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フビニの定理ていり

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学すうがくにおいてフビニの定理ていり(フビニのていり、えい: Fubini's theorem)とは、Guido Fubini (1907) によって導入どうにゅうされた、逐次ちくじ積分せきぶんによるじゅう積分せきぶん計算けいさん可能かのうとなるための条件じょうけんかんするいち結果けっかである。すなわち、つぎのような計算けいさん可能かのうとなる。

この結果けっか積分せきぶん順序じゅんじょ英語えいごばん逐次ちくじ積分せきぶんにおいてえることが可能かのうとなる。フビニの定理ていりは、ある変数へんすう函数かんすう積分せきぶんであれば、上記じょうきのようなかいかえしの積分せきぶんひとしいことを意味いみする。Leonida Tonelli (1909) によって導入どうにゅうされたトネリの定理ていり(Tonelli's theorem)も同様どうようのものであるが、その定理ていり適用てきようされる函数かんすう積分せきぶんではなくとも非負ひふであればよい。

歴史れきし[編集へんしゅう]

フビニの定理ていり特別とくべつ場合ばあいとして、じつベクトル空間くうかんの閉有かい部分ぶぶん集合しゅうごうせきじょう連続れんぞく函数かんすうたいする定理ていりは、18世紀せいきにオイラーによってられていた。Lebesgue (1904) はこの結果けっかを、ある区間くかんせきじょう有界ゆうかいはか函数かんすうへと拡張かくちょうした。1906ねんにレヴィは、この定理ていり有界ゆうかいではなくても積分せきぶんである函数かんすうたいして拡張かくちょうされると予想よそうし、フビニは1907ねんにそれが事実じじつであることを証明しょうめいした。

せき測度そくど[編集へんしゅう]

XY測度そくどともな測度そくど空間くうかんであるなら、それらのせきかんするせき測度そくど定義ていぎするいくつかの自然しぜん方法ほうほう存在そんざいする。

測度そくど空間くうかんの(けんろん意味いみでの)せき X×Y は、それらのはか部分ぶぶん集合しゅうごうせき A×B によって生成せいせいされるσしぐま代数だいすうをそのはか集合しゅうごうとしてつ。X×Y うえ測度そくど μみゅー は、はか部分ぶぶん集合しゅうごう A および Bたいして μみゅー(A×B)=μみゅー(A)μみゅー(B) をたすとき、せき測度そくどばれる。一般いっぱんX×Y うえにはおおくのことなるせき測度そくど存在そんざいしうる。フビニの定理ていりとトネリの定理ていりはいずれも、この問題もんだい解決かいけつするための技術ぎじゅつてき条件じょうけん必要ひつようとしている。そのもっと一般いっぱんてき方法ほうほうとして、すべてのはか空間くうかんσしぐま-有限ゆうげんであると仮定かていする方法ほうほうがある。この場合ばあいX×Y うえせき測度そくどただひとつとなる。また、はか集合しゅうごう測度そくどが、はか集合しゅうごうせき可算かさん合併がっぺいであるような集合しゅうごう測度そくど下限かげんあたえられる場合ばあいX×Y うえにはつねただひとつの極大きょくだいせき測度そくど(maximal product measure)が存在そんざいする。その極大きょくだいせき測度そくどは、はか集合しゅうごうせきによって生成せいせいされる集合しゅうごうたまきじょうμみゅー(A×B)=μみゅー(A)μみゅー(B) をたすような加法かほうてき函数かんすう μみゅーたいしてカラテオドリの拡張かくちょう定理ていり適用てきようすることで構成こうせいできる。

ふたつの完備かんび距離きょり空間くうかんせき通常つうじょう完備かんびではない。たとえば、単位たんい区間くかん I うえルベーグ測度そくどせきは、平方へいほう I×I うえのルベーグ測度そくどではない。完備かんび測度そくどたいするフビニの定理ていり変化へんかばん存在そんざいし、そこでは完備かんび測度そくどせきわりにそのせき完備かんびもちいられる。

積分せきぶん函数かんすうたいするフビニの定理ていり[編集へんしゅう]

XY測度そくど空間くうかんとし、X × Yあたえられた極大きょくだいせき測度そくどXYσしぐま-有限ゆうげんであるなら、それはただひとつのせき測度そくどとなる)とする。フビニの定理ていりでは、f(x,y)X × Y 積分せきぶんであるなら、すなわちはかかつ

有限ゆうげんであるなら、つぎ成立せいりつするとべられている。

このしきのはじめのふたつの積分せきぶんは、それぞれふたつの測度そくどかんする逐次ちくじ積分せきぶんであり、みっ積分せきぶんはそれらふたつの測度そくど極大きょくだいせきかんする積分せきぶんである。上記じょうきあらわれるかくへん積分せきぶん いたところ定義ていぎされている必要ひつようはない。実際じっさい、それらが定義ていぎされないてん測度そくど 0 の集合しゅうごう構成こうせいするため、このことは問題もんだいとならない。

上述じょうじゅつの、絶対ぜったいかんする積分せきぶん有限ゆうげんでないなら、うえしきふたつの逐次ちくじ積分せきぶん実際じっさいことなるりうる。そのような可能かのうせいについては、後述こうじゅつ内容ないよう参照さんしょうされたい。

フビニの定理ていりはしばしば、XYσしぐま-有限ゆうげんであるという仮定かていはじめからかれ、そのような場合ばあいせき測度そくど極大きょくだいであるという仮定かてい必要ひつようなくなる(実際じっさいごく大積おおつみ測度そくどただひとつのせき測度そくどとなるため)。空間くうかんσしぐま-有限ゆうげんでないなら、フビニの定理ていり成立せいりつしないようなことなるせき測度そくど存在そんざいする可能かのうせいもある。たとえば、あるせき測度そくど非負ひふはか函数かんすう fたいして、|f| のじゅう積分せきぶんはゼロとなるがふたつの逐次ちくじ積分せきぶんことなるとなることがこりる(後述こうじゅつの、反例はんれいかんするふし参照さんしょう)。ある極大きょくだいせき測度そくどたいするフビニの定理ていり技巧ぎこうてき一般いっぱん存在そんざいする。このことについては (Fremlin 2003) を参照さんしょうされたい。トネリの定理ていりおよびフビニ=トネリの定理ていりは、 σしぐま-有限ゆうげん空間くうかんじょうではごく大積おおつみ測度そくどたいしてでさえも成立せいりつしないことがある。しかし実際じっさい場合ばあい、フビニの定理ていり使つか対象たいしょうとなるほとんどすべての測度そくど空間くうかんは、σしぐま-有限ゆうげんである。

非負ひふ函数かんすうたいするトネリの定理ていり[編集へんしゅう]

レオニダス・トネリ英語えいごばんにちなむ)トネリの定理ていり(Tonelli's theorem)は、フビニの定理ていり後継こうけいとなる定理ていりである。トネリの定理ていり結論けつろんはフビニの定理ていりのものと同一どういつであるが、フビニの定理ていり|f|積分せきぶん有限ゆうげんであるという仮定かていは、f非負ひふであるという仮定かていえられる。

トネリの定理ていりでは、(X, A, μみゅー) と (Y, B, νにゅー) が σしぐま-有限ゆうげん測度そくど空間くうかん英語えいごばんであり、X×Y から [0,∞] への函数かんすう f非負ひふかつはかであるなら、つぎ成立せいりつするとべられている。

トネリの定理ていり特別とくべつ場合ばあいとして、 のような順序じゅんじょ交換こうかんげられる。ただし すべての x および yたいして非負ひふであるとする。トネリの定理ていり要点ようてんは、このような順序じゅんじょ交換こうかんはたとえ級数きゅうすう発散はっさんする場合ばあいでも成立せいりつする、ということである。実際じっさい順序じゅんじょ交換こうかんによってわるようなれいは、 および にそれぞれ発散はっさんする部分ぶぶんれつ存在そんざいする場合ばあいにしかこりないが、今回こんかいすべてのもと非負ひふであるため、この可能かのうせいのぞかれている。

測度そくど空間くうかんσしぐま-有限ゆうげんであるという条件じょうけん場合ばあい上述じょうじゅつみっつの積分せきぶんがそれぞれことなるることもこりる。何人なんにんかの研究けんきゅうしゃは、σしぐま-有限ゆうげんでない測度そくど空間くうかんたいするトネリの定理ていり一般いっぱんあたえているが、そのような一般いっぱんではしばしば問題もんだいσしぐま-有限ゆうげん場合ばあいただちに帰着きちゃくさせるような追加ついか条件じょうけんあたえられている。たとえば、A×B うえσしぐま-代数だいすうを、はか集合しゅうごうのすべてのせきによってではなく、有限ゆうげん測度そくど部分ぶぶん集合しゅうごうせきによって生成せいせいされるものと設定せっていされることもあるが、これはそのせきからかく要素ようそ A および B への射影しゃえいはかではないというのぞましくない結果けっかをもたらす。またれいでは、fだい有限ゆうげん測度そくどせき可算かさん合併がっぺいふくまれるという条件じょうけんくわえられている。Fremlin (2003) は、トネリの定理ていりのいくつかの σしぐま-有限ゆうげん空間くうかんへの拡張かくちょうあたえられているが、それは幾分いくぶん技術ぎじゅつてきなものである。そのような一般いっぱんはどれも、抽象ちゅうしょうてき測度そくどろん範疇はんちゅうえたてんにおいて意義いぎふかおう用例ようれいつかっているものではなく、実際じっさい興味きょうみあるほとんどすべての測度そくど空間くうかんσしぐま-有限ゆうげんである。

フビニ=トネリの定理ていり[編集へんしゅう]

フビニの定理ていりとトネリの定理ていりわせることで、フビニ=トネリの定理ていり(しばしばフビニの定理ていり省略しょうりゃくしてばれる)がられる。その定理ていりでは、XYσしぐま-有限ゆうげん測度そくど英語えいごばんであり、f以下いかみっつの積分せきぶん

のいずれかが有界ゆうかいであるようなはか函数かんすうであるなら、つぎ等式とうしき成立せいりつすることがべられている。

上述じょうじゅつ条件じょうけんしきにおける f絶対ぜったいは、fせいあるいはまけ部分ぶぶんえることが出来できる。非負ひふ函数かんすうまけ部分ぶぶんはゼロであり、積分せきぶん有限ゆうげんとなることから、そのようなえはトネリの定理ていりふくむものであることがかる。非公式ひこうしきてきに、それらの条件じょうけんたされるなら fじゅう積分せきぶんは(無限むげんとなることもあるが)well defined とばれる。

フビニの定理ていりたいしてフビニ=トネリの定理ていりもちいることの利点りてんは、絶対ぜったい |f| の逐次ちくじ積分せきぶんじゅう積分せきぶんよりも容易ようい研究けんきゅうできることがあることである。フビニの定理ていりにおけるように、単一たんいつ積分せきぶん測度そくど 0 の集合しゅうごうじょう定義ていぎされないこともある。

完備かんび測度そくどたいするフビニの定理ていり[編集へんしゅう]

上述じょうじゅつのフビニおよびトネリの定理ていりは、ルベーグ測度そくどともな実数じっすう直線ちょくせん R 同士どうしせきうえでの積分せきぶんたいして適用てきようできないという厄介やっかい問題もんだいがある。これは、R×R うえのルベーグ測度そくどR うえのルベーグ測度そくど同士どうしせきとはことなり、その完備かんびであるというてんからしょうじる問題もんだいである。一般いっぱんふたつの完備かんび測度そくど空間くうかん XYせきは、完備かんびではない。この理由りゆうにより、完備かんび測度そくどたいするフビニの定理ていり変形へんけいばんがしばしばもちいられる。大雑把おおざっぱうと、すべての測度そくどをその完備かんびえるということである。上述じょうじゅつのものとたフビニの定理ていり変形へんけいばんおお存在そんざいするが、それらには以下いかのようないくつかのちいさな差異さいられる:

  • ふたつの測度そくど空間くうかんせき X×Yわりに、ある測度そくど完備かんびる。
  • X×Y完備かんびうえfはかであるなら、その垂直すいちょくあるいは水平すいへい直線ちょくせんへの制限せいげんは、それらの直線ちょくせんない測度そくど 0 の部分ぶぶん集合しゅうごうたいしてはかとなることがある。したがってそのような垂直すいちょくあるいは水平すいへいたいする積分せきぶんは、はか函数かんすう積分せきぶんふくむため、測度そくど 0 の集合しゅうごうじょうでは定義ていぎされない可能かのうせいゆる必要ひつようがある。積分せきぶんではない函数かんすう定義ていぎされていないため、このことによってわずかな差異さいしょうじる。
  • 一般いっぱんに、XY うえ測度そくど完備かんびであることが仮定かていされる。そうでなければ、垂直すいちょくあるいは水平すいへい直線ちょくせん沿ったふたつの部分ぶぶん積分せきぶんは well-defined であるがはかでないという場合ばあいこりる。たとえば f を、測度そくど 0 の集合しゅうごうふくむようなあるはか集合しゅうごうはか集合しゅうごうせきかんする特性とくせい函数かんすうとする。このとき、その積分せきぶんいたところで well-defined であるが、はかである。

証明しょうめい[編集へんしゅう]

フビニおよびトネリの定理ていり証明しょうめいは、σしぐま-有限ゆうげんせい関連かんれんする仮定かていもちいるため、必然ひつぜんてき幾分いくぶん技巧ぎこうてきなものとなる。ほとんどの証明しょうめいでは、以下いかべるような徐々じょじょ複雑ふくざつになっていく函数かんすうたいして定理ていり成立せいりつしめすことで、最終さいしゅうてきにすべてをしめ方針ほうしんっている。

  • 手順てじゅん1:せきじょう測度そくどせき測度そくどであるという事実じじつ使つかって、長方形ちょうほうけい区間くかんじょう特性とくせい函数かんすうたいして定理ていり証明しょうめいする。
  • 手順てじゅん2:空間くうかんσしぐま-有限ゆうげんであるという条件じょうけん(あるいはそれに関連かんれんする条件じょうけん)を使つかって、はか集合しゅうごうじょう特性とくせい函数かんすうたいして定理ていり証明しょうめいする。
  • 手順てじゅん3:函数かんすうはかであるという条件じょうけん使つかって、たん函数かんすう有限ゆうげんのみを函数かんすう手順てじゅん2の函数かんすう有限ゆうげん線型せんけい結合けつごうである)近似きんじによりせいはか函数かんすうたいして定理ていり証明しょうめいする。これによって、トネリの定理ていり証明しょうめいされる。
  • 手順てじゅん4:函数かんすう積分せきぶんであるという条件じょうけん使つかって、その函数かんすうふたつのせい積分せきぶん函数かんすうあらわし、それぞれにたいしてトネリの定理ていりもちいる。これによって、フビニの定理ていり証明しょうめいされる。

反例はんれい[編集へんしゅう]

つぎれいでは、フビニの定理ていりおよびトネリの定理ていりのいくつかの仮定かていたされないとき、どのようにして定理ていり成立せいりつしないかをしめす。

σしぐま-有限ゆうげん空間くうかんでない場合ばあいにトネリの定理ていり成立せいりつしないこと[編集へんしゅう]

X はルベーグはか集合しゅうごうとルベーグ測度そくどともな単位たんい区間くかんとし、Yかぞ測度そくどともな単位たんい区間くかんでそのすべての部分ぶぶん集合しゅうごうはかであるものとする。したがって Yσしぐま-有限ゆうげんではない。fX×Yたいかくについての特性とくせい函数かんすうであるなら、fX沿った積分せきぶんY うえ函数かんすう 0 となるが、Y沿った積分せきぶんX うえ函数かんすう 1 となる。したがってふたつの逐次ちくじ積分せきぶんことなるものとなる。このことは、せき測度そくどがどのようにえらばれたとしても、σしぐま-有限ゆうげんでない空間くうかんたいしてはトネリの定理ていり成立せいりつしないことを意味いみする。その測度そくどはいずれも分解ぶんかい可能かのうであり、トネリの定理ていりは(σしぐま-有限ゆうげん測度そくどよりもやや一般いっぱんてきである)分解ぶんかい可能かのう測度そくどたいしては成立せいりつしないことがしめされる。

極大きょくだいせき測度そくどたいしてフビニの定理ていり成立せいりつしないこと[編集へんしゅう]

たとえ σしぐま-有限ゆうげんでない空間くうかんであっても、ごく大積おおつみ測度そくどもちいられるなら、フビニの定理ていり成立せいりつする。実際じっさい上記じょうきれいにおいて極大きょくだいせき測度そくどかんがえると、たいかく無限むげん測度そくどち、したがって |f| のじゅう積分せきぶん無限むげんだいとなるため、(空虚くうきょ意味いみで)フビニの定理ていり成立せいりつする。しかし X×Y を、測度そくど集合しゅうごうがその水平すいへい区分くぶんのルベーグ測度そくどやわであるようなせき測度そくどとするとき、|f| のじゅう積分せきぶんはゼロであるが、ふたつの逐次ちくじ積分せきぶん依然いぜんとしてことなるものでありる。これはフビニの定理ていり成立せいりつしないようなせき測度そくどれいである。

このことにより、ふたつの測度そくど空間くうかん同一どういつせきじょうことなるふたつのせき測度そくどれいられた。ふたつの σしぐま-有限ゆうげん測度そくど空間くうかんせきとして、ただひとつのせき測度そくど存在そんざいする。

はか函数かんすうたいしてトネリの定理ていり成立せいりつしないこと[編集へんしゅう]

Xだいいち可算かさん順序じゅんじょすうで、はか集合しゅうごうが(測度そくど 0 で)可算かさんであるか、可算かさんの(測度そくど 1 の)集合しゅうごうであるような有限ゆうげん測度そくどともなうものとする。X×X の(はかな)部分ぶぶん集合しゅうごう Ex<yたすペア (x,y) であたえると、それはすべての水平すいへい直線ちょくせんじょう可算かさんであり、すべての垂直すいちょく直線ちょくせんじょう可算かさん集合しゅうごうつ。fE特性とくせい函数かんすうとすると、f種類しゅるい逐次ちくじ積分せきぶん定義ていぎされ、それらは 1 と 0 ということなるる。この函数かんすう fはかであるため、これはトネリの定理ていりはか函数かんすうたいして成立せいりつしないれいとなる。

はか函数かんすうたいしてフビニの定理ていり成立せいりつしないこと[編集へんしゅう]

うえれい変形へんけいばんとして、たとえ |f| が積分せきぶんでいずれの逐次ちくじ積分せきぶんが well-defined であっても、はかであればフビニの定理ていり成立せいりつしないことがあるというれい以下いかげる:fE うえで 1 であり、E集合しゅうごうじょうで -1 とする。このとき |f| はその直積ちょくせき空間くうかんじょう積分せきぶん 1 となり積分せきぶんであるが、well-defined であるかく逐次ちくじ積分せきぶんはそれぞれ 1 と -1 となり、ことなる。

連続れんぞくたい仮説かせつかんがえることで、X単位たんい区間くかん Iなすことが出来できふたつの(ルベーグ測度そくどによる)逐次ちくじ積分せきぶん定義ていぎされるがひとしくないような I×I うえ有界ゆうかい非負ひふ函数かんすう存在そんざいすることがかる。このれいSierpiński (1920) によって発見はっけんされた。ルベーグ測度そくどともなふたつの単位たんい区間くかんせきじょうたいするフビニの定理ていりのよりつよ結果けっかにおいて、函数かんすうはもはやはかである必要ひつようはなく、ふたつの逐次ちくじ積分せきぶんが well-defined で存在そんざいしていればよいが、その結果けっか標準ひょうじゅんてき集合しゅうごうろんツェルメロ=フレンケルの公理こうりとは独立どくりつなものである。連続れんぞくたい仮説かせつマーティンの公理こうりはいずれも、逐次ちくじ積分せきぶんことなるような単位たんい正方形せいほうけいじょう函数かんすう存在そんざいすることを意味いみするが、Friedman (1980) は、それはZFC一致いっちし、[0, 1] にたいするつよフビニがた定理ていり成立せいりつし、ふたつの逐次ちくじ積分せきぶん存在そんざいするならそれらはひとしくなることをしめした。ZFCから独立どくりつ命題めいだい一覧いちらん参照さんしょう

積分せきぶん函数かんすうたいしてフビニの定理ていり成立せいりつしないこと[編集へんしゅう]

フビニの定理ていりによれば、(σしぐま-有限ゆうげん測度そくど空間くうかんせきじょうはか函数かんすうたいして)絶対ぜったい積分せきぶん有限ゆうげんであるなら、積分せきぶん順序じゅんじょ問題もんだいにならない。すなわち、はじめに x について積分せきぶんし、つづいて y について積分せきぶんすれば、はじめに yつづいて x について積分せきぶんしたものとおな結果けっかられる。絶対ぜったい積分せきぶん有限ゆうげんであるという仮定かていは、ルベーグ積分せきぶんせいであり、この仮定かていいとふたつの逐次ちくじ積分せきぶんことなるる。

逐次ちくじ積分せきぶん一般いっぱんことなる簡単かんたんれいとして、ふたつの測度そくど空間くうかんせい整数せいすうとしてさだめ、函数かんすう f(x,y) は x=y なら 1、x=y+1 なら -1、それ以外いがいなら 0 となるものがげられる。このときふたつの逐次ちくじ積分せきぶんはそれぞれ 0 と 1 ということなるる。

れいとして、つぎ函数かんすうかんがえられる。

このとき逐次ちくじ積分せきぶん

および

となり、ことなるとなる。対応たいおうするじゅう積分せきぶん絶対ぜったい収束しゅうそく(いいかえると、絶対ぜったいった積分せきぶん有限ゆうげんでない)しない。すなわち、

となる。

クラトフスキ=ウラムの定理ていり[編集へんしゅう]

ポーランドの数学すうがくしゃカジミェシュ・クラトフスキスタニスワフ・ウラムにちなむクラトフスキ=ウラムの定理ていりは、任意にんいだい可算かさんてきベール空間くうかんたいする同様どうよう結果けっかであり、「ベールカテゴリーにたいするフビニの定理ていり」ともばれている。XYだい可算かさんてきベール空間くうかん(あるいはとくに、ポーランド空間くうかん)とし、 とする。このとき、Aベールの性質せいしつつものであるなら、以下いかふたつの条件じょうけん同値どうちである:

  1. Aやせ集合しゅうごう(meagre set)。
  2. 集合しゅうごう は X ないやせ集合しゅうごう(comeagre set)。ただし であり、 は Y のうえへの射影しゃえい

かく条件じょうけんやせ集合しゅうごうはそれぞれやせ集合しゅうごうえても成立せいりつする。かりに A がベールの性質せいしつたないとしても、条件じょうけん2は条件じょうけん1よりしたが[1]。この定理ていりは、任意にんいのハウスドルフ空間くうかん X および可算かさん n-もとつハウスドルフ空間くうかん Y にたいしても(空虚くうきょ意味いみであることもあるが)成立せいりつする。

この定理ていりは、かんがえている函数かんすうがあるせき空間くうかん集合しゅうごう特性とくせい函数かんすうである場合ばあい通常つうじょうのフビニの定理ていり類似るいじなものである。その場合ばあいやせ集合しゅうごう測度そくど 0 の集合しゅうごうやせ集合しゅうごうぜん測度そくど(full measure)の集合しゅうごう、ベールの性質せいしつ集合しゅうごうはか集合しゅうごう対応たいおうする。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  1. ^ S. Srivastava A course on Borel sets. Springer, 1998, p. 112.
  • DiBenedetto, Emmanuele (2002), Real analysis, Birkhäuser Advanced Texts: Basler Lehrbücher, Boston, MA: Birkhäuser Boston, Inc., ISBN 0-8176-4231-5, MR1897317 
  • Fremlin, D. H. (2003), Measure theory, 2, Colchester: Torres Fremlin, ISBN 0-9538129-2-8, MR2462280 
  • Sierpiński, Wacław (1920), “Sur un problème concernant les ensembles mesurables superficiellement”, Fundamenta Mathematicae 1 (1): 112–115, https://eudml.org/doc/212592 
  • Friedman, Harvey (1980), “A Consistent Fubini-Tonelli Theorem for Nonmeasurable Functions”, Illinois J. Math. 24 (3): 390–395, MR573474, http://projecteuclid.org/euclid.ijm/1256047607 
  • Fubini, G. (1907), “Sugli integrali multipli”, Rom. Acc. L. Rend. (5) 16 (1): 608-614  Reprinted in Fubini, G. (1958), Opere scelte, 2, Cremonese, pp. 243–249 
  • Lebesgue (1904), Leçons sur l'intégration et la recherche des fonctions primitives, Paris: Gauthier-Villars, https://archive.org/details/leconegrarecher00leberich 
  • Tonelli, L. (1909), “Sull'integrazione per parti”, Atti della Accademia Nazionale dei Lincei (5) 18 (2): 246-253 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]