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ハンターしき

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ハンターしき(Hunterian system)とは、インド固有名詞こゆうめいしラテン文字もじ表記ひょうきするためのこぼし方式ほうしきのひとつ。IASTことなって子音しいん表記ひょうきダイアクリティカルマーク使用しようしないため、複数ふくすう子音しいんおな文字もじこぼしされる欠点けってんがあるものの、ひろ使つかわれている。

IASTが学者がくしゃむけであるのにたいし、ハンターしき行政ぎょうせいよう固有名詞こゆうめいしこぼし方式ほうしきえる。

歴史れきし

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ウィリアム・ウィルソン・ハンターは、『インド帝国ていこく地誌ちし』(Imperial Gazetteer of India、1881ねん初版しょはん)の編纂へんさんにあたって、統一とういつこぼし方式ほうしき提案ていあんした。ハンターのあんはやく1869ねん7がつにできていたが[1]多少たしょう変更へんこううえで1870ねん承認しょうにんされ、1871ねんに『インド固有名詞こゆうめいし正書法せいしょほうガイド』として出版しゅっぱんされた[2]

ハンターは当時とうじあったいくつかのこぼし方法ほうほうから、ウィリアム・ジョーンズ方式ほうしき、すなわち母音ぼいんイタリアふうに、子音しいん英語えいごふうに、という原則げんそく採用さいようした。ちょう母音ぼいんアキュートアクセントで(のちに、1908ねん新版しんぱん『インド帝国ていこく地誌ちし』ではマクロン使つかうように改訂かいていあらわされる。しかし、この方式ほうしき英語えいごけん人間にんげん理解りかいできないダイアクリティカルマークを多用たようする欠点けってんがあり、ハンターはダイアクリティカルマークの使用しよう最小限さいしょうげんにとどめようとした[3]

『インド帝国ていこく地誌ちし』に使つかわれたこぼし方式ほうしきのち考案こうあんしゃめいにしたがってハンターしきばれた。日本にっぽん国土こくど地理ちりいん相当そうとうするインド測量そくりょうちょうはハンターしき採用さいようし、『地誌ちしがくハンドブック』(Handbook of Topography、1911ねん初版しょはん)のだい6しょうにおいて『インド帝国ていこく地誌ちし』にしるされたつづりを権威けんいあるものとみとめた。インドが独立どくりつしたのちも『インド帝国ていこく地誌ちし』のつづりは権威けんいでありつづ[4]、その意味いみでハンターしき公式こうしき地名ちめいこぼし方式ほうしきえる。しかしこの方式ほうしき時代じだいおくれであることは認識にんしきされている[5]

そのそとめい内名うちなえる(ボンベイからムンバイへの変更へんこうなど)ことはあったが、これはこぼし方式ほうしきわったわけではない。

パキスタンバングラデシュでも同様どうようにハンターしき使つかわれつづけているという[6]

一覧いちらんひょう

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『インド帝国ていこく地誌ちし』にはこぼし方法ほうほう自身じしんしるされていないので、ここでは『地誌ちしがくハンドブック』だい6しょう附属ふぞくしょBにしたがう。

अं
IAST a ā i ī u ū e ai o au aṃ
Hunter a ā[7] i ī[7] u ū[7] e ai o au an[8]
IAST ka kha ga gha ṅa ca cha ja jha ña
Hunter ka kha ga gha na[8] cha chha ja jha na[8]
IAST ṭa ṭha ḍa ḍha ṇa ta tha da dha na
Hunter ta tha da dha na ta tha da dha na
क्ष ज्ञ
IAST pa pha ba bha ma ya ra la va śa ṣa sa ha kṣa jña
Hunter pa pha ba bha ma ya ra la va/wa sha sha sa ha ksha gya
क़ ख़ ग़ ज़ ड़ ढ़ फ़
ق خ غ ز ژ ف
Hunter qa kha gha za zha ra rha fa

ch chh sh gy などのつづりはIASTとおおきくことなる。

そりしたおん歯音しおん、m以外いがい鼻音びおんś ṣr ṛrh ṛhなどが区別くべつされない。kh gh も2種類しゅるいおとあらわす。

影響えいきょう

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ブータンゾンカで1997ねん採用さいようされた地名ちめいようこぼし方式ほうしき[9]は、chh のつづりを使つかっていて、ハンターしき影響えいきょうえる。

ミゾ(ルシャイ)の正書法せいしょほうはラテン文字もじ使用しようしているが、もともとJames Herbert LorrainとFrederick William Savidgeという宣教師せんきょうしがハンターしきもと考案こうあんしたものである[10]

UNGEGNでは、ハンターしきもとにして、ダイアクリティカルマークをくわえてことなるおと区別くべつしようとしている[11]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Skrine (1901) p.164
  2. ^ Hunter (1873) p.3
  3. ^ Hunter (1873) p.24
  4. ^ Khular (1982) p.4
  5. ^ Khular (1982) p.2
  6. ^ The Romanization of Toponyms in the Countries of South Asia, United Nations Group of Experts on Geographical Names: Meeting of the Working Group on Romanization Systems, Talinn 9-11 October 2006, http://www.eki.ee/wgrs/wgr06_5.htm 
  7. ^ a b c 語末ごまつではマクロンは省略しょうりゃくする
  8. ^ a b c m以外いがい鼻音びおんはすべてnとしる
  9. ^ Dzongkha Development Commision (1997) (pdf). Samples for Geographical Names of Bhutan in Dzongkha and roman dzongkha with brief Guidelines. オリジナルの2016ねん3がつ4にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160304192222/http://www.dzongkha.gov.bt/publications/publication_pdf/1997-1.pdf (2016-03-04 アーカイブ)
  10. ^ Lorrain ‘Pu Buanga’ and Savidge ‘Sap Upa’, Mizo Story, http://mizostory.org/mizostory/Mizo_Story_3.html 
  11. ^ United Nations Group of Experts on Geographical Names (UNGEGN): Working Group on Romanization Systems, http://www.eki.ee/wgrs/ 

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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