ピョートル・シャベリスキー＝ボルク

ピョートル・シャベリスキー＝ボルク
生誕せいたん	1893年ねん5月5日にち ロシア帝国ていこく・クバン州しゅうキスロヴォツク
死没しぼつ	1952年ねん8月がつ18日にち（59歳さい） アルゼンチン・ブエノスアイレス
軍ぐん歴れき	1914年ねん - 1917年ねん
最終さいしゅう階級かいきゅう	陸軍りくぐん少尉しょうい
出身しゅっしん校こう	ハリコフ大学だいがく

ピョートル・ニコラエヴィチ・シャベリスキー＝ボルク（ロシア語ご: Пётр Николаевич Шабельский-Борк、1893年ねん5月5日にち - 1952年ねん8月がつ18日にち）は、ロシアの陸軍りくぐん軍人ぐんじん、作家さっか。ロシア革命かくめいの後のちにドイツに移住いじゅうして20世紀せいき初頭しょとうの欧州おうしゅうで極右きょくう・反はんユダヤ主義しゅぎに関かかわる。1922年ねん3月がつ28日にち、ウラジーミル・ナボコフを殺害さつがいした。国家こっか社会しゃかい主義しゅぎドイツ労働ろうどう者しゃ党とうに協力きょうりょくし、戦後せんごは南米なんべいに移住いじゅうして君主くんしゅ制せいや正教会せいきょうかいに関かんする著作ちょさくを出版しゅっぱんした。出生しゅっしょう名めいはピョートル・ニコラエヴィチ・ポポフ（Пётр Никифорович Попов）。

生涯しょうがい

出自しゅつじ

ピョートル・ニコラエヴィチ・ポポフ（Пётр Никифорович Попов）は、1893年ねん5月がつ5日にち、ロシア帝国ていこくのキスロヴォーツクで、裕福ゆうふくな地主じぬしの家いえに生うまれた。母ははは極右きょくう政党せいとう「ロシア人民じんみん連合れんごう」（Союз русского народа）の主要しゅようメンバーであり、サンクトペテルブルクで発行はっこうされていた定期ていき刊行かんこう物ぶつ「黒くろ百ひゃく人組にんぐみ」の編集へんしゅう者しゃであった。ハリコフ大学だいがくで学まなんだ後のち、1914年ねんの第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん勃発ぼっぱつ時じにロシア帝国ていこく陸軍りくぐんに入隊にゅうたいし、コーカサス先住民せんじゅうみん騎兵きへい師団しだんイングーシ騎兵きへい連隊れんたいで少尉しょういとして勤務きんむした。2月革命かくめい後ご、ポポフは退役たいえきしたが、1917年ねんの十じゅう月がつ革命かくめい後ご、君主くんしゅ主義しゅぎ組織そしきの構成こうせい員いんであったとしてボルシェビキに投獄とうごくされ、1918年ねん1月がつ3日にちにペトログラード革命かくめい法廷ほうていは9ヶ月かげつ間あいだの投獄とうごくと強制きょうせい社会しゃかい奉仕ほうしをい渡いわたした。獄中ごくちゅうでポポフは極右きょくう作家さっかのフョードル・ヴィクトロヴィチ・ヴィンベルグ（Фёдор Ви́кторович Винберг）と知しり合あい、その後ご、移住いじゅうのきっかけとなった。1918年ねん5月がつ1日にち、ポポフとヴィンベルクは「国際こくさいプロレタリア連帯れんたい」の機会きかいに恩赦おんしゃを受うけ、釈放しゃくほう後ごまもなくキーウに渡わたり、シモン・ペトリューラのウクライナ民族みんぞく主義しゅぎ軍ぐんに占領せんりょうされて撤退てったいするドイツ兵へいと共ともにドイツへ移住いじゅうした。

ドイツ時代じだい

ポポフは、ピョートル・ニコラエヴィチ・シャベルスキー・ボルクというペンネームを使つかい、もともと文学ぶんがく作品さくひんを書かいていたが、これは名付なづけ親おやのエリザヴェータ・アレクサンドローヴナ・シャベルスカヤ＝ボルク（Елизавета Александровна Шабельская-Борк）に由来ゆらいする。は、白しろ系けいロシア人じんの移住いじゅう者しゃコミュニティの中なかでドイツの極右きょくう政治せいじに関与かんよしていたワシリー・ビスクプスキー将軍しょうぐんやセルゲイ・タボリツキーと結むすび付つき、悪名あくめい高たかい『シオンの議定ぎてい書しょ』の重要じゅうような推進すいしん者しゃとなった。シャベリスキーはまた、フョードル・ヴィクトロヴィチ・ヴィンベルクと仕事しごとを始はじめ、二人ふたりは反はんユダヤ主義しゅぎ雑誌ざっし『ルチ・スヴェタ』（『光線こうせん』）の制作せいさくに協力きょうりょくした。この定期ていき刊行かんこう物ぶつの第だい3号ごう（1920年ねん5月がつ）には、1911年版ねんばんのセルゲイ・ニルスの本ほんの全文ぜんぶんが掲載けいさいされた。

ナボコフ暗殺あんさつ

1922年ねん3月がつ28日にち、シャベリスキーとタボリツキーは、パーヴェル・ミリュコフの暗殺あんさつに失敗しっぱいし、ウラジーミル・ナボコフを殺害さつがいした。標的ひょうてきのミリュコフは、ロシアの少数しょうすう民族みんぞくの完全かんぜん市民しみん権けんやユダヤ人じん解放かいほうを強つよく支持しじすることで知しられるロシアの自由じゆう中道ちゅうどう政党せいとう、立憲りっけん民主党みんしゅとう（カデット）の主要しゅようメンバーであった。この政党せいとうは、ロシア内戦ないせんでボルシェビキが勝利しょうりした後のち、国外こくがいに追おいやられ、ベルリンで欠席けっせきして政治せいじ会議かいぎを開ひらいていたところだった。ナボコフは暗殺あんさつを阻止そししようとしたが、タボリツキーに2発はつ撃うたれ、即死そくしした。この犯行はんこうにより、シャベリスキーとタボリツキーはドイツ当局とうきょくから懲役ちょうえき14年ねんの判決はんけつを受うけたが、恩赦おんしゃにより刑期けいき開始かいし後ごまもなく釈放しゃくほうされた。

ナチスとの協力きょうりょく

釈放しゃくほう後ご、ドイツの極右きょくう政治せいじ運動うんどうへの関与かんよを続つづけ、やがてアドルフ・ヒトラーや国家こっか社会しゃかい主義しゅぎドイツ労働ろうどう者しゃ党とう（NSDAP）と関かかわりを持もち、ドイツでの王政おうせい復古ふっこを望のぞむようになる。1933年ねんにNSDAPが政権せいけんを握にぎると、ROND（ロシア民衆みんしゅう解放かいほう運動うんどう）など、在ざい独どくロシア人じんの親しんナチス派はの組織そしき化かに関かかわった。シャベリスキーは非常ひじょうに貧弱ひんじゃくな生活せいかつを送おくっており、 師しのビスクプスキーは弟子でしのために就職しゅうしょく先さきを確保かくほしようと様々さまざまな試こころみを行おこなったが、その努力どりょくは実みを結むすぶことはなかった。