数学 すうがく における有限 ゆうげん 差分 さぶん (ゆうげんさぶん、英 えい : finite difference )はf (x + b ) − f (x + a ) なる形 かたち の式 しき を総称 そうしょう して言 い う[要 よう 出典 しゅってん ] 。有限 ゆうげん 差分 さぶん を b − a で割 われ れば、差分 さぶん 商 しょう が得 え られる。微分 びぶん を有限 ゆうげん 差分 さぶん で近似 きんじ することは、微分 びぶん 方程式 ほうていしき (特 とく に境界 きょうかい 値 ち 問題 もんだい )の数値 すうち 的 てき 解法 かいほう である有限 ゆうげん 差分 さぶん 法 ほう において中心 ちゅうしん 的 てき な役割 やくわり を果 は たす。
ある種 しゅ の漸 やや 化 か 式 しき は多項 たこう 間 あいだ の関係 かんけい 式 しき を有限 ゆうげん 差分 さぶん で置 お き換 か えて差分 さぶん 方程式 ほうていしき にすることができる。
今日 きょう では「有限 ゆうげん 差分 さぶん 」の語 かたり は、特 とく に数値 すうち 解法 かいほう の文脈 ぶんみゃく において、微分 びぶん の有限 ゆうげん 差分 さぶん 近似 きんじ の同義語 どうぎご としてもよく用 もち いられる[ 1] [ 2] [ 3] 。有限 ゆうげん 差分 さぶん 近似 きんじ は冒頭 ぼうとう の用語 ようご 法 ほう に則 のっと れば有限 ゆうげん 差分 さぶん 商 しょう のことである。
有限 ゆうげん 差分 さぶん それ自体 じたい も、抽象 ちゅうしょう 的 てき な数学 すうがく 的 てき 対象 たいしょう として研究 けんきゅう の主題 しゅだい となり得 え るものである。例 たと えばジョージ・ブール (1860), ルイ・メイヴィル・ミルン゠トムソン (英語 えいご 版 ばん ) (1933), カロリー・ヨルダン (ドイツ語 ご 版 ばん ) (1939) らの業績 ぎょうせき があり、それはアイザック・ニュートン にまで遡 さかのぼ れる。そのような観点 かんてん で言 い えば、有限 ゆうげん 差分 さぶん に関 かん する形式 けいしき 的 てき な計算 けいさん は無限 むげん 小 しょう に関 かん する計算 けいさん の代替 だいたい となるものである[ 4] 。
前進 ぜんしん ・後退 こうたい ・中心 ちゅうしん 差分 さぶん [ 編集 へんしゅう ]
主 おも に前進 ぜんしん 、後退 こうたい 、中心 ちゅうしん 差分 さぶん の三 さん 種類 しゅるい が広 ひろ く用 もち いられる[ 1] [ 2] [ 3] 。
前進 ぜんしん 差分 さぶん
Δ でるた
h
[
f
]
(
x
)
=
f
(
x
+
h
)
−
f
(
x
)
.
{\displaystyle \Delta _{h}[f](x)=f(x+h)-f(x).}
後退 こうたい 差分 さぶん
∇
h
[
f
]
(
x
)
=
f
(
x
)
−
f
(
x
−
h
)
.
{\displaystyle \nabla _{h}[f](x)=f(x)-f(x-h).}
中心 ちゅうしん 差分 さぶん
δ でるた
h
[
f
]
(
x
)
=
f
(
x
+
1
2
h
)
−
f
(
x
−
1
2
h
)
.
{\displaystyle \delta _{h}[f](x)=f(x+{\tfrac {1}{2}}h)-f(x-{\tfrac {1}{2}}h).}
応用 おうよう の場面 ばめん に応 おう じて、歩 あゆ み h は変数 へんすう と見 み ることも定数 ていすう と見 み ることもある。添字 そえじ の h を省略 しょうりゃく したときは、h = 1 の意味 いみ (Δ でるた [f ](x ) = Δ でるた 1 [f ](x ) など)である。
函数 かんすう f の点 てん x における微分 びぶん は函数 かんすう の極限 きょくげん
f
′
(
x
)
=
lim
h
→
0
f
(
x
+
h
)
−
f
(
x
)
h
{\displaystyle f'(x)=\lim _{h\to 0}{\frac {f(x+h)-f(x)}{h}}}
で定義 ていぎ される。ここで h を零 れい に近 ちか づける代 か わりに非負 ひふ の値 ね に固定 こてい すれば、右辺 うへん は
f
(
x
+
h
)
−
f
(
x
)
h
=
Δ でるた
h
[
f
]
(
x
)
h
{\displaystyle {\frac {f(x+h)-f(x)}{h}}={\frac {\Delta _{h}[f](x)}{h}}}
と書 か けるから、これは h が小 ちい さいとき、歩 あゆ み h の前進 ぜんしん 差分 さぶん が微分 びぶん を近似 きんじ するものであることを意味 いみ する。この近似 きんじ の誤差 ごさ はテイラーの定理 ていり から評価 ひょうか することができる。実際 じっさい 、f が微分 びぶん 可能 かのう であると仮定 かてい すれば
Δ でるた
h
[
f
]
(
x
)
h
−
f
′
(
x
)
=
O
(
h
)
→
0
(
as
h
→
0
)
{\displaystyle {\frac {\Delta _{h}[f](x)}{h}}-f'(x)=O(h)\to 0\quad ({\text{as }}h\to 0)}
であり、前進 ぜんしん 差分 さぶん に関 かん しても同 おな じ式 しき
∇
h
[
f
]
(
x
)
h
−
f
′
(
x
)
=
O
(
h
)
→
0
(
as
h
→
0
)
{\displaystyle {\frac {\nabla _{h}[f](x)}{h}}-f'(x)=O(h)\to 0\quad ({\text{as }}h\to 0)}
が満足 まんぞく される。中心 ちゅうしん 差分 さぶん を用 もち いればより精密 せいみつ な近似 きんじ が可能 かのう で、f が二 に 回 かい 微分 びぶん 可能 かのう ならば
δ でるた
h
[
f
]
(
x
)
h
−
f
′
(
x
)
=
O
(
h
2
)
{\displaystyle {\frac {\delta _{h}[f](x)}{h}}-f'(x)=O(h^{2})}
が成 な り立 た つ。しかし中心 ちゅうしん 差分 さぶん 法 ほう の主 おも な問題 もんだい は、振動 しんどう する函数 かんすう の微分 びぶん が零 れい ということになってしまう場合 ばあい があることである。例 たと えば、奇数 きすう の n に対 たい して f (nh ) = 1 かつ偶数 ぐうすう の n に対 たい して f (nh ) = 2 とすれば、中心 ちゅうしん 差分 さぶん 法 ほう で計算 けいさん すると f' (nh ) = 0 となる。これは f の定義 ていぎ 域 いき が離散 りさん の場合 ばあい に特 とく に問題 もんだい になる。
「有限 ゆうげん 差分 さぶん 」を有限 ゆうげん 差分 さぶん 近似 きんじ の意味 いみ で用 もち いる文献 ぶんけん では、「前進 ぜんしん ・後退 こうたい ・中心 ちゅうしん 差分 さぶん 」は(前節 ぜんせつ の意味 いみ ではなく)本節 ほんぶし で言 い う商 しょう として定義 ていぎ される[ 1] [ 2] [ 3] 。
微分 びぶん の有限 ゆうげん 差分 さぶん 近似 きんじ と対応 たいおう して、高階 たかしな 微分 びぶん の有限 ゆうげん 差分 さぶん 近似 きんじ が得 え られる。例 たと えば、中心 ちゅうしん 差分 さぶん の式 しき を f' (x +h /2) と f' (x −h /2) に対 たい して考 かんが え、f' の微分 びぶん の中心 ちゅうしん 差分 さぶん 近似 きんじ に適用 てきよう すれば、f の二 に 回 かい 微分 びぶん の近似 きんじ 式 しき として
二 に 階 かい 中心 ちゅうしん 差分 さぶん
f
″
(
x
)
≈
δ でるた
h
2
[
f
]
(
x
)
h
2
=
f
(
x
+
h
)
−
2
f
(
x
)
+
f
(
x
−
h
)
h
2
{\displaystyle f''(x)\approx {\frac {\delta _{h}^{2}[f](x)}{h^{2}}}={\frac {f(x+h)-2f(x)+f(x-h)}{h^{2}}}}
が得 え られる。同様 どうよう にほかの差分 さぶん 公式 こうしき を繰 く り返 かえ し適用 てきよう すれば
二 に 階 かい 前進 ぜんしん 差分 さぶん
f
″
(
x
)
≈
Δ でるた
h
2
[
f
]
(
x
)
h
2
=
f
(
x
+
2
h
)
−
2
f
(
x
+
h
)
+
f
(
x
)
h
2
.
{\displaystyle f''(x)\approx {\frac {\Delta _{h}^{2}[f](x)}{h^{2}}}={\frac {f(x+2h)-2f(x+h)+f(x)}{h^{2}}}.}
なども得 え られる。より一般 いっぱん にn -階 かい 前進 ぜんしん 、後退 こうたい 、中心 ちゅうしん 差分 さぶん はそれぞれ
n -階 かい 前進 ぜんしん 差分 さぶん
Δ でるた
h
n
[
f
]
(
x
)
=
∑
i
=
0
n
(
−
1
)
i
(
n
i
)
f
(
x
+
(
n
−
i
)
h
)
,
{\displaystyle \Delta _{h}^{n}[f](x)=\sum _{i=0}^{n}(-1)^{i}{\binom {n}{i}}f(x+(n-i)h),}
Δ でるた
n
[
f
]
(
x
)
=
∑
k
=
0
n
(
n
k
)
(
−
1
)
n
−
k
f
(
x
+
k
)
(
for
h
=
1
)
.
{\displaystyle \Delta ^{n}[f](x)=\sum _{k=0}^{n}{\binom {n}{k}}(-1)^{n-k}f(x+k)\quad ({\text{for }}h=1).}
n -階 かい 後退 こうたい 差分 さぶん
∇
h
n
[
f
]
(
x
)
=
∑
i
=
0
n
(
−
1
)
i
(
n
i
)
f
(
x
−
i
h
)
,
{\displaystyle \nabla _{h}^{n}[f](x)=\sum _{i=0}^{n}(-1)^{i}{\binom {n}{i}}f(x-ih),}
n -階 かい 中心 ちゅうしん 差分 さぶん
δ でるた
h
n
[
f
]
(
x
)
=
∑
i
=
0
n
(
−
1
)
i
(
n
i
)
f
(
x
+
(
n
2
−
i
)
h
)
{\displaystyle \delta _{h}^{n}[f](x)=\sum _{i=0}^{n}(-1)^{i}{\binom {n}{i}}f\left(x+\left({\frac {n}{2}}-i\right)h\right)}
で与 あた えられる。上記 じょうき において、(n i ) は二 に 項 こう 係数 けいすう である(各 かく i に対 たい する係数 けいすう はパスカルの三角形 さんかっけい の各行 かくこう で与 あた えられる)。
中心 ちゅうしん 差分 さぶん においては n が奇数 きすう のとき h が非 ひ 整数 せいすう 倍 ばい されることに留意 りゅうい すべきである。これは離散 りさん 化 か の幅 はば を変 か えることになるため、しばしば問題 もんだい になる。この問題 もんだい は δ でるた n [f ](x − h /2) と δ でるた n [f ](x + h /2) との平均 へいきん をとることで除 のぞ くことができる。
数列 すうれつ に前進 ぜんしん 差分 さぶん を施 ほどこ すことを、その数列 すうれつ の二 に 項 こう 変換 へんかん (英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ぶことがあり、組合 くみあわ せ論 ろん 的 てき に興味深 きょうみぶか い様々 さまざま な性質 せいしつ がある。前進 ぜんしん 差分 さぶん をネールント–ライス積分 せきぶん を用 もち いて評価 ひょうか することができる。このような種類 しゅるい の級数 きゅうすう に対 たい する積分 せきぶん 表現 ひょうげん は、積分 せきぶん が漸近 ぜんきん 展開 てんかい や鞍点 あんてん 法 ほう で評価 ひょうか されることがしばしばあり、重要 じゅうよう である(対照 たいしょう 的 てき に前進 ぜんしん 差分 さぶん 級数 きゅうすう は、大 おお きな n に対 たい しては二 に 項 こう 係数 けいすう が急速 きゅうそく に増大 ぞうだい するため、数値 すうち 的 てき に評価 ひょうか することが極 きわ めて難 むずか しい)。
これら高 だか 階 かい 差分 さぶん と微分 びぶん との関係 かんけい はそれぞれ直接的 ちょくせつてき に
d
n
f
d
x
n
(
x
)
=
Δ でるた
h
n
[
f
]
(
x
)
h
n
+
O
(
h
)
=
∇
h
n
[
f
]
(
x
)
h
n
+
O
(
h
)
=
δ でるた
h
n
[
f
]
(
x
)
h
n
+
O
(
h
2
)
{\displaystyle {\frac {d^{n}f}{dx^{n}}}(x)={\frac {\Delta _{h}^{n}[f](x)}{h^{n}}}+O(h)={\frac {\nabla _{h}^{n}[f](x)}{h^{n}}}+O(h)={\frac {\delta _{h}^{n}[f](x)}{h^{n}}}+O(h^{2})}
となる。高階 たかしな 微分 びぶん はより良 よ い近似 きんじ を構成 こうせい するためにも利用 りよう できる。上 うえ で述 の べたように、一 いち 階 かい 差分 さぶん 近似 きんじ は h のオーダー の項 こう を除 のぞ いて一 いち 階 かい 微分 びぶん を近似 きんじ するものであるが、高階 たかしな 微分 びぶん を組 く み合 あ わせた
Δ でるた
h
[
f
]
(
x
)
−
1
2
Δ でるた
h
2
[
f
]
(
x
)
h
=
−
f
(
x
+
2
h
)
−
4
f
(
x
+
h
)
+
3
f
(
x
)
2
h
{\displaystyle {\frac {\Delta _{h}[f](x)-{\frac {1}{2}}\Delta _{h}^{2}[f](x)}{h}}=-{\frac {f(x+2h)-4f(x+h)+3f(x)}{2h}}}
は f' (x ) と h 2 のオーダーの項 こう しか違 ちが わない。これを示 しめ すには、先述 せんじゅつ のようにテイラー級数 きゅうすう 展開 てんかい してもよいし、後述 こうじゅつ のように有限 ゆうげん 差分 さぶん の汎 ひろし 函数 かんすう 計算 けいさん を用 もち いてもよい。
必要 ひつよう ならば、前進 ぜんしん ・後退 こうたい ・中心 ちゅうしん 差分 さぶん を混合 こんごう して任意 にんい の点 てん を有限 ゆうげん 差分 さぶん の中心 ちゅうしん にすることができる。
任意 にんい の正 せい 整数 せいすう k, n に対 たい して
Δ でるた
k
h
n
(
f
,
x
)
=
∑
i
1
=
0
k
−
1
∑
i
2
=
0
k
−
1
⋯
∑
i
n
=
0
k
−
1
Δ でるた
h
n
(
f
,
x
+
i
1
h
+
i
2
h
+
⋯
+
i
n
h
)
.
{\displaystyle \Delta _{kh}^{n}(f,x)=\sum \limits _{i_{1}=0}^{k-1}\sum \limits _{i_{2}=0}^{k-1}\cdots \sum \limits _{i_{n}=0}^{k-1}\Delta _{h}^{n}(f,x+i_{1}h+i_{2}h+\cdots +i_{n}h).}
ライプニッツ則 そく :
Δ でるた
h
n
(
f
g
,
x
)
=
∑
k
=
0
n
(
n
k
)
Δ でるた
h
k
(
f
,
x
)
Δ でるた
h
n
−
k
(
g
,
x
+
k
h
)
.
{\displaystyle \Delta _{h}^{n}(fg,x)=\sum \limits _{k=0}^{n}{\binom {n}{k}}\Delta _{h}^{k}(f,x)\Delta _{h}^{n-k}(g,x+kh).}
有限 ゆうげん 差分 さぶん の重要 じゅうよう な応用 おうよう として、数値 すうち 解析 かいせき 、特 とく に数値 すうち 微分 びぶん 方程式 ほうていしき 論 ろん において、常微分 じょうびぶん および偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき の数値 すうち 解 かい を得 え る目的 もくてき での利用 りよう が挙 あ げられる。これは、微分 びぶん 方程式 ほうていしき に現 あらわ れる微分 びぶん を、それを近似 きんじ する有限 ゆうげん 差分 さぶん で置 お き換 か えるという考 かんが え方 かた である。これを有限 ゆうげん 差分 さぶん 法 ほう と呼 よ ぶ。
有限 ゆうげん 差分 さぶん 法 ほう は、計算 けいさん 機 き 科学 かがく や工学 こうがく の熱 ねつ 工学 こうがく や流体 りゅうたい 力学 りきがく などといった分野 ぶんや においてよく応用 おうよう される。
ニュートン級数 きゅうすう はニュートン の前進 ぜんしん 差分 さぶん 方程式 ほうていしき の項 こう からなる。これは本質 ほんしつ 的 てき にニュートン補間 ほかん 公式 こうしき であり、1687年 ねん に著書 ちょしょ 『プリンキピア・マスマティカ 』において最初 さいしょ に公表 こうひょう された[ 5] 。具体 ぐたい 的 てき には、連続 れんぞく 的 てき なテイラー展開 てんかい の離散 りさん 版 ばん
f
(
x
)
=
∑
k
=
0
∞
Δ でるた
k
[
f
]
(
a
)
k
!
(
x
−
a
)
k
=
∑
k
=
0
∞
(
x
−
a
k
)
Δ でるた
k
[
f
]
(
a
)
{\displaystyle f(x)=\sum _{k=0}^{\infty }{\frac {\Delta ^{k}[f](a)}{k!}}(x-a)_{k}=\sum _{k=0}^{\infty }{x-a \choose k}~\Delta ^{k}[f](a)}
が任意 にんい の多項式 たこうしき 函数 かんすう f に対 たい して成立 せいりつ する。これはさらに多 おお くの(全 すべ てではない)解析 かいせき 函数 かんすう でも成立 せいりつ する。ここで
(
x
k
)
=
(
x
)
k
k
!
{\displaystyle {x \choose k}={\frac {(x)_{k}}{k!}}}
は二 に 項 こう 係数 けいすう であり、
(
x
)
k
=
x
(
x
−
1
)
(
x
−
2
)
⋯
(
x
−
k
+
1
)
{\displaystyle (x)_{k}=x(x-1)(x-2)\cdots (x-k+1)}
は下降 かこう 階 かい 乗 じょう (下方 かほう 階 かい 乗 じょう )である(空 そら 積 せき (x )0 は 1 とする)。これは後述 こうじゅつ する一般 いっぱん 化 か において、x の変化 へんか の歩 あゆ み (step) が h = 1 であると仮定 かてい した特別 とくべつ の場合 ばあい である。
この結果 けっか とテイラーの定理 ていり との形式 けいしき 的 てき な対応 たいおう に注意 ちゅうい せよ。歴史 れきし 的 てき には、これとファンデルモンド恒等 こうとう 式 しき (英語 えいご 版 ばん )
(
x
+
y
)
n
=
∑
k
=
0
n
(
n
k
)
(
x
)
n
−
k
(
y
)
k
{\displaystyle (x+y)_{n}=\sum _{k=0}^{n}{n \choose k}(x)_{n-k}~(y)_{k}}
(二 に 項 こう 定理 ていり に対応 たいおう する)は、陰 かげ 計算 けいさん の体系 たいけい に至 いた る観察 かんさつ に含 ふく まれる。
p -進 すすむ 解析 かいせき 学 がく において、マーラーの定理 ていり は f が多項式 たこうしき 函数 かんすう であるという仮定 かてい は単 たん に連続 れんぞく であるという仮定 かてい に緩 ゆる めることができることを述 の べる。
カールソンの定理 ていり (英語 えいご 版 ばん ) はニュートン級数 きゅうすう が(存在 そんざい すれば)一意 いちい であるための必要 ひつよう 十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん を与 あた える。しかし一般 いっぱん にはニュートン級数 きゅうすう の存在 そんざい は保証 ほしょう されない。
ニュートン級数 きゅうすう 、スターリング補間 ほかん 多項式 たこうしき 、セルバーグ多項式 たこうしき は、一般 いっぱん の差分 さぶん 多項式 たこうしき の特別 とくべつ の場合 ばあい である。これらは全 すべ て適当 てきとう にスケールされた前進 ぜんしん 差分 さぶん の言葉 ことば で定義 ていぎ される。
In a compressed and slightly more general form and equidistant nodes the formula reads
f
(
x
)
=
∑
k
=
0
(
x
−
a
h
k
)
∑
j
=
0
k
(
−
1
)
k
−
j
(
k
j
)
f
(
a
+
j
h
)
.
{\displaystyle f(x)=\sum _{k=0}{{\frac {x-a}{h}} \choose k}\sum _{j=0}^{k}(-1)^{k-j}{k \choose j}f(a+jh).}
有限 ゆうげん 差分 さぶん に関 かん する演算 えんざん 子 こ 法 ほう [ 編集 へんしゅう ]
前進 ぜんしん 差分 さぶん を、函数 かんすう f を Δ でるた h [f ] へ写 うつ す差分 さぶん 作用素 さようそ と考 かんが えることができる[ 6] [ 7] 。この作用素 さようそ は、歩 あゆ み h のシフト作用素 さようそ T h を用 もち いて
Δ でるた
h
=
T
h
−
I
{\displaystyle \Delta _{h}=T_{h}-I}
という和 わ に書 か くことができる。ここに、T h [f ](x ) = f (x +h ) および I は恒等 こうとう 作用素 さようそ である。
高階 たかしな の有限 ゆうげん 差分 さぶん は再帰 さいき 的 てき に Δ でるた h n ≡ Δ でるた h (Δ でるた h n −1 ) と定義 ていぎ することができるが、これと同値 どうち な別 べつ 定義 ていぎ として Δ でるた h n = [T h −I ]n とすることもできる。
差分 さぶん 作用素 さようそ Δ でるた h は線型 せんけい 作用素 さようそ であり、上 うえ で述 の べた特別 とくべつ なライプニッツ則 そく
Δ でるた h (f (x )g (x )) = (Δ でるた h f (x )) g (x +h ) + f (x ) (Δ でるた h g (x )) を満足 まんぞく する。後退 こうたい および中心 ちゅうしん 差分 さぶん に関 かん しても同様 どうよう のことが成立 せいりつ する。
h に関 かん するテイラー級数 きゅうすう を形式 けいしき 的 てき に適用 てきよう することで、等式 とうしき
Δ でるた
h
=
h
D
+
1
2
h
2
D
2
+
1
3
!
h
3
D
3
+
⋯
=
e
h
D
−
I
{\displaystyle \Delta _{h}=hD+{\frac {1}{2}}h^{2}D^{2}+{\frac {1}{3!}}h^{3}D^{3}+\dotsb =e^{hD}-I}
が得 え られる。ここで D は函数 かんすう f をその導 しるべ 函数 かんすう f' へ写 うつ す連続 れんぞく 的 てき な微分 びぶん 作用素 さようそ である。十分 じゅうぶん 小 ちい さな h に対 たい して、この展開 てんかい は両辺 りょうへん が解析 かいせき 函数 かんすう に作用 さよう するとき有効 ゆうこう である。従 したが って T h = e hD であり、逆 ぎゃく に冪 べき 指数 しすう に関 かん して解 と いて
h
D
=
log
(
1
+
Δ でるた
h
)
=
Δ でるた
h
−
1
2
Δ でるた
h
2
+
1
3
Δ でるた
h
3
+
⋯
{\displaystyle hD=\log(1+\Delta _{h})=\Delta _{h}-{\tfrac {1}{2}}\Delta _{h}^{2}+{\tfrac {1}{3}}\Delta _{h}^{3}+\dotsb }
が得 え られる。この式 しき は両辺 りょうへん が多項式 たこうしき に作用 さよう して同 おな じ結果 けっか を与 あた えるという意味 いみ において正 ただ しい。
解析 かいせき 函数 かんすう に作用 さよう する場合 ばあい でも、右辺 うへん の級数 きゅうすう の収束 しゅうそく は保証 ほしょう されず、漸近 ぜんきん 級数 きゅうすう となり得 え る。しかし、微分 びぶん に対 たい するより精密 せいみつ な近似 きんじ を得 え ることには利用 りよう できる。例 たと えば、例 たと えばこの級数 きゅうすう の最初 さいしょ の二 に 項 こう だけを取 と り出 だ せば、#高階 たかしな 差分 さぶん の節 ふし の最後 さいご に述 の べた f ' (x ) の二 に 階 かい 近似 きんじ が導 みちび かれる。
後退 こうたい および中心 ちゅうしん 差分 さぶん に対 たい する同様 どうよう の公式 こうしき は
h
D
=
−
log
(
1
−
∇
h
)
,
h
D
=
2
arsinh
(
1
2
δ でるた
h
)
{\displaystyle hD=-\log(1-\nabla _{h}),\quad hD=2\operatorname {arsinh} ({\tfrac {1}{2}}\delta _{h})}
となる。
有限 ゆうげん 差分 さぶん 作用素 さようそ の計算 けいさん 法則 ほうそく [ 編集 へんしゅう ]
微分 びぶん 法則 ほうそく (英語 えいご 版 ばん ) と対応 たいおう して、
定数 ていすう 律 りつ : c が定数 ていすう ならば
Δ でるた
c
=
0
{\displaystyle \Delta c=0}
が成 な り立 た つ。
線型 せんけい 性 せい : 定数 ていすう a, b に対 たい して
Δ でるた
(
a
f
+
b
g
)
=
a
Δ でるた
f
+
b
Δ でるた
g
{\displaystyle \Delta (af+bg)=a\Delta f+b\Delta g}
が成 な り立 た つ。
この二 ふた つの法則 ほうそく は他 た の差分 さぶん 作用素 さようそ でも成 な り立 た つ。
積 せき の差分 さぶん :
Δ でるた
(
f
g
)
=
f
Δ でるた
g
+
g
Δ でるた
f
+
Δ でるた
f
Δ でるた
g
,
{\displaystyle \Delta (fg)=f\Delta g+g\Delta f+\Delta f\,\Delta g,}
∇
(
f
g
)
=
f
∇
g
+
g
∇
f
−
∇
f
∇
g
.
{\displaystyle \nabla (fg)=f\nabla g+g\nabla f-\nabla f\,\nabla g.}
商 しょう の差分 さぶん :
∇
(
f
g
)
=
1
g
det
(
∇
f
∇
g
f
g
)
(
det
(
g
∇
g
1
1
)
)
−
1
{\displaystyle \nabla \left({\frac {f}{g}}\right)={\frac {1}{g}}\det {\begin{pmatrix}\nabla f&\nabla g\\f&g\end{pmatrix}}\left(\det {\begin{pmatrix}g&\nabla g\\1&1\end{pmatrix}}\right)^{-1}}
あるいは
∇
(
f
g
)
=
g
∇
f
−
f
∇
g
g
⋅
(
g
−
∇
g
)
,
{\displaystyle \nabla \left({\frac {f}{g}}\right)={\frac {g\,\nabla f-f\,\nabla g}{g\cdot (g-\nabla g)}},}
Δ でるた
(
f
g
)
=
g
Δ でるた
f
−
f
Δ でるた
g
g
⋅
(
g
+
Δ でるた
g
)
.
{\displaystyle \Delta \left({\frac {f}{g}}\right)={\frac {g\,\Delta f-f\,\Delta g}{g\cdot (g+\Delta g)}}.}
和 わ 分 ぶん :
∑
n
=
a
b
Δ でるた
f
(
n
)
=
f
(
b
+
1
)
−
f
(
a
)
,
{\displaystyle \sum _{n=a}^{b}\Delta f(n)=f(b+1)-f(a),}
∑
n
=
a
b
∇
f
(
n
)
=
f
(
b
)
−
f
(
a
−
1
)
.
{\displaystyle \sum _{n=a}^{b}\nabla f(n)=f(b)-f(a-1).}
See Refs [ 8] [ 9] [ 10] [ 11]
一般 いっぱん 化 か された有限 ゆうげん 差分 さぶん は μ みゅー = (μ みゅー 0 , …, μ みゅー N ) を係数 けいすう 列 れつ として
Δ でるた
h
μ みゅー
[
f
]
(
x
)
=
∑
k
=
0
N
μ みゅー
k
f
(
x
+
k
h
)
{\displaystyle \Delta _{h}^{\mu }[f](x)=\sum _{k=0}^{N}\mu _{k}f(x+kh)}
と定義 ていぎ されるのが普通 ふつう である。さらに右辺 うへん の和 わ を無限 むげん 級数 きゅうすう に取 と り換 か えた一般 いっぱん 化 か として無限 むげん 差分 さぶん (infinite difference ) が定義 ていぎ される。別 べつ な一般 いっぱん 化 か としては、係数 けいすう μ みゅー k が x に依存 いぞん することを許 ゆる して μ みゅー k = μ みゅー k (x ) とすることで、重 おも み付 つ き有限 ゆうげん 差分 さぶん (weighted finite difference ) が考 かんが えられる。あるいはまた、歩 あゆ み h が x に依存 いぞん する (h = h (x ) ) とすることも考 かんが えられる。そのような一般 いっぱん 化 か は別種 べっしゅ の連続 れんぞく 度 ど (英語 えいご 版 ばん ) を構成 こうせい するのに有用 ゆうよう である。
一般 いっぱん 化 か 有限 ゆうげん 差分 さぶん の全体 ぜんたい は多項式 たこうしき 環 たまき R [T h ] と見 み ることができる。ここから差分 さぶん 環 たまき が考 かんが えられる。
差分 さぶん 作用素 さようそ は半 はん 順序 じゅんじょ 集合 しゅうごう 上 うえ のメビウス反転 はんてん 作用素 さようそ に一般 いっぱん 化 か される。
畳 たた み込 こ み表現 ひょうげん : 接合 せつごう 環 たまき の方法 ほうほう 論 ろん を通 つう じて差分 さぶん 作用素 さようそ やほかのメビウス反転 はんてん 作用素 さようそ はメビウス函数 かんすう と呼 よ ばれる半 はん 順序 じゅんじょ 集合 しゅうごう 上 じょう の函数 かんすう μ みゅー との畳 たた み込 こ み として表 あらわ される。差分 さぶん 作用素 さようそ に対 たい するメビウス函数 かんすう μ みゅー は数列 すうれつ (1, −1, 0, 0, 0, …) である。
多 た 変数 へんすう の場合 ばあい にも有限 ゆうげん 差分 さぶん は考 かんが えることができる。それらは多 た 変数 へんすう の偏 へん 微分 びぶん に対応 たいおう するものである。
中心 ちゅうしん 差分 さぶん による偏 へん 微分 びぶん 近似 きんじ をいくつか挙 あ げれば
f
x
(
x
,
y
)
≈
f
(
x
+
h
,
y
)
−
f
(
x
−
h
,
y
)
2
h
,
{\displaystyle f_{x}(x,y)\approx {\frac {f(x+h,y)-f(x-h,y)}{2h}},}
f
y
(
x
,
y
)
≈
f
(
x
,
y
+
k
)
−
f
(
x
,
y
−
k
)
2
k
,
{\displaystyle f_{y}(x,y)\approx {\frac {f(x,y+k)-f(x,y-k)}{2k}},}
f
x
x
(
x
,
y
)
≈
f
(
x
+
h
,
y
)
−
2
f
(
x
,
y
)
+
f
(
x
−
h
,
y
)
h
2
,
{\displaystyle f_{xx}(x,y)\approx {\frac {f(x+h,y)-2f(x,y)+f(x-h,y)}{h^{2}}},}
f
y
y
(
x
,
y
)
≈
f
(
x
,
y
+
k
)
−
2
f
(
x
,
y
)
+
f
(
x
,
y
−
k
)
k
2
,
{\displaystyle f_{yy}(x,y)\approx {\frac {f(x,y+k)-2f(x,y)+f(x,y-k)}{k^{2}}},}
f
x
y
(
x
,
y
)
≈
f
(
x
+
h
,
y
+
k
)
−
f
(
x
+
h
,
y
−
k
)
−
f
(
x
−
h
,
y
+
k
)
+
f
(
x
−
h
,
y
−
k
)
4
h
k
.
{\displaystyle f_{xy}(x,y)\approx {\frac {f(x+h,y+k)-f(x+h,y-k)-f(x-h,y+k)+f(x-h,y-k)}{4hk}}.}
のようになる。
^ a b c Paul Wilmott; Sam Howison; Jeff Dewynne (1995). The Mathematics of Financial Derivatives: A Student Introduction . Cambridge University Press. p. 137. ISBN 978-0-521-49789-3
^ a b c Peter Olver (2013). Introduction to Partial Differential Equations . Springer Science & Business Media. p. 182. ISBN 978-3-319-02099-0
^ a b c M Hanif Chaudhry (2007). Open-Channel Flow . Springer. pp. 369. ISBN 978-0-387-68648-6
^ Jordán, op. cit., p. 1 and Milne-Thomson, p. xxi.
Milne-Thomson, Louis Melville (2000): The Calculus of Finite Differences (Chelsea Pub Co, 2000) ISBN 978-0821821077
^ Newton, Isaac, (1687). Principia , Book III, Lemma V, Case 1
^ Boole, George , (1872). A Treatise On The Calculus of Finite Differences , 2nd ed., Macmillan and Company. On line . Also, [Dover edition 1960]
^ Jordan, Charles, (1939/1965). "Calculus of Finite Differences", Chelsea Publishing. On-line: [1]
^ Levy, H.; Lessman, F. (1992). Finite Difference Equations . Dover. ISBN 0-486-67260-3
^ Ames, W. F., (1977). Numerical Methods for Partial Differential Equations , Section 1.6. Academic Press, New York. ISBN 0-12-056760-1 .
^ Hildebrand, F. B. , (1968). Finite-Difference Equations and Simulations , Section 2.2, Prentice-Hall, Englewood Cliffs, New Jersey.
^ Flajolet, Philippe; Sedgewick, Robert (1995). “Mellin transforms and asymptotics: Finite differences and Rice's integrals” . Theoretical Computer Science 144 (1–2): 101–124. doi :10.1016/0304-3975(94)00281-M . http://www-rocq.inria.fr/algo/flajolet/Publications/mellin-rice.ps.gz [リンク切 き れ ] .
Richardson, C. H. (1954): An Introduction to the Calculus of Finite Differences (Van Nostrand (1954) online copy [リンク切 き れ ]
Mickens, R. E. (1991): Difference Equations: Theory and Applications (Chapman and Hall/CRC) ISBN 978-0442001360