なまえ以下いか条件じょうけんうえからした順番じゅんばん名付なづけられる[6]

  • ウイルスのかた*1 / 分離ぶんり動物どうぶつ*2 / 分離ぶんり*3 / 分離ぶんり番号ばんごう*4および分離ぶんりねん*5 / HAとNAのかた*6
    1. ウイルスのかた - かくタンパクの抗原こうげんせい : A , B , C[7], D[8](AがたインフルエンザウイルスであればA)
    2. 分離ぶんり動物どうぶつ(ヒトの場合ばあい省略しょうりゃく
    3. 分離ぶんりされた場所ばしょれい福建ふっけん
    4. 分離ぶんり番号ばんごうれい:411ばん
    5. 分離ぶんりねんれい:2002ねんした2けたのみの場合ばあいもある)
    6. がたれい:H3N2) - 16種類しゅるいヘマグルチニン(HA)と9種類しゅるいノイラミニダーゼ(NA)のわせにより様々さまざまがた分類ぶんるいされ、HN番号ばんごうけられる。

たとえばこのようにして名付なづけられたA/Fujian/411/2002(H3N2)は、福建ふっけん (Fujian)で2002ねんに411番目ばんめ分離ぶんりされたH3N2のAがたインフルエンザウイルスであることをしめしている(宿主しゅくしゅがヒトの場合ばあい省略しょうりゃくされるがヒト以外いがい場合ばあいかたのちれられ、A/equine/Miami/1/63(H3N8)のように表記ひょうきされる)。

インフルエンザウイルスはおながたでもしばしば突然変異とつぜんへんいこし、性質せいしつ変化へんかすることがある。しかし、そのだい部分ぶぶんはその絶滅ぜつめつする。たとえば、あるとし流行りゅうこうしたH3N2がたインフルエンザウイルスと、べつとし流行りゅうこうしたH3N2がたインフルエンザウイルスの性質せいしつまったことなっている場合ばあいもある。

命名めいめい変遷へんせん

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  • 1953ねん A, B, C[9]
  • 1958ねん H抗原こうげん差違さいにより[10]
流行りゅうこう年度ねんど 俗名ぞくみょう 旧名きゅうめい こう原型げんけい(NH) 正式せいしきめい
1918-1933 スペイン風邪かぜ ASW HSWN1 A/Swine/Wisconsin/15/30
1934-1946 ? A0 H0N1 A/PR/8/34
1947-1956 イタリアかぜ A1 H1N1 A/FM/1/47
1957-1967 アジアかぜ A2 H2N2 A/足立あだち/2/57
1968- 香港ほんこんかぜ A3(?) H3N2 A/愛知あいち/2/68
1977- ソ連それんかぜ A1 H1N1 A/USSR/92/77
※薩田(1983)「Aがたインフルエンザウイルスの分類ぶんるい命名めいめい変遷へんせんについて」[10] より引用いんよう改変かいへん
  • 1968ねん香港ほんこんかぜの流行りゅうこうにより分類ぶんるい旧名きゅうめい)に疑問ぎもんしょうじた[10]
  • 1972ねんこう原型げんけい(NH)によるがた分類ぶんるい採用さいよう[10]現在げんざいいたる。
  • WHOのいう Influenza viruses type A が、Aがたインフルエンザに対応たいおうしている[11]

ICTVによる分類ぶんるい命名めいめい

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国際こくさいウイルス分類ぶんるい委員いいんかい (International Committee on Taxonomy of Viruses, ICTV) による分類ぶんるい命名めいめい変遷へんせん
国際こくさい会議かいぎ開催かいさいねん分類ぶんるい学名がくめいMaster Species List #
1971Orthomyxovirus > Influenza virusMSL #01
1974Orthomyxovirus > Influenza virusMSL #02
1975Orthomyxoviridae > Influenzavirus > Influenza virusMSL #03
1976Orthomyxoviridae > Influenzavirus > Influenza virus AMSL #04
1991Orthomyxoviridae > Influenza virus A and B > Influenza virus AMSL #12
1995Orthomyxoviridae > Influenza virus A and B > Influenza A virusMSL #14
1996Orthomyxoviridae > Influenzavirus A > Influenza A virusMSL #15
2017Orthomyxoviridae > Alphainfluenza virus > Influenza A virusMSL #32
2018aNegarnaviricota > Polyploviricotina > Insthoviricetes > Articulavirales > Orthomyxoviridae > Alphainfluenzavirus > Influenza A virusMSL #33
2018bRiboviria > Negarnaviricota > Polyploviricotina > Insthoviricetes > Articulavirales > Orthomyxoviridae > Alphainfluenzavirus > Influenza A virusMSL #34
2019Riboviria > Orthornavirae > Negarnaviricota > Polyploviricotina > Insthoviricetes > Articulavirales > Orthomyxoviridae > Alphainfluenzavirus > Influenza A virusMSL #35
※ICTV分類ぶんるい歴史れきしにみるAがたインフルエンザウイルスの歴史れきし。1971ねんOrthomyxovirusぞくInfluenza virusとして命名めいめいされ、たねめいは1976ねんInfluenza virus A、1995ねんInfluenza A virus変更へんこうされた。ぞくは1975ねんInfluenzavirusぞく、1991ねんInfluenza virus A and Bぞく移動いどうされた。1996ねんInfluenza A virusInfluenza B virusBがた)は、それぞれInfluenzavirus Aぞくinfluenzavirus Bぞくけられ、2017ねんAlphainfluenzavirusぞくBetainfluenzavirusぞくぞくめい変更へんこうされた[12][13]

感染かんせんしょうとしての命名めいめい

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宿主しゅくしゅ種類しゅるいによって感染かんせんしょうとして名前なまえけられる場合ばあいがある(ウイルス自体じたいについてではない)。

トリインフルエンザは致死ちしりつたかさによって名前なまえけられる場合ばあいがある。

  • てい病原びょうげんせいトリインフルエンザ(Low Pathogenic Avian Influenza、LPAI)
  • こう病原びょうげんせいトリインフルエンザ(Highly Pathogenic Avian Influenza、HPAI)

構造こうぞう遺伝子いでんし

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これについてはインフルエンザウイルスの項目こうもくくわしく記述きじゅつしてある。

がた

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実際じっさい確認かくにんされているAがたインフルエンザウイルスのがた以下いかの126種類しゅるいである。また、ハイブリッドしゅとノイラミニダーゼ欠損けっそんN3H-がた確認かくにんされている。

がた一覧いちらん[14]
N1 N2 N3 N4 N5 N6 N7 N8 N9 N10 N11
H1 H1N1 H1N2 H1N3 H1N4 H1N5 H1N6 H1N7 H1N8 H1N9
H2 H2N1 H2N2 H2N3 H2N4 H2N5 H2N6 H2N7 H2N8 H2N9
H3 H3N1 H3N2 H3N3 H3N4 H3N5 H3N6 H3N7 H3N8 H3N9
H4 H4N1 H4N2 H4N3 H4N4 H4N5 H4N6 H4N7 H4N8 H4N9
H5 H5N1 H5N2 H5N3 H5N4 H5N5 H5N6 H5N7 H5N8 H5N9
H6 H6N1 H6N2 H6N3 H6N4 H6N5 H6N6 H6N7 H6N8 H6N9
H7 H7N1 H7N2 H7N3 H7N4 H7N5 H7N6 H7N7 H7N8 H7N9
H8 H8N2 H8N3 H8N4 H8N5 H8N6 H8N7 H8N8
H9 H9N1 H9N2 H9N3 H9N4 H9N5 H9N6 H9N7 H9N8 H9N9
H10 H10N1 H10N2 H10N3 H10N4 H10N5 H10N6 H10N7 H10N8 H10N9
H11 H11N1 H11N2 H11N3 H11N4 H11N5 H11N6 H11N7 H11N8 H11N9
H12 H12N1 H12N2 H12N3 H12N4 H12N5 H12N6 H12N7 H12N8 H12N9
H13 H13N1 H13N2 H13N3 H13N6 H13N8 H13N9
H14 H14N2 H14N3 H14N5 H14N6 H14N8
H15 H15N2 H15N4 H15N6 H15N8 H15N9
H16 H16N3 H16N9
H17 H17N10
H18 H18N11

H16は1996ねんスウェーデンノルウェーからのユリカモメから発見はっけんされ、2005ねん報告ほうこくされた[15]

ヒトインフルエンザウイルス

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概要がいよう

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ヒトインフルエンザウイルス(Human influenza virus)は、通常つうじょうヒトのあいだひろがるインフルエンザウイルスのことをす。Aがたインフルエンザウイルスでは、H1N1H1N2H3N2おもにヒトのあいだ伝染でんせんする[16]

ヒトインフルエンザウイルスとトリインフルエンザウイルスでは以下いかのようなちがいがある。

PB2RNAポリメラーゼ) - PB2遺伝子いでんしによってコードされているPB2の627番目ばんめアミノ酸あみのさんざんもとことなる。H5N1などすべてのトリインフルエンザウイルスでは627番目ばんめGluであるが、ヒトインフルエンザウイルスではLysである。
HAヘマグルチニン) - トリインフルエンザウイルスのHAはαあるふぁ2-3シアルさんレセプター(alpha 2-3 sialic acid receptor)に結合けつごうするが、ヒトインフルエンザウイルスのHAはαあるふぁ2-6シアルさんレセプター(alpha 2-6 sialic acid receptor)に結合けつごうする。ブタインフルエンザウイルスは両方りょうほう結合けつごうすることが出来できる。

台湾たいわん研究けんきゅうしゃによると、トリインフルエンザウイルスのかぎ遺伝子いでんしがおよそ52ヶ所かしょ変異へんいした場合ばあい、ヒトのあいだでも容易ようい伝染でんせんすると予測よそくされる。しかし、いくつの遺伝子いでんし変異へんいしたらヒトのあいだでもひろがるようになるのかを正確せいかく予測よそくするのはむずかしい。さらに、1918しゅのウイルスを調しらべたところ、トリインフルエンザウイルスが流行りゅうこうしたとおもわれる唯一ゆいいつれいがあった。このウイルスは52ヶ所かしょのうち16ヶ所かしょはヒトインフルエンザウイルスの特徴とくちょうがあったが、のこりはトリインフルエンザウイルスの特徴とくちょうであった[17][18]

ヒトがインフルエンザにかかったとき症状しょうじょうは、発熱はつねつせき咽頭いんとうやめ筋肉きんにくつう結膜炎けつまくえんなどで、重症じゅうしょう場合ばあい肺炎はいえん呼吸こきゅう不全ふぜんこして死亡しぼうする場合ばあいもある。症状しょうじょう患者かんじゃ免疫めんえきによって変動へんどうする。以前いぜんインフルエンザにかかったことがあれば、免疫めんえき獲得かくとくしている場合ばあいがある。

こう病原びょうげんせいのH5N1に感染かんせんした場合ばあい症状しょうじょうがさらにおもく、感染かんせんしゃの50%が死亡しぼうする可能かのうせいがある。ある少年しょうねんがH5N1に感染かんせんしたケースでは、通常つうじょうのインフルエンザ症状しょうじょうあらわれずに下痢げりこして昏睡こんすい状態じょうたいおちいった[19]

いままでにパンデミックをこし、多数たすう死者ししゃしたAがたインフルエンザウイルスには以下いかのような種類しゅるいがある。

パンデミックはこしていないものの、ヒトへ感染かんせんしたAがたインフルエンザウイルスには以下いかのような種類しゅるいがある。

おも種類しゅるい

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H1N1
H1N1はヒトとブタに感染かんせんする。H1N1の変種へんしゅがスペインかぜの原因げんいんであり、1918 - 1919ねんにかけてぜん世界せかいで5000まん - 1おくにん死亡しぼうした[20]。H1N1のゲノムサイエンス発表はっぴょうされたが、2005ねん10がつにゲノム情報じょうほうバイオテロ悪用あくようされるのではないかという論争ろんそうこった。
スペインかぜの原因げんいんかぶ現在げんざいかぶ比較ひかくすると、やく4400アミノ酸あみのさんのうち変異へんいしていたのはわずか25 - 30であった。この変異へんいによってとりからヒトに感染かんせんするようになり、さらに強力きょうりょく毒性どくせいをもったとかんがえられる[21]
H1N2
H1N2はヒトとブタに感染かんせんする。新型しんがたのH1N2は、現在げんざい流行りゅうこうしているH1N1とH3N2が交配こうはいしてしょうじたとかんがえられる。H1N2のヘマグルチニンはH1N1のものにているが、ノイラミニダーゼはH3N2のものにている。
H2N2
1957ねん中国ちゅうごくからはじまったトリインフルエンザのだい流行りゅうこうであるアジアかぜの原因げんいんとなった。このとしワクチン開発かいはつされたが、1958ねんまで流行りゅうこうつづいて100 - 400まんにん死者ししゃした。
H3N2
日本にっぽんではA香港ほんこんがたとしてられている。ヒトとブタに感染かんせんする。抗原こうげんシフトによってH2N2から進化しんかし、1968 - 1969ねんだい流行りゅうこうして75まんにん死亡しぼうしゃした香港ほんこんかぜの原因げんいんとなった。H3N2はこうウイルスやくアマンタジンリマンタジンたいするたいせい獲得かくとくしており、2005ねんには91%がたいせいしめした。
現在げんざいH3N2は中国ちゅうごく南部なんぶのブタのあいだ局地きょくち流行りゅうこうしており、中間なかま宿主しゅくしゅ体内たいないでH5N1と交配こうはいする可能かのうせいがある。
H5N1
日本にっぽんでは、H5N1のうちこう病原びょうげんせいのHPAI A(H5N1)が、こう病原びょうげんせいトリインフルエンザとしてられている。パンデミックをこす新型しんがたインフルエンザ変異へんいすること危惧きぐされている。
H5N2
2005ねん茨城いばらきけん埼玉さいたまけん養鶏ようけいじょうでの発生はっせいについて、2006ねん1がつ厚生こうせい労働省ろうどうしょうはウイルスがヒトに感染かんせんしたことを公表こうひょうした[22]すくなくとも13めい養鶏ようけいじょう従業じゅうぎょういんで、ペア血清けっせいのH5N2抗体こうたいが4ばい以上いじょう増加ぞうかしていた[23]
H6N1
2013ねん5がつ台湾たいわん中部ちゅうぶで、はつのヒト感染かんせんれい発見はっけんされた[24]
H7N2
2003ねんニューヨーク1人ひとり、2002ねんバージニア1人ひとりがH7N2に感染かんせんしたが、その両者りょうしゃとも回復かいふくした[25]
H7N3
H7N3はトリインフルエンザをこす。2004ねん2がつブリティッシュコロンビアしゅうのいくつかの養鶏ようけいじょう流行りゅうこうした。2人ふたり感染かんせんし、かるいインフルエンザ症状しょうじょうられたが回復かいふくした[26]
H7N7
H7N7は人畜じんちく共通きょうつう感染かんせんする。2003ねんオランダのいくつかの農場のうじょう家禽かきんあいだだい流行りゅうこうしたが、その89にん感染かんせんした。そのうち1にん死亡しぼうした。
H7N9
H7N9はトリインフルエンザをこす。2013ねん3がつ中国ちゅうごくでヒトに感染かんせんしたれい発見はっけんされた。発見はっけん1ヶ月かげつで130の感染かんせんれいと26の死亡しぼうれい確認かくにんされた。2013ねんまつ現在げんざい149にん感染かんせんしゃしている。
H9N2
H9N2はてい病原びょうげんせいトリインフルエンザをこす。1999ねん中国ちゅうごく香港ほんこん子供こども2にん、2003ねん香港ほんこん子供こども1にん感染かんせん確認かくにんされた。その3にんとも回復かいふくした[25]。また2009ねん、2013ねん12月など香港ほんこん合計ごうけい7にん感染かんせんしゃている。
近年きんねん流行りゅうこうして多数たすう死者ししゃしたH5N1(1997ねん - )やH7N9(2013ねん - )が、PB2, PB1, PA, NP, M,NSというすべての遺伝子いでんし分節ぶんせつがH9N2由来ゆらいであるという特徴とくちょうっているため、H9N2は流行りゅうこう予測よそくをするじょうできわめて重要じゅうようである[27]
H10N7
2004ねんエジプト2人ふたり幼児ようじとりにく販売はんばい業者ぎょうしゃ父親ちちおや感染かんせんした[28]
H10N8
2013ねん12月、世界せかいはじめてのヒトへの感染かんせんが、中国ちゅうごく江西えにししょうみなみあきらの73さい女性じょせい死亡しぼう)で、確認かくにんされた[29]
H11N2
2013ねん初頭しょとう南極なんきょく繁殖はんしょくとし、アドミラルティわん英語えいごばんコバドンガこう英語えいごばん(チリからみなみった南極なんきょく半島はんとう北端ほくたん両方りょうほう土地とち生息せいそくするアデリーペンギン発見はっけんされた。ただし、N2は従来じゅうらいまでのすべてのN2ウイルスと系統けいとうことなる遺伝子いでんし配列はいれつつ。このペンギンウイルスはH3N8ウイルス英語えいごばん先祖せんぞ[30][31]かずせんkmはなれた2カ所かしょから同一どういつ新種しんしゅウイルスが発見はっけんされたため、かなり流行りゅうこうしているのではないかとされる(遺伝子いでんし分岐ぶんきてんすうじゅうねんまえとしている)。

進化しんか

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スペインかぜ以降いこうのパンデミックや現在げんざい流行りゅうこう原因げんいんになっているのは1918ねんのウイルスの直系ちょっけいである。これらには抗原こうげんドリフトしたH1N1や、H3N2とH2N2の交配こうはいしたウイルスなどがふくまれるが、トリインフルエンザウイルスであるH5N1やH7N7はふくまれない。もし、1918ねんのウイルスとトリインフルエンザウイルスの遺伝子いでんし融合ゆうごうすれば世界せかいてき流行りゅうこうこす危険きけんせいがある[32]

ヒト以外いがいへの感染かんせん

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概要がいよう

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野鳥やちょうはAがたインフルエンザウイルスの宿主しゅくしゅとして各地かくちへウイルスをはこんでいる。Aがたインフルエンザウイルスは、とりからとり、ブタ、うまアシカクジラ、ヒトへ感染かんせんすることがわかっている。さらにヒトと家禽かきんあいだでも相互そうご伝染でんせんし、伝染でんせん経路けいろはないとおもわれる[33]

野生やせいとりはウイルスを体内たいないったまま世界せかい各地かくち移動いどうするため、世界せかいてき流行りゅうこうパンデミック)がこる危険きけんせいがある[4][5]

H5N1はなまニワトリえさとしてあたえられたねこヒョウトラ伝染でんせんする。H3N8はウマからイヌに伝染でんせんした。実験じっけんようマウス色々いろいろ遺伝子いでんしがたのトリインフルエンザウイルスに感染かんせんした[34]

Aがたインフルエンザウイルスは空気くうきなか肥料ひりょうなか拡散かくさんする。これは冬季とうきではより拡大かくだいひろがる。また、汚染おせんされた食料しょくりょうみず衣類いるい機材きざいによってもひろがる。しかし、加熱かねつされたにくでは生存せいぞんできないとかんがえられる。病状びょうじょう多少たしょう変動へんどうするが、一般いっぱんてきにはおも症状しょうじょう場合ばあいによっては数日すうじつ死亡しぼうすることもある。

こう病原びょうげんせいトリインフルエンザウイルスは生物せいぶつ兵器へいきとして利用りようできる病原びょうげんたいのトップ10にはい[35]

国際こくさい獣疫じゅうえき事務じむきょく(OIE)や機関きかんではトリインフルエンザウイルスを使つかって研究けんきゅうおこなっている。代表だいひょうてきなウイルスは、H5N1H7N2H1N7H7N3H13N6H5N9H11N6H3N8H9N2H5N2H4N8H10N7H2N2H8N4H14N5H6N5H12N5などである。

トリインフルエンザ

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トリインフルエンザについてはトリインフルエンザの項目こうもくくわしく記述きじゅつしてある。

その動物どうぶつへの感染かんせん

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ブタインフルエンザ(Swine flu、pig influenza)

ブタにたいしてインフルエンザ症状しょうじょうこすオルトミクソウイルスのウイルス感染かんせんしょうである。ブタにたいして症状しょうじょうこすのはAがたとCがたのインフルエンザウイルスである。しかし、すべての遺伝子いでんしがたのウイルスが病気びょうきこすわけではない。Aがたインフルエンザウイルスのなかでブタに症状しょうじょうこすのはH1N1H1N2H3N1H3N2である。

ウマインフルエンザ(Horse flu、Equine influenza)

ウマにたいして症状しょうじょうこすAがたインフルエンザウイルス感染かんせんしょうである。ウマインフルエンザウイルスは1956ねんはじめて分離ぶんりされた。ウマの心筋しんきんたいして影響えいきょうおよぼすウマ1がた(equine-1(H7N7))とより症状しょうじょうおもいウマ2がた(equine-2(H3N8))の2つのウイルスがたがある。

イヌインフルエンザ(Dog flu、canine influenza)

イヌにたいして影響えいきょうおよぼすAがたインフルエンザウイルス感染かんせんしょうである。2004ねん1がつフロリダのレーストラックで、グレイハウンドのレースけんがウマインフルエンザウイルス(H3N8)に感染かんせん死亡しぼうした。

イタチぞくへの感染かんせん

1984ねんスウェーデンでH10N4(トリ)がミンクあいだ流行りゅうこうしたほか、H3N2(ブタ)にも感染かんせんする。感染かんせん実験じっけんでは、H1N1およびH3N2(ヒト)、H1N1(ブタ)、H3N8(ウマ)およびH4N6(トリ)にも感染かんせんするが症状しょうじょうである。フェレットでも、H1N1(ヒト)およびH1N1(ブタ)への感染かんせん確認かくにんされている。[36]

クジラへの感染かんせん

クジラへはH1N1、H1N3、H13N2、H13N9の感染かんせんれいられている。

ひれあしるいへの感染かんせん

ひれあしるいへはアザラシにおいてH3N3、H4N5、H4N6、H7N7の感染かんせんれいられている。またひれあしるい全体ぜんたいからH1、H3、H4、H6、H7、H8およびH12の感染かんせん確認かくにんされている。

その動物どうぶつへの感染かんせん

血清けっせいがくてき証拠しょうこにおいて感染かんせんしたとられる動物どうぶつ多岐たきわたる。ウシヤクヤギヒツジトナカイシカ報告ほうこくされているほか、Aがたたいする抗体こうたいは、ヘビミズワニアメリカワニカイマンぞくなど爬虫類はちゅうるいヒキガエルなど両生類りょうせいるい報告ほうこくされている。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ ICTV Master Species List 2019.v1”. ICTV Txonomy. ICTV. 2020ねん6がつ28にち閲覧えつらん
  2. ^ 堀本ほりもと泰介たいすけ「インフルエンザウイルスの種類しゅるいおしえてください」『インフルエンザ』20かん 2ごう、メディカルレビューしゃ、2019ねん、88-89ぺーじ
  3. ^ WHO Avian influenza (" bird flu") - Fact sheet
  4. ^ a b Klenk et al (2008). “Avian Influenza: Molecular Mechanisms of Pathogenesis and Host Range”. Animal Viruses: Molecular Biology. Caister Academic Press. ISBN 978-1-904455-22-6. http://www.horizonpress.com/avir 
  5. ^ a b Kawaoka Y (editor). (2006). Influenza Virology: Current Topics. Caister Academic Press. ISBN 978-1-904455-06-6. http://www.horizonpress.com/flu 
  6. ^ インフルエンザウイルスの命名めいめいほう 東京とうきょう感染かんせんしょう情報じょうほうセンター。2020ねん6がつ30にち閲覧えつらん
  7. ^ 鯉渕こいぶち智彦ともひこ, 「5 おさえておきたい 新型しんがたインフルエンザ」『インフェクションコントロール』 16かん 10ごう p.52-56, 2007ねん, メディカ出版しゅっぱん
  8. ^ 村上むらかみすすむ, 堀本ほりもと泰介たいすけあたらしい―Dがた―インフルエンザウイルス」『ウイルス』だい67かん だい2ごう日本にっぽんウイルス学会がっかい、2017ねん、161-170ぺーじ
  9. ^ WHO Expert Committee on influenza : WHO Tech. Rep. Ser., 64, 1-24, 1953.
  10. ^ a b c d 薩田清明せいめい, じょう秀夫ひでお, 「Aがたインフルエンザウイルスの分類ぶんるい命名めいめい変遷へんせんについて」「日本医科大学にほんいかだいがく雑誌ざっし』 1983ねん 50かん 6ごう p.781-787, doi:10.1272/jnms1923.50.781
  11. ^ Ask the expert: Influenza Q&A”. WHO. 2020ねん7がつ1にち閲覧えつらん
  12. ^ ICTV Taxonomy history: Influenza A virus”. International Committee on Taxonomy of Viruses (ICTV). ICTV. 2020ねん6がつ30にち閲覧えつらん
  13. ^ ICTV Taxonomy history: Influenza B virus”. International Committee on Taxonomy of Viruses (ICTV). ICTV. 2020ねん6がつ30にち閲覧えつらん
  14. ^ Orthomyxoviridae National Center for Biotechnology Information Taxonomy Browser
  15. ^ CIDRAP - Center for Infectious Disease Research And Policy Pandemic Influenza Overview
  16. ^ CDC Key Facts About Avian Influenza (Bird Flu) and Avian Influenza A (H5N1) Virus
  17. ^ Bloomberg News article Scientists Move Closer to Understanding Flu Virus Evolution published August 28, 2006
  18. ^ CDC Emerging Infectious Diseases Journal Volume 12, Number 9 - September 2006 - Genomic Signatures of Human versus Avian Influenza A Viruses article by Chen G-W, Chang S-C, Mok C-K, Lo Y-L, Kung Y-N, Huang J-H, et al. posted August 23, 2006
  19. ^ New England Journal of Medicine Volume 352:686-691 - February 17, 2005 - Number 7 - Fatal Avian Influenza A (H5N1) in a Child Presenting with Diarrhea Followed by Coma
  20. ^ NAP Books National Academies Press Books - The Threat of Pandemic Influenza: Are We Ready? Workshop Summary (2005) - page 7.
  21. ^ New York Times Published: November 8, 2005 - Hazard in Hunt for New Flu: Looking for Bugs in All the Wrong Places
  22. ^ 茨城いばらきけんおよ埼玉さいたまけんとりインフルエンザの抗体こうたい検査けんさ結果けっかについて」
  23. ^ Ogata, Tsuyoshi; Yamazaki, Yoshinao; Okabe, Nobuhiko; Nakamura, Yosikazu; Tashiro, Masato; et al. (2008). "Human H5N2 Avian Influenza Infection in Japan and the Factors Associated with High H5N2-Neutralizing Antibody Titer". Journal of Epidemiology. 18 (4): 160–166. doi:10.2188/jea.JE2007446
  24. ^ Laboratory-confirmed case of human infection with avian influenza A(H6N1) virus in Taiwan recovered; Taiwan CDC urges public to take precautions to stay healthy( 2013-06-21 ) Centers for Disease Control , R.O.C.(Taiwan)
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  26. ^ CDC detailed analysis Human Illness from Avian Influenza H7N3, British Columbia
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  30. ^ 南極なんきょくのペンギンから新種しんしゅとりインフルウイルス AFP=時事じじ 2014ねん5がつ6にち(火)1749ふん。2021ねん9がつ12にち閲覧えつらん
  31. ^ AFPの記事きじでは、「新種しんしゅ」の意味いみとH11N2との関係かんけい若干じゃっかん不明ふめいなので、mBioのげん論文ろんぶん参照さんしょうして補充ほじゅうした。
  32. ^ CDC ARTICLE 1918 Influenza: the Mother of All Pandemics by Jeffery K. Taubenberger published January 2006
  33. ^ NAP Books National Academies Press Books - The Threat of Pandemic Influenza: Are We Ready? Workshop Summary (2005) - page 30
  34. ^ NAP Books National Academies Press Books - The Threat of Pandemic Influenza: Are We Ready? Workshop Summary (2005) - page 82 - "Interestingly, recombinant influenza viruses containing the 1918 HA and NA and up to three additional genes derived from the 1918 virus (the other genes being derived from the A/WSN/33 virus) were all highly virulent in mice (Tumpey et al., 2004). Furthermore, expression microarray analysis performed on whole lung tissue of mice infected with the 1918 HA/ NA recombinant showed increased upregulation of genes involved in apoptosis, tissue injury, and oxidative damage (Kash et al., 2004). These findings were unusual because the viruses with the 1918 genes had not been adapted to mice. The completion of the sequence of the entire genome of the 1918 virus and the reconstruction and characterization of viruses with 1918 genes under appropriate biosafety conditions will shed more light on these findings and should allow a definitive examination of this explanation. Antigenic analysis of recombinant viruses possessing the 1918 HA and NA by hemagglutination inhibition tests using ferret and chicken antisera suggested a close relationship with the A/swine/Iowa/30 virus and H1N1 viruses isolated in the 1930s (Tumpey et al., 2004), further supporting data of Shope from the 1930s (Shope, 1936). Interestingly, when mice were immunized with different H1N1 virus strains, challenge studies using the 1918-like viruses revealed partial protection by this treatment, suggesting that current vaccination strategies are adequate against a 1918-like virus (Tumpey et al., 2004)."
  35. ^ NAP Books National Academies Press Books - The Threat of Pandemic Influenza: Are We Ready? Workshop Summary (2005) - page 285 - "As of October 2001, the potential for use of infectious agents, such as anthrax, as weapons has been firmly established. It has been suggested that attacks on a nation’s agriculture might be a preferred form of terrorism or economic disruption that would not have the attendant stigma of infecting and causing disease in humans. Highly pathogenic avian influenza virus is on every top ten list available for potential agricultural bioweapon agents, generally following foot and mouth disease virus and Newcastle disease virus at or near the top of the list. Rapid detection techniques for bioweapon agents are a critical need for the first-responder community, on a par with vaccine and antiviral development in preventing spread of disease."
  36. ^ [1] インフルエンザH3N8がた異種いしゅ動物どうぶつへの感染かんせん

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