(Translated by https://www.hiragana.jp/)
陰関数 - Wikipedia コンテンツにスキップ

かげ関数かんすう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
かげ函数かんすう微分びぶんから転送てんそう

数学すうがくとく解析かいせきがくにおけるかげ函数かんすう(いんかんすう、えい: implicit function; かげふく函数かんすう)は、かげふく方程式ほうていしきすなわち適当てきとう変数へんすう函数かんすう(しばしば変数へんすう多項式たこうしきR によって R(x1, …, xn) = 0かたちあらわされる関係かんけいによって(その函数かんすう引数ひきすうのうちのひとつの変数へんすう英語えいごばんのこりの変数へんすう関係付かんけいづけることによって)かげふくてき (implicitly) に定義ていぎされる函数かんすう[1]:204–206

たとえば、単位たんいえんさだめるかげふく方程式ほうていしきx2 + y2 − 1 = 0 であり、このときの yたいするかげ函数かんすう y = f(x) は、x2 + (f(x))2 − 1 = 0 によってかげふくてきさだめられる。このかげふく方程式ほうていしきが、x連続れんぞく函数かんすうとして fさだめるのは −1 ≤ x ≤ 1たいしてのみ、かつ函数かんすうとして非負ひふのみ(あるいはせいのみ)をるものとしたときである(非負ひふまたはせいふたつの連続れんぞくえだがある)。かげ函数かんすう定理ていりはこのような関係かんけいがいつかげふく函数かんすう定義ていぎするのかという十分じゅうぶん条件じょうけんあたえるものである。

R変数へんすう多項式たこうしきであるときの R(x1, …, xn) = 0 なるかたち関係かんけいたいして、この関係かんけい満足まんぞくする変数へんすうくみ全体ぜんたい集合しゅうごうを、n = 2 のときはかげふく曲線きょくせんn = 3 のときはかげふく曲面きょくめん英語えいごばんぶ。このようなかげふく方程式ほうていしき代数だいすう幾何きかがく基盤きばんであり、古典こてんてき代数だいすう幾何きかがくでは多項式たこうしきれいてん記述きじゅつするかげふく方程式ほうていしきからなる連立れんりつ方程式ほうていしきかい研究けんきゅうする。そのようなれいてん集合しゅうごうアフィン代数だいすうてき集合しゅうごうばれる。

微分びぶん方程式ほうていしきかい一般いっぱんにはかげ函数かんすうかたちられる[2]

ぎゃく函数かんすう

[編集へんしゅう]

よくある種類しゅるいかげ函数かんすうぎゃく函数かんすうである。函数かんすう fぎゃく函数かんすうは、f独立どくりつ変数へんすう従属じゅうぞく変数へんすう役割やくわりえるとられる。つまり、fx函数かんすうであるとき、fぎゃく函数かんすう f−1 は、xyしきとして方程式ほうていしき y = f(x)くことであたえられ、そのかいx = f−1(y) である。べつないいかたをすると、かげふく方程式ほうていしき R(x, y) = yf(x) = 0x についていたものがぎゃく函数かんすうである。たとえばランベルトのオメガ函数かんすうは、かげふく方程式ほうていしき yxex = 0x についていたかげふく函数かんすう(つまり yぎゃく函数かんすう)としてあたえられる。

代数だいすう函数かんすう

[編集へんしゅう]

代数だいすう函数かんすう係数けいすうがそれ自身じしん多項式たこうしきであるような多項式たこうしき方程式ほうていしき満足まんぞくする函数かんすうである。たとえば一変いっぺんすう xかんする代数だいすう函数かんすうは、かげふく方程式ほうていしき

y についてくことであたえられる。ここで、かく係数けいすう ai(x)x多項式たこうしきである。代数だいすう函数かんすう解析かいせきがくおよび代数だいすう幾何きかがくにおいて重要じゅうよう役割やくわりたす。代数だいすう函数かんすう簡単かんたんれいは、単位たんいえん方程式ほうていしき x2 + y2 −1 = 0y についていた y = ±1 − x2 である。

ただし、このあらわされたかい特定とくていすることをせずとも、この単位たんいえんかげふくてきかい言及げんきゅうすることは可能かのうである。たとえば yかんするさんおよびよん方程式ほうていしきたいしては同様どうようあらわされたかいもとめることができるが、たとえば

のようなあるいはより高次こうじ方程式ほうていしきにおいては、一般いっぱんにはかいにすることはできない。それにもかかわらず、かげふくあたい函数かんすう gふくかげふくかい y = g(x)かんしてかんがえることができる。

注意ちゅうい

[編集へんしゅう]

単位たんいえん方程式ほうていしき場合ばあいひとつの特徴とくちょうてきれいとして、かならずしも任意にんい方程式ほうていしき R(x, y) = 0一価いっか函数かんすうのグラフをみちびくわけではないことに注意ちゅういすべきである。あるいは Cさん多項式たこうしきでそのグラフに「起伏きふく」がある(つまり極大きょくだい極小きょくしょうつ)ようなものとしたとき、方程式ほうていしき xC(y) = 0かげふくてき定義ていぎする函数かんすうもそのようなれいあたえる。したがって、かげ函数かんすうが「しんの」(つまり一価いっかの)函数かんすうとなるためには、かげふく方程式ほうていしきのグラフの一部分いちぶぶんはなしかぎ必要ひつようがあることがわかる。かげ函数かんすうは、x-じくのある部分ぶぶんに「ズームイン」して、函数かんすう不都合ふつごうえだを「はらって」しまったうしろでのみ、しん函数かんすうることに成功せいこうするということがしばしばある。そうすれば、yあらわ方程式ほうていしき変数へんすうかげ函数かんすうとしてくことができる。

定義ていぎ方程式ほうていしき R(x, y) = 0病的びょうてき性質せいしつつこともある。たとえば、垂直すいちょくせん方程式ほうていしき x = 0y についてくことであたえられる函数かんすう f(x) というものをみちびくことはまったくない。このような問題もんだいける目的もくてきで、ゆるされる方程式ほうていしき種類しゅるい定義ていぎいき様々さまざま制約せいやく条件じょうけんすことが頻繁ひんぱんおこなわれる。かげ函数かんすう定理ていりはこのような病的びょうてき性質せいしつ種類しゅるいあつか一様いちよう方法ほうほう提供ていきょうする。

かげ函数かんすう微分びぶん

[編集へんしゅう]

微分びぶん積分せきぶんがくにおいてかげ函数かんすう微分びぶんほう (implicit differentiation) とばれる手法しゅほうは、連鎖れんさりつもちいてかげふくてき定義ていぎされた函数かんすう微分びぶんする。[3]

かげふく函数かんすう y(x)微分びぶんするにさいして、定義ていぎ方程式ほうていしき R(x, y) = 0y についていてからそれを微分びぶんするということは、一般いっぱんには可能かのうでない。そのわり、R(x, y)x および yかんして微分びぶんして、それから dydxかんするいち方程式ほうていしきいて x および yしきとしてかれたしるべ函数かんすうるということができる。方程式ほうていしきけるという場合ばあいであってさえも、かげ函数かんすう微分びぶんられるしきは、一般いっぱんにより単純たんじゅんあつかいが容易よういである。

かげ函数かんすう微分びぶん一般いっぱん公式こうしき ― R(x, y) = 0 のとき、かげふく函数かんすう y(x)しるべ函数かんすう

あたえられる[4]:§ 11.5。ここに、Rx および Ry はそれぞれ Rx および yかんする微分びぶんあらわす。

上記じょうき公式こうしきは、R(x, y) = 0両辺りょうへんの(xかんする)ぜん微分びぶんるために変数へんすう連鎖れんさりつ適用てきようすれば、

となることからみちびかれる。

かげ函数かんすう定理ていり

[編集へんしゅう]
単位たんいえんx2 + y2 = 1満足まんぞくするてん (x, y) 全体ぜんたい集合しゅうごうとしてかげ定義ていぎすることができる。てん Aまわりで y函数かんすう y(x) として、具体ぐたいてきには g1(x) = 1 − x2 としてあらわされる。接線せっせん垂直すいちょくとなるてん Bまわりではそのような函数かんすう存在そんざいしない。

R(x, y)R2 うちなめらかな部分ぶぶん多様たようたい M によってあたえられ、この部分ぶぶん多様たようたいてん (a, b) がそのてんにおけるせっ空間くうかん垂直すいちょくでない(つまり R/∂y ≠ 0)ならば、Mてん (a, b)じゅうふんちいさな近傍きんぼうにおいて、fなめらかな函数かんすうとなるような媒介ばいかい表示ひょうじ英語えいごばん (x, f(x)) によってあたえられることがしめせる。

よりぞくないいかたをすれば、かんがえているグラフの接線せっせん垂直すいちょくでないかぎり、かげ函数かんすう存在そんざいして微分びぶんすることができるということである。方程式ほうていしき

あたえられている標準ひょうじゅんてき場合ばあいにおいて、Rかんする条件じょうけんへん微分びぶん意味いみ確認かくにんすることができる[4]:§ 11.5

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  1. ^ Chiang, Alpha C. (1984). Fundamental Methods of Mathematical Economics (Third ed.). McGraw-Hill 
  2. ^ Kaplan. Advanced Calculus 
  3. ^ implicit differentiation - PlanetMath.英語えいご
  4. ^ a b Stewart, James (1998). Calculus Concepts And Contexts. Brooks/Cole Publishing Company. ISBN 0-534-34330-9 

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]