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ファウスト (伝説でんせつ)

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ファウスト(Faust)は、ドイツ伝説でんせつにおける主要しゅよう登場とうじょう人物じんぶつである。かれ学者がくしゃとしてかなり成功せいこうしたが、自分じぶん人生じんせい満足まんぞくしておらず、そのために悪魔あくま盟約めいやくして自身じしんたましいえにてしない知識ちしき現世げんせいでの幸福こうふくた。

ファウスト伝説でんせつは、なが時間じかんとおしてさい解釈かいしゃくされ、おおくの文学ぶんがく美術びじゅつ映画えいが音楽おんがく作品さくひん題材だいざいとされてきた。「ファウスト」や「ファウストてき」という語句ごくは、野心やしんてき人物じんぶつちから一定いってい期間きかん成功せいこうのために倫理りんりてき無欠むけつさを手放てばなすという状況じょうきょう暗示あんじするのにも使つかわれる。

初期しょき書物しょもつ、あるいはそこから派生はせいしたバラッド演劇えんげき映画えいが人形にんぎょうげきのファウストは、ファウストがかみかんする知識ちしきよりも人間にんげんあいしたという理由りゆうで、かえしがつかないほどのろわれた。「ヤツはドアのうらやベンチのした聖書せいしょき、そして、神学しんがくしゃばれるのをこばみ、医学いがくしゃしょうされるのをこのむのだ」[1]。この伝説でんせつ漠然ばくぜん題材だいざいにした演劇えんげき滑稽こっけい人形にんぎょうげきは、16世紀せいきとおしてドイツで人気にんきほこったが、それらでは、ファウストやメフィストフェレス低俗ていぞくたのしみの象徴しょうちょうへとおとしめていた。

この伝説でんせつは、古典こてんてきあつかったクリストファー・マーロウ戯曲ぎきょくフォースタス博士はかせ』(1604ねん)により、イングランドひろまった。200ねんゲーテ再編さいへんした『ファウスト』では、ファウストは自分じぶん人生じんせいに「現世げんせい飲食いんしょく以上いじょうのもの」をもとめた不満足ふまんぞく知識ちしきじんとなった。

物語ものがたり概要がいよう

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ファウストは学者がくしゃとしての自身じしん人生じんせい退屈たいくつし、落胆らくたんしていた。自殺じさつこころみたのち悪魔あくまさらなる知識ちしきとこののあらゆるよろこびと知恵ちえをほしいままにできる魔法まほうちからもとめた。それにこたえて悪魔あくま代理だいりであるメフィストフェレスあらわれた。かれはファウストと取引とりひきわした。すなわち、メフィストフェレスはファウストに自身じしん魔力まりょく一定いっていねんあたえる、しかし、期限きげんれるとき悪魔あくまはファウストのたましいもとめ、結果けっかファウストは永遠えいえん地獄じごくちる、というものだ。初期しょき作品さくひんでは大抵たいていこの契約けいやく期間きかんは24ねん-1にち一時いちじあいだにつき1ねん規定きていされていた。[よう出典しゅってん]

この契約けいやく期間きかんちゅう、ファウストはメフィストフェレスを様々さまざまなことに利用りようする。おおくのバージョンで、とくにゲーテの戯曲ぎきょくで、メフィストフェレスはファウストが、大抵たいていグレートヒェンといううつくしく純粋じゅんすい少女しょうじょ誘惑ゆうわくする手伝てつだいをするが、その少女しょうじょ人生じんせい究極きゅうきょくてき滅茶苦茶めちゃくちゃになる。しかし、グレートヒェンの純粋じゅんすいさは最期さいご彼女かのじょすくい、天国てんごくされる。ゲーテのはんでは、ファウストはかれない努力どりょくと、「永遠えいえん女性じょせい」たるグレートヒェンのかみへの弁解べんかいとの結果けっかかみ恩寵おんちょうによりすくわれる。しかし、初期しょき作品さくひんにおいて、ファウストはかえしがつかないほど堕落だらくした。かれ自身じしんつみゆるされえないことをさとり、契約けいやく期限きげんれるとき、悪魔あくまかれ地獄じごくへとる。

情報じょうほうげん

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パン・トワルドーフスキーと悪魔あくまミハウ・エルヴィロ・アンドゥリオッリ

シモン・マグス生涯しょうがいは、おおくのめんでクリストファー・マーロウやヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテのファウスト伝説でんせつ影響えいきょうあたえた。ハンス・ヨナスによると、「マーロウとゲーテの戯曲ぎきょくのファンのうち、その主人公しゅじんこうグノーシス主義しゅぎしゃ子孫しそんであること、かれじゅつによりされた美女びじょヘレンがかつての堕落だらくしたかみ思考しこうで、人類じんるいにより救済きゅうさいされるべき存在そんざいだったこと、に薄々うすうすづいているひとはほとんどいない」[2] のだという。ファウストの物語ものがたりは、13世紀せいきに『聖母せいぼ奇跡きせき物語ものがたり ("Les Miracles de la Sainte Vierge")』の筆者ひっしゃゴーチエ・ド・コアンシ (Gautier de Coincy) がいたテオフィラス伝説でんせつおお類似るいじてんつ。つまり、とくたか人物じんぶつ地獄じごく支配しはいしゃ取引とりひきするが、聖母せいぼマリア慈悲じひをうけ、社会しゃかいへの責務せきむをはたすことですくわれる[3]かれ悪魔あくま服従ふくじゅうする場面ばめん描写びょうしゃノートルダムだい聖堂せいどう北側きたがわティンパヌム再現さいげんされている[4]

パン・トワルドーフスキーとのポーランドの伝承でんしょうにおける登場とうじょう人物じんぶつは、ファウストにており、これらの伝説でんせつはほぼどう時期じきにできたとかんがえられる。このふたつのはなし何処どこ共通きょうつう起源きげんつかまた影響えいきょうったかは明確めいかくではない。神学しんがくしゃフィリップ・メランヒトンによると、歴史れきしじょうのヨハン・ファウストはクラクフ大学だいがくまなんでいた、とされる。[よう出典しゅってん]

ファウストの性格せいかく起源きげんははっきりしていないが、ヨハン・グーテンベルク共同きょうどう経営けいえいしゃヨハン・フースト英語えいごばん(1400-1466)と伝説でんせつじょうのファウストをむすびつける資料しりょうはいくつかある[5]。また、フゥストはファウスト伝説でんせつのいくつかある起源きげんひとつともわれている[6]。ヴュルテンブルクのクニットリンゲン出身しゅっしんかんがえられる呪術じゅじゅつかつ錬金術れんきんじゅつヨハン・ファウスト博士はかせ(1480-1540)をファウストの原型げんけいしんじるひともいる。かれハイデルベルク大学だいがくから1509ねん神学しんがく学位がくいた。フランク・バロン (Frank Baron)[7] や、レオ・ルイックビー (Leo Ruickbie)[8] などの学者がくしゃ従来じゅうらい仮定かてい異議いぎとなえている。

ファウスト伝説でんせつ資料しりょうとして活字かつじされている最初さいしょのものは、Historia von D. Johann Fausten(1587ねん出版しゅっぱん)というタイトルのチャップ・ブックである。このほんは、16世紀せいきとおしてさい編集へんしゅう借用しゃくようされ、その時期じきほん以下いかのものがある。

  • Das Wagnerbuch (1593)
  • Das Widmann'sche Faustbuch (1599)
  • Dr. Fausts großer und gewaltiger Höllenzwang(フランクフルト 1609)
  • Dr. Johannes Faust, Magia naturalis et innaturalis(パッサウ 1612)
  • Das Pfitzer'sche Faustbuch (1674)
  • Dr. Fausts großer und gewaltiger Meergeist(アムステルダム 1692)
  • Das Wagnerbuch (1714)
  • Faustbuch des Christlich Meynenden (1725)

1725ねんのチャップ・ブックはひろく普及ふきゅうし、ゲーテ少年しょうねんにもまれた。

おとこ悪魔あくま契約けいやくについて同種どうしゅほんには、戯曲ぎきょくMariken van Nieumeghen(オランダ、16世紀せいき初頭しょとう著者ちょしゃ不明ふめい)や、Cenodoxus(ドイツ、17世紀せいき初頭しょとう、Jacob Bidermann)、『キャスリーン伯爵はくしゃく夫人ふじん』(The Countess Cathleen, 起源きげん不明瞭ふめいりょうなアイルランドの伝説でんせつ、フランスの戯曲ぎきょくLes marchands d'âmesもとにしているともかんがえられている)などがある。

伝説でんせつむすびつけられた土地とち

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ドイツの南西なんせいはし都市とし、シュタウフェン (Staufen) は1540ねんにファウストがんだ土地とちである、と主張しゅちょうしている。とある建物たてもの描写びょうしゃえる、などの理由りゆうからである。この伝承でんしょうたいする歴史れきしてき資料しりょうは、ファウストがんだとされるとしの25ねん、1565ねん前後ぜんこうかれたChronik der Grafen von Zimmernにおける描写びょうしゃだけである。この記録きろく一般いっぱんてき信頼しんらいできるとかんがえられており、16世紀せいきにはシュタウフェンきょう隣接りんせつするドナウエッシンゲンのジマーン伯爵はくしゃくとのしたしいつながりがのこっていた。[9]

クリストファー・マーロウのオリジナルばんでは、ファウストがまなんだヴィッテンベルクはウェルテンベルク(どく:Wertenberge)としてかれている。かれはなし舞台ぶたいとしているその場所ばしょは、ヴュルテンベルクどく:Württemberg公国こうこくだと主張しゅちょうしている学者がくしゃもいれば、マーロウ自身じしんんだケンブリッジを暗示あんじしていると主張しゅちょうしている学者がくしゃもいる (Gill, 2008, p. 5)。ヴィッテンベルクの所在地しょざいちとしてもっと支持しじあつめるにるであろうせつはヴュルテンベルク公国こうこく歴史れきしてき首都しゅとで、現在げんざいシュトゥットガルトである。

文学ぶんがく

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マーロウの『フォースタス博士はかせ

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初期しょきのファウストのチャップブックは、ドイツ北部ほくぶ普及ふきゅうし、イングランドへわたった。そこで、1592ねんにP.F.ゲントなる人物じんぶつによるThe Historie of the Damnable Life, and Deserved Death of Doctor Iohn Faustusという英訳えいやくばん出版しゅっぱんされた。クリストファー・マーロウはより野心やしんてき戯曲ぎきょく『フォースタス博士はかせ』(1604ねん出版しゅっぱん)のもととしてこの作品さくひんもちいた。マーロウは同時どうじにジョン・フォックスの『殉教者じゅんきょうしゃ列伝れつでん ("Book of Martyrs")』からも、教皇きょうこうハドリアヌス6せい対抗たいこうしゃとのやりりを借用しゃくようした。

ハリー・クラークによるゲーテばん『ファウスト』の挿絵さしえ
サン・マリーナのハンチントン図書館としょかんにあるマーロウ『ファウスタス博士はかせ』の稿こう

ゲーテの『ファウスト』

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この伝説でんせつについてのもうひとつの重要じゅうようはんはドイツじん著者ちょしゃヨハン・ヴォルガング・フォン・ゲーテによる戯曲ぎきょく『ファウスト』である。より初期しょき伝説でんせつちかだい一部いちぶは1808ねんに、だいはゲーテの死後しご1832ねん出版しゅっぱんされた。

ゲーテの『ファウスト』はもともとの伝説でんせつしめ単純たんじゅんキリスト教きりすときょうてき道徳どうとくかん複雑ふくざつ表現ひょうげんした。戯曲ぎきょく広義こうぎ詩文しぶんとの融合ゆうごうたいである編成へんせいのこのクローゼットドラマは、あるしゅ叙事詩じょじしである。キリストきょう中世ちゅうせい古代こだいローマ、東洋とうよう参考さんこうにし、古代こだいギリシア哲学てつがく、そして文学ぶんがくなどをひとまとめにした。

ゲーテは、自身じしんによる伝説でんせつ構成こうせい改善かいぜんするために、継続けいぞくてきにではないが60ねん以上いじょうもの時間じかんをかけた。かれ死後しご出版しゅっぱんされた最終さいしゅうばんは、ドイツ文学ぶんがくにおける偉業いぎょう認識にんしきされている。

この物語ものがたり人生じんせい本質ほんしつをもとめたファウストの運命うんめい焦点しょうてんてている。("was die Welt im Innersten zusammenhält").みずからの知識ちしきちから人生じんせいよろこびに限界げんかいがあることに気付きづいて挫折ざせつしていたかれは、メフィストフェレスを代理だいりとする悪魔あくま誘惑ゆうわくきつけられた。ファウストが将来しょうらいにひどく無気力むきりょくになっていることをった悪魔あくまはファウストが自身じしん人生じんせい満足まんぞくできるかどうかけをした。ファウストは幸福こうふく絶頂ぜっちょうおとずれることはけっしてないとしんじていた。このてんはゲーテのものとマーロウのものとの重要じゅうようちがいである。つまり、ファウストはけを提案ていあんする人物じんぶつでない、ということだ。

だい一部いちぶで、メフィストフェレスがファウストをみちびき、純粋じゅんすい少女しょうじょグレートヒェンとの欲望よくぼうちた関係かんけい最高峰さいこうほう経験けいけんさせた。グレートヒェンと彼女かのじょ家族かぞくは、メフィストフェレスの策謀さくぼうとファウストの欲望よくぼうにより、滅茶苦茶めちゃくちゃにされてしまった。だい一部いちぶはファウストの悲劇ひげきわる。グレートヒェンはてんすくいをるが、り、悲嘆ひたんまかせた。

だいは、大地だいち精霊せいれいがファウスト(およびのこりの人間にんげん)をゆるすところではじまり、寓意ぐういてきへとつづく。ファウストとメフィストフェレスは、政治せいじかい古代こだいかみくに干渉かんしょうしながらとおぎ、化身けしんたるトロイのヘレン出会であう。戦争せんそう自然しぜん脅威きょうい手懐てなづけることに成功せいこうしたファウストは、至福しふく瞬間しゅんかんあじわった。

メフィストフェレスは、幸福こうふくかんじたファウストがぬときにそのたましいうばおうとするが、かみ加護かごにより天使てんし邪魔じゃまをしたため、失敗しっぱいしひどくおこることとなった。この加護かごは、しん意味いみで「無償むしょうな」もので、ファウストがメフィストフェレスとおかしたつみゆるされたわけではなかったが、天使てんしうには、このほどこしはファウストの努力どりょくと、寛大かんだいなグレートヒェンのりなしによるもの、ということになる。最後さいごのシーンで、ファウストのたましいは「聖母せいぼマリア、偉大いだいなるはは女王じょおう、……永久えいきゅう親切しんせつ女神めがみ、……永遠えいえん女性じょせい」のりなしによりかみのおわします天国てんごくげられた[10]したがって女神めがみは、ファウストのさいかれが「永遠えいえん虚無きょむ」にとらわれたと主張しゅちょうしたメフィストフェレスに勝利しょうりしたことになる。

ブルガーコフの『巨匠きょしょうとマルガリータ』

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ゲーテばん『ファウスト』は純粋じゅんすい古典こてんてき作品さくひんだ。しかし、そのかんがえは歴史れきしてきなものであるため、りうる時代じだいにおいてそれぞれの「ファウスト」が存在そんざいするのだ。
セーレン・キェルケゴール(Søren Kierkegaard)ちょ『あれか、これか (’’Either/Or’’)』, Immediate Stages of the Erotic

ファウストのはなしミハイル・ブルガーコフのもっとも有名ゆうめい小説しょうせつ巨匠きょしょうとマルガリータ ("The Master and Margarita")』(1928-1940) のもとともなった。マルガリータはグレートヒェンを、巨匠きょしょうはファウストをもとにしている。ほかにヴォランド(メフィストフェレスを想起そうきさせる)や、ミハイル・アレクサンドロビッチ・ベルリオーズ(文芸ぶんげい協会きょうかいマスソリトの会長かいちょう)などの登場とうじょう人物じんぶつがいる。

マンの『ファウストゥス博士はかせ

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トーマス・マンが1947ねんあらわした『ファウストゥス博士はかせ いち友人ゆうじんによってかたられるドイツの作曲さっきょくアドリアン・レーヴァーキューンの生涯しょうがい』は、ファウスト伝説でんせつを20世紀せいき文脈ぶんみゃくにあてはめ、架空かくう作曲さっきょくアドリアン・レーヴァーキューンの人生じんせいとおして、20世紀せいきのドイツおよびヨーロッパの歴史れきし象徴しょうちょうした。売春ばいしゅん宿やどおとずれ、梅毒ばいどくかかった天才てんさいてき作曲さっきょくレーヴァーキューンは、メフィストフェレスてき登場とうじょう人物じんぶつと、24年間ねんかん作曲さっきょくとしてのかがやかしい成功せいこう日々ひびるための契約けいやくをする。かれは、肉体にくたいてきやまいかれからだむしばんでも、国際こくさいてき絶賛ぜっさんにかなうますますうつくしい作品さくひんつくった。かれ最後さいご傑作けっさく『ファウストゥス博士はかせなげき』が完成かんせいしたとき、以前いぜんむすんだ契約けいやくのことを告白こくはくする。いま狂気きょうき梅毒ばいどくかれ圧倒あっとうし、1940ねん最終さいしゅうてきかれぬまでゆっくりとおかされていった。レーヴァーキューンの霊的れいてき精神せいしんてき肉体にくたいてき崩壊ほうかい堕落だらくは、ドイツでナチス台頭たいとうした時分じぶんこり、レーヴァーキューンの運命うんめいはドイツの精神せいしんしめしている。

ベネットの『悪魔あくまかね

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スティーブン・ヴィンセント・ベネット (Stephen Vincent Benét) の短編たんぺん悪魔あくまきむ ("The Devil and Daniel Webster")」(1937ねん出版しゅっぱん)はワシントン・アーヴィングちょ短編たんぺん悪魔あくまとトム・ウォーカー」によるファウスト伝説でんせつさい構成こうせいした。ベネットばん物語ものがたりは、ニューハンプシャー農作のうさくじんジャベス・ストーンを中心ちゅうしんとしている。かれわりない不運ふうんくるしんでおり、スクラッチ名乗なの悪魔あくま接触せっしょくける。その悪魔あくまは、たましいえにかれなな年間ねんかん繁栄はんえい提案ていあんする。最後さいごには、実在じつざい有名ゆうめい法律ほうりつであり雄弁ゆうべんであるダニエル・ウェブスター小説しょうせつ登場とうじょうし、地獄じごくきをめる裁判官さいばんかん陪審ばいしんいんたちのまえでジャベス・ストーンをまもったので、かれ訴訟そしょう勝利しょうりした。

その

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  • 『ファウスト("Faust")』 (1866) - エスタニスラオ・デル・キャンポー (Estanislao del Campo) ちょ
  • 『ファウストゥス博士はかせ("The Death of Doctor Faustus")』(1925) - ミシェル・デ・ゲルドロード (Michel de Ghelderode) ちょ
  • 『ファウスト博士はかせあかるいあかり("Doctor Faustus Lights the Lights")』 (1938) - ガートルード・スタイン (Gertrude Stein) ちょ
  • がファウスト』 (1940) - ポール・ヴァレリー (Paul Valéry) ちょ
  • "Faust, a Subjective Tragedy "(1934) - フェルナンド・ペソア (Fernando Pessoa) ちょ
  • 『メフィスト("Mefisto")』(1986) - ジョン・バンヴィル (John Banville) ちょ
  • 『ファウスト("Faust")』 (2009) - エドガー・ブラウ (Edgar Brau) ちょ

映画えいが

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ムルナウの『ファウスト』

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古典こてんてき作品さくひん吸血鬼きゅうけつきノスフェラトゥ』の映画えいが監督かんとくF・W・ムルナウは、1926ねん公開こうかいされた無声むせい映画えいが『ファウスト』を撮影さつえいした。ムルナウの映画えいがは、当時とうじまだめずらしかった特殊とくしゅ効果こうか有名ゆうめいにし、そのおおくのシーンは今日きょういまだ印象いんしょうてきである。あるシーンでは、メフィストフェレスがあるまちうえそびち、くろつばさふうになびかせると、カエルが疫病えきびょうをまきらした。またあるシーンでは、ファウストがメフィストフェレスとともにそらび、それにわせてカメラが雪山ゆきやまがけたきなどの風景ふうけい急降下きゅうこうかしていくようにられた。[11]

この物語ものがたりでは、ファウストはいた学者がくしゃで、疫病えきびょうかかった人々ひとびとたいして無力むりょく自分じぶんいきどおっている錬金術れんきんじゅつだった。かれ召還しょうかんしたメフィストフェレスは、そのいちにちなん代償だいしょうしにちからためしてよい、といってファウストを説得せっとく契約けいやくむすんだ。その最後さいごに、ファウストはわかさをもどし、メフィストフェレスのたすけをりて、結婚けっこん披露宴ひろうえんちゅううつくしい女性じょせいさらった。それで、ファウストは十分じゅうぶん契約けいやく永遠えいえん延長えんちょうすることに同意どういするになった。結局けっきょくかれ享楽きょうらく追求ついきゅうすることに退屈たいくつしていえかえり、そこで、うつくしく純粋じゅんすい女性じょせいグレートヘンにこいをした。ファウストの堕落だらく(メフィストフェレスいわく)はかれにん生活せいかつをついにはめちゃくちゃにしたが、まだ最後さいご救済きゅうさいのチャンスはのこされていた。[11]

悪魔あくまたましいをうったおとこ昔話むかしばなし題材だいざいとする、メフィストフェレスと天使てんしがファウストのたましい地獄じごくちるかけをする、メフィストフェレスが疫病えきびょうをファウストのちいさなまちひろめる、その治療ちりょうほうつけられないためかみ天使てんし科学かがくなどとえんりメフィストフェレスをえらぶファウストの顛末てんまつなどのてんでゲーテのファウストとている。

悪魔あくまうつくしさ("La Beauté du diable")』

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ルネ・クレールふつ:René Clair監督かんとく、1950ねん公開こうかい映画えいがである。ミシェル・シモンがメフィストフェレスとろう博士はかせファウストを一人ひとりやくえんじ、ジェラール・フィリップがファウストの変身へんしんする若者わかものえんじた。

テレビ番組ばんぐみ

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チェスピリートの『ファウスト』

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メキシコのコメディアンチェスピリート (Chespirito) はこの伝説でんせつ題材だいざいにした短編たんぺんでファウストをえんじ、ラモン・バルデス (Ramon Valdez) がメフィストフェレスをえんじた(かれ同時どうじ悪魔あくまえんじた)。このはんでは、メフィストフェレスがファウストに、馬上もうえむちている "Chirrín-Chirrión"という物体ぶったいあたえた。これにより、ものひと出現しゅつげん消滅しょうめつさせたり、わかさやいまで獲得かくとく喪失そうしつしたり出来でき対象たいしょうのちに"Chirrín" (すとき)または"Chirrión"(すとき)という言葉ことばうことで使用しようする。これをったファウストは契約けいやくしょにサインすることで自身じしんたましいわたした。ファウストはわかさをもどしたのち魔力まりょく使つかって助手じょしゅでフロリンザ・メサ (Florinda Meza) えんじるマルガリータのしんれようとした。しかし、幾度いくどかの失敗しっぱい滑稽こっけい試行錯誤しこうさくごのち、ファウストは彼女かのじょすでにボーイフレンドがいることをり、自分じぶんたましい無駄むだってしまったとづく。ここで、メフィストフェレスはサインされた契約けいやくしょ証拠しょうこにファウストのたましい地獄じごくとすためもどってきた。ファウストはChirrín-Chirriónを使つかって契約けいやくしょ消滅しょうめつさせ、メフィストフェレスはさけんだ。

音楽おんがく

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ファウスト伝説でんせつおおきく3つのオペラのもととなった。

その

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ファウスト伝説でんせつは、音楽おんがくほか分野ぶんや刺激しげきしてきた。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Walter Alison Phillips (1911). "Faust" . In Chisholm, Hugh (ed.). Encyclopædia Britannica (英語えいご) (11th ed.). Cambridge University Press.
  2. ^ Jonas, Hans (1958). The Gnostic Religion. p. 111 
  3. ^ An 1875 edition is at: Par Gautier de Coincy; Par M l'Abbé Poquet (1857) (フランス語ふらんすご). Les miracles de la Sainte Vierge. Parmantier/Didron. https://books.google.co.jp/books?id=nwedgt6DDtoC&pg=PR3&redir_esc=y&hl=ja 
  4. ^ See, for example, this photo at: Ballegeer, Stephen. “Notre-Dame, Paris: Portal on the north transept”. flickr. 2015ねん7がつ8にち閲覧えつらん
  5. ^ Meggs, Philip B.; Purvis, Alston W. (2006). Meggs' History of Graphic Design, Fourth Edition. Hoboken, NJ: John Wiley & Sons, Inc.. p. 73. ISBN 0-471-69902-0 
  6. ^ Jensen, Eric (Autumn 1982). “Liszt, Nerval, and "Faust"”. 19th-Century Music (University of California Press) 6 (2): 153. doi:10.2307/746273. 
  7. ^ Baron, Frank (1978). Doctor Faustus, from History to Legend. Wilhelm Fink Verlag 
  8. ^ Ruickbie, Leo (2009). Faustus: The Life and Times of a Renaissance Magician. The History Press. ISBN 978-0-7509-5090-9 
  9. ^ Geiges, Leif (1981). Faust's Tod in Staufen: Sage – Dokumente. Freiburg im Breisgau: Kehrer Verlag KG 
  10. ^ Goethe, Faust, Part Two, lines 12101-12110, translation: David Luke, Oxford World Classics, ISBN 9780199536207.
  11. ^ a b Faust (1926)”. IMDb. 2012ねん5がつ5にち閲覧えつらん[信頼しんらいせいよう検証けんしょう]

出典しゅってん

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  • Doctor Faustus by Christopher Marlowe, edited and with an introduction by Sylvan Barnet. Signet Classics, 1969.
  • J. Scheible, Das Kloster (1840s).

参考さんこう

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  • The Faustian Century: German Literature and Culture in the Age of Luther and Faustus. Ed. J. M. van der Laan and Andrew Weeks. Camden House, 2013. ISBN 978-1571135520
  • A philosophical interpretation: Seung, T.K.. Cultural Thematics: The Formation of the Faustian Ethos. Yale University Press. 1976. ISBN 978-0300019186