正 せい 値 ね 関数 かんすう の積分 せきぶん は曲線 きょくせん の下部 かぶ と軸 じく で囲 かこ まれた部分 ぶぶん (図 ず の青 あお く塗 ぬ られた部分 ぶぶん )の面積 めんせき と解釈 かいしゃく できる。
数学 すうがく において、一変 いっぺん 数 すう の非負 ひふ 値 ち 関数 かんすう の積分 せきぶん は、最 もっと も単純 たんじゅん な場合 ばあい には、その関数 かんすう のグラフ と x 軸 じく の間 あいだ の面積 めんせき と見 み なすことができる。ルベーグ積分 せきぶん (ルベーグせきぶん、英 えい : Lebesgue integral )は、積分 せきぶん をより多 おお くの関数 かんすう へ拡張 かくちょう したものである。ルベーグ積分 せきぶん においては、被 ひ 積分 せきぶん 関数 かんすう は連続 れんぞく である必要 ひつよう はなく、至 いた るところ不連続 ふれんぞく でもよいし、関数 かんすう 値 ち として無限 むげん 大 だい をとることがあってもよい。さらに、関数 かんすう の定義 ていぎ 域 いき も拡張 かくちょう され、測度 そくど 空間 くうかん と呼 よ ばれる空間 くうかん で定義 ていぎ された関数 かんすう を被 ひ 積分 せきぶん 関数 かんすう とすることもできる。
数学 すうがく 者 しゃ は長 なが い間 あいだ 、十分 じゅうぶん 滑 なめ らか なグラフを持 も つ非負 ひふ 値 ち 関数 かんすう 、例 たと えば有界 ゆうかい 閉 区間 くかん 上 うえ の連続 れんぞく 関数 かんすう 、に対 たい しては、「曲線 きょくせん の下部 かぶ の面積 めんせき 」を積分 せきぶん と定義 ていぎ できると理解 りかい しており、多角 たかく 形 がた によって領域 りょういき を近似 きんじ する手法 しゅほう によってそれを計算 けいさん した。しかし、より不規則 ふきそく な関数 かんすう を考 かんが える必要 ひつよう が、例 たと えば解析 かいせき 学 がく や確率 かくりつ 論 ろん において極限 きょくげん を考 かんが えるときに生 しょう じたため、より注意深 ちゅういぶか い近似 きんじ の手法 しゅほう が適切 てきせつ な積分 せきぶん を定義 ていぎ するために必要 ひつよう なことが明 あき らかとなった。また、局所 きょくしょ コンパクト群 ぐん のような、実数 じっすう 直線 ちょくせん よりも一般 いっぱん の空間 くうかん 上 じょう で積分 せきぶん をしたいことがある。ルベーグ積分 せきぶん はこの重要 じゅうよう な仕事 しごと をするために必要 ひつよう な正 ただ しい抽象 ちゅうしょう 化 か を与 あた える。例 たと えば、フーリエ級数 きゅうすう などの関数 かんすう 列 れつ の極限 きょくげん として表 あらわ される関数 かんすう に対 たい して、積分 せきぶん と極限 きょくげん 操作 そうさ が可 か 換 かわ となるかどうかをリーマン積分 せきぶん で考 かんが えると非常 ひじょう に繊細 せんさい な議論 ぎろん が必要 ひつよう だが、ルベーグ積分 せきぶん では、積分 せきぶん と極限 きょくげん 操作 そうさ の交換 こうかん が可能 かのう であるための簡単 かんたん な十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん が分 わ かっている。
ルベーグ積分 せきぶん は実 じつ 解析 かいせき と呼 よ ばれる数学 すうがく の分野 ぶんや に属 ぞく する確率 かくりつ 論 ろん や、他 た の多 おお くの数理 すうり 科学 かがく 分野 ぶんや において、重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たす。ルベーグ積分 せきぶん という名前 なまえ は、その積分 せきぶん を導入 どうにゅう した数学 すうがく 者 しゃ アンリ・ルベーグ [ 2] (Henri Lebesgue, 1875–1941) に由来 ゆらい している。それはまた公理 こうり 的 てき 確率 かくりつ 論 ろん (英語 えいご 版 ばん ) の中枢 ちゅうすう 部 ぶ でもある。
「ルベーグ積分 せきぶん 」(Lebesgue integration) という用語 ようご は、カラテオドリ に始 はじ まる一般 いっぱん の測度 そくど に関 かん する関数 かんすう の積分 せきぶん の一般 いっぱん 論 ろん を意味 いみ することもあるし、ルベーグ測度 そくど に関 かん して実数 じっすう 直線 ちょくせん (あるいは n -次元 じげん ユークリッド空間 くうかん )の特定 とくてい の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう (特 とく にルベーグ可 か 測 はか 集合 しゅうごう )上 じょう 定義 ていぎ されたルベーグ可 か 測 はか 関数 かんすう を積分 せきぶん するという特定 とくてい の場合 ばあい を意味 いみ することもある。
積分 せきぶん を厳密 げんみつ なものにしようという動 うご きは、19世紀 せいき からである。ベルンハルト・リーマン が提案 ていあん したリーマンの積分 せきぶん はこの目的 もくてき に向 む けて大 おお きな前進 ぜんしん であった。リーマンは関数 かんすう の積分 せきぶん を「簡単 かんたん に計算 けいさん できる積分 せきぶん 」で近似 きんじ することによって定義 ていぎ した。この定義 ていぎ による積分 せきぶん は、それまで解答 かいとう が知 し られていた問題 もんだい に対 たい してそのままの結果 けっか をもたらしたし、他 た の問題 もんだい に対 たい しては新 あたら しい結果 けっか を与 あた えることになった。しかし、リーマン積分 せきぶん は関数 かんすう 列 れつ の極限 きょくげん と相性 あいしょう が悪 わる く、積分 せきぶん と極限 きょくげん が同時 どうじ に現 あらわ れるような場面 ばめん では解析 かいせき が困難 こんなん な場合 ばあい がある。それに対 たい して、ルベーグ積分 せきぶん は、積分 せきぶん 記号 きごう の下 した での極限 きょくげん がより扱 あつか いやすくなっている。ルベーグ積分 せきぶん は、リーマン積分 せきぶん と異 こと なる形 かたち の「簡単 かんたん に計算 けいさん できる積分 せきぶん 」を考 かんが えており、このことがルベーグ積分 せきぶん がリーマン積分 せきぶん よりよく振舞 ふるま う理由 りゆう となっている。さらに、ルベーグ積分 せきぶん ではリーマン積分 せきぶん より広 ひろ い種類 しゅるい の関数 かんすう に対 たい して積分 せきぶん を定義 ていぎ することが可能 かのう になっている。例 たと えば、無理 むり 数 すう で 0 を有理数 ゆうりすう で 1 をとる関数 かんすう (ディリクレの関数 かんすう )を閉区間 あいだ [0, 1] 上 じょう で考 かんが えると、リーマン積分 せきぶん では積分 せきぶん が定義 ていぎ されないが、ルベーグ積分 せきぶん では積分 せきぶん できる。
リーマン積分 せきぶん (青 あお )とルベーグ積分 せきぶん (赤 あか )
積分 せきぶん の定義 ていぎ 方法 ほうほう の違 ちが いを直感 ちょっかん 的 てき に理解 りかい できるように、山 やま の(海抜 かいばつ より上 うえ の部分 ぶぶん の)体積 たいせき を計算 けいさん する例 れい を考 かんが えよう。この山 やま の境界 きょうかい ははっきりと定 さだ まっているとする(これが積分 せきぶん 範囲 はんい である)。
リーマン積分 せきぶん による方法 ほうほう
ケーキを切 き るときのように、山 やま を縦 たて 方向 ほうこう に切 き り分 わ けて細分 さいぶん する。このとき、各 かく パーツの底面 ていめん は長方形 ちょうほうけい になるようにする。次 つぎ に、各 かく パーツで最 もっと も標高 ひょうこう が高 たか いところを調 しら べ、底面 ていめん の面積 めんせき とその標高 ひょうこう を掛 か け合 あ わせる。各 かく パーツごとに計算 けいさん したその値 ね を足 た したものを、上 うえ リーマン和 わ と呼 よ ぶことにする。同様 どうよう のことを、最 もっと も標高 ひょうこう が低 ひく いところに対 たい して行 おこな い、下 しも リーマン和 わ と呼 よ ぶことにする。分割 ぶんかつ を細 こま かくしていったときに、上 うえ ・下 した のリーマン和 わ が同 おな じ値 ち に収束 しゅうそく するときに、リーマン積分 せきぶん 可能 かのう であるといい、その極限 きょくげん 値 ち が山 やま の体積 たいせき になる。
ルベーグ積分 せきぶん による方法 ほうほう
山 やま の等高線 とうこうせん を地図 ちず にする。等高線 とうこうせん にそって地図 ちず を裁断 さいだん して、地図 ちず をいくつかのパーツに分解 ぶんかい する。各 かく パーツは面積 めんせき を計算 けいさん できる平面 へいめん 図形 ずけい なので(測度 そくど が分 わ かっているので)、パーツの面積 めんせき とそのパーツの最 もっと も低 ひく い点 てん の標高 ひょうこう を掛 か け合 あ わせる。各 かく パーツのこの値 ね を足 た したものを「ルベーグ和 わ 」と呼 よ ぶことにする。この「ルベーグ和 わ 」はルベーグ積分 せきぶん の構成 こうせい にあった、単 たん 関数 かんすう の積分 せきぶん に相当 そうとう する。等高線 とうこうせん の間隔 かんかく を半分 はんぶん にしていったときの「ルベーグ和 わ 」の極限 きょくげん 値 ち が山 やま の体積 たいせき になる。
有理数 ゆうりすう 体 たい
Q
{\displaystyle \mathbb {Q} }
の定義 ていぎ 関数 かんすう
1
Q
{\displaystyle 1_{\mathbf {Q} }}
(ディリクレの関数 かんすう )を考 かんが える。この関数 かんすう は至 いた るところ不連続 ふれんぞく である。
1
Q
{\displaystyle 1_{\mathbf {Q} }}
は [0, 1] 上 うえ でリーマン可 か 積分 せきぶん ではない :[0, 1] をどのように区間 くかん に分割 ぶんかつ しても、各 かく 区間 くかん には有理数 ゆうりすう と無理 むり 数 すう の両方 りょうほう が少 すく なくとも1つは入 はい っている。よって、上積 うわづみ 分 ぶん は常 つね に 1 であり、下 しも 積分 せきぶん は常 つね に 0 になり、リーマン可 か 積分 せきぶん ではない。
1
Q
{\displaystyle 1_{\mathbf {Q} }}
は [0, 1] 上 うえ でルベーグ可 か 積分 せきぶん である :集合 しゅうごう の定義 ていぎ 関数 かんすう の積分 せきぶん は定義 ていぎ より
∫
[
0
,
1
]
1
Q
d
μ みゅー
=
μ みゅー
(
Q
∩
[
0
,
1
]
)
=
0
{\displaystyle \int _{[0,1]}1_{\mathbf {Q} }\,d\mu =\mu (\mathbf {Q} \cap [0,1])=0}
ルベーグ積分 せきぶん を定義 ていぎ するためには、測度 そくど の概念 がいねん が必要 ひつよう になる(これは言 い ってみれば、実数 じっすう からなる集合 しゅうごう A に対 たい し、集合 しゅうごう A の「大 おお きさ」となる非負 ひふ の実数 じっすう μ みゅー (A ) を割 わ り当 あ てるものである)。ここでいう「大 おお きさ」というのは、区間 くかん や区間 くかん の非 ひ 交和に対 たい してはそれらの通常 つうじょう の意味 いみ での「長 なが さ」に一致 いっち するべきものである。さて函数 かんすう
f
:
R
→
R
+
{\displaystyle f:{\mathbb {R} }\rightarrow {\mathbb {R} }^{+}}
は非負 ひふ 実 じつ 数値 すうち 函数 かんすう であるものとして、「f の値域 ちいき を分割 ぶんかつ する」という考 かんが えのもと、f の積分 せきぶん は y = t と y = t + dt の間 あいだ にある水平 すいへい な細 ほそ い帯状 おびじょう 領域 りょういき が占 し める基本 きほん 面積 めんせき を t に関 かん して加 くわ えた総和 そうわ となるものである。このような基本 きほん 面積 めんせき はちょうど
μ みゅー
(
{
x
∣
f
(
x
)
>
t
}
)
d
t
{\displaystyle \mu (\{x\mid f(x)>t\})\mathrm {d} t}
に等 ひと しい。ここに
f
∗
(
t
)
:=
μ みゅー
(
{
x
∣
f
(
x
)
>
t
}
)
{\displaystyle f^{*}(t):=\mu (\{x\mid f(x)>t\})}
と置 お けば、f のルベーグ積分 せきぶん は
∫
f
d
μ みゅー
=
∫
Ω おめが
f
(
t
)
μ みゅー
(
d
t
)
:=
∫
0
∞
f
∗
(
t
)
d
t
{\displaystyle \int f\,\mathrm {d} \mu =\int _{\Omega }f(t)\,\mu (\mathrm {d} t):=\int _{0}^{\infty }f^{*}(t)\,\mathrm {d} t}
と定義 ていぎ される(ただし、右辺 うへん の積分 せきぶん は広義 こうぎ リーマン積分 せきぶん の意味 いみ でとる。f* が非負 ひふ の単調 たんちょう 増大 ぞうだい 函数 かんすう であり、したがって区間 くかん [
0
,
∞
{\displaystyle 0,\infty }
] に値 ね をとる広義 こうぎ リーマン積分 せきぶん が定 さだ まることに注意 ちゅうい する)。可 か 測 はか 函数 かんすう のクラスに属 ぞく する函数 かんすう に対 たい して、これはルベーグ積分 せきぶん を定義 ていぎ する。
一般 いっぱん の(非負 ひふ とは限 かぎ らない)可 か 測 はか 函数 かんすう f がルベーグ可 か 積分 せきぶん となるのは、f のグラフと x -軸 じく に囲 かこ まれた領域 りょういき の面積 めんせき が有限 ゆうげん 、つまり
∫
|
f
|
d
μ みゅー
<
+
∞
{\displaystyle \int |f|\,\mathrm {d} \mu <+\infty }
となるときである。この場合 ばあい の積分 せきぶん の値 ね は(リーマン積分 せきぶん のときと同様 どうよう に)x -軸 じく より上 うえ にある面積 めんせき から x -軸 じく より下 した にある面積 めんせき を引 ひ いた
∫
f
d
μ みゅー
=
∫
f
+
d
μ みゅー
−
∫
f
−
d
μ みゅー
{\displaystyle \int f\,\mathrm {d} \mu =\int f^{+}\,\mathrm {d} \mu -\int f^{-}\,\mathrm {d} \mu }
で与 あた えられる。ここで、
f
=
f
+
−
f
−
{\textstyle f=f^{+}-f^{-}}
は f の二 ふた つの非負 ひふ 値 ち 函数 かんすう への分解 ぶんかい であり、各々 おのおの は
f
+
(
x
)
=
max
{
f
(
x
)
,
0
}
=
{
f
(
x
)
,
if
f
(
x
)
>
0
,
0
,
otherwise
f
−
(
x
)
=
max
{
−
f
(
x
)
,
0
}
=
{
−
f
(
x
)
,
if
f
(
x
)
<
0
,
0
,
otherwise.
{\displaystyle {\begin{aligned}f^{+}(x)&=\max\{f(x),0\}&&{}={\begin{cases}f(x),&{\text{if }}f(x)>0,\\0,&{\text{otherwise}}\end{cases}}\\f^{-}(x)&=\max\{-f(x),0\}&&{}={\begin{cases}-f(x),&{\text{if }}f(x)<0,\\0,&{\text{otherwise.}}\end{cases}}\end{aligned}}}
と与 あた えられる。
ルベーグ積分 せきぶん 論 ろん は、可 か 測 はか 集合 しゅうごう とその上 うえ の測度 そくど に関 かん する理論 りろん (測度 そくど 論 ろん )と可 か 測 はか 函数 かんすう とその積分 せきぶん に関 かん する理論 りろん (積分 せきぶん 論 ろん )の二 に 段 だん 構 かま えになっている。
当初 とうしょ 、測度 そくど 論 ろん は線分 せんぶん 、平面 へいめん 図形 ずけい 、立体 りったい などの長 なが さ 、面積 めんせき 、体積 たいせき などの精密 せいみつ な解析 かいせき のために考 かんが え出 だ されたものである (Lebesgue 1902 )。特 とく に 実数 じっすう 全体 ぜんたい の集合 しゅうごう
R
{\displaystyle \mathbb {R} }
の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう について、その部分 ぶぶん 集合 しゅうごう の長 なが さとは何 なに か、という問 と いに対 たい して整然 せいぜん とした解答 かいとう を与 あた えるものであった。
集合 しゅうごう 論 ろん の発展 はってん によって、自然 しぜん な加法 かほう 性 せい を持 も ち、平行 へいこう 移動 いどう 不変 ふへん になるように、実数 じっすう 体 たい
R
{\displaystyle \mathbb {R} }
のすべての部分 ぶぶん 集合 しゅうごう に長 なが さを定義 ていぎ することが不可能 ふかのう であることがわかった。このことにより、可 か 測 はか 集合 しゅうごう と呼 よ ばれる種類 しゅるい の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう にのみ長 なが さを定義 ていぎ する必要 ひつよう が生 う まれた。測度 そくど が満 み たすべき適当 てきとう な条件 じょうけん については測度 そくど 論 ろん を参照 さんしょう されたい。
現代 げんだい では測度 そくど と積分 せきぶん は公理 こうり 的 てき に定義 ていぎ される。測度 そくど というのは、集合 しゅうごう X の適当 てきとう な条件 じょうけん を満 み たす部分 ぶぶん 集合 しゅうごう の族 ぞく Σ しぐま 上 うえ で定義 ていぎ された適当 てきとう な条件 じょうけん を満 み たす関数 かんすう μ みゅー であれば何 なん でもよく、X がユークリッド空間 くうかん であったり、Σ しぐま の元 もと が面積 めんせき を計算 けいさん したい図形 ずけい であったりする必要 ひつよう はないし、μ みゅー の値 ね が面積 めんせき とかけ離 はな れたものでもよい。そこで、ユークリッド空間 くうかん の図形 ずけい の面積 めんせき を与 あた える測度 そくど は特別 とくべつ にルベーグ測度 そくど という名前 なまえ がついている。
リーマン積分 せきぶん では長方形 ちょうほうけい [a , b ] × [c , d ] の面積 めんせき が (b − a )(d − c ) で計算 けいさん できることを基礎 きそ としている。リーマン積分 せきぶん は積分 せきぶん を近似 きんじ するための「簡単 かんたん に計算 けいさん できる積分 せきぶん 」として、長方形 ちょうほうけい を並 なら べたものを使 つか っており、測度 そくど に関 かん するより深 ふか い議論 ぎろん を必要 ひつよう としなかったのである。
測度 そくど 空間 くうかん として (X , M , μ みゅー ) が与 あた えられたとする。例 たと えば、X としてユークリッド空間 くうかん 、M をルベーグ可 か 測 はか 集合 しゅうごう 全体 ぜんたい 、μ みゅー としてルベーグ測度 そくど などが考 かんが えられる。確率 かくりつ 論 ろん においては測度 そくど 空間 くうかん として μ みゅー (X ) = 1 であるような測度 そくど 空間 くうかん (確 かく 率 りつ 空間 くうかん )を使 つか う。
ルベーグ積分 せきぶん において、被 ひ 積分 せきぶん 関数 かんすう になる関数 かんすう は可 か 測 はか 関数 かんすう と呼 よ ばれる関数 かんすう である。X 上 うえ で定義 ていぎ された実数 じっすう または
±
∞
{\displaystyle \pm \infty }
に値 ね をとる関数 かんすう f が可 か 測 はか 関数 かんすう あるいは M -可 か 測 はか 関数 かんすう であるとは、任意 にんい の実数 じっすう
a
{\displaystyle a}
について
(
a
,
+
∞
]
=
(
a
,
+
∞
)
∪
{
+
∞
}
{\displaystyle (a,+\infty ]=(a,+\infty )\cup \{+\infty \}}
の f による逆 ぎゃく 像 ぞう が M に属 ぞく すること:
f
−
1
(
(
a
,
∞
]
)
∈
M
{\displaystyle f^{-1}((a,\infty ])\in M}
が成 な り立 た つことである。複素数 ふくそすう 値 ね 関数 かんすう は、その実 み 部 ぶ と虚 きょ 部 ぶ が共 とも に可 か 測 はか 関数 かんすう のとき、可 か 測 はか 関数 かんすう あるいは M -可 か 測 はか 関数 かんすう であるという。このように関数 かんすう の可 か 測 はか 性 せい を定 さだ めれば、可 か 測 はか 関数 かんすう の全体 ぜんたい からなる集合 しゅうごう は代数 だいすう 的 てき な操作 そうさ (和 わ 、差 さ 、積 せき 、商 しょう 、実 じつ 数 すう 倍 ばい または複素 ふくそ 数 すう 倍 ばい )に関 かん して閉 と じていることが分 わ かる。可 か 測 はか 関数 かんすう の全体 ぜんたい の集合 しゅうごう は、実数 じっすう 体 からだ または複素数 ふくそすう 体 たい の上 うえ の線型 せんけい 空間 くうかん を成 な すことも分 わ かる。また、完全 かんぜん 加法 かほう 族 ぞく M の性質 せいしつ から、
R
∪
{
+
∞
,
−
∞
}
{\displaystyle \mathbb {R} \cup \{+\infty ,-\infty \}}
の任意 にんい の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう I の可 か 測 はか 関数 かんすう f による逆 ぎゃく 像 ぞう f −1 (I ) も M に属 ぞく することも分 わ かる。重要 じゅうよう なことは、多 おお くの関数 かんすう 列 れつ の極限 きょくげん に関 かん して閉 と じていることである。例 たと えば、可 か 測 はか 関数 かんすう の列 れつ f k に対 たい して
lim
_
k
∈
N
f
k
,
lim
¯
k
∈
N
f
k
{\displaystyle \varliminf _{k\in \mathbb {N} }f_{k},\quad \varlimsup _{k\in \mathbb {N} }f_{k}}
で与 あた えられる関数 かんすう もまた可 か 測 はか 関数 かんすう になる。従 したが って、可 か 測 はか 関数 かんすう 列 れつ が各 かく 点 てん 収束 しゅうそく していれば極限 きょくげん 関数 かんすう もまた可 か 測 はか 関数 かんすう である。
X の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう E 上 うえ 定義 ていぎ された実 じつ 数値 すうち 可 か 測 はか 函数 かんすう f に対 たい する積分 せきぶん
∫
E
f
d
μ みゅー
=
∫
E
f
(
x
)
d
μ みゅー
(
x
)
{\displaystyle \int _{E}f\,d\mu =\int _{E}f(x)d\mu (x)}
を定義 ていぎ するにはいくつか方法 ほうほう がある。
単 たん 函数 かんすう による近似 きんじ
ルベーグ積分 せきぶん の定式 ていしき 化 か の一 ひと つの方法 ほうほう として、単 たん 函数 かんすう (有限 ゆうげん 個 こ の指示 しじ 函数 かんすう の実 じつ 係数 けいすう 線型 せんけい 結合 けつごう )を用 もち いるものがある。単 たん 函数 かんすう は、可 か 測 はか 函数 かんすう の値域 ちいき を帯状 おびじょう に分割 ぶんかつ することにより、可 か 測 はか 函数 かんすう を近似 きんじ することができる。単 たん 函数 かんすう の積分 せきぶん は各 かく 帯状 おびじょう 領域 りょういき の測度 そくど にその高 たか さを掛 か けたものに等 ひと しい。非負 ひふ 値 ち をとる一般 いっぱん の可 か 測 はか 函数 かんすう の積分 せきぶん はその函数 かんすう の単 たん 函数 かんすう による近似 きんじ の上限 じょうげん として定義 ていぎ され、非負 ひふ と限 かぎ らない場合 ばあい には函数 かんすう を正 せい 成分 せいぶん と負 ふ 成分 せいぶん の二 ふた つの非負 ひふ 値 ち 函数 かんすう の差 さ に分解 ぶんかい してそれらの積分 せきぶん の差 さ として可 か 測 はか 函数 かんすう の積分 せきぶん を定義 ていぎ する。
与 あた えられた測度 そくど μ みゅー に関 かん する可 か 測 はか 集合 しゅうごう S に対 たい して、S の定義 ていぎ 関数 かんすう
1
S
{\displaystyle 1_{S}}
の積分 せきぶん を
∫
X
1
S
d
μ みゅー
:=
μ みゅー
(
S
)
{\displaystyle \int _{X}1_{S}\,d\mu :=\mu (S)}
とする。測度 そくど μ みゅー が有限 ゆうげん 測度 そくど でない限 かぎ り、この積分 せきぶん 値 ち が
+
∞
{\displaystyle +\infty }
となる場合 ばあい があることに注意 ちゅうい する。以下 いか 積分 せきぶん が
+
∞
{\displaystyle +\infty }
となる場合 ばあい も許 ゆる して、「積分 せきぶん が存在 そんざい する」と言 い うことにする。
実数 じっすう の定数 ていすう 列 れつ ak と μ みゅー -可 か 測 はか 集合 しゅうごう 列 れつ Sk から作 つく られる、有限 ゆうげん 線型 せんけい 結合 けつごう
∑
k
a
k
1
S
k
{\displaystyle \sum _{k}a_{k}1_{S_{k}}}
を可 か 測 はか 単 たん 函数 かんすう と呼 よ ぶ。可 か 測 はか 単 たん 函数 かんすう の積分 せきぶん は、指示 しじ 函数 かんすう の積分 せきぶん を線型 せんけい に拡張 かくちょう したもので与 あた えられる。より詳 くわ しく書 か けば、非負 ひふ 値 ち 可 か 測 はか 単 たん 函数 かんすう (すなわち ak > 0 (∀k ) の場合 ばあい )に対 たい する積分 せきぶん は
∫
X
(
∑
k
a
k
1
S
k
)
d
μ みゅー
:=
∑
k
a
k
∫
X
1
S
k
d
μ みゅー
=
∑
k
a
k
μ みゅー
(
S
k
)
{\displaystyle \int _{X}{\Bigl (}\sum _{k}a_{k}1_{S_{k}}{\Bigr )}\,d\mu :=\sum _{k}a_{k}\int _{X}1_{S_{k}}\,d\mu =\sum _{k}a_{k}\mu (S_{k})}
で定 さだ める。ここで、
0
×
∞
{\displaystyle 0\times \infty }
の不 ふ 定形 ていけい が生 しょう じる場合 ばあい が想定 そうてい できるが、規約 きやく として
0
×
∞
=
0
{\displaystyle 0\times \infty =0}
を用 もち いるものとする。また前 ぜん 目 め と同 おな じく積分 せきぶん は
∞
{\displaystyle \infty }
となり得 え る。
与 あた えられた単 たん 函数 かんすう を指示 しじ 函数 かんすう の線型 せんけい 結合 けつごう として表 あらわ す方法 ほうほう が複数 ふくすう あったとしても、上記 じょうき のように定義 ていぎ した積分 せきぶん が常 つね に同 おな じ値 ち となる ことに留意 りゅうい する。これは測度 そくど の加法 かほう 性 せい からくるものである。
非負 ひふ とは限 かぎ らない一般 いっぱん の実 じつ 数値 すうち 単 たん 函数 かんすう の場合 ばあい も同様 どうよう なのであるが、不 ふ 定形 ていけい
∞
−
∞
{\displaystyle \infty -\infty }
の値 ね は「定義 ていぎ しない」(あるいは「無意味 むいみ 」)として扱 あつか うので、それが現 あらわ れることは避 さ けなければならない。よって、非負 ひふ とは限 かぎ らない f であってもそれを
f
=
∑
k
a
k
1
S
k
{\displaystyle f=\sum _{k}a_{k}1_{S_{k}}}
と表 あらわ したとき「ak ≠ 0 となる場合 ばあい には必 かなら ず
μ みゅー
(
S
k
)
≤
∞
{\displaystyle \mu (S_{k})\leq \infty }
」とできるという仮定 かてい を満 み たすものであれば、上 うえ で述 の べた積分 せきぶん の定義 ていぎ 式 しき は意味 いみ を為 な し、非負 ひふ 値 ち の場合 ばあい と同様 どうよう に表 あらわ し方 かた に依 よ らず定 さだ まる。
X の可 か 測 はか 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう B と可 か 測 はか 単 たん 函数 かんすう s に対 たい して、積分 せきぶん 領域 りょういき B 上 うえ の s の積分 せきぶん は
∫
B
s
d
μ みゅー
=
∫
1
B
s
d
μ みゅー
=
∑
k
a
k
μ みゅー
(
S
k
∩
B
)
{\displaystyle \int _{B}s\,d\mu =\int 1_{B}\,s\,d\mu =\sum _{k}a_{k}\,\mu (S_{k}\cap B)}
で与 あた えられる。
非負 ひふ 値 ち 可 か 測 はか 関数 かんすう (
∞
{\displaystyle \infty }
も値 ね として許 ゆる す) f の積分 せきぶん を
∫
X
f
d
μ みゅー
=
sup
s
↑
f
{
∫
X
s
d
μ みゅー
∣
s
:
simple, non-negative
}
{\displaystyle \int _{X}f\,d\mu =\sup _{s\uparrow f}\{\int _{X}s\,d\mu \mid s\colon {\text{ simple, non-negative}}\}}
で定 さだ める。
拡張 かくちょう 実数 じっすう 値 ち (実数 じっすう 以外 いがい に
±
∞
{\displaystyle \pm \infty }
も値 ね として許 ゆる す)可 か 測 はか 函数 かんすう f の積分 せきぶん は f を正 せい 成分 せいぶん f+ と負 ふ 成分 せいぶん f− の差 さ
f
=
f
+
−
f
−
{\displaystyle f=f^{+}-f^{-}}
に分解 ぶんかい する(ここに f + (x ) = max{f (x ), 0}, f − (x ) = −min{0, f (x )} であり、これらおよび
|
f
|
=
f
+
+
f
−
{\textstyle |f|=f^{+}+f^{-}}
が非負 ひふ 可 か 測 はか 函数 かんすう となることに注意 ちゅうい する)ことで
∫
X
f
d
μ みゅー
:=
∫
X
f
+
d
μ みゅー
−
∫
X
f
−
d
μ みゅー
{\displaystyle \int _{X}f\,d\mu :=\int _{X}f^{+}d\mu -\int _{X}f^{-}d\mu }
と定義 ていぎ される。左辺 さへん の積分 せきぶん が(±∞ の場合 ばあい も許 ゆる して)存在 そんざい するためには、右辺 うへん の二 ふた つの積分 せきぶん のうちいずれか一 ひと つでも有限 ゆうげん 値 ち でありさえすればよいことに留意 りゅうい すべきである。しかし、f が ルベーグ可 か 積分 せきぶん であるというときには、左辺 さへん が(存在 そんざい するだけでなく)有限 ゆうげん 確定 かくてい 値 ち であることを要求 ようきゅう する。非負 ひふ とは限 かぎ らない(拡張 かくちょう )実 じつ 数値 すうち 可 か 測 はか 函数 かんすう f がルベーグ可 か 積分 せきぶん となるための必要 ひつよう 十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん は
∫
X
f
+
d
μ みゅー
<
∞
∧
∫
X
f
−
d
μ みゅー
<
∞
(
⟺
∫
X
|
f
|
d
μ みゅー
<
∞
)
{\displaystyle \int _{X}f^{+}\,d\mu <\infty \land \int _{X}f^{-}\,d\mu <\infty \qquad (\iff \int _{X}{\mathopen {|}}f{\mathclose {|}}d\mu <\infty )}
となることである。絶対 ぜったい 値 ち の積分 せきぶん が有限 ゆうげん 確定 かくてい であるという意味 いみ で絶対 ぜったい 可 か 積分 せきぶん ともいう。
複素 ふくそ 数値 すうち 可 か 測 はか 函数 かんすう の場合 ばあい も同様 どうよう で、積分 せきぶん は函数 かんすう を実 み 部 ぶ と虚 きょ 部 ぶ の和 わ に分解 ぶんかい することで定義 ていぎ できる。複素 ふくそ 数値 すうち 可 か 測 はか 函数 かんすう h が実 じつ 数値 すうち ルベーグ可 か 積分 せきぶん 函数 かんすう f, g を用 もち いて h = f + ig と書 か けるならば、h の積分 せきぶん は
∫
X
h
d
μ みゅー
=
∫
f
d
μ みゅー
+
i
∫
g
d
μ みゅー
{\displaystyle \int _{X}h\,d\mu =\int f\,d\mu +i\int g\,d\mu }
で定義 ていぎ される。
複素 ふくそ 数値 すうち 可 か 測 はか 函数 かんすう がルベーグ可 か 積分 せきぶん となるための必要 ひつよう 十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん は、その絶対 ぜったい 値 ち がルベーグ可 か 積分 せきぶん となることである。
ルベーグ積分 せきぶん における技術 ぎじゅつ 的 てき な目的 もくてき のために、その積分 せきぶん 領域 りょういき は(可 か 測 はか 空間 くうかん の適当 てきとう な部分 ぶぶん 集合 しゅうごう という)「集合 しゅうごう 」であり、そのために積分 せきぶん 領域 りょういき は向 む き を持 も たないことに留意 りゅうい すべきである。初等 しょとう 的 てき な微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく では、積分 せきぶん する向 む きを反映 はんえい して
∫
b
a
f
:=
−
∫
a
b
f
{\displaystyle \int _{b}^{a}f:=-\int _{a}^{b}f}
と定義 ていぎ するし、さらにこれを高階 たかしな の微分 びぶん 形式 けいしき の積分 せきぶん の場合 ばあい にまで一般 いっぱん 化 か するのであった。これと対照 たいしょう に、ルベーグ積分 せきぶん は「部分 ぶぶん 集合 しゅうごう を測度 そくど に関 かん して積分 せきぶん する」という別 べつ な方向 ほうこう への一般 いっぱん 化 か を与 あた えるのである。一次元 いちじげん で積分 せきぶん 区間 くかん が A = [a , b ] であるとき、
∫
A
f
d
μ みゅー
=
∫
[
a
,
b
]
f
d
μ みゅー
{\displaystyle \int _{A}f\,d\mu =\int _{[a,b]}f\,d\mu }
のように書 か くことで、それが部分 ぶぶん 集合 しゅうごう [a , b ] での積分 せきぶん であるということを示唆 しさ することは可能 かのう である。a > b のとき閉区間 あいだ A は空 そら 集合 しゅうごう であるから、その場合 ばあい の積分 せきぶん 値 ち は 0 である。
ルベーグ積分 せきぶん においては零 れい 集合 しゅうごう の上 うえ でのみ異 こと なる値 ね をとる関数 かんすう を区別 くべつ しない。
正確 せいかく に言 い うと、関数 かんすう f と g がほとんど至 いた るところ 等 ひと しいとは
μ みゅー
(
{
x
:
f
(
x
)
≠
g
(
x
)
}
)
=
0
{\displaystyle \mu (\{x:f(x)\neq g(x)\})=0}
をみたすことであり、
f
=
g
a.e.
{\displaystyle f=g\quad {\text{a.e.}}}
と書 か く。
非負 ひふ 値 ち 可 か 測 はか 関数 かんすう (
∞
{\displaystyle \infty }
を関数 かんすう 値 ち として許 ゆる す) f と g がほとんど至 いた るところ等 ひと しいならば
∫
E
f
d
μ みゅー
=
∫
E
g
d
μ みゅー
.
{\displaystyle \int _{E}f\,d\mu =\int _{E}g\,d\mu .}
可 か 測 はか 関数 かんすう (
±
∞
{\displaystyle \pm \infty }
を関数 かんすう 値 ち として許 ゆる す) f と g がほとんど至 いた るところ等 ひと しいならば、f が可 か 積分 せきぶん であることと g が可 か 積分 せきぶん であることは同値 どうち であり、積分 せきぶん の値 ね は等 ひと しい。
ルベーグ積分 せきぶん は以下 いか の性質 せいしつ を持 も っている。
線型 せんけい 性 せい : 可 か 積分 せきぶん 関数 かんすう f , g と実数 じっすう a , b に対 たい して、af + bg も可 か 積分 せきぶん になり
∫
E
(
a
f
+
b
g
)
d
μ みゅー
=
a
∫
E
f
d
μ みゅー
+
b
∫
E
g
d
μ みゅー
{\displaystyle \int _{E}(af+bg)\,d\mu =a\int _{E}f\,d\mu +b\int _{E}g\,d\mu \,}
単調 たんちょう 性 せい : 0 ≤ f ≤ g ならば
∫
E
f
d
μ みゅー
≤
∫
E
g
d
μ みゅー
{\displaystyle \int _{E}f\,d\mu \leq \int _{E}g\,d\mu }
単調 たんちょう 収束 しゅうそく 定理 ていり : {f k }k ∈N を非負 ひふ 値 ち 可 か 測 はか 関数 かんすう の増大 ぞうだい 列 れつ とする。つまり
0
≤
f
k
(
x
)
≤
f
k
+
1
(
x
)
∀
k
∈
N
,
a.e.
x
∈
E
.
{\displaystyle 0\leq f_{k}(x)\leq f_{k+1}(x)\quad \forall k\in \mathbb {N} ,{\text{ a.e. }}\ x\in E.}
このとき
lim
k
∫
f
k
d
μ みゅー
=
∫
lim
k
f
k
d
μ みゅー
.
{\displaystyle \lim _{k}\int f_{k}\,d\mu =\int \lim _{k}f_{k}\,d\mu .}
が成立 せいりつ する。
注意 ちゅうい : 左辺 さへん または右辺 うへん の一方 いっぽう が正 せい の無限 むげん 大 だい に発散 はっさん すれば、もう一方 いっぽう の辺 あたり も同様 どうよう である。
ファトゥーの補題 ほだい : {f k }k ∈N を非負 ひふ 値 ち 可 か 測 はか 関数 かんすう の列 れつ とする。このとき
∫
lim
_
k
f
k
d
μ みゅー
≤
lim
_
k
∫
f
k
d
μ みゅー
{\displaystyle \int \varliminf _{k}f_{k}\,d\mu \leq \varliminf _{k}\int f_{k}\,d\mu }
が成立 せいりつ する。
この定理 ていり においては左辺 さへん が正 せい の無限 むげん 大 だい に発散 はっさん すれば、右辺 うへん も正 せい の無限 むげん 大 だい に発散 はっさん する。
ルベーグの収束 しゅうそく 定理 ていり : {f k }k ∈N を可 か 測 はか 関数 かんすう の列 れつ で f に概 がい 収束 しゅうそく するとし、可 か 積分 せきぶん 関数 かんすう g によって、 E のほとんど至 いた るところで任意 にんい の k に対 たい して |f k | ≤ g と上下 じょうげ から押 お さえられているとする。このとき、極限 きょくげん 関数 かんすう f も可 か 積分 せきぶん であり
lim
k
∫
f
k
d
μ みゅー
=
∫
f
d
μ みゅー
{\displaystyle \lim _{k}\int f_{k}\,d\mu =\int f\,d\mu }
が成立 せいりつ する。
測度 そくど 論 ろん を全 まった く使 つか わない方法 ほうほう としては、リーマン積分 せきぶん はコンパクト 台 だい を持 も つ任意 にんい の連続 れんぞく 関数 かんすう に対 たい して定 さだ まっているので、関数 かんすう 解析 かいせき の手法 しゅほう を用 もち いることでより一般 いっぱん の関数 かんすう にこの積分 せきぶん を拡張 かくちょう する方法 ほうほう がある。Cc を R 上 うえ 定義 ていぎ された実 じつ 数値 すうち 関数 かんすう でコンパクト台 だい を持 も つもの全体 ぜんたい とする。ノルムをリーマン積分 せきぶん を用 もち いて
‖
f
‖
=
∫
|
f
(
x
)
|
d
x
{\displaystyle \|f\|=\int |f(x)|\,dx}
により定 さだ める。
これにより Cc は線形 せんけい ノルム空間 くうかん となる。距離 きょり 空間 くうかん の完備 かんび 化 か (Hausdorff completion) によって完備 かんび な空間 くうかん に拡張 かくちょう したものを L 1 とする。この空間 くうかん はルベーグ可 か 積分 せきぶん な関数 かんすう からなる空間 くうかん と(ほとんど至 いた るところ等 ひと しい関数 かんすう は同一 どういつ 視 し したとして)同型 どうけい となる。さらに、リーマン積分 せきぶん は Cc 上 うえ の連続 れんぞく な線形 せんけい 汎 ひろし 関数 かんすう であり、Cc は L 1 の稠密 ちゅうみつ な部分 ぶぶん 空間 くうかん であるから、L 1 上 うえ の線形 せんけい 汎 ひろし 関数 かんすう にただ一 いち 通 とお りに拡張 かくちょう できる。この拡張 かくちょう は、ルベーグ積分 せきぶん と一致 いっち する。
この方法 ほうほう の問題 もんだい 点 てん は関数 かんすう を空間 くうかん の点 てん として定 さだ めていることであり、この抽象 ちゅうしょう 的 てき な点 てん を関数 かんすう として表現 ひょうげん する方法 ほうほう が自明 じめい ではないことである。とりわけ、関数 かんすう 列 れつ の各 かく 点 てん 収束 しゅうそく と積分 せきぶん との関係 かんけい を示 しめ すことは非常 ひじょう に難 むずか しい。このアプローチを一般 いっぱん 化 か して局所 きょくしょ コンパクト空間 くうかん 上 うえ のラドン測度 そくど に関 かん する積分 せきぶん の理論 りろん を構築 こうちく することができる。これは Bourbaki (2004) によって採用 さいよう されたアプローチである。詳細 しょうさい は局所 きょくしょ コンパクト空間 くうかん 上 じょう のラドン測度 そくど を参照 さんしょう 。
高木 たかぎ 貞治 さだはる 『定本 ていほん 解析 かいせき 概論 がいろん 』岩波書店 いわなみしょてん
寺澤 てらさわ 順 じゅん 『はじめてのルベーグ積分 せきぶん 』日本 にっぽん 評論 ひょうろん 社 しゃ
猪狩 いかり 惺 『実 じつ 解析 かいせき 入門 にゅうもん 』岩波書店 いわなみしょてん
「数学 すうがく セミナー 」2010年 ねん 8月 がつ 号 ごう 、日本 にっぽん 評論 ひょうろん 社 しゃ (「実 じつ 解析 かいせき 」とは何 なに か)
新井 あらい 仁之 ひとし 『ルベーグ積分 せきぶん 講義 こうぎ 』日本 にっぽん 評論 ひょうろん 社 しゃ , 2003
森 もり 真 しん 『ルベーグ積分 せきぶん 超 ちょう 入門 にゅうもん 』共立 きょうりつ 出版 しゅっぱん
松浦 まつうら 武信 たけのぶ ・高橋 たかはし 宣明 のぶあき ・吉田 よしだ 正廣 まさひろ 『物理 ぶつり ・工学 こうがく のためのルベーグ積分 せきぶん 入門 にゅうもん 』東海大学 とうかいだいがく 出版 しゅっぱん 会 かい
谷島 やじま 賢二 けんじ 『ルベーグ積分 せきぶん と関数 かんすう 解析 かいせき 』朝倉書店 あさくらしょてん
谷島 やじま 賢二 けんじ 『新版 しんぱん ルベーグ積分 せきぶん と関数 かんすう 解析 かいせき 』朝倉書店 あさくらしょてん
黒田 くろだ 成俊 なりとし 『関数 かんすう 解析 かいせき 』共立 きょうりつ 出版 しゅっぱん
伊藤 いとう 清三 せいぞう , ルベーグ積分 せきぶん 入門 にゅうもん ,裳 も 華 はな 房 ぼう , 1963
竹之内 たけのうち 脩 おさむ , ルベーグ積分 せきぶん , 培風館 ばいふうかん , 1980
R. M. Dudley, Real Analysis and Probability , Wadsworth & Brookes/Cole, 1989. [ * 1]
P. R. Halmos, Measure Theory , D. van Nostrand Company, Inc. 1950. [ * 2]
L. H. Loomis, An Introduction to Abstract Harmonic Analysis , D. van Nostrand Company, Inc. 1953. [ * 3]
H. Lebesgue, Oeuvres Scientifiques , L'Enseignement Mathématique, 1972
M. E. Munroe, Introduction to Measure and Integration , Addison Wesley, 1953. [ * 4]
W. Rudin, Principles of Mathematical Analysis Third edition, McGraw Hill, 1976. [ * 5]
W. Rudin, Real and Complex Analysis , McGraw Hill, 1966. [ * 6]
^ Very thorough treatment, particularly for probabilists with good notes and historical references.
^ A classic, though somewhat dated presentation.
^ Includes a presentation of the Daniell integral.
^ Good treatment of the theory of outer measures.
^ Known as Little Rudin , contains the basics of the Lebesgue theory, but does not treat material such as Fubini's theorem .
^ Known as Big Rudin . A complete and careful presentation of the theory. Good presentation of the Riesz extension theorems. However, there is a minor flaw (in the first edition) in the proof of one of the extension theorems, the discovery of which constitutes exercise 21 of Chapter 2.