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かくりつ変数へんすう収束しゅうそく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学すうがく確率かくりつろん分野ぶんやにおいて、かくりつ変数へんすう収束しゅうそく(かくりつへんすうのしゅうそく、えい: convergence of random variables)にかんしては、いくつかのことなる概念がいねんがある。かくりつ変数へんすうれつのある極限きょくげんへの収束しゅうそくは、確率かくりつろんや、その応用おうようとしての統計とうけいがくかくりつ過程かてい研究けんきゅうにおける重要じゅうよう概念がいねんひとつである。より一般いっぱんてき数学すうがくにおいて同様どうよう概念がいねんかくりつ収束しゅうそく (stochastic convergence) としてられ、その概念がいねんは、本質ほんしつてきにランダムあるいは予測よそく不可能ふかのう事象じしょうれつは、そのれつからじゅうふんはなれているアイテムを研究けんきゅうする場合ばあいにおいて、しばしば、本質ほんしつてき不変ふへん挙動きょどうへとくことが予想よそうされることがある、というかんがえを定式ていしきするものである。ことなる収束しゅうそく概念がいねんとは、そのような挙動きょどう特徴とくちょうづけに関連かんれんするものである:すぐにかるふたつの挙動きょどうとは、そのれつ最終さいしゅうてき定数ていすうとなるか、あるいはそのれつふくまれる変動へんどうつづけるがある不変ふへんかくりつ分布ぶんぷによってその変動へんどう表現ひょうげんされる、というようなものである。

背景はいけい[編集へんしゅう]

かくりつ収束しゅうそく」とは、本質ほんしつてきにランダムあるいは予測よそく不可能ふかのうである事象じしょうれつがしばしばあるパターンへとくことが期待きたいされる、というかんがえを定式ていしきするものである。そのパターンとは、たとえば、

  • ある固定こていや、あるかくりつ事象じしょうから発生はっせいするそれ自身じしんへの、古典こてんてき意味いみでの収束しゅうそく
  • 純粋じゅんすい決定けっていろんてき関数かんすうからしょうじる結果けっかへの相似そうじせい増加ぞうか
  • ある特定とくてい結果けっかへの嗜好しこう増加ぞうか
  • ある特定とくてい結果けっかからはなれていることにたいする反発はんぱつ増加ぞうか

などがげられる。それより明白めいはくではないが、より理論りろんてきなパターンとしては

  • つぎ結果けっか表現ひょうげんするかくりつ分布ぶんぷが、ある分布ぶんぷへとよりるようになること
  • ある特定とくていからはなれた結果けっか期待きたい計算けいさんすることによって形成けいせいされるれつ0 へと収束しゅうそくすること
  • つぎ事象じしょう表現ひょうげんするかくりつ変数へんすう分散ぶんさんがよりすくなくなっていくこと

などがげられる。これらのこりうることなるタイプのパターンは、研究けんきゅうされていることなるタイプのかくりつ収束しゅうそくにおいて反映はんえいされる。

上述じょうじゅつ議論ぎろんひとつのれつひとつの極限きょくげんへの収束しゅうそく関連かんれんしているが、ふたつのれつたがいへと収束しゅうそくする概念がいねん重要じゅうようである。しかし、それは、それら2つのれつによって定義ていぎされるれつ研究けんきゅうすることによって容易よういあつかうことができる。

たとえば、ひとしい有限ゆうげん平均へいきん分散ぶんさんつような n 相関そうかん英語えいごばんかくりつ変数へんすう Yi, i = 1, …, n平均へいきん

あたえられるとすると、n無限むげんだいへと近付ちかづときXnかくりつ変数へんすう Yi共通きょうつう平均へいきん μみゅー へとかくりつ収束しゅうそく下記かき参照さんしょう)する。この結果けっか大数たいすうじゃく法則ほうそくとしてられる。べつのタイプの収束しゅうそくは、中心ちゅうしん極限きょくげん定理ていりふくべつ有用ゆうよう定理ていりにおいて重要じゅうようとなる。

以下いかでは、(Xn)かくりつへん数列すうれつとし、Xかくりつ変数へんすうとし、それらすべては同一どういつかくりつ空間くうかん うえ定義ていぎされるものとする。

分布ぶんぷ収束しゅうそく[編集へんしゅう]

分布ぶんぷ収束しゅうそくれい
サイコロ工場こうじょう
あたらしく建設けんせつされたばかりのサイコロ工場こうじょうについてかんがえる。はじめのほうつくられたサイコロには、その製造せいぞう過程かてい不完全ふかんぜんさに起因きいんして、かたよりがあるとかんがえられる。それらをげたときからられる分布ぶんぷは、理想りそうとする一様いちよう分布ぶんぷとはきわだってことなるものとなるであろう。

工場こうじょう改善かいぜんされるにつれてサイコロのかたよりはすくなくなり、よりあたらしくつくられたサイコロをげたとき一様いちよう分布ぶんぷによりちかいものとなっていく。
コイン
かたよりのいコインを n かいげたときひょう割合わりあいXn とする。このとき、X1期待きたい μみゅー = 0.5 および分散ぶんさん σしぐま2 = 0.25 であるベルヌーイ分布ぶんぷしたがう。それ以降いこうかくりつ変数へんすう X2, X3, … はすべてこうてき分布ぶんぷする。

nおおきくなるにつれて、その分布ぶんぷはしだいに正規せいき分布ぶんぷ釣鐘つりがねがた曲線きょくせんちかかたちるようになる。Xn適切てきせつにシフトし、リスケールすることによって標準ひょうじゅん正規せいき分布ぶんぷへと分布ぶんぷ収束しゅうそくする。この結果けっか有名ゆうめい中心ちゅうしん極限きょくげん定理ていりによるものである。
グラフれい

{Xi} を、一様いちよう U(−1,1) かくりつ変数へんすう独立どくりつ同一どういつれつとする。 を、それらの(正規せいきされた)とする。このとき、中心ちゅうしん極限きょくげん定理ていりより、Zn分布ぶんぷ標準ひょうじゅん N(0, 1/3) 分布ぶんぷへと近付ちかづく。この収束しゅうそくを、下図したずあらわす:nおおきくなるにつれて、かくりつ密度みつど関数かんすうはガウス曲線きょくせんへと近付ちかづいていく。

このタイプの収束しゅうそくにより、あるあたえられたかくりつ分布ぶんぷによってよりくモデルされるようなランダム実験じっけんれつにおける結果けっか期待きたいすることができる。

分布ぶんぷ収束しゅうそくは、この記事きじないべられるすべてのほかのタイプの収束しゅうそく意味いみするというてんにおいて、もっとよわ収束しゅうそくである。しかしながら、実際じっさい現場げんばにおいて、分布ぶんぷ収束しゅうそく非常ひじょうによく利用りようされる; もっともよくあらわれるのは、中心ちゅうしん極限きょくげん定理ていり応用おうようにおいてである。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

かくりつ変数へんすうれつ X1, X2, … が、あるかくりつ変数へんすう X へと分布ぶんぷ収束しゅうそくする、あるいはじゃく収束しゅうそくあるいは法則ほうそく収束しゅうそく (converge in law) するとは、

が、F連続れんぞくであるようなすべてのかず xRたいしてつことである。ここで、Fn および F はそれぞれかくりつ変数へんすう Xn および X累積るいせき分布ぶんぷ関数かんすうである。

F連続れんぞくであるようなてんのみをかんがえるということは本質ほんしつてきである。たとえば、もし Xn区間くかん [0, 1/n] うえ一様いちよう分布ぶんぷしているなら、そのれつ退化たいかかくりつ変数へんすう X = 0 へと収束しゅうそくする。実際じっさいx ≤ 0 であるときはすべての nたいして Fn(x) = 0ち、 n > 0 であるときはすべての x1/nたいして Fn(x) = 1つ。しかしながら、すべての nたいして Fn(0) = 0 であるにもかかわらず、この極限きょくげんかくりつ変数へんすうたいしては F(0) = 1 である。したがって、F不連続ふれんぞくてん x = 0 では累積るいせき分布ぶんぷ関数かんすう収束しゅうそく成立せいりつしない。

分布ぶんぷ収束しゅうそくつぎのように表記ひょうきすることができる。

ここで X法則ほうそくかくりつ分布ぶんぷ)である。たとえば、X標準ひょうじゅん正規せいきであるなら くことができる。

かくりつベクトル英語えいごばん (X1, X2, …) ⊂ Rkたいする分布ぶんぷ収束しゅうそくも、同様どうよう定義ていぎされる。このれつがあるかくりつ k-ベクトルへと分布ぶんぷ収束しゅうそくするとは、

が、X連続れんぞく集合しゅうごう英語えいごばんであるすべての ARkたいしてつことである。

分布ぶんぷ収束しゅうそく定義ていぎは、かくりつベクトルから、任意にんい距離きょり空間くうかんにおけるより複雑ふくざつかくりつ要素ようそや、さらには漸近ぜんきん場合ばあいのぞいてはかでない「かくりつ変数へんすう」にたいしてですら拡張かくちょうされる-そのような状況じょうきょうたとえば経験けいけん過程かてい研究けんきゅうにおいてあらわれ、これは「定義ていぎされていない法則ほうそくじゃく収束しゅうそく」である[1]

この場合ばあいじゃく収束しゅうそくというこのましい(測度そくどじゃく収束しゅうそく英語えいごばん参照さんしょうされたい)。また、かくりつ要素ようそれつ (Xn)X へとじゃく収束しゅうそくする(XnX記述きじゅつされる)とは、

がすべての連続れんぞく有界ゆうかい関数かんすう h(·)たいしてつことである[2]。ここで E*そと期待きたい (outer expectation)、すなわち、h(Xn)支配しはいするような最小さいしょうはか関数かんすう g期待きたいあらわす。

性質せいしつ[編集へんしゅう]

  • F(a) = Pr(Xa) であることから、分布ぶんぷ収束しゅうそくは、十分じゅうぶんおおきい nたいして Xn があるあたえられた領域りょういきふくまれるかくりつと、その領域りょういきXふくまれるかくりつがほとんどひとしいことを意味いみする。
  • 一般いっぱんてき分布ぶんぷ収束しゅうそくは、対応たいおうするかくりつ密度みつど関数かんすうれつ同様どうよう収束しゅうそくするということは意味いみしない。そのいちれいとして、密度みつど fn(x) = (1 − cos(2πぱいnx))1{x∈(0,1)}そなえるかくりつ変数へんすうかんがえる。そのようなかくりつ変数へんすう一様いちよう分布ぶんぷ U(0, 1) へと分布ぶんぷ収束しゅうそくするが、その密度みつど収束しゅうそくすることはない[3]
  • ポートマントーの補題ほだい英語えいごばんでは、分布ぶんぷ収束しゅうそくのいくつかの同値どうち定義ていぎべられている。それらの定義ていぎ直感ちょっかんにそぐわないものでもあるかもれないが、統計とうけいがくにおけるおおくの定理ていり証明しょうめい利用りようされている。その補題ほだいによれば、(Xn)X分布ぶんぷ収束しゅうそくするための必要ひつよう条件じょうけんは、つぎのいずれかが成立せいりつすることである:
  • Ef(Xn) → Ef(X) がすべての有界ゆうかい連続れんぞく関数かんすう fたいして成立せいりつする;
  • Eƒ(Xn) → Ef(X) がすべての有界ゆうかいリプシッツ関数かんすう fたいして成立せいりつする;
  • limsup{ Ef(Xn) } ≤ Ef(X) がすべてのうえはん連続れんぞくかつうえ有界ゆうかい関数かんすう fたいして成立せいりつする;
  • liminf{ Ef(Xn) } ≥ Ef(X) がすべてのしたはん連続れんぞくかつした有界ゆうかい関数かんすう fたいして成立せいりつする;
  • limsup{ Pr(XnC) } ≤ Pr(XC) がすべての集合しゅうごう Cたいして成立せいりつする;
  • liminf{ Pr(XnU) } ≥ Pr(XU) がすべてのひらけ集合しゅうごう Uたいして成立せいりつする;
  • lim{ Pr(XnA) } = Pr(XA) が、すべてのかくりつ変数へんすう X連続れんぞく集合しゅうごう英語えいごばん Aたいして成立せいりつする。
  • 連続れんぞく写像しゃぞう定理ていり英語えいごばんによると、g(·)連続れんぞく関数かんすうであるとき、かくりつへん数列すうれつ {Xn} が X分布ぶんぷ収束しゅうそくするなら、{g(Xn)} も g(X) へと分布ぶんぷ収束しゅうそくすることがかる。
  • レヴィの連続れんぞくせい定理ていりかくりつへん数列すうれつ {Xn} が X分布ぶんぷ収束しゅうそくするための必要ひつようじゅうふん条件じょうけんは、それらに対応たいおうする特性とくせい関数かんすうれつ (φふぁいn)X特性とくせい関数かんすう φふぁい へとかくてん収束しゅうそくすることである。
  • 分布ぶんぷ収束しゅうそくレヴィ-プロホロフ計量けいりょうによって距離きょり可能かのうである。
  • スコロホッドの表現ひょうげん定理ていりは、分布ぶんぷ収束しゅうそくへの自然しぜん拡張かくちょうである。

かくりつ収束しゅうそく[編集へんしゅう]

かくりつ収束しゅうそくれい
ある人物じんぶつ身長しんちょう
つぎのような実験じっけんかんがえる。はじめに、路上ろじょうひとなかからランダムに一人ひとりえらぶ。そのひと身長しんちょう X を、事前じぜんかくりつ変数へんすうとしてさだめておく。その人々ひとびとに、そのひと身長しんちょう目算もくさん予測よそくしてもらう作業さぎょうはじめる。Xn を、その人々ひとびとからの n かい回答かいとうまでにられた身長しんちょう数字すうじ平均へいきんとする。すると(バイアスいならば)大数たいすう法則ほうそくにより、れつ Xn はあらかじめさだめたかくりつ変数へんすう X へとかくりつ収束しゅうそくする。
射手しゃしゅ
ひとゆみたせ、まと目掛めがけてさせる作業さぎょうかんがえる。Xn を、そのひとn かいまでの射的しゃてき成績せいせきとする。はじめのうちは、そのひとはとても頻繁ひんぱんまとはずすこともかんがえられるであろうが、なんかえうちにそのひと射的しゃてき腕前うでまえ向上こうじょうし、てき中心ちゅうしん射抜いぬいて 10 てん成績せいせきることもこりやすくなるであろう。なんねん練習れんしゅうかさねたのちに、そのひとが 10 てん以外いがい成績せいせき可能かのうせいはよりひくくなるであろう。したがって、れつ XnX = 10 へとかくりつ収束しゅうそくする。

ここで Xn は、がい収束しゅうそくはしないことに注意ちゅういされたい。そのひとがどれほどすぐれた射手しゃしゅであろうと、失敗しっぱいをするかくりつはわずかにでもつね存在そんざいしている。したがって、れつ (Xn)けっして定常ていじょう状態じょうたいになることはい。たとえその頻度ひんどすくなくなろうと、パーフェクトでない成績せいせきかならずそこにふくまれる。

例外れいがいてき」な結果けっかこるかくりつは、れつすすむにつれてよりちいさくなる、というかんがかたが、このタイプの収束しゅうそく背景はいけいにある。

かくりつ収束しゅうそく概念がいねん統計とうけいがくにおいて非常ひじょう頻繁ひんぱんもちいられる。たとえば、ある推定すいていりょう一致いっち推定すいていりょうであるとは、それが推定すいていされたりょうへとかくりつ収束しゅうそくすることをう。かくりつ収束しゅうそくはまた、大数たいすうじゃく法則ほうそくにより確立かくりつされる収束しゅうそくひとつでもある。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

かくりつ収束しゅうそく定義ていぎ正式せいしきべる。任意にんいεいぷしろん > 0 および任意にんいδでるた > 0えらぶ。X中心ちゅうしんとする半径はんけい εいぷしろん外側そとがわXn があるかくりつPn とする。このとき、XnX へとかくりつ収束しゅうそくするためには、すべての nNδでるたたいしてかくりつ Pnδでるた よりちいさくなる、あるかず Nδでるた存在そんざいしなければならない。

かくりつ収束しゅうそくは、収束しゅうそくあらわ矢印やじるし記号きごう pくわえるか、かくりつ極限きょくげん作用素さようそ "plim" を使つかってあらわされる:

性質せいしつ[編集へんしゅう]

  • かくりつ収束しゅうそくするならば、分布ぶんぷ収束しゅうそくする[proof]
  • かくりつ収束しゅうそくしても、かならずしもがい収束しゅうそくしない[proof]
  • ぎゃくに、分布ぶんぷ収束しゅうそくかくりつ収束しゅうそく意味いみするためには、極限きょくげんかくりつ変数へんすう X定数ていすうである必要ひつようがある[proof]
  • 連続れんぞく写像しゃぞう定理ていり英語えいごばんによると、どのような連続れんぞく関数かんすう g(·)たいしても、 であるならば 成立せいりつする。
  • かくりつ収束しゅうそくは、ある固定こていされたかくりつ空間くうかんたいするかくりつ変数へんすう空間くうかんじょう位相いそう定義ていぎする。この位相いそうは、つぎべるカイ・ファン英語えいごばん計量けいりょうにより距離きょり可能かのうである[4]

あるいは

.

がい収束しゅうそく[編集へんしゅう]

がい収束しゅうそくれい
れい 1
短命たんめいたねであるいちひき動物どうぶつについてかんがえる。その動物どうぶつ毎日まいにち食事しょくじ数量すうりょう記録きろくする。この数量すうりょうれつ予測よそく不可能ふかのうであろうが、その0 となるは「たしかにかならず」おとずれるであろう。そのはその永遠えいえん0 でありつづける。
れい 2
毎朝まいあさ 7 まいのコインをげるおとこについてかんがえる。そのおとこは、ひょう枚数まいすうだけ 1 ポンド貨幣かへい午後ごごチャリティーへと寄付きふすることを日課にっかとしているが、すべてがうらであったときにはその日課にっか永遠えいえんめることにめている。

X1, X2, … を、そのチャリティーがかれから日々ひび金額きんがくとする。

その金額きんがく0 となり、またその0 でありつづけるようなおとずれることは「ほとんどたしかに」予想よそうできるであろう。

しかし、コインをげる有限ゆうげんであるのなら、そのような終了しゅうりょう条件じょうけんこらないかくりつ0 ではない。

がい収束しゅうそくは、初等しょとうてきじつ解析かいせき分野ぶんやられるかくてん収束しゅうそく概念がいねんとほぼ同様どうような、かくりつ収束しゅうそくひとつのかたである。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

かくりつへん数列すうれつ XnX へとがい収束しゅうそくあるいはほとんど確実かくじつ収束しゅうそくほとんどいたところ収束しゅうそくかくりつ 1収束しゅうそくあるいはつよ収束しゅうそくするとは、

つことである。

うえしきは、XnX へと収束しゅうそくしない事象じしょうきるかくりつ0 であるという意味いみで、XnXへと近付ちかづくことを意味いみする(ほとんど (数学すうがく)参照さんしょう)。かくりつ空間くうかん さだめ、Ωおめが から R への関数かんすうとしてのかくりつ変数へんすう概念がいねん利用りようすることで、うえしき

同値どうちとなる。

またがい収束しゅうそく同値どうち定義ていぎには、以下いかもある:

がい収束しゅうそくは、しばしば、収束しゅうそくあらわ矢印やじるしうえ記号きごう a.s.(almost surelyのりゃく)をくわえることによって表現ひょうげんされる:

距離きょり空間くうかん (S, d) うえ一般いっぱんてきかくりつ要素ようそ (Xn)たいしても、同様どうようがい収束しゅうそく定義ていぎされる:

性質せいしつ[編集へんしゅう]

  • がい収束しゅうそくかくりつ収束しゅうそく意味いみし、したがって分布ぶんぷ収束しゅうそく意味いみする。大数たいすうつよ法則ほうそくもちいられる概念がいねんは、がい収束しゅうそくである。
  • がい収束しゅうそく概念がいねんは、かくりつ変数へんすう空間くうかんじょうトポロジーからしょうじるものではない。このことは、がい収束しゅうそくがそのトポロジーにかんする収束しゅうそくれつまったひとしいようなかくりつ変数へんすう空間くうかんじょうのトポロジーというものは存在そんざいしないことを意味いみする。とくに、がい収束しゅうそくには計量けいりょうい。

確実かくじつ収束しゅうそく[編集へんしゅう]

あるかくりつ空間くうかんうえ定義ていぎされるれつあるいはかくりつ変数へんすう (Xn)(すなわち、かくりつ過程かてい)が X確実かくじつ収束しゅうそく (sure convergence) あるいはかくてん収束しゅうそくするとは、

つことである。ここで Ωおめが は、かくりつ変数へんすう定義ていぎされるかくりつ空間くうかんふくまれる標本ひょうほん空間くうかんである。

これは、関数かんすうれつかくてん収束しゅうそく概念がいねんかくりつ変数へんすうれつへと拡張かくちょうしたものである(かくりつ変数へんすうはそれ自身じしん関数かんすうであることに注意ちゅういされたい)。

かくりつ変数へんすう確実かくじつ収束しゅうそくは、上述じょうじゅつほかすべての収束しゅうそく意味いみする。しかし、がい収束しゅうそくわりに確実かくじつ収束しゅうそくもちいることのメリットは確率かくりつろんにおいてはあまりい。それら2つの収束しゅうそくちがいは、かくりつ 0集合しゅうごうかんするてんのみに存在そんざいする。このことが、確実かくじつ収束しゅうそく概念がいねん滅多めったもちいられることの理由りゆうである。

平均へいきん収束しゅうそく[編集へんしゅう]

ある r ≥ 1たいし、れつ (Xn)X へと r平均へいきん収束しゅうそく(あるいは、Lr-ノルムについて収束しゅうそく)するとは、(Xn) および Xrつぎ絶対ぜったいせきりつ存在そんざいし、かつ

つことである。ここで作用素さようそ E は期待きたいあらわす。r平均へいきん収束しゅうそくは、(Xn)Xrつぎのべきの期待きたい0 へと収束しゅうそくすることを意味いみする。

このたね収束しゅうそくはしばしば、収束しゅうそくあらわうえ記号きごう Lrくわえることで表現ひょうげんされる:

r平均へいきん収束しゅうそくかんして重要じゅうようなケースをしたげる:

  • r = 1 について XnX へと r平均へいきん収束しゅうそくするとき、XnX平均へいきん収束しゅうそくするとわれる。
  • r = 2 について XnX へと r平均へいきん収束しゅうそくするとき、XnX二乗にじょう平均へいきん収束しゅうそくするとう。この収束しゅうそくはまたつぎのように記述きじゅつされることもある[5]

r > 1かんする r平均へいきん収束しゅうそくは、(マルコフの不等式ふとうしきにより)かくりつ収束しゅうそく意味いみする。また、r > s ≥ 1 であるときr平均へいきん収束しゅうそくs平均へいきん収束しゅうそく意味いみする。このことから、二乗にじょう平均へいきん収束しゅうそく平均へいきん収束しゅうそく意味いみすることがかる。

性質せいしつ[編集へんしゅう]

様々さまざま収束しゅうそく概念がいねんあいだ包含ほうがん関係かんけい以下いか記述きじゅつする。それらは、記号きごう使つかうことで、つぎのようにあらわされる:

いくつかの特別とくべつ場合ばあいとともに、これらの性質せいしつつぎのようにまとめる:

  • がい収束しゅうそくは、かくりつ収束しゅうそく意味いみする[6][proof]
  • かくりつ収束しゅうそくは、がい収束しゅうそくするような部分ぶぶんれつ 存在そんざいすることを意味いみする[7]
  • かくりつ収束しゅうそくは、分布ぶんぷ収束しゅうそく意味いみする[6][proof]
  • r平均へいきん収束しゅうそくは、かくりつ収束しゅうそく意味いみする:
  • r平均へいきん収束しゅうそくは、よりていつぎ(ただしそれらはいずれも 1 よりおおきいものとする)の平均へいきん収束しゅうそく意味いみする:
    provided rs ≥ 1.
  • Xn定数ていすう c へと分布ぶんぷ収束しゅうそくするなら、Xnc へとかくりつ収束しゅうそくする[6][proof]
    provided c is a constant.
  • XnX へと分布ぶんぷ収束しゅうそくし、XnYn0 へとかくりつ収束しゅうそくするなら、Yn もまた X分布ぶんぷ収束しゅうそくする[6][proof]
  • XnX分布ぶんぷ収束しゅうそくし、Yn定数ていすう c分布ぶんぷ収束しゅうそくするなら、それらの結合けつごうベクトル (Xn, Yn) は (X, c)分布ぶんぷ収束しゅうそくする[6][proof]
    provided c is a constant.

ここで Yn定数ていすう収束しゅうそくするという条件じょうけん重要じゅうようであることに注意ちゅういされたい。もしその収束しゅうそくがあるかくりつ変数へんすう Y へのものであったら、(Xn, Yn)(X, Y)収束しゅうそくするという結論けつろんられない。

  • XnXかくりつ収束しゅうそくし、YnYかくりつ収束しゅうそくするなら、それらの結合けつごうベクトル (Xn, Yn)(X, Y)かくりつ収束しゅうそくする[6][proof]
  • XnXかくりつ収束しゅうそくし、すべての n およびある bたいして P(|Xn| ≤ b) = 1成立せいりつするなら、Xn はすべての r ≥ 1たいして X へと r平均へいきん収束しゅうそくする。いいかえると、XnX へとかくりつ収束しゅうそくし、すべての Xn がほとんど確実かくじつ上下じょうげとも有界ゆうかいであるなら、Xn任意にんいr について Xr平均へいきん収束しゅうそくする。
  • がい収束しゅうそく表現ひょうげん通常つうじょう分布ぶんぷ収束しゅうそくがい収束しゅうそく意味いみするものではない。しかし、X0分布ぶんぷ収束しゅうそくするあるあたえられたれつ (Xn)たいしては、あたらしいかくりつ空間くうかん (Ωおめが, F, P) とそのうえ定義ていぎされるかくりつ変数へんすう (Yn, n = 0, 1, …) で、かく n ≥ 0たいして Yn分布ぶんぷとして Xnひとしく、また YnY0 へとがい収束しゅうそくするようなものをつけることがつね可能かのうである[8]
  • すべての εいぷしろん > 0たいして
であるとき、XnX へとほとんど完全かんぜんに (almost completely) 収束しゅうそくするとう。XnX へほとんど完全かんぜん収束しゅうそくするなら、それはまた Xがい収束しゅうそくもする。いいかえると、もし Xn十分じゅうぶんはやXかくりつ収束しゅうそくする[注釈ちゅうしゃく 1]なら、XnXがい収束しゅうそくもする。これは、ボレル・カンテリの補題ほだいからの直接的ちょくせつてき帰結きけつである。
  • Snn じつ独立どくりつかくりつ変数へんすう
としたとき、Snがい収束しゅうそくすることとかくりつ収束しゅうそくすることは同値どうちである。
  • ゆう収束しゅうそく定理ていりは、がい収束しゅうそくL1-収束しゅうそく意味いみするための十分じゅうぶん条件じょうけんあたえる:
  • L1 収束しゅうそくのための必要ひつようじゅうふん条件じょうけんは、 かつれつ (Xn)一様いちよう積分せきぶんであることである。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ すなわち、上述じょうじゅつ末尾まつびかくりつれつ任意にんいεいぷしろん > 0たいして直和なおかず可能かのうである。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Bickel et al. 1998, A.8, page 475
  2. ^ van der Vaart & Wellner 1996, p. 4
  3. ^ Romano & Siegel 1985, Example 5.26
  4. ^ Dudley 2002, p. 289
  5. ^ Porat, B. (1994). Digital Processing of Random Signals: Theory & Methods. Prentice Hall. p. 19. ISBN 0-13-063751-3 
  6. ^ a b c d e f van der Vaart 1998, Theorem 2.7
  7. ^ Gut, Allan (2005). Probability: A graduate course. Theorem 3.4: Springer. ISBN 0-387-22833-0 
  8. ^ van der Vaart 1998, Th.2.19

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Bickel, Peter J.; Klaassen, Chris A.J.; Ritov, Ya’acov; Wellner, Jon A. (1998). Efficient and adaptive estimation for semiparametric models. New York: Springer-Verlag. ISBN 0-387-98473-9. LCCN QA27-6800 
  • Billingsley, Patrick (1986). Probability and Measure. Wiley Series in Probability and Mathematical Statistics (2nd ed.). Wiley 
  • Billingsley, Patrick (1999). Convergence of probability measures (2nd ed.). John Wiley & Sons. pp. 1–28. ISBN 0-471-19745-9 
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  • Grimmett, G.R.; Stirzaker, D.R. (1992). Probability and random processes (2nd ed.). Clarendon Press, Oxford. pp. 271–285. ISBN 0-19-853665-8 
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