アシカ

アシカ亜あ科か
	カリフォルニアアシカ
分類ぶんるい
学名がくめい
	Otariinae; Gray, 1825
和名わみょう
	アシカ; ウミオソ
英名えいめい
	Sea lion
属ぞく
	アシカ属ぞく Zalophus; オーストラリアアシカ属ぞく Neophoca; オタリア属ぞく Otaria; トド属ぞく Eumetopias; ニュージーランドアシカ属ぞく Phocarctos;

アシカ（海驢あしか、葦あし鹿しか、Otariinae）は、鰭ひれ脚下きゃっか目めアシカ科かに属ぞくする海うみ生せい哺乳類ほにゅうるいである。ただし現状げんじょう、その範囲はんいは文脈ぶんみゃくにより揺ゆらぎがある。最もっとも広義こうぎにはアシカ科かの総称そうしょうであるが、アシカ科かには一般いっぱん的てきにオットセイ、トド、オタリアも含ふくまれ、これ等とう（特とくにオットセイ）を別べつ扱あつかいとする場合ばあいもある。さらに狭義きょうぎの意味いみで、アシカ属ぞく1属ぞくを意味いみすることもある。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

アシカの定義ていぎには揺ゆらぎがあり、狭義きょうぎから順じゅんに次つぎのようになる。

歴史れきし的てきな資料しりょう（たとえば日本にっぽん後ご紀きや和漢わかん三さん才さい図会ずえ）においてアシカ（あしか、海驢あしか、葦あし鹿しか）に言及げんきゅうしている場合ばあい、それはほぼ例外れいがいなくニホンアシカのことであり、これがこの言葉ことばの原義げんぎということになる。
アシカ科かアシカ属ぞくの総称そうしょう。ニホンアシカ、カリフォルニアアシカ、ガラパゴスアシカの3種しゅが属ぞくする。なお、アシカ属ぞくに1種しゅか2種しゅしか認みとめない説せつもあり、それらの説せつに則のっとる場合ばあいは「アシカとはアシカ科かの1種しゅのことである」や「アシカとはニホンアシカとカリフォルニアアシカの2種しゅの総称そうしょうである」（カリフォルニアアシカにガラパゴスアシカを含ふくんでいる）と表現ひょうげんされることもあるが、意味いみするところは同おなじである。
和名わみょうに「〜アシカ」と付つく種たねの総称そうしょう。アシカ属ぞくに加くわえ、オーストラリアアシカとニュージーランドアシカを含ふくむ。ただし、分類ぶんるい学がく的てきなグループでも系統けいとう学がく的てきなグループでもない。
アシカ科かアシカ亜あ科かの総称そうしょう。さらにオタリアとトドを含ふくむ。英語えいごの「シーライオン sea lion」はほぼこの意味いみである。ただし、アシカ亜あ科かは単たん系統けいとうではなく系統けいとう学的がくてきには否定ひていされたグループであり^[1]、「長ながい体毛たいもうを持もたない」以外いがいに顕著けんちょな共通きょうつう点てんはない。
アシカ科かの総称そうしょう。さらにオットセイを含ふくむ。

セイウチやアザラシはアシカ科かにも含ふくまれず別べつ科かである。そのため、「アシカとアザラシの違ちがい」について語かたられるとき、アシカとはアシカ科かのことである。いっぽう、「アシカとオットセイの違ちがい」について語かたられるときは、アシカとはアシカ亜あ科かか、（アシカ亜あ科かとオットセイ亜あ科かの違ちがいとして語かたれることはほとんどないので）もっと狭せまくアシカ属ぞくのことである。

語源ごげん[編集へんしゅう]

北海道ほっかいどうを除のぞく日本にっぽん本土ほんど近海きんかいに生息せいそくするアシカ類るいは、絶滅ぜつめつしたと見みられるニホンアシカのみであり、この語かたりも本来ほんらいはニホンアシカを指さしたものである。

「あしか」の語源ごげんは「葦あし鹿しか」で「葦あし（アシ）の生はえているところにいるシカ」の意味いみであるという。古ふるくは「海うみ（あま）鹿しか」説せつもあったが、アクセントから否定ひていされている。

奈良なら時代じだいには「みち」と呼よばれていた。他たに異名いみょうとして「うみおそ（うみうそ）」「うみかぶろ」がある。うみおそは海うみにいるカワウソ、うみかぶろは海うみにいる禿かぶろの意いである。

佐渡さど島とうではこの「うみかぶろ」（海うみ禿かぶろ）の名なで妖怪ようかい視しされており、両津りょうつ港こう近辺きんぺんの海うみでよく人ひとを騙だましたという伝承でんしょうがある^[2]^[3]。

アシカショー[編集へんしゅう]

アシカは水族館すいぞくかんや動物どうぶつ園えんでしばしばシーライオンショー（アシカショー）を演えんじる。アシカショーを演えんじるのは主おもにカリフォルニアアシカである。

そのほか、オットセイやオタリアもショーを演えんじるが、オットセイショー、オタリアショーとなっていることが多おおい。ただし、アシカショーとされることもある。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

アシカ科かは7属ぞく16種しゅに分わかれ、ミナミオットセイ属ぞくとアシカ属ぞく以外いがいは1属ぞく1種しゅである（1属ぞく1種しゅの属ぞくは省略しょうりゃく）。その特徴とくちょうからアシカ亜あ科かの5属ぞく8種しゅとオットセイ亜あ科か（オットセイ）の2属ぞく8種しゅに大おおきく分わけられるが、いずれも系統けいとうに基もとづくグループではなく、単たん系統けいとうではない。アシカ属ぞくは生息せいそく地ちにより3種しゅに分わかれるが、これらを単一たんいつ種しゅ Zalophus californianus （カリフォルニアアシカ、または単たんにアシカ）の亜種あしゅとすることもある。