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条件じょうけんかくりつ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
等式とうしき P(AB) = P(A|B)P(B)決定けっていによる図示ずし

条件じょうけんかくりつ(じょうけんつきかくりつ、えい: conditional probability)は、ある事象じしょう Bこるという条件下じょうけんかでのべつ事象じしょう Aかくりつのことをいう。条件じょうけんかくりつP(A|B) または PB(A) のようにあらわされる[1]条件じょうけんかくりつ P(A|B) はしばしば「Bこったときの A の(条件じょうけんき)かくりつ」「条件じょうけん Bしたでの Aかくりつ」などと表現ひょうげんされる。なお英文えいぶんにおいては通例つうれい“probability of A given B または “probability of A under the condition B表現ひょうげんされる。

定義ていぎ

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A および B事象じしょうとし、P(B) > 0 とすると、B における A条件じょうけんかくりつ

あるいは

により定義ていぎされる[2][3]

測度そくどろんてき定義ていぎ

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上記じょうき定義ていぎでは P(B) = 0 の場合ばあい P(A|B) は未定義みていぎである。しかしながら、そのような事象じしょうたいして完全かんぜん加法かほうぞく観点かんてんから条件じょうけんかくりつ定義ていぎすることは可能かのうである。

たとえば、X と Y は退化たいか分布ぶんぷではない連続れんぞく同時どうじ分布ぶんぷ ƒX,Y(x,y) にしたがかくりつ変数へんすうであるとする。B がせい測度そくど場合ばあい以下いか成立せいりつする。

しかし B の測度そくどが 0 の場合ばあい問題もんだいである。B = {y0} の場合ばあいたんいちてん表現ひょうげんしているが、条件じょうけんかくりつ以下いかになる。

この方法ほうほうボレル-コルモゴロフのパラドックス英語えいごばんしょうじる。測度そくどが 0 の場合ばあいのより一般いっぱんてきなケースではさら問題もんだいである。下記かきのように極限きょくげん表記ひょうきし、すべての δでるたyi が 0 にちかづく場合ばあい、どのように 0 にちかづくかに依存いぞんする。

独立どくりつせい

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2つのランダム事象じしょう AB

のとき、またそのときにかぎ独立どくりつである。あるいは独立どくりつ事象じしょう AB については

かつ

である。いいかえれば、AB独立どくりつならば、条件じょうけん Bしたでの A条件じょうけんかくりつA周辺しゅうへん分布ぶんぷひとしく、また同様どうよう条件じょうけん Aしたでの B条件じょうけんかくりつB周辺しゅうへんかくりつひとしい。

排反はいはんせい

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2つの事象じしょう A, Bせき事象じしょう ABそら事象じしょうであることを、ABたがいに排反はいはん (mutually exclusive) であるという。排反はいはん事象じしょうせきそら事象じしょうとなるため、そのせき事象じしょうかくりつはゼロである。つまり、そら事象じしょう についていつでも

であるから、

つ。したがって条件じょうけんかくりつ定義ていぎより、事象じしょう A, B の(周辺しゅうへんかくりつがゼロでない場合ばあいA, B排反はいはんするならば条件じょうけんかくりつ P(A | B)(および P(B | A))はゼロとなる。

上述じょうじゅつとお排反はいはん事象じしょうせきかくりつおよび条件じょうけんかくりつはゼロとなるが、そのぎゃくりたない。このことはかくりつゼロのそらでない事象じしょう存在そんざいによってしめされる。たとえば [0, 1)実数じっすうからランダムに1つをえら場合ばあいA = {x | x ≤ 0.5}, B = {x | x ≥ 0.5} とするとせき事象じしょうかくりつP(AB) = P({x | x = 0.5}) = 0 となるが([0, 1) から 0.5 まんかずが、あるいは 0.5 以上いじょうかずえらばれることはある程度ていど期待きたいできたとしても、えらばれたかず0.5 であることはほとんど確実かくじつ期待きたいできない)、せき事象じしょう自体じたいAB = {x | x = 0.5} であってそら事象じしょうではなく、したがって AB排反はいはんではない。

その

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  • ある事象じしょう Bたいして P(B) ≠ 0 ならば、すべての事象じしょう Aたいして、Q(A) = P(A|B)定義ていぎされる関数かんすう Qかくりつ測度そくどである。
  • 条件じょうけんかくりつ決定けっていベン図べんずによりわかりやすく表示ひょうじできる。

関連かんれんする概念がいねんとそれらの関係かんけい

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同時どうじかくりつ

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同時どうじかくりつえい: simultaneous probability)または結合けつごうかくりつえい: joint probability)は、複数ふくすう事象じしょうがどちらもこるかくりつをいう(時間じかんてき同時どうじという意味いみではない)。AB同時どうじかくりつP(AB) または P(A, B)く。同時どうじ分布ぶんぷは、多次元たじげんかくりつ分布ぶんぷ[4]

周辺しゅうへんかくりつ

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周辺しゅうへんかくりつえい: marginal probability)は、事象じしょうにかかわりなく1つの事象じしょうだけのかくりつをいう(普通ふつう条件じょうけんなしのかくりつひとしい)。周辺しゅうへんかくりつ同時どうじかくりつ不要ふよう事象じしょうかんして合計ごうけい(または一般いっぱん積分せきぶん)すればられる。A周辺しゅうへんかくりつP(A)B周辺しゅうへんかくりつP(B)あらわされる。なお、周辺しゅうへん分布ぶんぷは、k 次元じげんかくりつ変数へんすう部分ぶぶん集合しゅうごうである k - 1 変数へんすう同時どうじ分布ぶんぷである[5]

ただし、以上いじょうの2つの事象じしょう ABあいだには時間じかん関係かんけいまたは因果いんが関係かんけいはなくてもよく、どんな関係かんけいであってもよいことに注意ちゅういされたい。たとえばベイズ推定すいていもちいられる事後じごかくりつとは、ある根拠こんきょ条件じょうけんとして、その原因げんいんとなった(時間じかんてきにも以前いぜんの)事象じしょう推測すいそくしたかくりつをいう。

かくりつ条件じょうけんけるということは、べつの(あるいはあらたな)情報じょうほう考慮こうりょしてかくりつ改訂かいていすることであり、数学すうがくてきにはベイズの定理ていりしめされる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 西岡にしおか 2013, p. 44, §4.1 条件じょうけんかくりつ.
  2. ^ 伏見ふしみ 1942, p. 63, だいIIあきら 確率かくりつろん 8せつ 公理系こうりけい.
  3. ^ ラプラス 1997, p. 21, だいよん原理げんり.
  4. ^ JIS Z 8101-1 : 1999, 1.4 2次元じげん分布ぶんぷ関数かんすう.
  5. ^ JIS Z 8101-1 : 1999, 1.6 周辺しゅうへん分布ぶんぷ.

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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