この項目 こうもく では、解析 かいせき 学 がく の分野 ぶんや について説明 せつめい しています。微分 びぶん を求 もと める操作 そうさ 、微分 びぶん 演算 えんざん については「微分 びぶん 」をご覧 らん ください。
函数 かんすう のグラフ(黒 くろ )とその接線 せっせん (赤 あか )。接線 せっせん の傾 かたむ きが接点 せってん における函数 かんすう の微分 びぶん 係数 けいすう に等 ひと しい。
数学 すうがく における微分 びぶん 法 ほう (びぶんほう、英 えい : differential calculus ; 微分 びぶん 学 がく )は微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく の分科 ぶんか で、量 りょう の変化 へんか に注目 ちゅうもく して研究 けんきゅう を行 おこな う。微分 びぶん 法 ほう は積分 せきぶん 法 ほう と並 なら び、微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく を二分 にぶん する歴史 れきし 的 てき な分野 ぶんや である。
微分 びぶん 法 ほう における第 だい 一 いち の研究 けんきゅう 対象 たいしょう は関数 かんすう の微分 びぶん (微分 びぶん 商 しょう 、微分 びぶん 係数 けいすう )、および無限 むげん 小 しょう などの関連 かんれん 概念 がいねん やその応用 おうよう である。函数 かんすう の選択 せんたく された入力 にゅうりょく における微分 びぶん 商 しょう は入力 にゅうりょく 値 ち の近傍 きんぼう での函数 かんすう の変化 へんか 率 りつ を記述 きじゅつ するものである。微分 びぶん 商 しょう を求 もと める過程 かてい もまた、微分 びぶん (differentiation ) と呼 よ ばれる。幾何 きか 学的 がくてき にはグラフ上 じょう の一 いち 点 てん における微分 びぶん 係数 けいすう は、それが存在 そんざい してその点 てん において定義 ていぎ されるならば、その点 てん におけるグラフ の接線 せっせん の傾 かたむ き である。一変 いっぺん 数 すう の実 じつ 数値 すうち 関数 かんすう に対 たい しては、一 いち 点 てん における函数 かんすう の微分 びぶん は一般 いっぱん にその点 てん における函数 かんすう の最適 さいてき 線型 せんけい 近似 きんじ を定 さだ める。
微分 びぶん 法 ほう と積分 せきぶん 法 ほう を繋 つな ぐのが微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく の基本 きほん 定理 ていり であり、これは積分 せきぶん が微分 びぶん の逆 ぎゃく を行 おこな う過程 かてい であることを述 の べるものである。
微分 びぶん は量 りょう を扱 あつか うほとんど全 すべ ての分野 ぶんや に応用 おうよう を持 も つ。たとえば物理 ぶつり 学 がく において、動 うご く物体 ぶったい の変位 へんい の時間 じかん に関 かん する導 しるべ 函数 かんすう はその物体 ぶったい の速度 そくど であり、速度 そくど の時間 じかん に関 かん する導 しるべ 函数 かんすう は加速度 かそくど である。物体 ぶったい の運動 うんどう 量 りょう の導 しるべ 函数 かんすう はその物体 ぶったい に及 およ ぼされた力 ちから に等 ひと しい(この微分 びぶん に関 かん する言及 げんきゅう を整理 せいり すれば運動 うんどう の第 だい 2法則 ほうそく に結 むす び付 つ けられる有名 ゆうめい な方程式 ほうていしき F = m a が導 みちび かれる)。化学 かがく 反応 はんのう の反応 はんのう 速度 そくど も導 みちびけ 函数 かんすう である。オペレーションズ・リサーチ において導 しるべ 函数 かんすう は物資 ぶっし 転送 てんそう や工場 こうじょう 設計 せっけい の最適 さいてき な応報 おうほう の決定 けってい に用 もち いられる。
導 しるべ 函数 かんすう は函数 かんすう の最大 さいだい と最小 さいしょう を求 もと めるのに頻繁 ひんぱん に用 もち いられる。導 しるべ 函数 かんすう を含 ふく む方程式 ほうていしき は微分 びぶん 方程式 ほうていしき と呼 よ ばれ、自然 しぜん 現象 げんしょう の記述 きじゅつ において基本 きほん 的 てき である。微分 びぶん およびその一般 いっぱん 化 か は数学 すうがく の多 おお くの分野 ぶんや に現 あらわ れ、例 たと えば複素 ふくそ 解析 かいせき 、関数 かんすう 解析 かいせき 学 がく 、微分 びぶん 幾何 きか 学 がく 、測度 そくど 論 ろん および抽象 ちゅうしょう 代 だい 数学 すうがく などを挙 あ げることができる。
点 てん (x ,f (x )) における接線 せっせん
x および y は実数 じっすう で、y は x の函数 かんすう 、すなわち各 かく x の値 ね に対 たい して対応 たいおう する y の値 ね がひとつ存在 そんざい すると仮定 かてい する。この関係 かんけい を y = f (x ) と書 か くことができる。f (x ) が直線 ちょくせん に対 たい する等式 とうしき (線型 せんけい 方程式 ほうていしき )ならば二 ふた つの実数 じっすう m および b が存在 そんざい して y = mx + b が成 な り立 た つ。この「傾 かたむ き・切片 せっぺん 標準 ひょうじゅん 形 がた 」において m は傾 かたむ き と呼 よ ばれ、差分 さぶん 商 しょう
m
=
Δ でるた
y
Δ でるた
x
{\displaystyle m={\frac {\Delta y}{\Delta x}}}
によって決定 けってい することができる。ここに記号 きごう Δ でるた (ギリシア文字 もじ 大文字 おおもじ のデルタ )は変化 へんか の増分 ぞうぶん を表 あらわ す。従 したが って Δ でるた y = m Δ でるた x 。
直線 ちょくせん でない一般 いっぱん の函数 かんすう では、傾 かたむ きを持 も たないことが起 お こる。幾何 きか 学的 がくてき には、点 てん x = a における f の微分 びぶん 係数 けいすう とは函数 かんすう f の点 てん a における接線 せっせん の傾 かたむ きのことをいい、上記 じょうき の差分 さぶん 商 しょう の極限 きょくげん (微分 びぶん 商 しょう )に等 ひと しい。これはしばしば微分 びぶん の記法 きほう に従 したが って f ' (a ) , あるいはライプニッツの記法 きほう に従 したが って dy / dx |x =a と書 か かれる。微分 びぶん 商 しょう は f の a における線型 せんけい 近似 きんじ の傾 かたむ きであるから、この微分 びぶん 商 しょう (と a における f の値 ね )は点 てん a の近 ちか くで f の最適 さいてき 線型 せんけい 近似 きんじ あるいは線型 せんけい 性 せい を決定 けってい する。
f の定義 ていぎ 域 いき の各 かく 点 てん a において微分 びぶん 商 しょう が存在 そんざい するならば、各 かく 点 てん a を f の a における微分 びぶん 商 しょう へ写 うつ す函数 かんすう (導 しるべ 函数 かんすう )が存在 そんざい する。例 たと えば、f (x ) = x 2 とすれば導 しるべ 函数 かんすう は f ' (x ) = dy / dx = 2x である。
これと近 ちか しい関係 かんけい の概念 がいねん として、関数 かんすう の微分 びぶん がある。接点 せってん (a , f (a )) を原点 げんてん として、各 かく 軸 じく に平行 へいこう な座標軸 ざひょうじく dx , dy を持 も つ局所 きょくしょ 座標 ざひょう 系 けい を考 かんが えるとき、この座標 ざひょう 系 けい において原点 げんてん を通 とお り傾 かたむ き dy / dx |x =a の直線 ちょくせん (すなわち、もとの座標 ざひょう 系 けい でみれば f の a における接線 せっせん )は dy = dy / dx |x =a dx で表 あらわ される。これは x = a における増分 ぞうぶん Δ でるた y = Δ でるた y / Δ でるた x |x =a Δ でるた x の線型 せんけい 化 か 、線型 せんけい 主要 しゅよう 部 ぶ であり、dy は f の a における微分 びぶん と呼 よ ばれる。
x および y が実 じつ 変数 へんすう のときは f の x における微分 びぶん 商 しょう は f のグラフの x における接線 せっせん の傾 かたむ きであり、f の始 はじめ 域 いき と終 おわり 域 いき は一 いち 次元 じげん であるから、f の微分 びぶん 商 しょう は実数 じっすう として与 あた えられるが、x および y がベクトル変数 へんすう のとき、f のグラフの最適 さいてき 線型 せんけい 近似 きんじ は f が一 いち 度 ど に複数 ふくすう の方向 ほうこう へどれほど変化 へんか するかに依存 いぞん する。一 ひと つの方向 ほうこう に関 かん する最適 さいてき 線型 せんけい 近似 きんじ をとることは偏 へん 微分 びぶん (通常 つうじょう 、∂y / ∂x と書 か かれる)を決定 けってい する。一 いち 度 ど にすべての方向 ほうこう への f の線型 せんけい 化 か は函数 かんすう の全 ぜん 微分 びぶん df という。
微分 びぶん 法 ほう の歴史 れきし [ 編集 へんしゅう ]
接線 せっせん の傾 かたむ きを知 し るという意味 いみ で言 い えば、微分 びぶん 係数 けいすう の概念 がいねん は旧 ふる く古代 こだい ギリシア のエウクレイデス (c. 300 BC), アルキメデス (c. 287–212 BC), ペルガのアポロニウス (c. 262–190 BC) ら幾何 きか 学者 がくしゃ たちには馴染 なじ みのものであった[1] 。またアルキメデスは無限 むげん 小 しょう を用 もち いる方法 ほうほう も導入 どうにゅう しているが、それは微分 びぶん や接線 せっせん に関 かん してではなくて主 おも に面積 めんせき や体積 たいせき に対 たい してである(『方法 ほうほう 』 の項 こう を参照 さんしょう )。
変化 へんか 率 りつ の研究 けんきゅう に無限 むげん 小 しょう を利用 りよう することは、インドの数学 すうがく において恐 おそ らく紀元前 きげんぜん 500年 ねん くらい頃 ころ には見 み つけることができる。天文学 てんもんがく 者 しゃ で数学 すうがく 者 しゃ のアーリヤバタ (476–550) は月 つき の軌道 きどう の研究 けんきゅう に無限 むげん 小 しょう を用 もち いた[2] 。変化 へんか 率 りつ の計算 けいさん に無限 むげん 小 しょう を用 もち いる手法 しゅほう はバースカラ2世 せい (1114–1185) によって飛躍 ひやく 的 てき に推 お し進 すす められた。実際 じっさい 、ロルの定理 ていり など[3] の微分 びぶん 法 ほう における重要 じゅうよう な概念 がいねん がその研究 けんきゅう 結果 けっか には含 ふく まれていると言 い われている[4] 。アラビア数学 すうがく シャラフ・アル゠ディン・アル゠ツシ (英語 えいご 版 ばん ) (1135–1213) は三 さん 次 じ 関数 かんすう の微分 びぶん 係数 けいすう を初 はじ めて求 もと めて、微分 びぶん 法 ほう における重要 じゅうよう な足跡 あしあと を残 のこ した[5] 。その「方程式 ほうていしき に関 かん する研究 けんきゅう 論文 ろんぶん 」では、導 しるべ 函数 かんすう や曲線 きょくせん の最大 さいだい と最小 さいしょう など、正 せい の解 かい を持 も たない三 さん 次 じ 方程式 ほうていしき を解 と くための微分 びぶん 法 ほう に関 かん する概念 がいねん が展開 てんかい されている[6] 。
現代 げんだい 的 てき な微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく は、アイザック・ニュートン (1643–1727) およびゴットフリート・ライプニッツ (1646–1716) の両者 りょうしゃ が独立 どくりつ に創始 そうし したというのが通例 つうれい である[注 ちゅう 1] 。これにより微分 びぶん を求 もと めることと接線 せっせん の傾 かたむ きを求 もと めることとが統一 とういつ 的 てき に扱 あつか われるようになるが、彼 かれ らを創始 そうし 者 しゃ とする鍵 かぎ となる洞察 どうさつ は微分 びぶん 法 ほう と積分 せきぶん 法 ほう とを結 むす びつける微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく の基本 きほん 定理 ていり であり、これは時代遅 じだいおく れの(イブン・ハイサム (アルハゼン)の時代 じだい [7] からそれほど拡張 かくちょう されたわけではなかった)古 ふる くからある面積 めんせき や体積 たいせき の計算 けいさん 法 ほう を塗 ぬ り替 か えるものである[注 ちゅう 2] 。ニュートンとライプニッツ両者 りょうしゃ の微分 びぶん に関 かん する考 かんが え方 かた は、アイザック・バロー (1630–1677), ルネ・デカルト (1596–1650), クリスティアーン・ホイヘンス (1629–1695), ブレーズ・パスカル (1623–1662), ジョン・ウォリス (1616–1703) ら数 すう 学者 がくしゃ の著 いちじる しい先駆 せんく 的 てき 研究 けんきゅう の上 うえ に打 う ちたてられている。一般 いっぱん 的 てき にはバローが微分 びぶん の先駆 せんく 的 てき 発明 はつめい 者 しゃ とされる[8] にも拘 かかわ らず、ニュートンとライプニッツが微分 びぶん 法 ほう の歴史 れきし における重要 じゅうよう 人物 じんぶつ であることに変 か わりないのは、少 すく なくともニュートンが微分 びぶん 法 ほう を理論 りろん 物理 ぶつり 学 がく に応用 おうよう した最初 さいしょ の人 ひと であり、一方 いっぽう ライプニッツは今日 きょう においても使用 しよう される系統 けいとう 的 てき な記号 きごう 法 ほう を生 う み出 だ したといった理由 りゆう による。
17世紀 せいき 以降 いこう 多 おお くの数学 すうがく 者 しゃ が微分 びぶん 法 ほう に貢献 こうけん している。19世紀 せいき には、微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく はオーギュスタン=ルイ・コーシー (1789–1857), ベルンハルト・リーマン (1826–1866), カール・ワイエルシュトラス ら数学 すうがく 者 しゃ によってより厳密 げんみつ な基礎 きそ の上 うえ に置 お かれることになる。このころにはまた、微分 びぶん 法 ほう はユークリッド空間 くうかん や複素 ふくそ 平面 へいめん 上 うえ へも一般 いっぱん 化 か されている。
最適 さいてき 化 か 問題 もんだい [ 編集 へんしゅう ]
f は実数 じっすう 直線 ちょくせん ℝ (またはその開 ひらけ 区間 くかん )上 じょう で定義 ていぎ された微分 びぶん 可能 かのう 関数 かんすう で、x は f の極大 きょくだい 値 ち または極小 きょくしょう 値 ち を与 あた える点 てん とするとき、f の導 しるべ 函数 かんすう の x における値 ね は零 れい に等 ひと しい。f' (x ) = 0 なる点 てん は臨界 りんかい 点 てん または停留 ていりゅう 点 てん (英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ばれ、また f の x における値 ね は臨界 りんかい 値 ち (英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ばれる(臨界 りんかい 点 てん の定義 ていぎ は、微分 びぶん 係数 けいすう が存在 そんざい しない点 てん まで含 ふく めるように拡張 かくちょう することがある)。逆 ぎゃく に、f の臨界 りんかい 点 てん x を f の x における二 に 階 かい 導 しるべ 関数 かんすう を考 かんが えることで調 しら べることができる:
二 に 階 かい 微分 びぶん 係数 けいすう が正 せい ならば x で極小 きょくしょう であり、
二 に 階 かい 微分 びぶん 係数 けいすう が負 まけ ならば x で極大 きょくだい であり、
二 に 階 かい 微分 びぶん 係数 けいすう が零 れい ならば x で極小 きょくしょう かもしれないし極大 きょくだい かもしれないし何 いず れでもないかもしれない。例 たと えば、f (x ) = x 3 は x = 0 に臨界 りんかい 点 てん を持 も つがそこでは極小 きょくしょう でも極大 きょくだい でもない。他方 たほう f (x ) = ± x 4 は x = 0 に臨界 りんかい 点 てん を持 も ち、そこでそれぞれ極小 きょくしょう 値 ち および極大 きょくだい 値 ち をとる。
これは二 に 階 かい 微分 びぶん 判定 はんてい 法 ほう (英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ばれる。別 べつ なやり方 かた として、一 いち 階 かい 微分 びぶん 判定 はんてい 法 ほう (英語 えいご 版 ばん ) は臨界 りんかい 点 てん の前後 ぜんご における f' の符号 ふごう の変化 へんか を見 み る。
微分 びぶん して臨界 りんかい 点 てん に関 かん して解 と くことは、数理 すうり 最適 さいてき 化 か において有効 ゆうこう な極 きょく 値 ち を求 もと めるための簡単 かんたん な方法 ほうほう としてよく用 もち いられる。最大 さいだい 値 ち 最小 さいしょう 値 ち 定理 ていり により、閉区間 あいだ 上 じょう 定義 ていぎ される連続 れんぞく 函数 かんすう は区間 くかん 内 ない で少 すく なくとも一 ひと つの最小 さいしょう 値 ち および最大 さいだい 値 ち に到達 とうたつ しなければならない。さらに函数 かんすう が微分 びぶん 可能 かのう ならば、極小 きょくしょう および極大 きょくだい は臨界 りんかい 点 てん または端 はし 点 てん でのみ達成 たっせい できる。
これはまたグラフを描 えが くのにも応用 おうよう を持 も つ。可 か 微分 びぶん 函数 かんすう の極小 きょくしょう 値 ち および極大 きょくだい 値 ち がわかったならば、グラフの概 がい 形 がた は臨界 りんかい 点 てん の間 あいだ で増大 ぞうだい するか減少 げんしょう するかを見 み ることで分 わ かる。
高 こう 次元 じげん において、スカラー値 ち 函数 かんすう の臨界 りんかい 点 てん はその勾配 こうばい が零 れい になる点 てん である。二 に 階 かい 微分 びぶん 判定 はんてい 法 ほう は、臨界 りんかい 点 てん における函数 かんすう の二 に 階 かい 偏 へん 微分 びぶん 係数 けいすう からなるヘッセ行列 ぎょうれつ の固有値 こゆうち と固有 こゆう ベクトル を考 かんが えることで、やはり臨界 りんかい 点 てん を調 しら べるのに利用 りよう できる。全 すべ ての固有値 こゆうち が正 せい ならば臨界 りんかい 点 てん で極小 きょくしょう であり、全 すべ て負 まけ ならば極大 きょくだい であり、いくつかは正 せい で残 のこ りが負 まけ ならば臨界 りんかい 点 てん は鞍点 あんてん である。その何 いず れの場合 ばあい でもない(つまり、いくつかの固有値 こゆうち が零 れい である)ならばこの判定 はんてい 法 ほう では結論 けつろん は出 で ない。
最適 さいてき 化 か 問題 もんだい の一 ひと つの例 れい は、「曲面 きょくめん 上 じょう の二 に 点 てん 間 あいだ を結 むす ぶ最短 さいたん 曲線 きょくせん を求 もと めよ、曲線 きょくせん はある曲面 きょくめん 上 じょう に無 な ければならないものとする」というようなものである。考 かんが える曲面 きょくめん が平面 へいめん ならば最短 さいたん 曲線 きょくせん は直線 ちょくせん である。しかし曲面 きょくめん が例 たと えば卵 たまご 型 がた のようなものならば最短 さいたん 経路 けいろ 問題 もんだい はすぐには明 あき らかでない。そのような経路 けいろ は測地 そくち 線 せん と呼 よ ばれ、変 へん 分 ぶん 法 ほう におけるもっとも単純 たんじゅん な問題 もんだい の一 ひと つが、測地 そくち 線 せん を求 もと めることである。別 べつ の例 れい は「空間 くうかん ないの閉曲線 へいきょくせん が囲 かこ む最小 さいしょう の面積 めんせき を求 もと めよ」というものである。この曲面 きょくめん は極小 きょくしょう 曲面 きょくめん と呼 よ ばれ、これも変 へん 分 ぶん 法 ほう を用 もち いて求 もと めることができる。
微分 びぶん 方程式 ほうていしき [ 編集 へんしゅう ]
微分 びぶん 方程式 ほうていしき は函数 かんすう とその各階 かくかい 導 しるべ 函数 かんすう たちの間 あいだ に成 な り立 た つ関係 かんけい を記述 きじゅつ するものである。常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき は一変 いっぺん 数 すう 函数 かんすう とその変数 へんすう に関 かん する導 しるべ 函数 かんすう に対 たい する微分 びぶん 方程式 ほうていしき であり、偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき は多 た 変数 へんすう 函数 かんすう とその偏 へん 微分 びぶん に対 たい する微分 びぶん 方程式 ほうていしき である。微分 びぶん 方程式 ほうていしき は物理 ぶつり 科学 かがく 、数理 すうり モデリングおよび数学 すうがく 自身 じしん のなかから自然 しぜん に生 しょう じてくる。例 たと えば、力 ちから と加速度 かそくど の関係 かんけい を記述 きじゅつ する運動 うんどう の第 だい 2法則 ほうそく は二 に 階 かい 常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき F (t ) = m d 2 x / dt 2 で記述 きじゅつ される。また、真 ま っ直 す ぐな筒 つつ を通 とお る熱 ねつ の拡散 かくさん の仕方 しかた を記述 きじゅつ する一 ひと つの空間 くうかん 変数 へんすう に関 かん する熱 ねつ 伝導 でんどう は偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき ∂u / ∂t = α あるふぁ ∂2 u / ∂x 2 で記述 きじゅつ される。ただし、u (x ,t ) は x の位置 いち の時刻 じこく t における筒 つつ の温度 おんど を表 あらわ し、α あるふぁ は筒 つつ を通 とお る熱 ねつ の拡散 かくさん の仕方 しかた に依存 いぞん して決 き まる定数 ていすう である。
平均 へいきん 値 ち の定理 ていり [ 編集 へんしゅう ]
平均 へいきん 値 ち の定理 ていり は微分 びぶん 係数 けいすう の値 ね と元 もと の函数 かんすう の値 ね との関係 かんけい を記述 きじゅつ する。f (x ) が実 じつ 数値 すうち 函数 かんすう で a, b は a < b を満 み たす数 かず とするとき、平均 へいきん 値 ち の定理 ていり は、緩 ゆる やかな仮定 かてい の下 した で二 に 点 てん (a , f (a )) および (b , f (b )) 間 あいだ の傾 かたむ きが a と b の間 あいだ にある適当 てきとう な点 てん c における接線 せっせん の傾 かたむ きに等 ひと しいことを主張 しゅちょう する。記号 きごう で書 か けば f' (c ) = f (b ) − f (a )/ b − a が成 な り立 た つ。
実用 じつよう 上 じょう は、平均 へいきん 値 ち の定理 ていり がやっていることは、導 しるべ 函数 かんすう によって函数 かんすう 自身 じしん を制御 せいぎょ することである。例 たと えば、f が各 かく 点 てん において零 れい に等 ひと しい導 しるべ 函数 かんすう を持 も つとすると、これはその接線 せっせん が至 いた る所 ところ 水平 すいへい であることを意味 いみ するから、函数 かんすう 自身 じしん も水平 すいへい でなければならない。平均 へいきん 値 ち の定理 ていり はこれが実際 じっさい に正 ただ しいことを証明 しょうめい する。f グラフ上 じょう の任意 にんい の二 に 点 てん 間 あいだ の傾 かたむ きは f の接線 せっせん の一 ひと つの傾 かたむ きに等 ひと しくなければならず、それは全 すべ て零 れい なのであるから、グラフ上 じょう の一 いち 点 てん から別 べつ の任意 にんい の点 てん へ引 ひ いた任意 にんい の直線 ちょくせん も傾 かたむ き零 れい でなければならない。そしてそのような函数 かんすう は上昇 じょうしょう も下降 かこう もできないのだから水平 すいへい 線 せん に他 た ならない。
導 しるべ 函数 かんすう に対 たい してより複雑 ふくざつ な条件 じょうけん を与 あた えれば、正確 せいかく 性 せい は落 お ちるがより有効 ゆうこう なもとの函数 かんすう に関 かん する情報 じょうほう が得 え られる。
導 しるべ 函数 かんすう は与 あた えられた点 てん において可能 かのう な函数 かんすう の最適 さいてき 線型 せんけい 近似 きんじ を与 あた えるが、それはもとの函数 かんすう とは非常 ひじょう に異 こと なることもある。この近似 きんじ を改善 かいぜん する一 ひと つの方法 ほうほう は、二 に 次 じ の近似 きんじ をとることである。それはつまり、実 じつ 数値 すうち 函数 かんすう f (x ) の点 てん x 0 における線型 せんけい 化 か が一 いち 次 じ の多項式 たこうしき 函数 かんすう a + b (x − x 0 ) であるのに対 たい し、より良 よ い近似 きんじ が二 に 次 じ 多項式 たこうしき a + b (x − x 0 ) + c (x − x 0 )2 を考 かんが えることで得 え られるかもしれないということである。三 さん 次 じ 多項式 たこうしき a + b (x − x 0 ) + c (x − x 0 )2 + d (x − x 0 )3 なら更 さら によいかもしれないし、この考 かんが えはより高次 こうじ の多項式 たこうしき に対 たい しても推 お し進 すす めることができる。これらの多項式 たこうしき の各々 おのおの に対 たい して、可能 かのう な限 かぎ りの近似 きんじ を実現 じつげん する係数 けいすう a, b, c, d の最適 さいてき な選 えら び方 かた があるはずである。
x 0 の近傍 きんぼう において、a として可能 かのう な最適 さいてき の選択 せんたく は常 つね に f (x 0 ) であり、b に対 たい して可能 かのう な最適 さいてき の選択 せんたく は常 つね に f' (x 0 ) である。c, d およびより高階 たかしな の係数 けいすう についてもそれら係数 けいすう は f の高階 たかしな 微分 びぶん 係 がかり 数 すう によって決定 けってい される。c は常 つね に f" (x 0 )/ 2 であるはずだし、d は常 つね に f' " (x 0 )/ 3! となるはずである。これら係数 けいすう を用 もち いて f のテイラー多項式 たこうしき が得 え られる。次数 じすう d のテイラー多項式 たこうしき は f の最適 さいてき 近似 きんじ となる d -次 じ 多項式 たこうしき であり、その係数 けいすう は上記 じょうき の式 しき を一般 いっぱん 化 か したものによって求 もと められる。テイラーの定理 ていり はそれがどの程度 ていど よい近似 きんじ であるのかの詳 くわ しい評価 ひょうか を与 あた える。f が次数 じすう d 以下 いか の多項式 たこうしき ならば次数 じすう d のテイラー多項式 たこうしき は f 自身 じしん に一致 いっち する。
テイラー多項式 たこうしき の極限 きょくげん はテイラー級数 きゅうすう と呼 よ ばれる無限 むげん 級数 きゅうすう である。テイラー級数 きゅうすう はしばしばもとの函数 かんすう の非常 ひじょう に良 よ い近似 きんじ を与 あた える。自身 じしん のテイラー級数 きゅうすう と一致 いっち するような函数 かんすう は解析 かいせき 関数 かんすう と呼 よ ばれる。不連続 ふれんぞく だったり尖 とが ったりしている函数 かんすう は解析 かいせき 的 てき になることはできない。そして滑 なめ らかな関数 かんすう だが解析 かいせき 的 てき でない函数 かんすう が存在 そんざい する。
陰 かげ 函数 かんすう 定理 ていり [ 編集 へんしゅう ]
円 えん など自然 しぜん な幾何 きか 学 がく 図形 ずけい のうちにはグラフ として描 えが くことができないものが存在 そんざい する。例 たと えば f (x , y ) = x 2 + y 2 − 1 と置 お けば円 えん は f (x , y ) = 0 なる対 たい (x , y ) 全体 ぜんたい の成 な す集合 しゅうごう (f の零 れい 点 てん 集合 しゅうごう )である。これは f のグラフと同 おな じものではない(グラフは円錐 えんすい になる)。陰 かげ 函数 かんすう 定理 ていり は f (x , y ) = 0 のような関係 かんけい を函数 かんすう に変換 へんかん するものである。陰 かげ 函数 かんすう 定理 ていり は、f が滑 なめ らかな関数 かんすう ならば、ほとんどの点 てん の周 まわ りで f の零 れい 点 てん 集合 しゅうごう は函数 かんすう のグラフを貼 は り合 あわ せたものに見 み えることを主張 しゅちょう する。これが成 な りたない点 てん は f の微分 びぶん に関 かん する条件 じょうけん から決定 けってい される。例 たと えば円 えん の場合 ばあい s、二 ふた つの函数 かんすう ± √ 1 - x 2 のグラフの貼 は り合 あわ せにすることができる。(−1, 0) および (1, 0) を除 のぞ く円上 えんじょう の各 かく 点 てん の近傍 きんぼう においてこの二 ふた つの函数 かんすう のうちの一方 いっぽう が円 えん のように見 み えるグラフを持 も つ(これら二 ふた つの函数 かんすう は (−1, 0) および (1, 0) で交 まじ わるが、陰 かげ 函数 かんすう 定理 ていり はそのことは保証 ほしょう しない)。
陰 かげ 函数 かんすう 定理 ていり は、函数 かんすう が逆 ぎゃく 函数 かんすう の貼 は り合 あわ せのように見 み えることを述 の べる逆 ぎゃく 函数 かんすう 定理 ていり と近 ちか しい関係 かんけい がある。
^ ニュートンの研究 けんきゅう は1666年 ねん に始 はじ まり、ライプニッツは1676年 ねん に始 はじ まる。が、ライプニッツが最初 さいしょ の論文 ろんぶん を出 だ すのが1684年 ねん で、1693年 ねん に出版 しゅっぱん のニュートンに先 さき んじている。ライプニッツがニュートンの1673年 ねん か1676年 ねん の研究 けんきゅう ドラフトを目 め にしたことや、あるいはニュートンがライプニッツの研究 けんきゅう を自分 じぶん の研究 けんきゅう の洗練 せんれん に用 もち いたことなどは、可能 かのう 性 せい としてはあり得 え ることである。両者 りょうしゃ は互 たが いに相手 あいて が自分 じぶん の仕事 しごと を盗作 とうさく したと主張 しゅちょう した。この顛末 てんまつ は誰 だれ が微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく の創始 そうし 者 しゃ であるかを巡 めぐ って両者 りょうしゃ の苦 にが い論争 ろんそう (英語 えいご 版 ばん ) となり、18世紀 せいき 初頭 しょとう の数学 すうがく 界 かい に大 おお きな衝撃 しょうげき を与 あた えた。
^ 限定 げんてい された特定 とくてい の場合 ばあい に関 かん してはジェームス・グレゴリー (1638–1675) がすでに証明 しょうめい しており、いくつか重要 じゅうよう な例 れい に関 かん してはピエール・ド・フェルマー (1601–1665) の仕事 しごと に見 み つけることができるとはいえ、これは記念 きねん 碑 ひ 的 てき な到達 とうたつ 点 てん であった。
^ エウクレイデスの『原論 げんろん 』 、アルキメデス・パリンプセスト および O'Connor, John J.; Robertson, Edmund F. , “Apollonius of Perga” , MacTutor History of Mathematics archive , University of St Andrews , https://mathshistory.st-andrews.ac.uk/Biographies/Apollonius/ .を参照 さんしょう
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