ハインリヒ・ゲーリング

ハインリヒ・ゲーリング

ハインリヒ・エルンスト・ゲーリング（Heinrich Ernst Göring, 1838年ねん10月31日にち - 1913年ねん12月7日にち）は、プロイセン及およびドイツの軍人ぐんじん、政治せいじ家か、外交がいこう官かん。第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なかにドイツ空軍くうぐん総そう司令しれい官かんを務つとめたヘルマン・ゲーリング国家こっか元帥げんすいの父親ちちおやにあたる人物じんぶつ。

生涯しょうがい

プロイセン王国おうこくライン州しゅう (Rheinprovinz) に生うまれる。ボン大学だいがくとハイデルベルク大学だいがくで学まなび、ボン大学だいがくからは法律ほうりつの博士はかせ号ごうを受うけた。プロイセン王国おうこく陸軍りくぐんに入隊にゅうたいし、騎兵きへい将校しょうこうとなった。普ひろし墺おう戦争せんそうや普ひろし仏ふつ戦争せんそうにも従軍じゅうぐんしている。

ドイツ帝国ていこく宰相さいしょうオットー・フォン・ビスマルクの個人こじん的てきな友人ゆうじんとなり、1885年ねんから1890年ねんまでドイツ領りょう南西なんせいアフリカ（現げんナミビア）の帝国ていこく弁務べんむ官かんを任まかせられた。ゲーリングは、ヘレロス族ぞくやホッテントット族ぞくなどドイツ帝国ていこくの植民しょくみん地ち支配しはいに反発はんぱつした部族ぶぞくをなだめ、南西なんせいアフリカ統治とうちを成功せいこうさせた。ナミビアの首都しゅとウィントフックの通とおりには、一時期いちじき彼かれの名なが付つけられていたことがある。

この後のち、1890年ねんから1896年ねんにかけてはハイチの総領事そうりょうじを務つとめた。しかしゲーリングは、ドイツ帝国ていこく高官こうかんにしては珍めずらしく比較的ひかくてき自由じゆう主義しゅぎ的てきな人物じんぶつであり、植民しょくみん地ち現地げんち民みんの有色ゆうしょく人種じんしゅたちを人間にんげん扱あつかいするかのような発言はつげんを繰くり返かえしていたため、帝国ていこく内ないでの立場たちばを弱よわめ、帰国きこく後ごには社会しゃかい主義しゅぎ者しゃのレッテルを貼はられるようになり、ハイチ総領事そうりょうじを務つとめた後のち、早はやめの退官たいかんを余儀よぎなくされた。その後ご、退官たいかんの失望しつぼうでアルコールにおぼれるようになった。

ゲーリングは5人にんの子こを儲もうけた妻つまカロリーネ・ド・ネレに先立さきだたれ、南西なんせいアフリカ派遣はけんを前まえにした1885年ねん春はるには植民しょくみん地ち統治とうちを学まなぶために派遣はけんされていたロンドンで、チロル出身しゅっしんのフランツィスカ・ティーフェンブルン (Franziska Tiefenbrunn) と再婚さいこんしている。フランツィスカとの間あいだにも5人にんの子こが生うまれており、その中なかの第だい4子しである次男じなんが、1893年ねん1月がつ12日にちに生うまれたヘルマン・ゲーリングであった。

ハイチから帰国きこくした後のち、ゲーリング一家いっかはしばらくベルリンのフリーデナウ (Friedenau) で暮くらしていたが、1900年ねんから南西なんせいアフリカ時代じだいに知しり合あった友人ゆうじんで妻つまフランツィスカと愛人あいじん関係かんけいにあったヘルマン・フォン・エーペンシュタイン (Hermann Ritter von Epenstein) のザルツブルク郊外こうがいのマウテルンドルフ城じょう (Burg Mauterndorf)、ついでニュルンベルク北方ほっぽうのノイハウス・アン・デア・ペグニッツ (Neuhaus an der Pegnitz) にあるフェルデンシュタイン城じょう (Burg Veldenstein) で暮くらすようになった。

エーペンシュタインとフランツィスカの関係かんけいをはじめは黙認もくにんしていたハインリヒ・ゲーリングだったが、内心ないしんでは不満ふまんを持もっていたとみられ、1913年ねんにエーペンシュタインに新あたらしくリリーという若わかい恋人こいびとができてフランツィスカが蔑ないがしろにされるようになると、とうとう我慢がまんしきれなくなりエーペンシュタインと激はげしい喧嘩けんかをした。その後ごエーペンシュタインと結婚けっこんしたリリーもゲーリング一家いっかを追おい出だしたがり、結局けっきょく、1913年ねん春はるにゲーリング一家いっかはフェルテンシュタイン城じょうを退去たいきょすることになった。その後ごのゲーリングはミュンヘンで暮くらしたが、寝ねたきりになり、同年どうねん12月がつに死去しきょした。息子むすこヘルマンはこの頃ころ、バーデン陸軍りくぐんの歩兵ほへい連隊れんたい「プリンツ・ヴィルヘルム」の少尉しょういになっていたが、休暇きゅうかをもらってミュンヘンの墓地ぼちでの父ちちの葬儀そうぎに参加さんかしている。

ヘルマンは子こどものころ、父ちちであるハインリヒ・ゲーリングについては退官たいかん後ごのアルコールにおぼれる姿すがたしか見みていなかったため、父ちちを軽蔑けいべつしており、代だい父ちちであるエーペンシュタインの方ほうを尊敬そんけいしていた。しかし成長せいちょうとともに初はじめて父ちちの外交がいこう官かんとしての偉大いだいさを知しり、父ちちと親密しんみつな関係かんけいを一いち度ども持もとうとしなかった自分じぶんを後悔こうかいして葬儀そうぎで涙なみだを流ながした。

参考さんこう文献ぶんけん

• ロジャー・マンベル著しる、加藤かとう俊平しゅんぺい訳わけ、『第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんブックス40 空軍くうぐん元帥げんすいゲーリング 第だい三さん帝国ていこく第だい二にの男おとこ』、1972年ねん、サンケイ新聞しんぶん社しゃ出版しゅっぱん局きょく
• レナード・モズレー著しる、伊藤いとう哲あきら訳わけ、『第だい三さん帝国ていこくの演出えんしゅつ者しゃ ヘルマン・ゲーリング伝でん 上じょう』、1977年ねん、早川書房はやかわしょぼう
• ジャック・ドラリュ著ちょ『ゲシュタポ・狂気きょうきの歴史れきし』（講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ）ISBN 978-4061594333
• Michael D. Miller, Leaders of the SS & German Police, Volume I, Bender Publishing, 2006, ISBN 9329700373（英語えいご）