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ラプラス原理 げんり (ラプラスげんり、英 えい : Laplace principle, Laplace's principle )は大 だい 偏差 へんさ 原理 げんり (英語 えいご 版 ばん ) に関 かん する理論 りろん の基本 きほん 的 てき な定理 ていり である。ラプラス原理 げんり を一般 いっぱん 化 か したものとしてヴァラダンの補題 ほだい (英語 えいご 版 ばん ) がある。ラプラス原理 げんり は、固定 こてい された集合 しゅうごう A 上 うえ の exp(−θ しーた φ ふぁい (x )) のルベーグ積分 せきぶん が、θ しーた を大 おお きくしていったときにどのような漸近 ぜんきん 的 てき な振 ふ る舞 ま いを見 み せるかについて述 の べる。実際 じっさい の例 れい としては、統計 とうけい 力学 りきがく において逆 ぎゃく 温度 おんど を無限 むげん 大 だい する極限 きょくげん 、すなわち温度 おんど が絶対 ぜったい 零 れい 度 ど に近 ちか づくとき、その系 けい がどのように振 ふ る舞 ま うかを議論 ぎろん する際 さい に、ラプラス原理 げんり が用 もち いられている。
A をルベーグ可 か 測 はか な d 次元 じげん のユークリッド空間 くうかん R d の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう とし、可 か 測 はか 関数 かんすう φ ふぁい : R d → R について
∫
A
e
−
φ ふぁい
(
x
)
d
x
<
+
∞
{\displaystyle \int _{A}e^{-\varphi (x)}\,\mathrm {d} x<+\infty }
であるとする。このとき、以下 いか の関係 かんけい が成 な り立 た つ。
lim
θ しーた
→
+
∞
1
θ しーた
log
∫
A
e
−
θ しーた
φ ふぁい
(
x
)
d
x
=
−
e
s
s
i
n
f
x
∈
A
φ ふぁい
(
x
)
.
{\displaystyle \lim _{\theta \to +\infty }{\frac {1}{\theta }}\log \int _{A}e^{-\theta \varphi (x)}\,\mathrm {d} x=-\mathop {\mathrm {ess\,inf} } _{x\in A}\varphi (x).}
ここで ess inf は本質 ほんしつ 的 てき 下限 かげん (essential infimum) を表 あらわ す。充分 じゅうぶん 大 おお きな θ しーた について、上 うえ の関係 かんけい から次 つぎ のような漸近 ぜんきん 表現 ひょうげん が得 え られる。
∫
A
e
−
θ しーた
φ ふぁい
(
x
)
d
x
≈
exp
(
−
θ しーた
e
s
s
i
n
f
x
∈
A
φ ふぁい
(
x
)
)
.
{\displaystyle \int _{A}e^{-\theta \varphi (x)}\,\mathrm {d} x\approx \exp \left(-\theta \mathop {\mathrm {ess\,inf} } _{x\in A}\varphi (x)\right).}
ラプラス原理 げんり は以下 いか に与 あた える確 かく 率 りつ 測度 そくど P θ しーた の族 ぞく
P
θ しーた
(
A
)
=
(
∫
A
e
−
θ しーた
φ ふぁい
(
x
)
d
x
)
/
(
∫
R
d
e
−
θ しーた
φ ふぁい
(
y
)
d
y
)
.
{\displaystyle \mathbf {P} _{\theta }(A)=\left(\int _{A}e^{-\theta \varphi (x)}\,\mathrm {d} x\right){\Big /}\left(\int _{\mathbf {R} ^{d}}e^{-\theta \varphi (y)}\,\mathrm {d} y\right).}
に対 たい して適用 てきよう すれば、θ しーた を大 おお きくした場合 ばあい の、ある事象 じしょう (集合 しゅうごう )A に対 たい する確 かく 率 りつ の漸近 ぜんきん 表現 ひょうげん を与 あた えることができる。
たとえば X を R 上 うえ で正規 せいき 分布 ぶんぷ する確 かく 率 りつ 変数 へんすう とすると、すべての可 か 測 はか 集合 しゅうごう A について
lim
ε いぷしろん
↓
0
ε いぷしろん
log
P
[
ε いぷしろん
X
∈
A
]
=
−
e
s
s
i
n
f
x
∈
A
x
2
2
{\displaystyle \lim _{\varepsilon \downarrow 0}\varepsilon \log \mathbf {P} {\big [}{\sqrt {\varepsilon }}X\in A{\big ]}=-\mathop {\mathrm {ess\,inf} } _{x\in A}{\frac {x^{2}}{2}}}
という関係 かんけい が成 な り立 た つ。
Dembo, Amir; Zeitouni, Ofer (1998). Large deviations techniques and applications . Applications of Mathematics (New York) 38 (Second edition ed.). New York: Springer-Verlag. pp. xvi+396. ISBN 0-387-98406-2 MR 1619036