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抽象ちゅうしょうだい数学すうがく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ぐん構造こうぞう
全域ぜんいきせい 結合けつごうせい 単位たんいてき 可逆かぎゃくてき
ぐん Yes Yes Yes Yes
モノイド Yes Yes Yes No
はんぐん Yes Yes No No
ループ Yes No Yes Yes
じゅんぐん Yes No No Yes
マグマ Yes No No No
ぐん英語えいごばん No Yes Yes Yes
けん No Yes Yes No

抽象ちゅうしょうだい数学すうがく(ちゅうしょうだいすうがく、えい: abstract algebra)とは、ぐんたまきからだぐんベクトル空間くうかん線型せんけいたまきのように公理こうりてき定義ていぎされる代数だいすうてき構造こうぞうかんする数学すうがく研究けんきゅう総称そうしょうである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

じゅう世紀せいき初頭しょとう揺籃ようらんには現代げんだい代数だいすう[1]ともよばれ、数学すうがくにおける厳密げんみつさへの指向しこうのもととなった。はじめは数学すうがく全体ぜんたい自然しぜん科学かがくおおくが依存いぞんしている古典こてんてき代数だいすう論理ろんりてき前提ぜんてい記号きごうろん理学りがくによる公理こうりかたちくだされ、それをもとに群論ぐんろんたまきろんなどの理論りろん純粋じゅんすい数学すうがくとして具現ぐげんするというかたち理論りろん発展はってんした。現在げんざいでは抽象ちゅうしょう代数だいすうがくという言葉ことばはそういったしょ分野ぶんや総体そうたいを、実数じっすう複素数ふくそすう未知数みちすうからなる代数だいすうてき数式すうしき方程式ほうていしき変形へんけいのやりかたをあつかう初等しょとう代数だいすうがく高校こうこうまでの代数だいすう)から区別くべつするためにもちいられている。この初等しょとう代数だいすうがくかわたまきろんへの導入どうにゅうてき部分ぶぶんとみなすこともできる。

ひとつのこうない算法さんぽうからなる代数だいすうてき構造こうぞうもっと簡単かんたんなものはマグマであり、それに付加ふかてき条件じょうけんすことでじゅんぐんモノイドはんぐんなどの、そしてもっと重要じゅうよう数学すうがくてき構造こうぞうかぞえられるぐん概念がいねんがえられる。 より複雑ふくざつれいとして、

  • ふたつのうち算法さんぽうかんがえるたまきからだ
  • そと算法さんぽうかんがえるぐんやベクトル空間くうかん
  • さらにこれらの構造こうぞうをあわせた、からだじょう線型せんけいたまき
  • 結合けつごうてき代数だいすうとリーたまき
  • より記号きごうろん理学りがくてきたばブール代数だいすう

などがあげられる。これらの対象たいしょうは、じゅん同型どうけい(それぞれの構造こうぞうたも写像しゃぞう)とあわせてけんをなし、けんろんによってことなった種類しゅるい代数だいすうてき構造こうぞう比較ひかく翻訳ほんやく枠組わくぐみがあたえられる。

代数だいすうがく系統けいとうてき研究けんきゅうによって、ことなったかけの概念がいねんたい共通きょうつう論理ろんりてき説明せつめいあたえられるようになった。たとえば、一方いっぽうでは正方まさかた行列ぎょうれつせきかんがえることができ、もう一方いっぽうではベクトル空間くうかんうえ線型せんけい写像しゃぞう写像しゃぞう合成ごうせいかんがえられる。これらはともに線型せんけいたまきをなしているが、行列ぎょうれつれつベクトルの空間くうかんじょう線型せんけい写像しゃぞうなしたり、ベクトル空間くうかん基底きていえらんで線形せんけい写像しゃぞう行列ぎょうれつ表示ひょうじしたりすることでこのふたつの概念がいねん実際じっさい等価とうかなものであることもわかる。

数学すうがくてき対象たいしょう具体ぐたいてき定義ていぎからはなれてその構造こうぞうのみに着目ちゃくもくするかんがかたエヴァリスト・ガロアにさかのぼることができる。エミー・ネーターファン・デル・ヴェルデンによるぐん研究けんきゅうと、それをいだブルバキの「数学すうがく原論げんろん」によって集合しゅうごうろんてき抽象ちゅうしょう代数だいすうがく今日きょうてき定式ていしき達成たっせいされた。一方いっぽうけんろんてき研究けんきゅうすすめられ、分類ぶんるいトポス理解りかいなどがられた。

歴史れきしてきには、様々さまざま代数だいすうてき構造こうぞうはいきなり抽象ちゅうしょう代数だいすうがくにおいて定義ていぎされたというより、数学すうがくほか分野ぶんやあらわれ、その抽象ちゅうしょう代数だいすうてき構造こうぞう公理こうりてき抽出ちゅうしゅつされている。このため抽象ちゅうしょう代数だいすうがくはそれ以外いがい数学すうがく分野ぶんやとのあいだ数々かずかずむすびつきがある。たとえばソフス・リーによって19世紀せいきわりころにやっとされた代数だいすう構造こうぞうであるリーたまきなどの抽象ちゅうしょう代数だいすうがく結果けっかは、現代げんだい様々さまざま数学すうがく数理すうり物理ぶつりがくにおいて積極せっきょくてき利用りようされている。代数だいすうてき整数せいすうろん代数だいすうてき位相いそう幾何きかがく代数だいすう幾何きかがくなどは代数だいすう手法しゅほうをほかの領域りょういき適用てきようしている数学すうがく分野ぶんやである。他方たほう乱暴らんぼうないいかたをすれば、数学すうがくにおける表現ひょうげんろんは「抽象ちゅうしょう代数だいすう」から「抽象ちゅうしょう」をはらうため、あたえられた構造こうぞう具体ぐたいてきあらわれを研究けんきゅうしているということができる。

抽象ちゅうしょう代数だいすう」という言葉ことば代数だいすうけい一般いっぱんろんである普遍ふへん代数だいすうがく使つかわれることもあるが、たいていの著者ちょしゃたんに「代数だいすう」とってすませている。普遍ふへん代数だいすうがくにおいては様々さまざま代数だいすうてき構造こうぞう定義ていぎ性質せいしつ統一とういつてきあつかわれる。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Jeremy Gray, A History of Abstract Algebra, p.v, Springer Verlag.