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かくりつ空間くうかん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

かくりつ空間くうかん(かくりつくうかん、えい: probability space)とは、はか空間くうかん (S, M)かくりつ測度そくど μみゅー(S) = 1れた測度そくど空間くうかん (S, M, μみゅー) をいう。根元ねもと事象じしょう無数むすうにあるなどの場合ばあいは、かくりつラプラス古典こてんてきかくりつ定義ていぎすることができず、かくりつ公理こうりてきかくりつとして定義ていぎすることがアンドレイ・コルモゴロフにより提唱ていしょうされている。かくりつ空間くうかんとは、そのために必要ひつよう概念がいねんである。

概要がいよう

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根元ねもと事象じしょう無数むすうにある場合ばあいは、かくりつラプラス古典こてんてきかくりつ定義ていぎすることができない。

たとえば、コインをひょうれば 10 えんもらえ、うられば 10 えんうしなうといったけにおいて、ひょうつづけていくという問題もんだいかんがえる。現実げんじつてきにはつかれたらそこで終了しゅうりょうとなるが、これを半永久はんえいきゅうてき毎日まいにちつづけていったらどうなるかというかくりつ分布ぶんぷかんがえられる(運命うんめいかくりつ)。この場合ばあい数学すうがくてき定式ていしきするには、すべてのコインの出現しゅつげんパターンをあつめる必要ひつようがある。すなわち

  • ひょうひょうひょうひょう
  • 裏表うらおもてひょうひょう
  • 表裏ひょうりひょうひょう
  • うら裏表うらおもてひょう
  • おもて表裏ひょうりひょう

根元ねもと事象じしょう全体ぜんたいとなる。

これらの根元ねもと事象じしょう全体ぜんたい可算かさん無限むげんある。(なぜなら、事象じしょう ωおめがてるかくりつへん数値すうち 0.a1a2(2)の (2) は2しんほう表示ひょうじあらわす)を、ωおめがiかいひょうなら ai = 1うらなら ai = 0 とする。このとき、かくりつへん数値すうち全体ぜんたいからなる集合しゅうごう区間くかん [0, 1] になる。ただし、0.111…(2) = 1.000…(2) のように、1つのかくりつへん数値すうち複数ふくすう事象じしょうあらわ場合ばあいがあるが、そのような有限ゆうげん小数しょうすうを2とおりで表示ひょうじする場合ばあいかぎられ、それら全体ぜんたい可算かさんであるから、それらをのぞいても可算かさんある。)

ぜん事象じしょうかくりつ1 であり、根元ねもと事象じしょう可算かさん無限むげんあり、根元ねもと事象じしょうかくりつはどれもひとしい(とうかくりつ空間くうかん)ため、根元ねもと事象じしょうかくりつ0 となる。そうすると、根元ねもと事象じしょう可算かさんかくりつてることは古典こてんてきかくりつではできない。このような理由りゆうから、測度そくどろん知識ちしき必要ひつようとなり、現代げんだいてき確率かくりつろん成立せいりつには測度そくどろんルベーグ積分せきぶんまれるまでたなければならなかったのである。一方いっぽうで、最近さいきんでは測度そくどろん研究けんきゅうはほとんど確率かくりつろん研究けんきゅう同義どうぎになっている。

直観ちょっかんてきかくりつ空間くうかんとは、こりうる事象じしょうすべあつめてきて、それらの頻度ひんどあらわかくりつ関数かんすうがある空間くうかんのことである。

定義ていぎ

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確率かくりつろんにおいて、かくりつ測度そくどとは、はか空間くうかん (S, E)たいし、E うえ定義ていぎされ P(S) = 1たす測度そくど P のことである。

このとき、ぐみ (S, E, P) のことをかくりつ空間くうかんぶ。さらに、集合しゅうごう S標本ひょうほん空間くうかんSもと標本ひょうほんあるいは標本ひょうほんてん完全かんぜん加法かほうぞく Eもと事象じしょうあるいはかくりつ事象じしょうぶ。また、Eもととしての Sぜん事象じしょうという。

事象じしょう Eたいし、PE における P(E) を、事象じしょう Eかくりつという。つまり、Eかくりつ定義ていぎできることがら全体ぜんたいである。

S部分ぶぶん集合しゅうごうかならずしも事象じしょうとはかぎらないことに注意ちゅういされたい。

  • 実数じっすうからなる区間くかん [0, 1] とそのボレル集合しゅうごうぞく B からなるはか空間くうかん ([0, 1], B) うえでルベーグ測度そくど μみゅーかんがえれば、μみゅー([0, 1])区間くかんなが|[0, 1]| = 1 − 0 = 1ひとしいので、μみゅー([0, 1], B) うえかくりつ測度そくどであり、ぐみ ([0, 1], B, μみゅー)かくりつ空間くうかんになる。
  • サイコロげのかくりつ空間くうかんつぎのようなものである:S = {1, 2, 3, 4, 5, 6}, E = 2S, P({k}) = 1/6 (k = 1, 2, 3, 4, 5, 6)

コルモゴロフの公理こうり

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かくりつ測度そくど定義ていぎは、コルモゴロフによるつぎかくりつ公理こうりかたちにまとめることができる。

  • だいいち公理こうりかくりつ0 以上いじょう 1 以下いかである:0 ≤ P(E) ≤ 1 for all EE
  • だい公理こうりぜん事象じしょう Sかくりつ1 である:P(S) = 1
  • だいさん公理こうり完全かんぜん加法かほうてきである;たがいにもとはか集合しゅうごうれつ {Ek}kNたいして、

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 竹之内たけのうちおさむ『ルベーグ積分せきぶん培風館ばいふうかん現代げんだい数学すうがくレクチャーズ〉、1980ねん9がつ 

関連かんれん項目こうもく

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