出典 しゅってん は列挙 れっきょ するだけでなく、脚注 きゃくちゅう などを用 もち いてどの記述 きじゅつ の情報 じょうほう 源 げん であるかを明記 めいき してください。記事 きじ の信頼 しんらい 性 せい 向上 こうじょう にご協力 きょうりょく をお願 ねが いいたします。(2022年 ねん 2月 がつ )
数学 すうがく において、複雑 ふくざつ な形状 けいじょう の曲線 きょくせん (弧状 こじょう 線分 せんぶん )の弧 こ 長 ちょう (こちょう、英 えい : arc length )を決定 けってい する問題 もんだい は、曲線 きょくせん の求 もとめ 長 ちょう (rectification) とも呼 よ ばれ、特定 とくてい の曲線 きょくせん に対 たい する求 もとめ 長 ちょう 法 ほう は歴史 れきし 的 てき に様々 さまざま なものが考 かんが えられてきたが、無限 むげん 小 しょう 解析 かいせき の到来 とうらい とともに曲線 きょくせん に依 よ らない一般 いっぱん 論 ろん が導 みちび かれ、いくつかの場合 ばあい にはそこから閉 と じた形 かたち の式 しき (英語 えいご 版 ばん ) が得 え られる。
複数 ふくすう の線分 せんぶん による近似 きんじ
平面 へいめん 内 うち の曲線 きょくせん は、曲線 きょくせん 上 じょう の有限 ゆうげん 個 こ の点 てん を線分 せんぶん で結 むす んで得 え られる折線 おれせん で近似 きんじ することができる。各 かく 線分 せんぶん の長 なが さは、ユークリッド空間 くうかん におけるピタゴラスの定理 ていり などから直接 ちょくせつ に求 もと まるので、近似 きんじ 折線 おれせん の総 そう 延長 えんちょう はそれらの線分 せんぶん の長 なが さの総和 そうわ として決定 けってい することができる。
考 かんが えている曲線 きょくせん がはじめから折線 おれせん なのでなければ、用 もち いる線分 せんぶん の長 なが さを短 みじか くして数 かず を増 ふ やすことによって、よりその曲線 きょくせん に近 ちか い形 かたち の折線 おれせん 近似 きんじ が得 え られる。そうやってよりよい近似 きんじ 折線 おれせん を次々 つぎつぎ につくっていくと、その長 なが さは減 へ ることはなく、場合 ばあい によっては無制限 むせいげん に増加 ぞうか し続 つづ ける可能 かのう 性 せい もある。しかし、殊 こと 滑 なめ らかな曲線 きょくせん に限 かぎ っては、それは線分 せんぶん の長 なが さを無限 むげん に小 ちい さく する極限 きょくげん で必 かなら ず一定 いってい の極限 きょくげん 値 ち へ収斂 しゅうれん する。このように、ある種 しゅ の曲線 きょくせん に対 たい しては、任意 にんい の近似 きんじ 折線 おれせん の長 なが さの上 うえ 界 かい に最小 さいしょう 値 ち L が存在 そんざい する。そのとき、その曲線 きょくせん は有限 ゆうげん 長 ちょう であるといい、値 ね L をその曲線 きょくせん の弧 こ 長 ちょう と呼 よ ぶのである。
X はユークリッド空間 くうかん R n や、より一般 いっぱん の距離 きょり 空間 くうかん であるとし、C を空間 くうかん X 内 うち の曲線 きょくせん とする。すなわち、C は実数 じっすう 直線 ちょくせん 内 うち の閉区間 あいだ [a , b ] から X への連続 れんぞく 写像 しゃぞう f : [a , b ] → X の像 ぞう である。
区間 くかん [a , b ] に対 たい して 区間 くかん の分割 ぶんかつ
a
=
t
0
<
t
1
<
⋯
<
t
n
−
1
<
t
n
=
b
{\displaystyle a=t_{0}<t_{1}<\cdots <t_{n-1}<t_{n}=b}
を考 かんが えれば、曲線 きょくせん C 上 うえ に有限 ゆうげん 個 こ の点 てん f (t 0 ), f (t 1 ), ... , f (t n -1 ), f (t n ) をとることができる。f (t i ) から f (t i +1 ) への距離 きょり をそれぞれ d (f (t i )) , d (f (t i +1 )) で表 あらわ せば、これはこの2点 てん を結 むす ぶ線分 せんぶん の長 なが さである。
曲線 きょくせん C の弧 こ 長 ちょう L = L (C ) は
L
(
C
)
=
sup
a
=
t
0
<
t
1
<
⋯
<
t
n
=
b
∑
i
=
0
n
−
1
d
(
f
(
t
i
)
,
f
(
t
i
+
1
)
)
{\displaystyle L(C)=\sup _{a=t_{0}<t_{1}<\cdots <t_{n}=b}\sum _{i=0}^{n-1}d(f(t_{i}),f(t_{i+1}))}
で与 あた えられる。ただし、上限 じょうげん sup は区間 くかん [a , b ] の分割 ぶんかつ 個数 こすう n をいくらでも大 おお きくとってできる分割 ぶんかつ すべてに亘 わた ってとる。
弧 こ 長 ちょう L は有限 ゆうげん にも無限 むげん にもなりうるが、L ≠ ∞ ならば C は有限 ゆうげん 長 ちょう (rectifiable ; 求 もとめ 長 ちょう 可能 かのう )であるといい[注 ちゅう 1] 、さもなくば無限 むげん 長 ちょう (non-rectifiable ; 求 もとめ 長 ちょう 不能 ふのう )であるという。この弧 こ 長 ちょう の定義 ていぎ において、C は可 か 微分 びぶん 函数 かんすう f で定義 ていぎ されている必要 ひつよう はない。実際 じっさい のところ、一般 いっぱん の距離 きょり 空間 くうかん 上 じょう で考 かんが えている場合 ばあい には、微分 びぶん 可能 かのう 性 せい を定義 ていぎ することが一般 いっぱん には期待 きたい できない。
曲線 きょくせん は様々 さまざま な方法 ほうほう で媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ されうる。そこで曲線 きょくせん C が定義 ていぎ 写像 しゃぞう f 以外 いがい に媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ g : [c , d ] → X をも持 も つ場合 ばあい を考 かんが える。f および g が単 たん 射 い であるときには、連続 れんぞく 単調 たんちょう 写像 しゃぞう S : [a , b ] → [c , d ] が存在 そんざい して、g (S (t )) = f (t ) が成 な り立 た ち、逆 ぎゃく 写像 しゃぞう S -1 : [c , d ] → [a , b ] が存在 そんざい する。明 あき らかに、任意 にんい の
∑
i
=
0
n
−
1
d
(
f
(
t
i
)
,
f
(
t
i
+
1
)
)
{\displaystyle \sum _{i=0}^{n-1}d(f(t_{i}),f(t_{i+1}))}
の形 かたち の和 わ は、u i = S (t i ) とおけば、
∑
i
=
0
n
−
1
d
(
g
(
u
i
)
,
g
(
u
i
+
1
)
)
{\displaystyle \sum _{i=0}^{n-1}d(g(u_{i}),g(u_{i+1}))}
の形 かたち の和 わ に等 ひと しく、逆 ぎゃく もまた同様 どうよう である。従 したが って弧 こ 長 ちょう は、それが媒介 ばいかい 変数 へんすう の取 と り方 かた に依 よ らないという意味 いみ で、曲線 きょくせん に内在 ないざい する性質 せいしつ であることがわかる。
曲線 きょくせん に対 たい するこの弧 こ 長 ちょう の定義 ていぎ は、実 じつ 数値 すうち 函数 かんすう に対 たい する全 ぜん 変 へん 分 ぶん (全 ぜん 変動 へんどう )の定義 ていぎ の類似 るいじ である。
実 じつ 函数 かんすう f (x ) で、f および導 しるべ 函数 かんすう f ’ が閉区間 あいだ [a , b ] 上 うえ の連続 れんぞく 函数 かんすう であるようなものを考 かんが えると、f のグラフの x = a から x = b までの間 あいだ の弧 こ 長 ちょう s は
s
=
∫
a
b
1
+
[
f
′
(
x
)
]
2
d
x
{\displaystyle s=\int _{a}^{b}{\sqrt {1+[f'(x)]^{2}}}\,dx}
で与 あた えられる。
曲線 きょくせん が x = X (t ) , y = Y (t ) と媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ されている場合 ばあい 、f ’(x ) = dy / dx = dy / dt / dx / dt であるから
s
=
∫
a
b
1
+
[
f
′
(
x
)
]
2
d
x
=
∫
a
b
1
+
[
Y
′
(
t
)
X
′
(
t
)
]
2
d
x
=
∫
a
b
1
X
′
(
t
)
[
X
′
(
t
)
]
2
+
[
Y
′
(
t
)
]
2
d
x
=
∫
a
b
[
X
′
(
t
)
]
2
+
[
Y
′
(
t
)
]
2
d
x
⋅
d
t
d
x
=
∫
X
−
1
(
a
)
X
−
1
(
b
)
[
X
′
(
t
)
]
2
+
[
Y
′
(
t
)
]
2
d
t
{\displaystyle {\begin{aligned}s&=\int _{a}^{b}{\sqrt {1+[f'(x)]^{2}}}\,dx\\&=\int _{a}^{b}{\sqrt {1+\left[{\frac {Y'(t)}{X'(t)}}\right]^{2}}}\,dx\\&=\int _{a}^{b}{\frac {1}{X'(t)}}{\sqrt {[X'(t)]^{2}+[Y'(t)]^{2}}}\,dx\\&=\int _{a}^{b}{\sqrt {[X'(t)]^{2}+[Y'(t)]^{2}}}\,dx\cdot {\frac {dt}{dx}}\\&=\int _{X^{-1}(a)}^{X^{-1}(b)}{\sqrt {[X'(t)]^{2}+[Y'(t)]^{2}}}\,dt\end{aligned}}}
が成 な り立 た つ。これらは、十分 じゅうぶん 小 ちい さな増分 ぞうぶん Δ でるた x , Δ でるた y に対 たい する距離 きょり の公式 こうしき から求 もと めた式 しき で、Δ でるた x , Δ でるた y の代 か わりにその極限 きょくげん を取 と ったものと考 かんが えればわかりよい。
また、極座標 きょくざひょう 系 けい において r = f (θ しーた ) で定義 ていぎ された函数 かんすう の θ しーた = α あるふぁ から θ しーた = β べーた までの間 あいだ の弧 こ 長 ちょう s は
s
=
∫
α あるふぁ
β べーた
r
2
+
(
d
r
d
θ しーた
)
2
d
θ しーた
{\displaystyle s=\int _{\alpha }^{\beta }{\sqrt {r^{2}+\left({\frac {dr}{d\theta }}\right)^{\!\!2}}}\,d\theta }
で与 あた えられる。
単純 たんじゅん 曲線 きょくせん まで含 ふく めても多 おお くの場合 ばあい 、弧 こ 長 ちょう は閉 と じた形 かたち の式 しき (英語 えいご 版 ばん ) では得 え られず、積分 せきぶん は数値 すうち 的 てき に行 おこな われることになる。弧 こ 長 ちょう の閉 と じた形 かたち の公式 こうしき を持 も つ曲線 きょくせん には、懸垂 けんすい 線 せん 、円 えん 、擺線 、対数 たいすう 螺旋 らせん 、抛物線 ほうぶつせん 、半 はん 立方 りっぽう 抛物線 ほうぶつせん (英語 えいご 版 ばん ) 、直線 ちょくせん などが挙 あ げられる。また、楕円 だえん の弧 こ 長 ちょう の閉 と じた形 かたち の式 しき を導 みちび こうとする試 こころ みから、楕円 だえん 積分 せきぶん の理論 りろん が発展 はってん した。
曲線 きょくせん の小片 しょうへん Δ でるた s はピタゴラスの定理 ていり を使 つか って近似 きんじ できる。
曲線 きょくせん の弧 こ 長 ちょう を近似 きんじ するために曲線 きょくせん をたくさんの線分 せんぶん に分解 ぶんかい するが、弧 こ 長 ちょう の長 なが さを近似 きんじ 値 ち でなく真 しん の値 ね として得 え るには無限 むげん に多 おお くの線分 せんぶん が必要 ひつよう になる。これはつまり、各 かく 線分 せんぶん を無限 むげん に小 ちい さくすることを意味 いみ しているが、このことは後 のち に積分 せきぶん を用 もち いる際 さい に効 き いてくる。
線分 せんぶん の代表 だいひょう 元 もと を見 み れば、その長 なが さ(線 せん 素 もと )が微分 びぶん ds であることが確認 かくにん できる。この変位 へんい の水平 すいへい 成分 せいぶん を dx 、垂直 すいちょく 成分 せいぶん を dy で表 あらわ すと、ピタゴラスの定理 ていり から
d
s
=
d
2
x
+
d
2
y
{\displaystyle ds={\sqrt {d^{2}x+d^{2}y}}}
が従 したが う。曲線 きょくせん が媒介 ばいかい 変数 へんすう t によって表 あらわ されているなら弧 こ 長 ちょう は線 せん 素 もと ds を無限 むげん 小 しょう 区間 くかん dt に亘 わた って次々 つぎつぎ に足 た し合 あ わせればよいから、積分 せきぶん
∫
a
b
(
d
x
d
t
)
2
+
(
d
y
d
t
)
2
d
t
{\displaystyle \int _{a}^{b}{\sqrt {{\Bigl (}{\frac {dx}{dt}}{\Bigr )}^{\!\!2}+{\Bigl (}{\frac {dy}{dt}}{\Bigr )}^{\!\!2}}}\,dt}
によって弧 こ 長 ちょう s が求 もと められる。y が x の函数 かんすう ならば、t = x として
s
=
∫
a
b
1
+
(
d
y
d
x
)
2
d
x
{\displaystyle s=\int _{a}^{b}{\sqrt {1+{\Bigl (}{\frac {dy}{dx}}{\Bigr )}^{\!\!2}}}\,dx}
を得 え る。これは y = f (x ) のグラフの x = a から x = b までの弧 こ 長 ちょう を与 あた えている。
曲線 きょくせん y = t 5 , x = t 3 の線 せん 素 もと
例 れい として、曲線 きょくせん が
{
y
=
t
5
,
x
=
t
3
{\displaystyle {\begin{cases}y=t^{5},\\x=t^{3}\end{cases}}}
で与 あた えられているものとし、さらに t が −1 から 1 までの値 ね をとるものとすると、弧 こ 長 ちょう を表 あらわ す積分 せきぶん は
∫
−
1
1
(
3
t
2
)
2
+
(
5
t
4
)
2
d
t
=
∫
−
1
1
9
t
4
+
25
t
8
d
t
≈
2.9053418626
⋯
{\displaystyle \int _{-1}^{1}{\sqrt {(3t^{2})^{2}+(5t^{4})^{2}}}\,dt=\int _{-1}^{1}{\sqrt {9t^{4}+25t^{8}}}\,dt\approx 2.9053418626\cdots }
となる。数値 すうち 計算 けいさん をすれば、この弧 こ 長 ちょう が 2.905 にかなり近 ちか いことがわかる。超 ちょう 幾何 きか 函数 かんすう を用 もち いて表 あらわ せば、
2
2
F
1
(
−
1
2
,
3
4
;
7
4
;
−
25
9
)
{\displaystyle 2\,{}_{2}F_{1}\!\left(-{\frac {1}{2}},{\frac {3}{4}};{\frac {7}{4}};-{\frac {25}{9}}\right)}
になる。
複数 ふくすう の直角 ちょっかく 三角形 さんかっけい の斜辺 しゃへん が曲線 きょくせん を近似 きんじ している。
函数 かんすう y = f (x ) で与 あた えられる曲線 きょくせん が求 もとめ 長 ちょう 可能 かのう であるものと仮定 かてい する。曲線 きょくせん 上 じょう の点 てん a から b までの f に沿 そ った弧 こ 長 ちょう S を近似 きんじ するために、斜辺 しゃへん を連結 れんけつ して曲線 きょくせん の弧 こ を「被覆 ひふく 」できるような直角 ちょっかく 三角形 さんかっけい の列 れつ を構成 こうせい する。簡単 かんたん のため、全 すべ ての三角形 さんかっけい の底辺 ていへん は等 ひと しく Δ でるた x であるものとすると、その各々 おのおの の三角形 さんかっけい に対 たい して高 たか さ Δ でるた y が対応 たいおう づけられて、斜辺 しゃへん の長 なが さがピタゴラスの定理 ていり により
Δ でるた
x
2
+
Δ でるた
y
2
=
1
+
(
Δ でるた
y
Δ でるた
x
)
2
Δ でるた
x
{\displaystyle {\sqrt {\Delta x^{2}+\Delta y^{2}}}={\sqrt {1+{\Bigl (}{\frac {\Delta y}{\Delta x}}{\Bigr )}^{\!\!2}}}\,\Delta x}
と与 あた えられる。S を近似 きんじ する n 個 こ の斜辺 しゃへん の長 なが さの和 わ は
S
≈
∑
i
=
1
n
1
+
(
Δ でるた
y
i
Δ でるた
x
i
)
2
Δ でるた
x
i
{\displaystyle S\approx \sum _{i=1}^{n}{\sqrt {1+{\Bigl (}{\frac {\Delta y_{i}}{\Delta x_{i}}}{\Bigr )}^{\!\!2}}}\,\Delta x_{i}}
と書 か けるが、Δ でるた x を小 ちい さく取 と るにつれて近似 きんじ の精度 せいど は上 あ がり、Δ でるた x を 0 に近 ちか づける極限 きょくげん で S と等 ひと しくなる。すなわち、
S
=
lim
Δ でるた
x
i
→
0
∑
i
=
1
∞
1
+
(
Δ でるた
y
i
Δ でるた
x
i
)
2
Δ でるた
x
i
=
∫
a
b
1
+
(
d
y
d
x
)
2
d
x
=
∫
a
b
1
+
[
f
′
(
x
)
]
2
d
x
{\displaystyle S=\lim _{\Delta x_{i}\to 0}\sum _{i=1}^{\infty }{\sqrt {1+{\Bigl (}{\frac {\Delta y_{i}}{\Delta x_{i}}}{\Bigr )}^{\!\!2}}}\,\Delta x_{i}=\int _{a}^{b}{\sqrt {1+{\Bigl (}{\frac {dy}{dx}}{\Bigr )}^{\!\!2}}}\,dx=\int _{a}^{b}{\sqrt {1+[f'(x)]^{2}}}\,dx}
が得 え られる。
円弧 えんこ の長 なが さは中心 ちゅうしん 角 かく を周 しゅう 角 かく で割 わ ったものを周 しゅう 長 ちょう にかけたものに一致 いっち する。半径 はんけい を r , 直径 ちょっけい を d とすると、円 えん の周 しゅう 長 ちょう は C = 2π ぱい r または C = π ぱい d である。角度 かくど をラジアン で測 はか れば、半径 はんけい r , 弧 こ が見込 みこ まれる角 かく が θ しーた であるような弧 こ 長 ちょう は s = rθ しーた で与 あた えられる(弧 こ 長 ちょう を s で表 あらわ すのは、角 かく が弧 こ を「見込 みこ む」(subtend ) ことに由来 ゆらい する)。特 とく に半円 はんえん の弧 こ 長 ちょう は s = π ぱい r である。s の単位 たんい は半径 はんけい の単位 たんい と同 おな じになる。
数学 すうがく 史 し の大半 たいはん の時期 じき においては、偉大 いだい な思想家 しそうか ですらも、特異 とくい な弧 こ の長 なが さを計算 けいさん することは不可能 ふかのう と考 かんが えられた。窄出法 ほう (積 せき 尽 つき 法 ほう )と呼 よ ばれる独自 どくじ の方法 ほうほう を用 もち いて、曲線 きょくせん に囲 かこ まれる領域 りょういき の面積 めんせき を求 もと めた先駆 せんく 者 しゃ であったアルキメデス でさえも、直線 ちょくせん が持 も つのと同様 どうよう の確 たし かな長 なが さを曲線 きょくせん が持 も つことが可能 かのう であるとはほとんど信 しん じていなかった。しばしば微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく の起源 きげん と考 かんが えられるこの分野 ぶんや が開拓 かいたく される最初 さいしょ の足掛 あしが かりは、近似 きんじ 法 ほう を用 もち いることであった。人々 ひとびと は、曲線 きょくせん に内接 ないせつ する多角 たかく 形 がた を考 かんが え、その辺 あたり の長 なが さを曲線 きょくせん の幾分 いくぶん 精密 せいみつ な長 なが さを知 し るために計算 けいさん するということを始 はじ めるのである。線分 せんぶん の数 かず を増 ふ やして各 かく 線分 せんぶん の長 なが さを記述 きじゅつ することによって、どんどん精密 せいみつ な近似 きんじ を得 え ることができた。特 とく に、円 えん に内接 ないせつ する多角 たかく 形 がた の辺 あたり の数 かず を増 ふ やすことによって、円周 えんしゅう 率 りつ π ぱい の近似 きんじ 値 ち が求 もと められた。
17世紀 せいき には、窄出法 ほう を基 もと にして様々 さまざま な超越 ちょうえつ 曲線 きょくせん に関 かん する幾何 きか 学 がく 的 てき 方法 ほうほう による求 もとめ 長 ちょう 法 ほう が導 みちび かれた。例 たと えば、対数 たいすう 螺旋 らせん は1645年 ねん にトリチェリ によって(文献 ぶんけん によっては1650年代 ねんだい にウォリス によって)、擺線 は1658年 ねん にレン によって、懸垂 けんすい 線 せん は1691年 ねん にライプニッツ によって、それぞれ求 もとめ 長 ちょう されている。
1659年 ねん には、ウォリスがウィリアム・ニール による非 ひ 自明 じめい な代数 だいすう 曲線 きょくせん の最初 さいしょ の求 もとめ 長 ちょう 法 ほう の発見 はっけん と認 みと める、半 はん 立方 りっぽう 抛物線 ほうぶつせん の求 もとめ 長 ちょう が成 な された。
微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく が完全 かんぜん に厳密 げんみつ に展開 てんかい される以前 いぜん に、弧 こ 長 ちょう に対 たい する現代 げんだい 的 てき な積分 せきぶん 公式 こうしき の基礎 きそ は、ファン・ヘラート (オランダ語 ご 版 ばん ) とフェルマー によって独立 どくりつ に発見 はっけん される。1659年 ねん にファン・ヘラートは、曲線 きょくせん が囲 かこ む面積 めんせき (これは実質 じっしつ 的 てき に積分 せきぶん )として弧 こ 長 ちょう が解釈 かいしゃく できることを示 しめ す構成 こうせい 法 ほう を公表 こうひょう し、それを放物線 ほうぶつせん に適用 てきよう した。一方 いっぽう 、1660年 ねん にフェルマーは、ヘラートと同 おな じ結果 けっか を含 ふく むより一般 いっぱん の理論 りろん を、著書 ちょしょ 『De linearum curvarum cum lineis rectis comparatione dissertatio geometrica 』(曲線 きょくせん の直線 ちょくせん との比較 ひかく についての幾何 きか 学 がく 的 てき 論述 ろんじゅつ )として出版 しゅっぱん した。
フェルマーの求 もとめ 長 ちょう 法 ほう
フェルマーはそれまでの自身 じしん による接線 せっせん を用 もち いる方法 ほうほう に基 もと づいて、曲線 きょくせん
y
=
x
2
3
{\displaystyle y=x^{\frac {2}{3}}}
を用 もち いた。これは x = a における接線 せっせん が傾 かたむ き
3
2
a
1
2
{\displaystyle {\tfrac {3}{2}}\,a^{\frac {1}{2}}}
を持 も つから、接線 せっせん の方程式 ほうていしき は
y
=
3
2
a
1
2
(
x
−
a
)
+
f
(
a
)
{\displaystyle y={\tfrac {3}{2}}\,{a^{\frac {1}{2}}}(x-a)+f(a)}
で与 あた えられる。ここで a を a + ε いぷしろん に変更 へんこう して、線分 せんぶん AC が A から D までの曲線 きょくせん の弧 こ 長 ちょう の比較的 ひかくてき よい近似 きんじ になるようにする。線分 せんぶん AC の長 なが さを求 もと めるためにピタゴラスの定理 ていり を用 もち い、
A
C
2
=
A
B
2
+
B
C
2
=
ε いぷしろん
2
+
9
4
a
ε いぷしろん
2
=
ε いぷしろん
2
(
1
+
9
4
a
)
{\displaystyle {\begin{aligned}\mathrm {AC} ^{2}&=\mathrm {AB} ^{2}+\mathrm {BC} ^{2}\\&=\varepsilon ^{2}+{\frac {9}{4}}\,a\varepsilon ^{2}\\&=\varepsilon ^{2}\left(1+{\frac {9}{4}}\,a\right)\end{aligned}}}
から、両辺 りょうへん の平方根 へいほうこん をとって
A
C
=
ε いぷしろん
1
+
9
4
a
{\displaystyle \mathrm {AC} =\varepsilon {\sqrt {1+{\frac {9}{4}}\,a\ }}}
を得 え る。弧 こ 長 ちょう を近似 きんじ するために、フェルマーはこのような小 しょう 線分 せんぶん の列 れつ を足 た し上 あ げたのである。
コッホ曲線 きょくせん x sin(1 / x ) のグラフ
既 すで に述 の べたように、曲線 きょくせん の中 なか には求 もとめ 長 ちょう 不能 ふのう な、すなわち折線 おれせん 近似 きんじ の長 なが さに上 うえ 界 かい がない(長 なが さをいくらでも大 おお きくできる)ものが存在 そんざい する。少 すこ し砕 くだ けた表現 ひょうげん では、そのような曲線 きょくせん は長 なが さが無限 むげん 大 だい であるなどという。曲線 きょくせん 上 じょう の(少 すく なくとも二 に 点 てん 以上 いじょう を含 ふく む)任意 にんい の弧 こ が無限 むげん 長 ちょう を持 も つような連続 れんぞく 曲線 きょくせん が存在 そんざい する。そのような曲線 きょくせん の例 れい としてコッホ曲線 きょくせん や、0 をいずれかの端点 たんてん とする任意 にんい の開 ひらき 区間 くかん 上 じょう で f (x ) = x sin(1 / x ) および f (0) = 0 で定義 ていぎ される函数 かんすう のグラフなどがある。無限 むげん 長 ちょう 曲線 きょくせん の大 おお きさを「測 はか る」のには、ハウスドルフ次元 じげん やハウスドルフ測度 そくど (英語 えいご 版 ばん ) が用 もち いられることもある。
M を(擬 なずらえ )リーマン多様 たよう 体 たい とし、γ がんま : [0, 1] → M を M 内 うち の曲線 きょくせん 、g を(擬 なずらえ )リーマン計量 けいりょう テンソルとすると、曲線 きょくせん γ がんま の長 なが さは
ℓ
(
γ がんま
)
=
∫
0
1
±
g
(
γ がんま
′
(
t
)
,
γ がんま
′
(
t
)
)
d
t
{\displaystyle \ell (\gamma )=\int _{0}^{1}{\sqrt {\pm g(\gamma '(t),\gamma '(t))}}\,dt}
と定義 ていぎ される。ただし、γ がんま ’(t ) ∈ T γ がんま (t )M は γ がんま の t における接 せっ ベクトルであり、根号 こんごう 内 ない の符号 ふごう は与 あた えられた曲線 きょくせん ごとに正方 せいほう 根 ね が実数 じっすう になることが保証 ほしょう されるほうを選 えら ぶものとする。つまり、空間 くうかん 様 さま 曲 きょく 線 せん に対 たい しては正 せい の符号 ふごう を、擬 なずらえ リーマン多様 たよう 体 たい の時間 じかん 様 さま 曲 きょく 線 せん に対 たい しては負 まけ の符号 ふごう を選 えら ぶことになる。
相対性理論 そうたいせいりろん における時間 じかん 様 さま 曲線 きょくせん (世界 せかい 線 せん )の弧 こ 長 ちょう は、世界 せかい 線 せん に沿 そ って経過 けいか する固有 こゆう 時 じ である。
^ このような曲線 きょくせん を長 なが さをもつ曲線 きょくせん (rectifiable curve ) ということがある[1] 。
^ 一松 いちまつ 信 しん 『解析 かいせき 学 がく 序説 じょせつ 上巻 じょうかん 』裳 も 華 はな 房 ぼう 、1981年 ねん 2月 がつ 1日 にち 、244頁 ぺーじ 。
Farouki, Rida T. (1999). Curves from motion, motion from curves. In P-J. Laurent, P. Sablonniere, and L. L. Schumaker (Eds.), Curve and Surface Design: Saint-Malo 1999 , pp.63–90, Vanderbilt Univ. Press. ISBN 0-8265-1356-5 .